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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら10泊目

1 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2007/08/01(水) 08:47:35 ID:SVgYayco0
このスレは「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」ということを想像して書き込むスレです。
「DQシリーズいずれかの短編/長編」「いずれのDQシリーズでもない短編/長編オリジナル」何でもどうぞ。

・基本ですが「荒らしはスルー」です。
・スレの性質上、スレ進行が滞る事もありますがまったりと待ちましょう。
・荒れそうな話題や続けたい雑談はスレ容量節約のため「避難所」を利用して下さい。
・レス数が1000になる前に500KB制限で落ちやすいので、スレが470KBを超えたら次スレを立てて下さい。
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい。
・物語の続きをアップする場合はアンカー(「>>(半角)+ 最後に投稿したレス番号(半角数字)」)をつけると読み易くなります。

前スレ「もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら九泊目」
ttp://game11.2ch.net/test/read.cgi/ff/1175450270/

PC版まとめ「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」保管庫@2ch
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html

携帯版まとめ「DQ宿スレ@Mobile」
ttp://dq.first-create.com/dqinn/

避難所「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」(作品批評、雑談、連絡事項など)
ttp://coronatus.sakura.ne.jp/DQyadoya/bbs.cgi

ファイルアップローダー
ttp://www.uploader.jp/home/ifdqstory/

お絵かき掲示板
ttp://atpaint.jp/ifdqstory/

2 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/01(水) 10:05:54 ID:DP3rO39R0
>>1

3 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/01(水) 12:19:48 ID://lSrT9CO
ユワシャ

4 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/01(水) 12:34:43 ID:Tmrywm0z0
>>1
スレ立ておつかれさまです♪

5 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/01(水) 12:52:02 ID:B1qDTMArO
タカハシ乙んつん

6 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/01(水) 16:00:24 ID:ZCN4+gY3O
タカハシ氏乙
とうとう10スレ目か…。合同作、楽しみに待ってる。勿論新人さん、継続して書いている人も。

7 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/01(水) 23:21:48 ID:GNDQyT810
>>1
大台に乗ったな

8 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/03(金) 18:10:16 ID:S1GmJAXgO
なんか前スレ書けなかったんでこっちに
埋め用番外編のアリスちゃんサイコー!!
電車の中で笑いこらえんの必死だったwww
シリアスもうまいけどギャグもここまでとはww
次の埋め時期が待ち遠しいw

9 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/03(金) 20:44:11 ID:3IdtXFc3O
アリスちゃん乙!
タツミはユリコたんやアリスのような可愛い子に囲まれて幸せですね。
まぁ羨ましくはないけどwww

新作もぼちぼち出てきたな。
楽しみだ。

10 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/03(金) 21:33:47 ID:XM0X97qE0
これから10スレ記念合同作品を投下していきたいと思います。
名前欄が「合作タイトル◆トリップ or 名前」となっているものは合同作品です。
複数の書き手によって綴られる物語たちをお楽しみください。
合作OPフラッシュ http://ifstory.ifdef.jp/10th/

           【 未 知 の 世 界 】
          【 冒 険 の 始 ま り 】

「どうしてこんなところにいるんだろう。
                 僕、捨てられちゃったのかな」

           【 新 た な る 力 】
         【 仲 間 と の 出 会 い 】

「この空は私の街と同じで清々しい程に青いのに、
                 私の人生は変わってしまった」

          【 帰 る べ き 理 由 】
            【 石 版 の 謎 】

「こんなもので本当に元の世界に帰れるのか。
                  どうにも信じることができない」

          【 待 ち 受 け る 敵 】
          【 混 在 し た 土 地 】

「裂けいく異世界。なんとも暗示的な言葉ではありませんか」

          【 束 ね ら れ る 心 】
          【 迫 ら れ る 選 択 】

       「その日私は、私の世界の夢を見た」

11 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/03(金) 21:39:10 ID:XM0X97qE0

           FF・ドラクエ板

 『もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら』

         10スレ記念合同作品


         〜作り合わされし世界〜


       → 冒険をする
        → 1:しなの LD1

12 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/03(金) 21:46:57 ID:XM0X97qE0
○第一話
    『不思議の国のしなのさん』

気持ち悪い……頭痛が痛い……
うぅん……
ベッド際のシーツを片手で頭に引き寄せ、
眠りの中から私を引き起こそうとする明るい光から逃げるように体を丸める。
何でだっけ……

ん……そうだ。
私は、フラれたんだった。
それでヤケ酒を……
……思い出したらまた気持ちが沈んできた。
今日は一日中寝ていようか。

  「ちょっとお客さん!」

扉を叩く音と共に誰かの呼ぶ声がする。

  「お客さーん! もう起きて下さいよ〜!!」

うるさいな……
私は今悲しいんだ。
ほっといてくれ。

  「ったく……これじゃあ眠り姫だな」

そうそう。
姫様の眠りを妨げるなんてのは重罪だぞ。

13 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/03(金) 21:50:55 ID:Pfrlk21j0
支援

14 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/03(金) 21:54:08 ID:XM0X97qE0
  「ちょっと、見てないでお願いしますよ」
  「あぁ。さ、姫。もう起きませんと」

思わず従ってしまうほどに優しい声。
ゆっくりと目を開けるとそこには若い男と、その後ろに髭を生やした中年の男。
両者の顔に見覚えはなかった。

  「おはようございます」

ニッコリと微笑む若い男。
私はそれに答えず、目だけで威嚇する。
寝起きを見られる事ほど恥ずかしい事はない。

  「すみません。
   もうチェックアウトして頂きたい、とご主人がおっしゃるものですから」

赤く充血しているであろう私の目を見ながら男が申し訳なさそうに言う。
チェックアウト?
ご主人?
そういえばさっきも私の事を客と呼んでいたな。
私はホテルか何かに泊まっただろうか。

聞きたい事は山ほどあるように思えたが、まずは身支度と頭の中を整理したかった。
分かった。では15分ほど時間をくれないか?
そう男に告げる。

  「もちろんです」

若い男は笑みを崩さぬまま、早くして下さいよと文句を言う主人を部屋の外に連れ出した。
ふふん、少しは気が利くようだな。

15 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/03(金) 21:59:06 ID:/q+jfrEB0
SHIEN!

16 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/03(金) 22:02:42 ID:XM0X97qE0
2人が部屋から出て行ったのを見計らってベッドから抜け出し、
窓際で陽の光を浴びながらグッと伸びをする。
硬い体に血が通い始める感覚は、一日の始まりを告げてくれる。。

普段着のまま寝ていたらしく、カットソーがシワシワになってしまった。
デニムのショートパンツも少々ごわついていて着替えたかったが、
今はお色直しをする事は出来ないようだ。
とりあえず髪を軽くとかして部屋を出た。

  「ったく……」

忙しいのに、とこぼしながら主人は私が寝ていた部屋に入っていった。
何がそんなに不機嫌にさせているのだろうか。

  「もうよろしいのですか?」

振り返ると先程の若い男が近づいてくるところだった。
背は私より高く、切れ長の目は優しい輝きを放っている。
体をタイトに包む服と少し流した前髪がその整った顔に似合っていた。
その歩き方さえ絵になるくらい、一種の美しさを感じる。

あぁ、すまなかった……寝起きがどうしても悪くてな。
と、本当の事が言えずに嘘を付いてしまう。

  「いえ、私の事は」

男は目を閉じ、気になさらないで下さいと言いたげな仕草をする。
と言うか、君は誰だ。
私は行くぞ?

17 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/03(金) 22:07:12 ID:XM0X97qE0
  「あぁすみません……
   では一緒に朝食でもどうでしょうか。
   起こしてしまったお詫びという事で」

その意見には同感だが、悪いな。
ナンパはお断りだ。
第一そんな気分じゃあ、ない。

  「ちょっと待って下さい! 僕は――」

そういう男だったか。
外見だけが武器の優男。

  「……あなたはこの場所に見覚えがない。
   そうではありませんか?」

男の横をすり抜けようとした足が思わず止まる。
……何故それを知っている?

  「僕があなたと同じ、だからですよ」

私の心を読んだかのような男の答えと、初めから変わらぬその笑み。
それはこれからの出来事を予感させるにはあまりに小さな不思議だった。

18 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/03(金) 22:09:10 ID:kmInwgOvO
リアルタイムだぜ!支援

19 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/03(金) 22:11:59 ID:XM0X97qE0
○第二話
    『もしもの話』

  「ふぅ、美味しかった」

もう食べないのか?

  「えぇ、すみません。僕、少食なんです」

私はまだ頂くよ。
朝食はしっかり食べないと元気が出ないからな。
それに確かに美味しいし。

  「ごゆっくりどうぞ」

あわただしく宿屋を追い出された私が何故この男と朝食、
もとい昼食を一緒にしているかをまずは説明しなければなるまい。
その理由は単純にして深刻な問題だった。
お金がない。
ドラマのタイトルじゃないぞ?
泊まった覚えのない宿代は私の持っている金で払う事は出来なかった。
つまりこの男に借りが出来てしまったという訳だ。

  「何か当てが出来るまでは僕を頼りにして下さい」

私を気遣うようなその言葉とは裏腹に、
男は私と居られる理由が出来た事を喜んでいるようだった。
そして言うが早いや、男は私の腕を取って近くにあった定食屋に連れ入った。

きっとその内、とても言えないような事を私に要求してくるのだろう。
私は断る権利もなくこの男の手に落ちてしまう、というシナリオだ。
う〜ん、エロいな。

20 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/03(金) 22:17:42 ID:XM0X97qE0
そんなくだらない事を考えられるくらいに私は落ち着けたようだ。
と同時に、可笑しくなってつい笑ってしまいそうになった。
昨日の今日にはこうして名前も知らない男と一緒にいるのだから。

それとも、この出会いにも意味があるのだろうか。
食後にココアを頼み、本題へと入る。

  「アレンです。呼びにくければアリィでも」

あぁ。私はしなの、と言う。
じゃあアレン、君の話を聞いてもいいかな?

  「えぇ。そうですね、では今朝の事から話しましょうか」

テーブルの上でアレンが手を組む。
食後のまったりとした空気の中で時計の針の音だけが場を支配していた。

  「もし……」

もし……?

  「もし目が覚めたらそこが見知らぬ宿屋だったら」

……凄い仮定だな。

  「そしてベッドの隣にはこれまた見知らぬ美女。
   前後不覚になって連れ込んだか?
   いや、むしろ記憶ははっきりしている。
   昨日は自分のベッドで眠りについた、と」

21 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/03(金) 22:25:51 ID:XM0X97qE0
……私の隣で寝ていたのか?

  「えぇ。あっ、大丈夫です! もちろん、何もしてませんから」

寝顔を見られたのか。
こんなに恥ずかしい事はない。
気まずさを隠す為にココアに口をつける。
その暖かさが心地良い。
うん、それで? と話を促す。

  「今朝僕は外を少しだけ見て周りました。
   けれどこの町は初めてだった。
   故に一つの仮定が導き出されます。
   それは、この世界が僕のいた世界とは違うのではないか、という可能性」

ふぅん……その前提は?

  「……僕はある理由で世界中を旅した事があります。
   知らない町はありません」

その話が本当なら……
信じがたいけれど本当なら、確かに君と私は同じだ。
しかし君は私と違ってさほど動揺しているようには見えないが?

  「話は通じる。
   料理を食べる余裕がある。
   危機迫っている訳でもない。
   そして、お金の心配もない、と」

と言いながら金を取り出し、テーブルに置く。
どうやら飯代も払ってくれるらしい。

22 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/03(金) 22:28:30 ID:Dz7mJ+7h0
支援

23 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/03(金) 22:31:31 ID:XM0X97qE0
しかしな……それなら尚更分からない事がある。
何故私に付きまとうんだ?
困ってる女性はほっとけない性質なんだ、とか?

  「そうですね」

皮肉に対してアレンは何故か楽しそうに、少しだけ考える仕草をした。


  「あなたの事が気に入ったから、でしょうか」

そういう事を軽く言うから……
こうして私はフラれた次の日に口説かれてしまったのだった。
何だか嬉しくない、な。
たくさんシャワーを浴びて寝るとしようか。

清潔なシーツに、暖かいベッド。
どんな時でも、どんな場所でも、眠る瞬間だけは安心していたいと思う。

その日私は、私の世界の夢を見た。

24 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/03(金) 22:37:34 ID:XM0X97qE0
  「…なのさん……しな……」

目覚ましが鳴ったら、仕事の準備……
それまでは寝れる……

  「しなのさん、しなのさん?」

ん……
目を開けると昨日と同じようにアレンの顔。
あぁ朝か……おはよう。

  「おはようございます、しなのさん。
   起き抜けで申し訳ないのですが……」

ん、まぁ気にするな。

  「いえ、その……町が無くなってしまいました」

何を言ってるんだ、いきなり。
私はちゃんとベッドで……うん?

  「……昨日から分からない事だらけですね。
   けど、ここに居ても仕方ありません。
   出発しましょうか」

どこに? と問い返すとアレンはさぁ? とのん気に、だけどどこか楽しげに笑った。
アレンの手に引かれて草のベッドから抜け出す。

あぁ……今日は美味しい朝食が食べれないのか……
落胆しながら昨日まで町があった場所を調べていると何やら立て札が。

なんと立て札は裏側だった!

25 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/03(金) 22:38:12 ID:B446nPZ00
合作きてるw
支援

26 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/03(金) 22:43:19 ID:XM0X97qE0
  "望みの町へようこそ。
   一夜限りのおもてなしは、あなたの望むがままに"

何だそれは?

  「……僕たちは幻を見ていたのかもしれませんね」

そんな馬鹿な。
昨日の出来事が全て嘘だと言うのか?

  「嘘、ではありませんよ。
   こうして僕としなのさんは出会っているのですから」

まぁ、確かに、な。
……あの朝食もシャワーもベッドも私が望んだ、のか。

  「……ハーゴンの仕業なのか?」

ん? 何か言ったか?

  「いえいえ。一応道もある事ですし、先を目指しましょうか」

先とはどこの事を言うのだろう。
光の柱を所々に形作っている林道へと足を進める。
振り返り、どこか寂しそうな立て札にサヨナラを言った。
バイバイ。

27 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/03(金) 22:46:01 ID:/q+jfrEB0
>>19
お金がないとか懐かしいw

28 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/03(金) 22:50:43 ID:XM0X97qE0
今日はここまでで。
支援ありがとうございました。
また明後日の同じような時間に来ます。

合作開始ですが、通常通り他の書き手さんもどんどん書き込みしてくださいね。
ではまた。

29 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/03(金) 23:04:48 ID:B446nPZ00
合作投下乙です
OPフラッシュ見て鳥肌立ちましたw
話のほうもすごい面白かったです。
独特な語り口のしなのさんと、アレンのコンビがこれからどうなるのかwktkしてます

30 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/04(土) 02:11:03 ID:P9ZUFB1l0
合作キタ―!!
GJ!!
アレンなんか裏がある悪寒。

31 :夏休み ◆JPj8jYWIQw :2007/08/04(土) 09:55:01 ID:dBAJuLMnO
待ちに待った夏休み。いつもはプール三昧のはずの俺たちの間で今年はあることが流行っていた。
「じゅーんー!!あったどー!!!」
「マジで?」
小さな川に足をつけた幼馴染みのかずやが右手を掲げて叫んでいる。
手にはひらべったい石が握られていた。
「やったー!」
「あと何枚で完成すんのかなぁ〜」
川の中で発見されたその石は、太陽に翳されてキラリと光る。
僕は背負っていたリュックをひっくり返した。
ガラガラと音を立てて、中から今かずやが拾ったのと同じ様な石が出て来る。
「えっと…いち、にぃ、さん、よん」
「これで5枚目だな」
「腹減ったー」
この石は、俺たちの間で『せきばん』と呼ばれている。
なんでって、かずやの兄ちゃんが「なんだソレ、石盤のカケラみたいだな」って言ったからなんだけど…
まぁ、それは良いとして。今俺たちの間ではこの『せきばん』集めが流行っている。
俺たちっていっても、俺と、かずやと、あと一人の幼馴染み、とも、三人だけだ。
ともは、俺たちより年が一コ下で小学四年生。今は習い事の習字に行っている。
「じゃあ昼飯食ったら、また集合な!」
「昼からはともも連れてくな」
「おう」
俺はリュックにせきばんをしまってかずやが走って家に帰ってくのを見送った。
じりじり暑い。頭から足の先まで汗でびっしょりだ。
俺はくるりとかずやに背中を向けて走り出した。

家に帰ろう。

32 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/04(土) 12:20:01 ID:xmd2fcj2O
合作参加作品……とは違うのかな?
せきばん ということは7か
元気いっぱいの小学生主人公の、一夏の大冒険・序章と言う感じ
続き楽しみです

33 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/04(土) 13:02:10 ID:m7q7xmuy0
おおお、合同作品も、せきばんも、楽しみでならねぇです・・・。
ドキドキ・・・。

34 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/04(土) 22:19:25 ID:efRnckmg0


       〜作り合わされし世界〜


       → 冒険をする
        → 1:しなの Lv2

35 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/04(土) 22:25:12 ID:efRnckmg0
○第三話
   『新しい世界』

アスファルトの道が恋しい2日目の朝。
アレンがこちらを気遣いながら道を進んでくれていたが、
私はとうとう道端に座り込んでしまった。

  「大丈夫ですか?」

いや、足が痛い……
ミュールでこの道は、辛い。

  「あぁ、赤くなってますね……
   可愛い靴なんですけど、すみません」

アレンが私の足からミュールを脱がせる。

  「町に着いたら新しいのを買いましょう。
   それまで少し我慢して下さい」

そう言ってアレンは私に自分の背中に乗るように促した。

  「いや、いい。
   少し休んだら裸足で歩くよ」

昨日から彼に頼ってばかりだった。
しかし私は何も返す事が出来ないから、その優しさを素直に受け入れられない。

  「駄目です。
   綺麗な脚に傷がついてはいけません。
   それともし遠慮しているのなら、それは違います。
   僕はしなのさんと触れ合う事で孤独から救われているのですから」

36 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/04(土) 22:28:47 ID:asXBCPmMO
支援

37 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/04(土) 22:31:12 ID:efRnckmg0
孤独。
何も分からないこの世界で、私と同じようにアレンもそれを感じていたのだろうか。
私はアレンの肩に手をかけた。

  「じゃあ、行きますよ」

昨日からアレンには恥ずかしいところばかり見せてしまってるな。
いけないいけない。もう少ししっかりしないと。
しかしな……
どうもアレンは違う世界に来たとは思えない程に慣れてると思うんだが。
でもそれを聞くのもどうかと思い、ただしっかりとしがみつく事だけを考えていた。

  「着きましたね」

何だか騒がしい程に賑やかだな。
二時間ほどおぶってもらってようやく次の町に到着した。
しかしやはりと言うべきか、この町もアレンの知る場所ではなかったようだ。

  「では僕は靴と宿の手配をしに行きます。
   しなのさんはここで待っていて下さい」

あぁ、すまないな。町の観察でもしてるよ。
町の中央広場にあったベンチに腰掛けて人々の様子を眺める。
何やらバザーのようなものを催しているようだった。
道行く人に誰彼構わず声をかけ、強引な接客をするガラの悪い男。
目の前に広げた商品を大事そうに一つ一つ磨いていく老人。
売り物よりも自身の容姿を見せ付けたいだけの女店主。
そして頭上を飛び交うパタパタという羽音。

……ん? 何だ?
その音の正体を確かめようと見上げると、
何やら黒い物体が私の頭を中心にクルクルと回っていた。

38 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/04(土) 22:38:25 ID:efRnckmg0

  「キィ〜!」

……カラス?
いや、コウモリか。
にしては表情が豊か過ぎる気もするが。

そのコウモリは私が見ている事に気付いたようで、
私の顔の前でホバリングし、
いないいないばぁをするかのように左右の羽を広げておどけた顔を見せた。
いたずらが好きなのだろうか。
ふっ、面白いコウモリだな。

  「こらドラオ! 知らない人を驚かしちゃあダメじゃないか!
   ゴメンな。勝手に飛び回るものだから……」

コウモリの飼い主らしき人物が私の方へ駆け寄ってくる。
いや大丈夫だ。コウモリを飼ってるのか……?

  「ドラキーを知らないのか?」

私の世界にはいなかったからな。

  「あぁなるほど……あ、こらドラオ! やめろwww」

怒られたのをちっとも気にしていない様子でコウモリが飼い主にじゃれつく。
よく懐いているな。

39 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/04(土) 22:43:58 ID:efRnckmg0
  「ドラオは人を怖がらないからな。触ってみるか?」

コウモリを両手の上に乗せ、私の方へ差し出す飼い主。
無邪気そうな目をこちらに向けて、私を観察するコウモリ。
しかし私がコウモリの頭を撫でようとすると、
コウモリは私の方から目を背け、しまいには逃げるように飛び去ってしまった。

  「あ……何て言うか、その……」

飼い主が私にかける言葉を探す。
……いや、いいさ。
私は昔から動物には好かれないんだ。

しかしあんな可愛いのと一緒にいれて羨ましいな。
どうやって仲良くなったんだ?

  「え? いや、普通に友達になったんだけど」

そんな……不公平だ! 私とも友達になってくれ!

  「えぇぇぇ……俺に言われてもな……」

私はただ夕暮れの空を見上げるしかなかった。
違う世界に来ても私は私のまま、か。
はぁ……

40 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/04(土) 22:45:02 ID:Ny01PfFP0
支援

41 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/04(土) 22:49:40 ID:efRnckmg0
○第四話
   『呪われし者』

バザーで賑わう町で一泊した私たちは、観光もそこそこに再び歩き始めた。
しかし連日町から町へと歩き渡るような生活にはなかなか慣れない。
別段体力に自信がない訳ではないんだがな……

アレンは元の世界で世界中を旅した事があると言っていただけあって、
私をかばってなお余裕があるようだった。

  「ちょっと水を汲んで来ますね」

へばってしまった私を気遣い、アレンは道を逸れ川へ降りていった。
ミュールから新しい靴へと履き替えたおかげでオフロードを歩くのは格段に楽になった。
この服に似合うような靴ではなかったが、さすがにそこまではな。
それにオシャレを見せたいと思う相手も、ここにはいないしな。

……帰れるのかな。
ふとそんな事を思う。

この空は私の街と同じで清々しい程に青いのに、
私の人生は変わってしまった。
どうせ変わるなら、もっと違う人生を歩んでみたかった。

42 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/04(土) 22:58:45 ID:efRnckmg0
次の町の象徴である城が見えてきた。
城と言っても日本のではなく、西洋のものだが。

ここはラダトームと言ってアレンも来た事があるらしい。
しかしそれならアレンの元いた世界とこの世界は違うという説は間違いという事にならないか?
本当に全ての町を回った事があるのか?

  「そう言われてしまうと自信がなくなってきました。
   自分でもどうなっているのか分かりません。
   世界は自分が思っている以上に広いのでしょうか。
   が、これで王様に話を聞く事が出来ますから、物事は前向きに考えるべきです。
   さぁ行きましょう」

あ、いま絶対誤魔化したな。
しかし無意味な嘘をつくようなヤツでもない事はここ数日一緒にいて分かってる。
アレンはある意味、素直なヤツだと思う。

  「しなのさんの知っている町も、どこかにあればいいですね」

そんな事を下心もなく言えるのだからモテるんだろうな、と邪推する。
私はひっかからないぞと思いながらも、彼の言葉通りになればいいなと願うのだった。

43 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/04(土) 23:06:08 ID:efRnckmg0
  「しなのさん、城へ行く前に少し寄りたい所があるんです。
   このままでは王に謁見出来ませんので」

どこに?

  「まぁ、付いて来て下さい」

ん……
何やら訳あり、というような顔で苦笑するアレン。
うーん何だろう。女か? 女なのか?

  「残念、はずれです。男の方ですよ。
   ……今までしなのさんには言ってなかった事があるんですが」

ま、まさか……
……い、嫌だ! 私は聞きたくないぞ!!
ベルトを外そうとするのは止めろ!

  「実は僕、呪われた身なんです」

止めろー! 脱ぐな〜!! ……って……?

  「悪魔のしっぽです……
   隠していてすみません。現時点ではほぼ無害でしたので……
   この先に呪いに詳しいご老人がいると聞いています。
   その方に頼んで外してもらったら城へ行――
   ……しなのさん? 怒ってます……?」

……あぁ、物凄く怒っているぞ。
意味はまったく分からないが、怒ってる。

  「そうですよね……」

44 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/04(土) 23:13:40 ID:efRnckmg0
だから、触ってもいいか?

  「え? しっぽですか? えぇ、どうぞ……?」

ふふふ……
フサフサしているな……しかも柔らかい……
おぉ、こいつ動くぞ!
これは可愛いな! 存分に撫で回しておく事にしよう。
何故アレンにしっぽが生えてるのか分からないが、取れるなら次は私が付ける番からな。
なに? 装備したら呪われるって……?
アレン……君は私の事を何も分かっていないようだね。
私は以前ペットショップに入った途端、店中の犬に吠えられた事がある程の豪の者ぞ。
こんなにグッドなアイテムを見逃せるはずがなかろう!!

  「あ、あの? しなのさん?」

……すまない、取り乱したようだ。
今のは忘れてくれ。
ちなみに呪われていると、どうなるんだ?

  「呪われし者よ、立ち去れい!」
  「ぐわぁ〜!」
  「……と、なる訳です」

と、城の門番に若者が力ずくで追い出されている場面が目の前で繰り広げられる。
ふぅん……お城に入れなくなるのね。
だから謁見出来ないって訳か。
という訳でアレンの呪いを解いてくれるという老人の家を訪ねたのだった。

45 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/04(土) 23:18:54 ID:bYzYZaFZ0
しえん

46 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/04(土) 23:21:28 ID:efRnckmg0
  「不躾にすみません。少し診て頂きたいのですが――」
  「こりゃあいかん! 早くこっちへ!」

小さな一軒屋に入るなり慌てた様子の老人に引っ張られ、椅子に座らされるアレン。
私は二人の邪魔をしないように部屋の隅に立つ。
呪いは無害だとアレンは言っていたが、何がそんなにいけないのだろうか。

しかし老人の逼迫した雰囲気からそれを聞くのは躊躇われた。
静寂が時を支配し、刹那が無限に感じられる。
重苦しい空気は、あまり好きじゃないな。

  「なんと! これは新しいタイプの呪いじゃな!
   私には解けぬ、許して下され。うくく……」

アレンの事を診ていた老人が突然絶叫する。
うくくって何だ、うくくって……

  「悪魔のしっぽ自体は珍しくないんじゃ。じゃが、何かが違う……」
  「……教会の神父様にもお願いして駄目だったので、あなただけが頼りだったのですが」
  「まぁアイツらには到底無理じゃろうな。呪い自身を知ろうとはしないのじゃから」
  「どうすればいいのでしょうか」
  「そうじゃな。まず――」
  「おらぁ〜! ジジイいるか〜!」

とその時、勢い良く扉が開かれ慌しく誰かが入ってくる。
お、先程城門前で吹き飛ばされてた人だ。

47 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/04(土) 23:29:45 ID:i8SlVRti0
しえん

48 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/04(土) 23:35:06 ID:efRnckmg0
  「……何じゃまたお前か。一度では懲りんヤツだな」
  「何ぃ? まだ何も言ってねぇだろ!」
  「言わずとも分かるわい。
   呪いは呪いを呼ぶとはまさにこの事……
   愚かなお前が再び呪われてここにやってくる事はむしろ分かっておったわ」

知り合い、なのか。
家族ではないようだが、遠慮がまったくと言っていいほどないな。

  「うるせー! じゃあさっさと治せよ!
   そんであのヒゲ兵士をぶっ倒してやる!」
  「煩いのはお前じゃ。お客に失礼じゃろう。
   それにお前の呪いも解く事は出来んようじゃ」
  「あ? 何だよそれ!」

その言葉に対していきり立つ男を制し、落ち着かせる老人。
何だかんだで老人には逆らえないらしい男は大人しくアレンの隣に座った。
老人はアレンと男の顔を順番に眺め、少し考えるような仕草で溜め息をつく。

  「これも何かの予兆、なのか」

独り言をつぶやく。
何か重いものを感じ、それに返答する事は出来ない。
静かに開かれた老人の目が、アレンと男をジロリと睨む。

  「いいか2人共、勇者の泉を目指すのじゃ」
  「勇者の泉……?」

49 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/04(土) 23:36:28 ID:Wm2t5LWIO
しえんぬ

50 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/04(土) 23:45:57 ID:efRnckmg0
  「ラダトームの西、ローレシアの北、サマルトリアの東。
   そこで清めてもらえば、もしやな」
  「行った事ねぇよ……ってか何で今治せないんだよ……」
  「僕はあります。ですが、今そこに行けるかどうか……」

世界地図をアレンが困惑の表情で見つめる。

  「現在の地理的状況は非常に混濁していると僕は考えています。
   誰一人として正確に道を把握している者はいないでしょう。
   地図の全修正も検討しなくてはいけないかもしれません。
   このラダトームに無事にたどり着けた事でさえ、今では奇跡に思えます」
  「ふぅむ……つまり、勇者の泉が今もあるとは言えない。そうじゃな?」

コクリと頷くアレン。
唸る老人。
そして憤慨する男。

  「何とか言えよ! 呪いの第一人者なんだろ?!」
  「……呪いはお主たちをゆっくりゆっくりと蝕んでいくじゃろう。
   死ぬ事はないが、死ぬ事の出来ぬ苦しみを味わうやもしれん。
   呪いの怖さは目に見えぬところにある。
   しかしな、お主たちは絶望に飲み込まれて終わる運命にはないとワシは見た。
   故に道無くとも勇者の泉へ行かなければならない」

有無を言わせない老人の言葉に思わずゴクリと飲み込む2人。
蚊帳の外な私はお茶をゴクリと飲み込んだ。

  「ここで出会ったのもルビス様のお導きじゃろう。
   2人で協力し、そこを目指しなさい」

……私は?

51 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/04(土) 23:51:04 ID:efRnckmg0
今日はここまでです。
また明日も来れたら来ます。
支援ありがとうございました( ^ω^)

52 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/04(土) 23:51:37 ID:z86ZAdfw0
訳が分からんw

53 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/05(日) 01:48:50 ID:Gtzerkg80
老人に見せられた地図は、アレンさんの知っている世界なの?

54 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/05(日) 02:42:42 ID:MmtEtkM40
アレンは今いる世界の住人ではないが、
別のDQ世界の住人なんじゃないか?

55 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/05(日) 13:14:37 ID:Gtzerkg80
むむむ、なるほど。
サマルトリアとかローレシアという地名がでてきているからドラクエ2の世界とみられるが、合同作品だから、各ドラクエ世界から主人公が派遣されているのかもしれんな。
しなのさん萌え〜〜。
ドラキーもこうしてみるとかわいいな。

56 :夏休み ◆JPj8jYWIQw :2007/08/05(日) 17:11:44 ID:0QSYp97LO
「ただいまー!」
「潤、手ー洗っておいで…ってなーに、あんた。汗まみれじゃない」
「うん。姉ちゃん、お母さんは?」
「お仕事。」
「仕事?飯は?腹減ったー」
「その前にあんたシャワー浴びといで」
「えー」
「えー、じゃない。ほら行った行った」

家には姉ちゃんしかいなかった。
姉ちゃんは高校生になってから、化粧をするようになったんだけど、今日はしてないみたいだ。まゆげが薄い。
(これを姉ちゃんに言うと途端に機嫌が悪くなるから黙っておくことにする。俺、賢い。)
廊下を歩きながらTシャツの裾を引っ張って脱いだ。汗をかいてたせいでひんやりする。
ばたばたと服を全部脱いでしまって、洗濯機に放り込んだ。
台所ではジュウジュウと何かを焼く音がしている。

「ね、あんたリュックに何を入れてんの?」
「えっ?」
お風呂からあがると、姉ちゃんが作ったチャーハンを食べた。
姉ちゃんはダイエットとやらをしているらしくて、牛乳に変な粉を混ぜたものを飲み終えて、俺がチャーハンを食べるのを見ていた。
「なんで?」
「あんなに汗かくなら水筒持って行った方が良いでしょ?」
「い、いらないよっ!いらない!」
「なんでよ、良いから持って行きなさい」
姉ちゃんはうむをいわさないってかんじで、水筒を三つ俺の前に並べた。
「なんで三つも?」
「どうせ和也と智紀くんも行くんでしょ?」
「えー、重いもん」
「文句言うな。リュックに入れとくから」
「あっ、だめ!!」



57 :夏休み ◆JPj8jYWIQw :2007/08/05(日) 17:14:50 ID:0QSYp97LO
「なにこれ」
姉ちゃんがリュックの中を覗きこんで、せきばんを取り出した。
「ダメだってば!」
姉ちゃんの手からせきばんを取り返してリュックに突っ込む。
「何よ、それ」
「なんだっていいだろ!」
「もう、変なことしてんじゃないでしょうね」
「してない!」
「ねえ、それ…」
「ごちそうさま!俺、もう行く!」
残りのチャーハンを掻き込み、水筒を三つ抱えて、逃げるみたいに走り出した。
もちろんリュックも忘れないで。
「暗くなる前に帰んなさいよー」
家を出て走ってると、後ろから姉ちゃんの声がした。
振り返ると姉ちゃんが手を振ってる。
「 い っ て き ま ー す! !」
ありったけの声で返事をして俺はまた走り出した。




58 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/05(日) 17:40:49 ID:Gtzerkg80
リアルタイム遭遇ktkr
チャーハンつくってくれたり、3本も水筒に飲み物用意してくれて姉ちゃんやさしいな。
俺もこんな姉ちゃんがほしかったな・・・。

59 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/05(日) 21:09:57 ID:69YZpikq0
姉ちゃん素敵だな

60 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/05(日) 21:13:18 ID:NVzeBGNW0
「せきばん」が集まると冒険開始なのか…
続き楽しみにしてるよ!!

61 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/05(日) 23:27:55 ID:XuTDCube0



       〜作り合わされし世界〜


       → 冒険をする
        → 1:しなの Lv3

62 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/05(日) 23:35:21 ID:XuTDCube0
○第五話
   『勇者と勇者と私』

  「ったく、俺を城に入れないなんてどんな了見してやがるんだ!
   呪いくらいいいじゃねぇか! なぁ?!」

ビールを一気に飲み干した男は、怒りが収まらないとばかりに私へ泡を飛ばす。
ジョッキを叩きつけられた木のテーブルは、少しばかり形が変わったかもしれない。

  「まぁ城は一応神聖な場ですから……」

それをたしなめるアレンはワインを優雅にそっと一口。
二人が会話しているのを聞きながら私は酷い味のカクテルを口にする。
こんなのを良く客に出せるな。
私が作った方がまだ美味しい。
けれどその不味さは私の心中を表しているのかもしれないな、と思う。
だから先程の老人が出してくれたあのお茶のようにスッキリとしたかった。

  「ハーブティーじゃ。あまり良い物ではないが」

アレンともう一人の男に勇者の泉へ向かえと告げた後、
老人は私だけに残るように言った。
少しだけならと承諾し、アレンには外で待っていてもらう事にした。

  「しかしあの小僧が立派になったと思いに耽っていたんじゃがな。
   人はいつまで経っても変わらんもんなのかのう……」

老人が半ば呆れた表情で言う。
しかしそこにはほんの少しだけ、喜びも混じっているように聞こえた。
あの男を自分の子供のように思っているのだろう。

63 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/05(日) 23:39:21 ID:KQIEqrtqO
支援

64 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/05(日) 23:39:58 ID:XuTDCube0
聞けばいくらでも彼との思いでを老人は語ってくれそうだが、
私だけに話とは何の用件なのか気になるところでもあるな。
まさか私にも何か呪いが掛けられているとか?

  「安心しなされ。お嬢さんには呪いはかかっておらん。今は、な」

そうですか、それは良かった。

  「しかし呪いの影響を今後も受けないとは言い切れん。
   いや、必ず受けるじゃろう。
   あの若者とどういう関係にあるか知らんが、今までよく無事じゃったな」

ふふ、そう見えますか?

  「あまり年寄りを試すもんではないぞ」

失礼しました、と笑い合う。
ふと自分の事も相談してみようかという気になった。
これから自分はどうすればいいのかさっぱりだからな。
けれどどこへ行くとしても、旅に慣れている者と一緒にいた方がいいだろう。
何も分からないこの世界で、私はあまりに無力だ。

  「……奴等に付いて行くつもりか?」

とりあえずは。

  「やめといた方がえぇ」

そう静かに言い、茶を飲む。
どうしてこうも年老いた者の言う事は説得力を持つのだろう。

65 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/05(日) 23:45:59 ID:XuTDCube0
  「人が道を誤った時は呪いに掛かりやすくなると言う。
   じゃがその一方で呪いが人に道を誤らせる、とも言う。
   しかしあの勇者たちは必ずその呪いを解くじゃろう」

ゆうしゃ……?
……アレンが、勇者だと?

  「何じゃ知らんかったのか。
   まぁ言わなければ分かるもんでもないからの。
   呪いなんてもんに関わっているせいからか、聖なるもんにも目聡くなっての。
   ワシには分かるんじゃ。
   あの2人の目に映っておるものが同じじゃとな」

……それは、少し分かる気がする。
アレンは私なんかとは、違う。

  「そう自分を卑下するもんじゃない……むしろ彼らが特別だと思うんじゃな」

特別、か。

  「勇者は人々の不安を希望へと変える。
   そして世界の秩序を取り戻し、新たな平和をもたらしてくれる」

それが勇者の運命という訳か?
無言の返答。
言わずもがな、か。
そして老人はか細い目でこちらを見てくる。

  「あの2人を結び合わせたお嬢さんの役割はここで終わりじゃ」

66 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/05(日) 23:51:27 ID:XuTDCube0
役割。
この世界に来た意味が、それか。
人と人を結びつける役。
それもいいかもしれないな。

……待っていれば。
待っていれば、私は元の世界に戻れますか?

  「あぁ……きっと、な」

……分かりました、ありがとう。
お茶、美味しかったです。

  「……なのさん……しなのさん? 大丈夫ですか?」

アレンの声で我に返る。
ん……

  「飲みすぎないで下さいね。明日からまた移動になりますから」
  「でもどっちに行きゃあいいんだよ」
  「まずはそれを探しに行くんですよ」

女のそれとはどこか違う男の友情、というヤツだろうか。
さっき会ったばかりの2人は仲良さそうに明日からの予定を話し合っていた。

67 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/05(日) 23:57:12 ID:XuTDCube0
対称的に見えるこの二人には以外な共通点があるようだった。
店に入り、乾杯を交わした後の事。

  「まさかあの勇者アレフですか?!」
  「おう、その通りだ。よく知ってるな」

アレンがらしくない声を挙げる。
この男がそんなにびっくりする程の有名人だとはとても思えないがな。

  「知ってるも何も……
   驚かれるでしょうが、聞いて下さい。僕は、あなたの子孫です」
  「へぇ、何だ面白い事言うじゃねぇか。ただの貴族の坊ちゃんかと思ってたが」

アレフは軽く笑い飛ばすが、アレンは真剣な表情を崩さなかった。

  「竜王が世界を支配し時、勇者ロトの血を引くアレフはただ一人で立ち向かい、
   見事ローラ姫を助け出し平和を取り戻す」
  「……」
  「これで信じてもらえますか?」

アレンが懐から何かのメダルを取り出す。
それを見たアレフは少しばかり目を見開き、そのメダルと全く同じ物を取り出した。
翼を広げた鳥をモチーフにした金色のメダル。
それが持つ意味を私は知らないが、2人にはそれで十分通じたようだ。

  「ここに着くまで道分かりました?」
  「全然! 三日三晩彷徨ってようやくだぜ。
   途中リーザスとか言うトコは通ったっけな」

会話の中に見えてくるある種の連帯感。
それはつまり、2人が共に勇者である事の証なのだろう。

68 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/06(月) 00:02:06 ID:igtyDDpU0
リアルタイム遭遇きた〜〜〜っ!!
支援

69 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/06(月) 00:05:42 ID:+R4JjQc90
2人の旅に付いて行く理由、確かに私にはない。
私の知らないこの世界の情勢は、未だかつて無い状態にあるらしい。
そして勇者によってそれは正されるだろう、という老人の話だった。

そんな勇者の仲間として私なんかが相応しい訳がない。
特別な力を持たない私に何が出来るというのか。
付いていってこの2人に迷惑をかけるよりもここでお別れをして、
老人に言われた通り私は私の町へ帰れるのを待つのが正解なのだろう。
そうさ。ここでお別れなんだ。

2人ともすまない。私は行けないよ。

  「……しなの、さん?」

私は、ここに残る。

  「そんな! どうして!」

いいんだアレン。
明日からアレンのパートナーは、アレフだ。

  「……」
  「……なぁ、アレン。
   俺は組んだ事ねぇから分かんねぇんだけどよ」
  「……はい」
  「パーティーってのは2人じゃないとダメなのか?」
  「いいえ、僕は3人組でしたよ。それが何か……?」

70 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/06(月) 00:10:49 ID:+R4JjQc90
  「そうか、ならいいじゃねぇか。
   別に目的がある訳じゃないなら一緒に行こうぜ。
   パーティーってのも何だか楽しそうだしな!」

ワハハと笑い飛ばすアレフ。
いや……私じゃ役に立てないしだな……

  「あ、何だって? ってかお前、アレンのコレなんだろ?」

なっ……!! ち、違うぞ!!

  「いや……まだなんです」

いやいや、アレンもそういう事言うんじゃない……!!

  「ホントかよ、だらしねぇなぁ。さっさとモノにしちまえよ。
   いいか、そういう時はだなぁ――」

どこか得意げにして女を落とす方法について語るアレン。
それを真剣な顔で聞き、時折質問し返したりするアレフ。
私を目の前にしてそれはないだろう……
ぷ……くくっ……あははっ……!

  「よし、ほら行くぞ!」
  「行きましょう、しなのさん!」

……あぁ、行くか!

私はまだ呪われてない。
だから私はまだ道を誤ってはいない。
行けるところまで行こう。
終着点は、私の世界だ。

71 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/06(月) 00:14:53 ID:+R4JjQc90
家への帰り道で歌を口ずさみながら自転車をこいでいたら
虫が口の中nくぁwせdrftgyふじこlp;@「」なので今日はここまでです。

ではまた( ^ω^)

72 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/06(月) 00:23:54 ID:6SqBugSR0
合作とは凄いな
初代スレからの住人としては感無量っすよ
色々あったが良スレになったなあ

73 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/06(月) 00:46:50 ID:igtyDDpU0
あれま・・・虫が口に飛び込むと苦いですよね(汗
うがいして、お大事にです・・。

74 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/06(月) 01:11:07 ID:VJjQ3jOaO
ああ、今の所は暇つぶし氏のパートなのか。
どうりで作風がそれっぽいと思ったw

真理奈タンキタ━━━(゚∀゚)━━━!!
って言いそうにな(ry

75 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/06(月) 20:53:20 ID:O3xsu3lKO
合作乙!!

真理奈たんキターって思って口開けたら(ry

76 :冒険の書2 ◆8fpmfOs/7w :2007/08/07(火) 18:40:38 ID:hM0+hOm/0
−後編−

私はなんとなくサマルトリア王の考えがわかった気がした。
この国はもうすぐ戦争に巻き込まれる。
だから、せめて息子だけでも国外に逃がしたいと考えているんだわ。
そのため伝説にかこつけて王子を旅に出したに違いない。
私はその手助けをすればいいだけなのね。

しかしこの王子様は使命感に燃えていた。あの兵士と同じだわ。
旅に出ることを自分の使命だと感じ、命を懸けるに疑問を持たない。
しかもこちらは勇者の血筋というおまけつき。
先祖が勇者でも子孫が勇者であるとは限らないでしょうに。
「……マモルと同じね」
「マモルさんって誰? メグミさんの大切な人?」
私は『大切な人』という言葉に品のよさを感じつつ大切な人には違いないわと答えた。

旅立ちに先駆けて勇者の泉というとことに行かねばならないらしい。
だけど泉は洞窟の中にあり、そこでは『せいすい』が使えないのだとか。
仕方ない。私は秘策を試してみることにした。

勇者の泉の洞窟の前には団子の山ができていた。毒団子の山だ。
ゴキブリを退治するために昔ホウ酸団子を作ったことがある。
ホウ酸はなかったが『せいすい』で代用した。
団子の材料とせいすいを買うために王子様の武器防具を売ってしまった。
まあ、この子には必要最低限の装備さえあればいいでしょ。

77 :冒険の書2 ◆8fpmfOs/7w :2007/08/07(火) 18:41:24 ID:hM0+hOm/0
翌日洞窟に行くと団子の山はなくなっていた。
その代わり洞窟の中にはナメクジやアリの死体の山ができていた。
モンスターの駆除には罰則はないとのことなので遠慮は要らないわ。
「モンスターを毒殺する人なんてはじめて見たよ!」
と王子様が驚いている。
私の地元では害虫退治の一般的な方法よと説明した。
薬剤を霧状にする方法もあるけど私は煙みたいなものは嫌いだ。

王子様が勇者の泉での洗礼を終えた。次はローレシアを目指すわよ。
ローレシアに到着すると、ここの王子様もすでに旅立った後だった。
私はここで1人ローレシアに向かったあの落ち武者兵士に再会した。
「これからはローレシアの兵士として生きていきます。」
彼は新たな生き方を見つけたようだわね。
できれば兵士なんて危険な仕事からは足を洗ってほしかったのだけれど。

ローレシアの王子を探してリリザまで戻ってきてしまった。
サマルトリアの王子様の方は探索を私に任せてもう半分寝ている。
今日はリリザで宿を取ろう。今回は宿代くらいのお金はある。

宿屋で休んでいると偶然にもローレシアの王子がやってきた。
「いやー、探しましたよ!」
と、うちの王子様が言う。いや、探したのは私よ。

向こうの王子様は屈強そうだ。
うちの王子様はまともな戦闘経験ないけどくれぐれもよろしくね。
私はすっかり保護者のようになっていた。
とにかく今度こそ私の仕事は終わりだ。これからどうしようかしらね。

78 :冒険の書2 ◆8fpmfOs/7w :2007/08/07(火) 18:42:04 ID:hM0+hOm/0
サマルトリアの王子と再会したのはべラヌールという町だった。
私は元落ち武者の兵士の彼に同行してこの町にやってきた。
彼は太陽の紋章とやらの情報を王子たちに伝える指令を受けていた。
その指令に同行させてもらったのだ。彼の護衛があれば大きな危険はないだろう。
「勇者の泉のモンスターを全滅させたメグミさんは、もはや大陸最強ですよ。」
彼はそんな冗談を言ってきた。

サマルトリアの王子は私がこの町に来たことに驚いていた。
2人の王子はきれいな女の子を連れていた。生き延びたムーンブルクの王女様だとか。
若い男女が一緒にいたら浮いた話の一つでも出そうなものよね。
でも男2人に女1人ではそうでもないのかしら。
なんてことを考えていたらサマルトリアの王子が病気になった。
これでローレシア王子とムーンブルク王女2人で旅をしなければならない。
サマルトリア王子は2人に気を使って仮病を使ったんだわ。

と、思っていたが本当に体調不良だったようだ。
ローレシアの王子とムーンブルクの王女は呪いだと騒いでいる。
2人は呪いを解く方法を探しにどこかへ行ってしまった。
呪いはともかく、伝染病の可能性もあるので2人はこの場にいないほうがいいわね。
私は旅行に行くにあたっていろいろ予防接種をしていたので大丈夫でしょ。
こっちの王子様は休むといいわ。こんなに病弱な王子には旅は無理だったのよ。
話を聞く限り王子たちの旅は私の想像よりも危険なもののようなのだ。

79 :冒険の書2 ◆8fpmfOs/7w :2007/08/07(火) 18:42:40 ID:hM0+hOm/0
この呪いはハーゴンというのがかけているなんてことを言っていた。
そのハーゴンというのはロン何とかの雪山の奥にいるんだとか。
雪山といえば山に登るときの掟がある。
自分の力で下山できないときはその場においていかれるというものだ。
そして雪山においていかれた者が現れてこう言うのだ。
「酷いじゃないか。僕をおいていくなんて……」
って、これじゃホラー映画じゃないのよ。

しかし、これはサマルトリアの王子が言った言葉なのだ。
雪山においてこられたのではなく、連れて行ってもらえなかったのだけれど。
ハーゴンの呪いは解けないまま残りの2人はハーゴンを打ち倒した。
私が、呪いを解くことを止めたから。

2人は呪いを解く方法を見つけた。それを私が止めさせた。
彼にこれ以上の旅は無理だと。
きっとサマルトリアの王子もわかってくれるはずだ。
ご先祖様も言っていたではないか。『勇者だって暗いのは怖い。』と。
サマルトリアの王子もきっと私の気持ちを分かってくれる。そう思った。
「でも、僕はその暗闇に明かりをつけたかったな……」
王子様は自分の使命が果たせなかったことに酷く落ち込んでしまった。
「この思いを分かってほしかった……」

80 :冒険の書2 ◆8fpmfOs/7w :2007/08/07(火) 18:43:32 ID:hM0+hOm/0
ハーゴンが滅ぼされたことで精霊ルビスとやらの力が解放された。
そのルビス様のおかげで私は元の世界に戻ることができた。
私は自宅の布団の上で目を覚ました。
やはりあれは長い夢だったのかしら。

私は夢の中の旅のことを思い出していた。
あのムーンブルク陥落を伝えに来た兵士。
私は彼を必死に助けた。
そして同じように息子と呼ぶには幼すぎる王子様を助けようとした。
しかし……

考えてみれば私は自分の気持ちをわかって貰おうとしていただけだった。
相手の気持ちをわかろうとしていなかったのではないかしら……
彼には悪いことをしてしまった。

私は仏壇に、主人に向かって語りかけた。
「ねえ、あなた。私、守が消防士になること認めることにするわ。」
やはり消防士で殉職した夫。息子の守が同じ仕事をしたいと言ったとき猛反対した。
しかし私はあの夢を見て考えが変わった。
仕事に命を懸けようとする息子の気持ちを理解してみようという気になっていたのだった。

−完−

81 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/07(火) 20:11:52 ID:3eRNZval0
めぐみさん、きた〜〜っ♪
前半は前スレの
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/ff/1175450270/630-634
ですね。

聖水団子とは、知恵があるなー。
ていうか、お子さんいたんですか(w
結構好きです。


82 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/07(火) 22:20:56 ID:AV//5uWYO
なんて急展開wwwwwと思ってたら短編だったのか!!
たまにはこんなのもいいな、読みやすいし、仄かな爽やかさもある……とにかく乙!!

83 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/07(火) 23:34:45 ID:mOrq8cGUO
就職する年齢の息子がいるということは4〜50代のオバチャンだたのか〜

84 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/08(水) 08:45:01 ID:JkcnSTpfO
でも「〜さん」とさん付けで呼んでる所をみると再婚の可能性もある。

85 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/08(水) 10:22:38 ID:PZw09smSO
>>84
誰が誰をさん付けしてるって?

86 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/08(水) 13:54:08 ID:XuVCjPfc0
マモルと同じね・・・といったのが伏線だったのかー。
結末にSFC版DQ2でサマルトリアの王子ののろいを解けずに二人クリアしたときのセリフまで取り入れてるなんて、作者さん、なかなかの通だとおもった。

>>84-85
たしかに「メグミさんは大陸最強」というセリフもあるが、前編の最後のほうで、王子様が躊躇無くメグミおばさんと呼んでいるから、それなりの年なのだろうね。
でも、年上でもこういう心やさしくておだやかな女性、好きだけどね。

87 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/08(水) 13:56:47 ID:JrKf9nakO
おばさんの聖水プレイの話

88 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/08(水) 15:38:53 ID:XuVCjPfc0
>>87
ちょっとおもったけど、それをいったらみもふたもないだろう(wwwww

でもメグミさんの聖水なら飲んでもいいよ。


89 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/08(水) 15:49:23 ID:ahhvD8DF0
ここにきてまさかの熟女ブーム

90 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/08(水) 17:54:55 ID:HIaVZ36p0
メグミさんは宿スレに新しい風を吹き込んだに違いない

91 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/08(水) 20:23:33 ID:JkcnSTpfO
>>85
ゴメン、俺の勘違いだった。

92 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/09(木) 21:20:11 ID:8dzan3LO0



       〜作り合わされし世界〜


       → 冒険をする
        → 1:しなの Lv4

93 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/09(木) 21:26:55 ID:8dzan3LO0
○第六話 
   『せいすいの如く怪物を遠ざけてくれる存在、是即ち勇者』

冷たい水で顔を洗い、長くなってきた髪を軽く梳く。
そろそろ美容院に行きたいところだ。
薄めのファンデに口紅を施し、香水をふとももへ。
うん、今日も完璧。

 「何ちんたらやってんだよ。早く来やがれ」

アレフ……君はもう少し女性に対して気をつかった方がいいな。

  「旅してんのに男も女もあるかよ。
   だいたい俺そういうのは嫌いだし」

この生意気な口を利くのはアレフ。
私たちの新しい仲間で、アレンのお爺さん。
と言うとかなり語弊があるが、私たちと年齢は変わらない。
どうなってるか分からないが、そういう事だ。
しかし外見だけなら活力溢れた青年という感じなのに、どうにもがさつでいかんな。
絶対に中身で損をするタイプと見た。

  「ちょっと父さん? 親しき仲にも礼儀あり、ですよ。
   少しはやっていただかないとローラ姫に嫌われます」
  「おぉ我が息子よ。ローラの事は言うなって言っただろ?
   アイツこそもっと俺に気を使うべきだ」

この掛け合いがこの2人の最近のお気に入りらしい。
実際には父さんじゃなくてお爺さんだし、息子じゃなくて孫なのだが……
しかもどちらかと言うとアレフの方が子供っぽいのでどうも違和感がある。
これで勇者というのだから、イメージが崩れてしまった。
まぁでも勇者とて人なのだから、それくらいはいいか。

94 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/09(木) 21:32:03 ID:8dzan3LO0
ところでアレフは何で呪われてるんだ?
しっぽか? 獣耳か? 肉球か?

  「何だよ嬉しそうに。ベルトだよベルト」

何だか凶悪そうなバックルだな。……可愛くない。

  「呪いに可愛いも可愛くないもあるかよ。変な奴」

そんな感じで3人の旅が始まった。
何の因果かこの世界で目覚めて幾数日が経ち、ようやくこの世界の事が少しずつ分かってきた。
人間たちの集落として確保されている土地は、自然界に比べてあまりに小規模で集中的だ。
私の世界より文明的に劣るからだと考えたが、アレンの話では怪物の存在が主な原因らしい。
凶悪なモンスターたちが蔓延る外の世界は私の想像以上に危険なようだ。
というのは、モンスターの怖さを私が知らないからだ。
外の世界をさんざん歩いてきたにも関わらずモンスターと遭遇する事はなかったからな。
そもそもモンスターという概念がよく分からないし。
野生動物みたいなものか?

  「モンスターとは特別に凶暴である生き物の事を言います。
   それが魔王の仕業である説、性悪説、色々とあるみたいですが、
   人間の普段の生活において差し当たって邪魔者扱い、目の仇にされる存在です。
   平和を望む者にとっては悩みの種となっていますね」

そうか。どうやらここは私の世界よりも十分に危険な世界のようだな。

  「お前の世界は平和なのか。って事は魔王倒したんだな」
  「どうですか? 平和な世界を生きるという事は」

平和、か。
度が過ぎると必ずしも良い環境だと言い切る事は出来ないと今では思うよ。
あのミュールを履けるくらいに、な。

95 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/09(木) 21:32:57 ID:Gpq3u27a0
支援

96 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/09(木) 21:39:17 ID:8dzan3LO0
  「……そうですか。でも僕はやはり平和を取り戻したいです」
  「俺と一緒なら余裕でいけるさ」

さらりと言ってのけるなアレフは。
その調子で私も元の世界に帰してくれればいいんだが……
まぁどうすればいいのか分からないんだけどな。

クレージュと言う町で水や食料を購入し、その先にあった大きな木の根元で休憩タイム。
地平線を望みながら時を過ごしていると、何かがピョコピョコと私に近づいてきた。
鏡餅にツノを生やして、コミカルな目と口を書き込み、青で彩色すると出来上がり。
少し触れれば崩れてしまいそうなくらいに透明なブルー。
ゼリーのような体をプルプルと震わせてこっちを見てくる。
何とも愛らしい……

そう言えばいつか読んだ小説で女子高生がこんな生き物と一緒に旅をしていたな。
私もそんな事が出来たらなぁと夢見たものだ。

……そうだ。
もしかしたらあのコウモリのように私に懐いてくれるかもしれない。
チャレンジ! とばかりに意気込んで少しずつ近づいてみる。
警戒されないように今度は笑みを浮かべながら、だ。

ん……? 何をそんなに怒っている?
もし君の縄張りに入ってしまったのなら謝ろう。
言葉は通じなくても私の心は分かるはずだ。
さぁおいで〜お姉さんは怖くないですよ〜
……痛っ!!

  「しなの?」

私の指に噛み付いたその生き物は、逃げるようにして飛び跳ねて行ってしまった。
はぁ……最近フラれてばかりだな……

97 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/09(木) 21:44:58 ID:D1gvN0b3O
リアルタイム遭遇!
支援支援

98 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/09(木) 21:45:19 ID:8dzan3LO0
  「どうしたんだよ。おいおい、何泣いてんだよ?」

……逃げられた。

  「は? 誰にだよ」

何か、青いの。

  「あぁスライムか」

スライム?

  「あぁ、指大丈夫か?
   別にスライムくらいならいいけどよ、あんま俺らから離れるなよ?
   知らないモンスターもちらほら見かけてるからな。
   まだ襲っては来ねぇが」

ふぅん。
モンスターの話聞いて不思議に思っていたんだが、何で襲って来ないんだ?

  「ここら辺のモンスターがそこまで強くないってのもあるが、
   あんな野郎共でも本能的に強者と弱者の区別を知ってんだな。
   つまり俺様が強いって証拠さ!」

得意気に胸を張るアレフ。
なるほど、さっきのスライムが逃げたのはアレンのせいだったのか。
私が嫌われた訳じゃなかったんだ、良かった。
せっかく仲良くなれるチャンスだったのになぁ……
そんな風に暢気で居られる程、私の旅は平和だった。

99 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/09(木) 21:50:46 ID:8dzan3LO0
○第七話
    『お仕事』

  「お、屋根が見えるな」

のどかで小さな村。
道無き道を歩き続けてようやく人の居る場所に受け入れられるのは凄く安心する。
少しだけ散歩をしてみようか。
海岸から運ばれる潮風に木々や花たちが、そして私の髪が揺れる。
山から流れ込んでくる河川に水草や魚たちが、そして私の心が躍る。

  「やっぱりこの世界は水が綺麗なんだな」
  「汚い水なんかあるものか。ルビスのヤローの加護がある限りはな」
  「……私の世界では水はそのまま飲めないほど汚れている。
   水は買うものとしての認識が今や一般的になっているな」
  「水を買う? 砂漠の民じゃあるまいし」

アレンが笑う。
少し見方を変えると普通は異常に取って代わると言うからな。

  「この世界は良い。
   水も空気も、そして踏みしめる大地さえもが自然そのままだ」
  「それが普通なんだろうが。
   お前の話聞いてたらこの世界も満更じゃねぇって思うけどよ」
  「だから私たちは世界を元に戻したいと願うのでしょうか」
  「どうせまた魔王とかなんだろ? ぶっ殺して終わりさ」
  「だといいんですけどね。その前に自分の事を何とかしないといけませんが」

勇者の泉という私たちの目的地。
地道に集落を回り情報収集をしているのだが、それがどこにあるのか未だに分からなかった。
この世界の女神ルビス様は何か導きを下さらないものだろうか……
結局また次の町を目指そうという事になった。

100 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/09(木) 21:55:37 ID:8dzan3LO0
お……宿屋の外にわんこがいるぞ。しっぽを振ってるな。
お座りしながらしっぽ振るのは反則だと思う。
可愛いの域を超えている。

  「ハッハッハッ……」

艶やかな毛並み。賢そうな眼差し。
やはりわんこは良いな。
……けれどきっと触らしてくれないんだろうな。
こっちの世界でも動物には嫌われてるし。
肉球プニプニしてみたいんだが……

お、こっちに気付いたな。
?!?!
わんこがこっちに走ってくる!
ピョンと飛びついて来た!!
これは夢か?!

  「くーんくーん」

……
……
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 わんこ! わんこ!
 ⊂彡    肉球! 肉球!

  「おい、犬なんかに構ってるんじゃねぇよ」
  「どうしました? そんなに犬が珍しいのですか?」

♪♪♪〜

  「し、しなのさん……?」

101 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/09(木) 22:00:29 ID:8dzan3LO0
ん? 何か言ったか?

  「え、えぇ、まぁ……しなのさんは犬好きなんですか?」

犬に限らないが、動物は好きなんだ。
けれど向こうは何故か私の事を好いてはくれなくてな。

  「そうなんですか。それは良かったですね。
   でもちょっと連れて行くわけにはいきませんね」

駄目? どうしても?

  「飼い主がいるかもしれませんし、
   それにモンスターの危険から守りきれるか分かりません」

そうか……残念だ……
こんなに可愛いのになぁ……お前も私と一緒に行きたいだろう?

  「僕しなのとは一緒に行きたくないでちゅ〜」
  「父さん……変な声出さないで下さいよ……」

仕方なく私は苦渋の決断でわんこに分かれを告げた。
あの純粋そうな目を記憶に焼き付けて、私はいつまでも名残惜しく手を振り続けた。
あぁ……バイバイ私のわんこ……

102 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/09(木) 22:05:48 ID:8dzan3LO0
村を出て数時間後、夕暮れ時に早めの食を取る。
林の中の小さな空き地に火を焚いて3人で囲んで食事。
ファンタジーにありがちな一場面も、実際にやる立場となれば面倒の方が多いと知る。
なぁ、勇者って何なんだ?
私は最近思っていた疑問を口にしてみた。

  「……」
  「……」

おいおい、2人が考えてどうする?

  「改めて言われると困るな」
  「そうですね。なろうと思ってなったものでもないですし」

職業って訳じゃないのか。

  「文字通り取れば勇気ある者という事になりますが、
   悪に立ち向かう宿命にある者という解釈ですね、個人的には」
  「まぁ俺なんかは暴れるのが好きだから別にいいけどよ。
   血筋で勝手に勇者だと決め付けるのはあんまりいただけねぇな」
  「誰でもなれるが、誰もがなれる訳じゃない。
   まぁ僕は勇者などいなくていい世界を望みます」
  「そう言えばしなのは何やってた人なんだ?」

パチリと炎の中で木が音を鳴らす。
……私、か?

  「あぁ、お前の世界でって意味な」

ん、とうとう聞かれてしまったな。

  「……と言いますと?」

103 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/09(木) 22:10:50 ID:8dzan3LO0
そうだな……
男と席を一緒して酒を作ったり、話をしたり、
嘘笑いをしたり、少し触られたりするような仕事さ。

  「それって……」
  「へぇ、そんなんで金貰えるのか。
   良い仕事だな。じゃあ俺にも酒注いでくれよ」
  「アレフさん!!」
  「あん? 何だよいきなり怒鳴りやがって」
  「……本当に怒りますよ」

いや、いいんだアレン。
アレフ、酒はまた明日な。
今日はもう寝るよ。

  「あぁ頼むぜ。おやすみ」
  「……おやすみなさい」

馬鹿なアレフはいいとして、これでアレンも私の事を嫌ってくれるかな。
そんな事を思いながら目を閉じた。

104 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/09(木) 22:15:02 ID:OwhTucmc0
わんこかわいいよわんこ支援

105 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/09(木) 22:16:11 ID:8dzan3LO0
今日はここまでで。
支援ありがとうございました!

真理奈は愛されてるんだなぁ…嬉しいです。

106 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/10(金) 14:42:51 ID:hU3EbO610
やっと懐いてくれたわんこなのに、しなのさんがふびんでなりません。
アレンさんにも嫌れたいのかな・・・・。
女心は複雑ですね。

アレンさんは気配りの人ですね


107 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/11(土) 08:57:41 ID:BBTAu6wMO
そのわんこはムーンブルクの王女という可能性は…?

108 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/11(土) 12:42:24 ID:sI0+1angO
後のゲレゲレである

109 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/11(土) 12:47:35 ID:mmL2JZEaO
つまりゲレゲレ=俺の嫁

110 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/11(土) 13:52:14 ID:zgeTdApU0
わんこかわいいよ、わんこ。

111 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/11(土) 18:33:22 ID:NhvIlhAoO
合作乙!
スライムと旅する女子高生…真理奈タン…

112 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/13(月) 19:53:08 ID:S8/lsiKU0
盆保守

113 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 01:22:06 ID:FqGoaygg0
           FF・ドラクエ板

 『もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら』

         10スレ記念合同作品


         〜作り合わされし世界〜

         → 冒険をする
           → 2:ヨウイチ Lv1

114 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 01:23:08 ID:FqGoaygg0
一、 森の中の男

静かな森の中で、男は言いました。

「いろいろあったよなぁ」

すっかり、空はくらやみ景色を深い藍色へと変化させていました。
遠くには波の音がざぶんざざんと、まるで空を洗ってしまうかのようにざわめいています。
何かを思い出してくすりと笑い、木々の隙間からのぞく星を眺めるため頭をあげ、そうして思い出すのでした。

115 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 01:24:35 ID:FqGoaygg0
二、 目覚め

男は考えていました。

 はたしてここはどこだろう?
どうして俺はこんな所で寝ていたんだろう、と。

思い切り頭を振ってみてもほっぺたを平手ではたいても、どうしても思い出すことが出来ません。
ようやく理解できたのは、ここがとても古い宿屋であるという事だけです。

「なんだいったい。 どういうことだ」

ぐいとベッドを跳ね起き、うろうろ檻にいれられた小動物のようにせわしなく動き回りました。
服装を見るとまるでどこかの山奥に住む原住民のような格好です。

 誰かが着替えさせてくれたのだろうか。
 なんだかわけがわからないし不安でたまらない。
 どうしよう、どうしてこんな事になってしまったんだろう。

ふと、足音がするのを感じます。
男はどきりとし、その場を動くことをやめました。

「ようやく目がさめたんだねぇ」

ばたんと戸を開け入ってきたのは一人の女性でした。

「あ…」
「いいからいいから! ほらほらそんな所で突っ立ってないで、まぁお座り」

116 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 01:27:54 ID:FqGoaygg0
がたがたと引きずられてきた椅子へ腰掛け、けれども男はやっぱり緊張しました。
胸がどきどきと鳴るのを感じます。

 このまま何も聞かずにはいられない。
どうしても聞かなければいけない。

男は勇気を振り絞って窓を開けている女性へ話しかけました。

「あの、ここは?」

目の奥が痛くなって、手の甲でごしごしこすります。

「ここかい? ここは宿屋だよ」

女性は振り返って腰に手をやり、優しい笑顔で答えてくれました。
その笑顔につられ、男の緊張していた心がするりとほぐれ、口は自然と話し始めました。

「宿屋?! いったいどうなってるんですか!」

 どうしてそんなに乱暴な口を利くんだ。 自分はもっと落ち着いて聞くはずだったのに。

男はたいへん悔やみました。
ですが女性はやっぱり優しい顔のままで、答えてくれました。

「私にもそれはわからないよ。 あんた、何にも覚えていないのかい?
 町の外で倒れていたのを私の友人が見つけて、ここまで運んだんだよ」

117 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 01:29:59 ID:FqGoaygg0
男は何も覚えていませんでした。
なので、返事に詰まってしまいます。
昨晩は確かに自分の部屋で寝ていたはずでした。
それ以外何も、思い出せないのです。

「いいよ、ゆっくりしておいき。 何か思い出すまで私も手伝ってあげるから」

男にとってはここは何か知れない場所で誰かに頼るしかありません。
部屋をうろつきまわっている時から気付いていた事です。
思いもかけない言葉に、男は目元がむずむずするのを感じました。

「…ありがとう」

男は一言つぶやいて、開け放たれた窓から青い空の視線を浴びるのでした。

118 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/14(火) 01:30:06 ID:yks/ciK50
支援

119 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 01:32:50 ID:FqGoaygg0
三、 友人

「キィー!」

突然の声に男は驚きます。
慌てて周りを見回すと、窓から何か見たことの無い生き物がひょいと部屋へと入ってきました。

「キッキッ!」

それは男の周りをふわふわくるくる回ります。

「こここ、これは?!」

女性はあははと笑い、その生き物を抱えました。

「この子は私の友達でドラオっていうんだ、ドラキーだよ」
「えっ? どらきー?」
「大丈夫だよ、人を襲ったりしないからね。 あんたをずいぶん心配していたんだよ」

女性の肩の上で笑ったような表情のまま、ドラオは男を見つめています。

 こんな生き物ははじめてだ。 図鑑でも見たことがないし空を飛んでる!
 ああ、やっぱりここは自分には知れない世界なんだ。

女性とドラオをふと見上げ、少し気持ちが落ち込みました。
けれども、不思議と心の高揚も感じます。

120 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 01:34:30 ID:FqGoaygg0
「そうそう、私はこの宿屋の女将だよ。 あんたの名前はなんだい?」

名前は覚えていました。
男は、それはもう自信を持って答えます。

「俺はヨウイチです」

女将はふうんとうなずき、ヨウイチとおんなじにはりきって言いました。

「いらっしゃい。 ここはクレージュの宿屋だよ」

121 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 01:36:58 ID:FqGoaygg0
四、 台所

数日がたち、宿屋の台所では朝からドラオとヨウイチが何かしています。

「キーキッ」
「な、なんだよドラオ。 俺、間違った?」

ヨウイチは相変わらず何も思い出せませんでした。
正しく言えば、思い出せないというよりも身に覚えがないといったふうかもしれません。
なにしろ自分の部屋で眠ったのに、目覚めるとこの世界にいたのです。
夢なら覚めて欲しいと何度おもったことかわかりません。
ですが一向に目は覚めず、それとは反対に身の回りで起こる事はすべてが現実でした。

「じゃー… この皿はここか?」
「キー」
「あってたか。 お前は女将さんより厳しいなぁ」
「キッキッ」
「あーあー わかったわかった。 次をやれってんだろ、はいはい…」

この宿屋でお世話になることになりましたが、何もしないわけにはいきません。

 このまま世話になるといっても本当に何もしなければだめだ。
 とにかく行動しないと何もわからないのだから。

ヨウイチは、それから宿屋のいろんな事を手伝い始めました。
今は食器を洗っている最中なのですが、ドラオがいちいち口を出すので嫌になっていたのです。

「すっかりキレイにしてくれたねぇ、ありがとう。
 もっとゆっくりでもいいんだよ」
「女将さん。 いいんです。 でもドラオがうるさくって仕事になんないですよ」
「ははは。 ドラオはこの宿の主人のつもりなんだよ、なにしろ私のやることにも時々文句を言うからね」
「口ばっかりで手は出さないのは助かりますけどね」

122 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/14(火) 01:39:38 ID:yks/ciK50
支援

123 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 01:39:55 ID:FqGoaygg0
「ドラオに手まで出されたら、ほらあの羽だから。 前に皿をたくさん割って」
「キー!キー!」
「おや、本当の事じゃないか。 あれからドラオは口しか出さなくなったんだよ」

ヨウイチは驚きました。
どうやら女将さんはドラオの言葉を理解できているようなのです。

「あの女将さん。 ドラオの言葉がわかるんですか?」
「ええ、なんとなくね。 今はヨウイチの前でそんな事いわないでって言ってたんだよ」

ドラオを見るとほんのちょっとだけ、目をそらしました。
いつでも目は丸くて口は少し笑っている顔なので表情などはわからないのですが、今はそう思えました。

「調味料の片付けは私がやっておくよ。 泊まっていたお客さんはみんな旅立ったからね」
「俺がやりますよ」
「日が暮れる頃までは暇だからね。 ヨウイチも自分の事があるだろうから、自由にしておいで」
「じゃあ、お言葉に甘えて。 じゃあなドラオ!」

さっと手を洗い、不満そうな顔のドラオを置いてヨウイチは台所を出ます。

 何をしよう…
 そうだ、町の人にいろいろ聞いてまわってみよう。 何かわかるかもしれない。

数日のあいだはほとんど宿屋を出なかったので町の人とは話をしていません。
なので何か話を聞けるかもしれないと思うと身体は軽く、思いのほか早足で宿屋を出るのでした。

124 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 01:41:57 ID:FqGoaygg0
五、 町

揚々と町へ出たヨウイチは、はじめに店へ行こうと決めました。
店の人ならいろんな人と出会うので、きっといい事を知っていると考えたのです。
さっそく、宿屋の目の前にある道具屋へ足を運びました。

「いらっしゃいませ!」

主人が元気よく挨拶をしてくれます。

「あ、どうも。 実は買い物にきたんじゃないんです。
 ええと…」

ヨウイチは考えます。

 ここで元の世界に戻りたいなんて言っても信じてもらえるわけない。
 どう話をすればいいのだろう。

「おや、あんたは宿屋で世話になってるよな?」
「ええ、まぁ。 知ってるんですか」
「知ってるってもんじゃないよ。 町の人間ならみんな知ってるんだ。
 その宿屋にはみんな世話になっててね。 いいよ、なんでも聞いてくれ!」

どうやらヨウイチの事は町中に知れ渡っていました。
でも、別の世界からきたというのは知らないようなのでホッとしました。

「助かります。 それで、何か不思議な噂なんかは聞いたりしませんか?」
「不思議な? なんでまたそんなこと」
「…俺は旅が好きなんです。 面白そうな場所はないかと思って」

125 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 01:52:25 ID:wywAs2E1O
規制されました。
解除までかなりかかるらしいので今夜はここまでにします。
なんという中途半端 orz

>>122
支援ありがとうございます!

126 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 12:41:50 ID:FqGoaygg0
この世界で不思議な事を追いかけていけばもしかすると戻れるかもしれないと、ヨウイチは思いました。
噂を聞くだけならあまり怪しまれることはありません。
ドラオのような見たことのない生き物がいるくらいです。
きっと元の世界へ戻れる不思議な事があってもおかしくはないのです。

「ふぅん。 しかし不思議な噂っていってもなぁ。 特に聞かないよ」
「そうですか… ありがとうございました」
「あ、ちょっと待った。 あんたの名前は何だい?」
「ヨウイチです」
「そうか。 ヨウイチ、何か変わった話を聞いたら聞かせてあげるからまたきなよ!」

手ごたえはありませんでしたが、町の人と話が出来たのでヨウイチは安心しました。
それから武器屋と食堂、教会までまわって話を聞きましたが自己紹介するくらいで何もありません。
町を歩く人も噂はなにもないと言います。
それからしばらく町の中を歩き、いろんな人と話をしたり見たりしてから宿屋へ戻ります。

「おかえりヨウイチ」
「あ、女将さん。 ただいま」
「何か思い出せたかい?」

そうでした。
ヨウイチは本当の事を女将さんにも話していません。

 世話になっているし話さなきゃいけない。
 もし知ったらどんな顔をされてしまうだろうか。
 それでも、女将さんには話しておかなければいけないぞ。

女将さんはちょうど客の受付を始めたので、それが終わるのを待ち話しかけました。

127 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 12:42:58 ID:FqGoaygg0
「ふぅ。 何か話したそうだね。
 何かわかったのかい? お昼も食べないで出かけてたんだから」
「いえ… その、話してないことがあるんです」
「そう。 いいから、話してみて」

女将さんはフロアにある椅子へ腰掛けます。

「実は、俺はこの世界の人間じゃないんですよ」
「…? どういう意味だい」

きょとんとした顔をされましたが、構わず続けます。

「目が覚めたらこの宿屋のベッドの上で… 俺の知ってる場所でもないんです」
「そう言ったって、あんたは町の外に倒れてて─」
「でも、本当なんです。
 俺の知ってる世界じゃなくて、なんていうか、知らないんです全部」

女将さんはヨウイチの顔をじっと見つめます。

「この世界には電気もガスも、車も電車も飛行機もない。
 ありえないんですよ、住んでいた場所はどんなところでも電気くらいはあったから」

ふぅとため息をついて、女将さんは暖かいお茶を運んできました。
そのお茶をヨウイチにもすすめてずずずと飲み、話します。

128 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 12:45:42 ID:FqGoaygg0
「ヨウイチ。 あんたの言っている事はぜんぜんわからないよ。
 …だけど嘘はついてないね。
 私は長年、宿屋でいろんな人間を見てきたからわかるんだ」

嘘じゃないことをわかってもらえただけでも嬉しいことでした。
ヨウイチの顔は思わずほころんでしまいます。

「まぁ、私はなんだっていいんだ。
 悪い人間じゃないようだし、協力させてもらうよ。
 それに… どうしてなのかわからないけど、世話してあげなきゃならない気がしてね」

夜になると客は訪れません。
その日は遅くまでヨウイチ自身の、現実世界を話して過ごしました。

129 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 12:55:13 ID:FqGoaygg0
今回ここまで。
また次回。

130 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/14(火) 12:58:00 ID:WUS2uyOu0
リアルタイム遭遇きたー。支援。
ドラオ、かわいい♪

131 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 13:02:21 ID:FqGoaygg0
六、 町の外

「ありがとうございました。 お気をつけて、良い旅を!」

あれから幾日が過ぎ、ヨウイチはすっかり宿屋の仕事を覚えました。
もうドラオにだって文句は言われません。

「ヨウイチ、すっかりこの仕事にも慣れたねぇ。」

女将さんがカウンターの奥にある小さな倉庫から声をかけてきました。

「おかげさまでようやく。 なんだかもともとこの世界で暮らしていたような気がしますよ」

その言葉で二人は笑い、手早く朝の宿仕事をこなしていきます。

「女将さん。 部屋のシーツ替えと片付けは終わりました」
「ありがとう、じゃあ後はもういいよ」
「じゃあ、朝食を済ませたらまた町を見てまわってきます」
「あんたも好きだねぇ。 こんな小さな町で見ることなんてそんなにないだろうに」
「そうでもないんですよ。 なにせ見たことも聞いたこともない物ばかりですから」
「そうかい。 朝食はフロアに用意してあるからね」

女将さんは何かしているようでしたが構わずヨウイチは朝食を食べます。
今朝は玉子焼きと野菜を一緒に炒めたものです。
この世界で救いだったのは、食べ物がヨウイチの世界とほとんど変わらなかったことでした。

「ドラオー! おいで!」

ドラオもずいぶん懐いてくれて、今ではどこにいくのも一緒です。
ヨウイチもずっと同じに過ごしていたから、ドラオの言いたいことがなんとなくわかるようになっていました。

132 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 13:03:55 ID:FqGoaygg0
「キ〜・・」

宿屋で借りているヨウイチの部屋からふわふわドラオが飛んできます。
朝は弱いらしく、なかなか目を覚ましません。
ですがヨウイチが出かけるときに連れて行ってあげなかったらすごく怒ったことがあって、
それからは必ず連れて行くことにしているのです。

「相変わらず眠たそうだなぁ」
「キィキィ」
「そうか。 まぁいつもの事だから気にしないよ。
 今日も町を歩いてまわろう、行こうか」

毎日、ヨウイチは町の人や立ち寄る旅人にいろんな話を聞きます。
元の世界へ帰る方法を聞くためにやっている事ですが、この頃では楽しみになっていました。
ドラオは一応気にしているのかヨウイチに一言あやまってくれます。
肩辺りにふわふわしながら一緒に宿を出ました。

「とは言っても… 町のほとんどはもう見たから今日はどうするかな。
 町の外に出てみたいけど、それはダメだって言われてるし…」

話には聞いていました。
町の外に出ると恐ろしいモンスターが現れて人間を襲うのです。
ドラオもモンスターですが人間を襲いません。
モンスターには時々人間と仲良くしたがる者がいるらしいのです。

「キーキー」
「危ないって? うーん、だけどちょっとだけなら平気なんじゃないかな?」
「キッ!」
「わかったよ。 歩きながら考えてみようか。 何か見つけるかもしれないし」

二人はゆっくり歩きながら、町の人と挨拶を交わしながら歩きました。
気が付くと目の前には町の入り口で、もう一度ヨウイチは考えます。

133 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 13:05:34 ID:FqGoaygg0
 町で珍しいものはあらかた見て知った。
 傷を治す薬草も、武器も防具も、興味がわいたものは全部見た。
 道具や世界もしつこく聞いてあらかた知った。
 そうなれば、残っているのはやっぱり。

「外に行こう!」
「キ?!」
「いや、町のすぐ近くなら大丈夫だと思うんだよ。
 だってほら、ここから見てもモンスターっていう生き物は見えないし」
「キッキッ!」
「危なくなったらすぐ逃げるし大丈夫だよ。
 なんだったらドラオはここで待っててもいんだよ」

ドラオは考えているようです。
きっと女将さんに心配かけるのを悩んでいるのでしょう。

「ちょっとだけだから、なあ?」
「キ、キー」
「そうか! よし、モンスターを見たらすぐ逃げればいいんだよ。
 早速いってみよう」

ドラオは不安そうでしたが、ヨウイチは嬉しくて仕方がありません。
見たことの無いモノを見たり触れたりする事が、楽しいのです。
二人は周りを気にしながらゆっくりと町を離れました。

134 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 13:07:04 ID:FqGoaygg0
>>130
支援もらったのでちょっと続けましたw

今度こそ、今日はここまで。
また次回。

135 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/14(火) 20:16:46 ID:WUS2uyOu0
>>134
あわわ、無理させちゃいましたね。
続きの執筆乙&ありがとうございます。

町の外・・・モンスターが出てきそうな悪寒。
wktkしながら待ってますね。

136 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 21:49:44 ID:FqGoaygg0
>>135
読んでくれる人がいて始めて物語になるんだと思ってますから、お気になさらずに。
続きを投稿します。

       〜作り合わされし世界〜

       → 冒険をする
         → 2:ヨウイチ Lv2


137 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 21:51:19 ID:FqGoaygg0
七、 モンスター

緩やかな丘と平地が目の前を続いています。
周りには草木が茂り今にも何かが飛び出してきそうでしたが、モンスターと出会うことはありませんでした。
かわりに旅人と笑顔で挨拶をかわしただけです。
ヨウイチはなんだか拍子抜けしてしまって、ドラオは安心しています。

「なんだ、何にもいないな。
 見てみたかったんだけどなぁ」
「キー」
「なんだ怖いのか? だってなんにもいないじゃないか、平気だよ」

そろそろ引き返そうかと思ったその時、がさりと茂みから音がしました。

「な、なんだ?」
「キ」
「風かな…? だいぶ歩いたしもう戻ろう」

二人は一気に緊張していますぐ町へ帰りたくなってきました。
相変わらず草木はがさり、がさりと音をたてています。
ヨウイチとドラオはまるで走っているかのような早歩きで町の方向へと向かいました。

「キィーーー!」

突然、ドラオが大きな声を上げてヨウイチを追い越していきます。
びっくりして後ろを振り返ると、そこには見たことの無いまるで水彩絵の具を垂らしたような水のかたまり。

「わっ! えっ!」

ぷるぷるする身体に大きな目と口、それは話に聞いたモンスターのスライムでした。

138 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 21:59:54 ID:FqGoaygg0
「おい! ドラオ、どこいった!」

見るとドラオは木の陰に隠れてしまっていました。

「お前もモンスターなんだろ、まったく…」

ヨウイチはスライムをじっと見ました。
大きさはちょうど30センチくらい、見た目はすごく弱そうです。

「ええと、どうしよう。 ちっちゃいけどきっと凶暴だったりするんだろうからここは─」

タッっと、ヨウイチは走り出しました。

「ドラオこい! 逃げるぞ!」

大きな声で叫び、もと来た道を走って戻るつもりでした。
ところがドラオは震えたまま動こうとしません。
仕方が無いのでヨウイチはドラオのいる道から逸れた林の中へ、ドラオを連れに駆け込みました。
スライムは何か騒がしくしながら飛び跳ね、追いかけてきます。

「キィーキィ−!!」
「バカ! 暴れるなって、ほら、おい、逃げるんだよ!」
「キー!!」

あろうことか、ドラオはすごい勢いで更に林の中へと飛んでいってしまいます。
ヨウイチはもう、それは今までで一番だと思えるくらい一生懸命追いかけました。

50メートルは走ったでしょうか、ついにスライムを振り切りドラオに追いつきました。
周りはすっかり木に囲まれ、昼間なのに夕方みたいな暗さでさすがのヨウイチも怖くなってきます。
ドラオはその木の一本に翼ごと抱きついていました。

139 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 22:01:16 ID:FqGoaygg0
「はぁ… お前、まさかモンスターを見たことがないのか」
「キ、キー」
「見たことはあるって? ふぅ、じゃあなんで逃げたりするんだよ」
「キィー… キィ」
「はぁ、自分と同じモンスターは見たことないのか… にしても、一人で逃げるなよ」

ヨウイチはその場へしゃがみこみ、息を整えます。
そして落ち着いてからドラオを抱え出口を探し始めました。

「こうしてつかまえてたら逃げられないな」
「…! …!」
「逃げようってもがいても今度は離さないぞ。 しかし、ずいぶん奥まできてしまって道はどこなんだ」
「…!! …!!」

あんまりドラオが暴れるので、ヨウイチは周りをよく見ていませんでした。
ふと前の方をみると大きな熊が二人をにらみつけています。
ドラオは恐怖のあまり声が出せずもがいていただけだと、ヨウイチはやっと気付きました。

「こ、こいつは危なそうだ…」

足がすくみ、逃げようと考えるのですが一歩が踏み出せません。

 ああ、こんなところで殺されてしまうのだろうか。
 結局なにしにこの世界へきたのだ。
 せめてドラオは逃がすんだ。

「ドラオ、逃げろ!!」

ヨウイチが抱える手を離したのに、ドラオは地面へポトリと落ちて動きません。
見ると目がまるでバッテンになって、気絶してしまったのです。

140 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/14(火) 22:02:01 ID:Y6atT0nB0
支援

141 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 22:02:15 ID:FqGoaygg0
「最悪だ。 こんな森の中じゃ誰にも見つけてもらえないぞ… はぁ…」

足は相変わらずすくんでしまって動かせません。
ですが不思議と頭の中はすっきりしていました。
ヨウイチはもう覚悟を決めて、せめて拳の一発でもお見舞いしてやろうと思います。

「くるなら来い! ちくしょうこんなところでなんにもわからず死ぬなんて!!」


142 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 22:03:24 ID:FqGoaygg0
八、 旅人

「おい! しゃがめ!」

突然、うしろから大声が聞こえヨウイチは思わずしゃがみこみます。
サッとザクッとグォーの音と声が同時に聞こえ、それからドタリと振動がしました。
ヨウイチはドラオを抱えながら恐るおそる立ち上がります。

「大丈夫か? 怪我してないか」

男の声が聞こえ、目の前を見ると大きな熊は倒れています。

「…!」
「大丈夫そうだな、よっ…と。
 そのドラキーはお前のペットか」

どうして熊が倒れてしまったかはすぐに気づきました。
話しながら男が熊を転がし大きなナイフを抜いていたからです。

「助けてくれてありがとうございます…
 こいつは… そうです、ドラオっていいます」
「そうか」
「この熊死んだんですか」

倒れた熊はピクリとも動きません。
血がどろどろ流れて、ヨウイチは尻込みしてしまいます。

「当たり前だろ。 おかしな事いうなよ」

143 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/14(火) 22:04:02 ID:Y6atT0nB0
規制に負けるな支援

144 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 22:05:33 ID:FqGoaygg0
ヨウイチは思い知らされました。

 なんて恐ろしい世界だろう。
 とんでもない事になってしまった。

男が言った「おかしな事」という言葉は、この世界の厳しさを物語っていました。

 けれど。

覚悟しました。
これからもきっとモンスターに襲われます。
だけどヨウイチは元の世界へ帰らないといけません。
そのためには町を出てこの世界を巡らなければならないでしょう。
ここでくじけるわけにはいかなかったのです。

「ところで、あんたはこんな所で何してたんだ」
「あ、モンスターに襲われて逃げてたら…」
「そうか。 見たところ旅人の服だし武器は持ってないし、戦えないんだな」

男は腰にナイフをぶら下げながらいいました。
ヨウイチはおそるおそる男に話しかけます。

「あの」
「お? どうした」

モンスターの死体を探りながら男は振り返ります。

「俺に、あ。 ええと、戦いを教えてもらえませんか」
「なぜ」
「それは… 見つかるかわからないけど探したい事があるからです。
 それには戦えないとだめなんです」

145 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 22:06:43 ID:FqGoaygg0
ヨウイチはとっさに言いましたが、意味が通じたかはわかりません。

「…何か知らないがわけありのようだな。
 だが俺の戦い方はお前には無理だ。
 しかし基本動作くらいは教えてやらんこともない。
ただし─」
「え、ただし?」
「俺は長く旅をしてきて疲れている。
 だが金がない、つまり… つまりだな」
「…なんですか」
「ああ、俺の宿賃を授業料だと思って払ってほしいんだ」

少し恥ずかしそうに男が言いました。
この条件にヨウイチはラッキーだと心の中でつぶやきます。
なにしろヨウイチは宿屋の店員なのですから。

「そんな事でいいんですか、それなら平気です」
「そうか!」
「じゃあ、いいんですね?」
「ああ、ああ。 助かる」

男は顔をとてもほころばせて喜びました。

「じゃあ、早速いきましょうか」
「頼む。 この森から出て町へ行くのは俺が案内できる」

両手に抱えられたドラオが目を覚まし不思議そうな顔です。
起こったことを教えると、わかったようなわからないような表情をしていました。

146 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 22:08:11 ID:FqGoaygg0
九、 修行

ヨウイチは女将さんに事情を説明し、男を宿泊させることに納得してもらいました。
最初は、男を怪しそうに思っていた女将さんでしたがヨウイチの決意に動かされたのです。
男は自分の名前をダンと言いました。

「あんたがそこまで言うのなら。 ただし、あんまり危険な事はしないでおくれよ
 それとヨウイチ、自分で言ったんだから約束は守るんだよ」

ヨウイチは泊めてあげるためなら宿屋の仕事をこれまで以上になんでもする、そう約束していました。
何度も頭を下げ、次の日から始まる戦いの授業に備えその日は早く寝ました。

翌日、午前中に宿屋の仕事をいつも以上に一生懸命やってから、町のはずれで稽古の始まりです。
ですがまだ何もしていないのに身体中がきしみます。
今日から始めた薪割り。
女将さんは楽にやっているように見えましたが実際は違ってとても苦労しました。
ドラオはそんなヨウイチを邪魔にならない場所でふわふわ浮いて見守っています。

「さて。 ヨウイチ、君は俺が使うナイフより剣を覚えるのがいいだろう。
 槍は短期間では習得できないし斧は筋力をつけるのに時間がかかりすぎる。
ナイフは見たところ素早そうではないから不向きだ」
「わかりました」
「よし。 これを持って俺と同じに構えるんだ、そう。
 そしたらこう… ゆっくりと… ちがう、こうだ」

渡された木の棒をダンと同じように振ったり構えたりするのですがなかなかうまくいきません。

147 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 22:09:29 ID:FqGoaygg0
「最初から出来る訳はないからな。 とにかく動作一つ一つに意識を与えて体で覚えるんだ」
「がんばります」
「あー、それからだ。 そういう話し方はモンスターにもなめられやすい。
 もっと気を強く持ってしゃべった方がいいな。
それじゃ体だってついてこない」
「だけど」
「いいんだ。 そのほうが皆と話しやすいし意思も伝わりやすいもんだよ」
「…わかった」
「その調子だ。 ああ、でも最低限のマナーは守れよ」
「もちろんそれは。 そこはわきまえてます。だ」
「…まぁそれも慣れだな。 体で覚えろ」

ドラオがクスクス笑っているように感じてヨウイチは恥ずかしかったのですが、とにかく頑張りました。
修行は日が暮れるまで続き、疲れきった体でようやく宿屋へ戻りました。

「おかえり。 ずいぶん疲れてるね、先に風呂入るかい?」
「女将さん、ただいま。 先に腹に何か入れたいんだけど」
「ダンさんはどっちがいいですか?」
「私もヨウイチと同じで頼みます」

(ダン、女将さんに丁寧に話してるじゃないか)
(何を言うか。 女将さんには世話になってるんだから当たり前だろう)

「どうしたんだい二人とも」
「女将さん、ヨウイチは心も鍛えなきゃなりません。
 なので話し方も鍛えてやってるんですが、そこも認めてもらえないですか」
「ははぁ、なるほど。 私は構わないよ。
 どっちかというと普通の話し方のほうが接しやすいからね」
「キッ」

ドラオはやっぱりクスクスします。
ヨウイチはドラオを少し追いかけてから、女将さんに礼を言いました。

148 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/14(火) 22:09:39 ID:Y6atT0nB0
もし目が覚めたらそこが規制のない世界だったら

149 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 22:12:04 ID:FqGoaygg0
「ありがとう、女将さん。
 なんか、何から何まで親切にしてもらって」
「いいんだよ。 私は町一番のお節介で通ってるんだから」

食事を済ませ、風呂に入り少し雑談してから部屋のベッドへもぐりこみます。
動かし慣れない動作の連続だったので腕は震え、熱くなっています。

 棒を振り回していただけなのになんてきついんだろう。
明日も宿の仕事があるし薪だって割らなきゃいけない。
だいじょうぶ、だろうか……

気が付くまもなく眠りに入っていきます。
目が覚めればまた宿屋の仕事と稽古、けれどヨウイチはそんな毎日を楽しみにするのでした。

150 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 22:15:13 ID:FqGoaygg0
十、せきばん

「ヨウイチ、だいぶさまになってきたな。 後は一人で経験をつんでいけば大丈夫だ」

稽古を始めてから二ヶ月ほどがすぎていました。
もうすっかり木の棒を軽々と振り回し、ダンとの練習試合も難なくこなせるようになっていました。

「俺も世話になりすぎた。 そろそろ旅を再開するよ」
「もう? まだいいじゃないか」
「そうはいかない。 なんだかんだで二ヶ月も世話になってしまった。
 それに俺は同じ場所に長くいられないんだ」

宿屋に着き、女将を手伝ってから夕食になります。

「そうかい。 あんたもヨウイチによくしてくれたね」
「いえ、私こそこんなに長く世話になってしまいまして」
「ダン。 いろいろ教えてもらって助かったよ」
「ほんとにねぇ。 ヨウイチもこんなに男らしい態度になって、ねぇ」
「女将さん、それじゃ前は女みたいだって?」
「そうはいわないけど、なんだか頼りない感じだったよ」
「はは。 もうヨウイチは一人でもやっていけます。
 一人旅だっていつでもいける」

ダンのこの言葉にヨウイチは胸がドキリとしてしまいました。
忘れていましたが戦いを教えてもらった理由は元の世界へ戻る方法を探すため。
それはこのクレージュを旅立つということだからです。

その晩は遅くまで話し込み、少し寝ると朝日が昇って朝を告げました。
寝不足のままずいぶん慣れた宿屋の仕事を済ませ、ダンを町の出入り口まで見送ります。

151 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/14(火) 22:16:20 ID:Y6atT0nB0
名無しは支援を唱えた!
しかし規制には効かなかった。

152 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 22:17:04 ID:FqGoaygg0
「ダン、短かったけどありがとう。 これ、女将さんから」

ヨウイチはたくさんの保存食が入った袋を手渡します。
果物や野菜、肉を長く持たせるよう調理した旅には必要な物資です。
ダンは町の人からいろんな依頼を受けてお金を稼いで、必要な物を揃えたり宿代を支払ったりしていました。
ですが小さな用事ばかりだったのであまり稼げていなかったのです。

「すまん。 女将さんには最後まで世話になりっぱなしだな」
「ダン。 …俺も、旅に出るよ。 前言ったように」
「今のお前なら危険な場所にさえ行かなければ大丈夫だろう」
「あんまり自信はないんだけど… やってみたい」

ダンは微笑み町の門をくぐります。
ヨウイチが後姿を見ていると振り返り言いました。

「ああ、そうだ。
 知ってるか、この世界には特別な石版というものがあって、それを神殿に捧げると願いがかなうらしいんだ」
「願い? なんでも叶うのか?」
「願いを叶えたやつがいるなんて聞いたことがないからな
 石版は確かに存在する。 だが、願いが叶うというのは定かじゃない」
「なんでそんな事を俺に?」
「お前言ってたよな、叶わない探し物をしてるって。
 …じゃあな」

ヨウイチはこんな時に聞きたいことが山とわいてきましたが、歩いていくダンに声をかける事ができず
ただただ、見送るだけでした。

153 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2007/08/14(火) 22:22:18 ID:wywAs2E1O
規制されました。
これはキツイ…
どうしても回避は不可能らしいです。

>>151
支援がじわじわと効いてくる!
だが運営に願いは届かなかった!

ありがとうございました。

154 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/14(火) 22:26:58 ID:Y6atT0nB0
おお支援よ、死んでしまうとは情けない!

タカハシ乙!!

155 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/14(火) 22:29:04 ID:WUS2uyOu0
>>154
だが、パーティーの人数を増やしたらなんとかなるかもしれん。

タカハシさん乙。
今夜中に続きが読めるとは。

ダンさん、かっこいい。

156 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/15(水) 00:54:05 ID:l9e5ZjUKO
3レス目以降2分ずつ空けると規制にかからないみたいですよ。

157 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2007/08/15(水) 11:35:54 ID:zdNid8tw0
>>154,155
支援どうもです!

>>156
おお、なるほど。
やってみますね、ありがとう。


>>152 からの続きをどうぞ。

158 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2007/08/15(水) 11:36:52 ID:zdNid8tw0

    〜作り合わされし世界〜

     → 冒険をする
         1:しなの  Lv4
       → 2:ヨウイチ Lv3

159 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/15(水) 11:38:16 ID:zdNid8tw0
十一、 旅立ち

「旅に出る?」

時間は昼過ぎ。
女将さんが少し驚いた口調で言いました。

「いままで世話になってきて、何も返せなかったけど… 俺は旅に出たい」
「…何かを探しにいきたいっていうのは知ってたんだよ。
 いつかいつか…
こんなに毎日いっしょに過ごしてたんだ。
覚悟していたけどイザとなるとやっぱり複雑だよ」
「女将さん、ごめん」

ダンがいなくなってから数日、ヨウイチはずっと考えていたのです。
少し寂しげな表情を見ると、心がさわさわして言葉が見つかりません。
けれど、そんなヨウイチとは反対に女将さんは明るく言いました。

「そんなに険しい顔をしないでおくれよ!
 今日のためにあんたと過ごしてきたんだ、私も嬉しいよ」
「ありがとう、女将さん」
「キー!」

話を聞いていたドラオが突然、声をあげました。
なにやら女将さんに言っているようです。

「ドラオ、お前も行くんだね。 ある日いなくなるんじゃないかって思ってたけど…
 いいよ、いっといで」

ヨウイチにもドラオの言うことはわかりました。

160 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/15(水) 11:42:19 ID:zdNid8tw0
「さぁ二人とも、決めたんならすぐがいいね。 準備しといで」

準備、といってもヨウイチは何も持っていませんしドラオだって同じです。
女将さんは少しあきれて、自分の部屋から大きなリュックを持ってきました。
リュックはたくさん入っているようでふくらんでいます。

「ほら、言った通り覚悟はしていたんだよ」

リュックを渡しながら女将さんはニコリと笑いました。

「二人とも。 道に迷ったり疲れたりしたらいつでも戻ってきていいんだから。
 それから、用事が済んだら顔だけでも見せに戻ってきておくれよ」
「うん。 ありがとう」
「キーッ!」

女将さんは気丈でした。
暗い顔なんてひとつもみせず二人を元気いっぱいに見送ります。
ヨウイチにはそんな姿がとてもとても切なく感じて、おおきく一言出すのが精一杯でした。

「いってきます!」

161 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/15(水) 11:46:26 ID:zdNid8tw0
十二、 足りない準備

町の門をくぐり目の前の森を歩いていきます。
いままでとは何か違う、どこかうわついた心でした。

「ところで… お前はこれからどこへいくんだ」
「キ? キィキー」
「えぇぇ、お前。 俺と一緒に旅するっていうのかよ?」
「キィ」

ドラオはさも当たり前といった顔でふわふわします。
ヨウイチはちょっと戸惑いましたが、一人旅は心細いので納得しました。

「あ、そうだ」

森の道でちょっと広くなった草地に腰掛け、女将さんにもらったリュックを開きます。
もらったのは良かったけれど、何が入っているのかはぜんぜん聞いてなかったからです。

「ええと… これは薬草、水筒、保存食…」

リュックの中には旅に必要な道具がそろっていました。
その中には手紙も入っています。

『ヨウイチ。
 少ないですがお金も入れておきました。
クレージュから近い町はシエーナです。
そこで足りない道具や装備を整えてください。』

「女将さん…」

リュックの奥に大事にしまわれた小さな袋には数百ゴールドのお金が詰め込まれています。
その袋をぎゅっと握り締め、そっとリュックへしまいます。

162 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/15(水) 11:54:04 ID:zdNid8tw0
「なぁドラオ。 何を探して何があるのかはわからないけど、また絶対帰ろうな」
「キィッ」

リュックを背負い、再び歩き始めます。
たくさん詰め込まれているので重いのですが薪割りのおかげか苦になりません。
そんな事も思いながら歩いていましたがふと、気づきました。

「あ、あれ」
「キ?」
「そういえばおれ… 武器持ってないや…」
「キー?!」
「本当だ。 まいったなぁ、今から戻るなんてかっこ悪いし…
 シエーナって町までどうにかするしかないぞ」

あわてて周りをきょろきょろしますが太い棒切れしか見つかりません。

 初日からこれじゃあ、これから思いやられてしまう。
生きて元の世界へ戻れるのだろうか。

仕方がないので棒切れを片手に握り、今度は警戒しながら道を進んでくのでした。

163 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/15(水) 11:59:20 ID:zdNid8tw0
十三、 初めてのよる

棒切れを握りドラオを肩の上に浮かせたまま数時間歩きました。
そのあいだ、幾人もの旅人や商人とすれ違い、休憩しながら話したりしました。

「シエーナは遠そうだな…」
「キ…」

話によるとあと数日はかかるらしいのです。

「もう疲れた… 電車ならすぐなのに…」
「キィ?」
「ああ、電車ってのはな……」

路に座り込み電車を教えているうち、やがて空は夕焼けとなり暗くなり始めました。

「うーん、野宿か。 子供のころ友達とキャンプしかやったことない」
「キィキー、キィ!」
「いや、だからな。 ほんとなんだって。
 鉄の箱でらくらく移動できるんだって……」


適当な場所でリュックにあったオイルで火を起こし、今夜はそこで眠ることにしました。
森の中で、いつモンスターに襲われるかわからない不安の中で、はじめての野宿。
一人ならとても不安でしょうがドラオがいます。
すぐ逃げ出すにしても、話相手をしてもらうことで気晴らしになりました。

「はぁ疲れきった。 足の裏が痛いし熱いよ。
 お前はいいなぁ、羽動かしてるだけでいいんだもんな」
「キ! キーッ」
「まぁ、そりゃそうかもしれないけど… 疲れたっていう割には今だって飛んでるじゃないか」
「!!」

164 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/15(水) 12:05:27 ID:f+CVPVCw0
支援トヘロス

165 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/15(水) 12:09:55 ID:l8bNbGg70
支援

166 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/15(水) 12:13:58 ID:zdNid8tw0
ヨウイチに言われてドラオはすぐ羽を止め、地面にしゃがみました。
短い足でちょこんとする姿に、ヨウイチは笑いをこらえるので必死です。

「ぷ。 さ、さーもう寝る。
 何も食べる気がしないし、身体が休めって言ってるしな」
「キィ」

ドラオもお腹は空いていないようでした。
返事といっしょにころんと横になり、一瞬で眠りに落ちてしまいます。
疲れたというのは嘘ではなかったようで、やっぱりヨウイチは少し可笑しくなりました。

「面白いやつだな… 俺も寝よう、おやすみ……」

火を消してリュックを枕に横になり、それから数秒で眠りに落ちるのでした。


「…おい …あんた」

何かが身体を揺さぶります。
けれどヨウイチはすっかり疲れきってしまってすぐに起きる事が出来ません。
ドラオは静かに、まだ眠っているようでした。

「だ、だれ……?」
「ああ、私はここらへんで商売をして歩いてる者だが…
 あんた、外を歩くのはまさか始めてかね?」
「え、え、ええ…」

目をごしごしとこすりながら見ると、松明を片手に持った男がいます。
顔はマスクで覆われ背中には大きな荷物を背負った、見るからに旅の商人でした。

167 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/15(水) 12:15:44 ID:l8bNbGg70
支援の攻撃!
規制に10のダメージを与えた!

168 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/15(水) 12:18:40 ID:zdNid8tw0
「そんなに思い切り寝てしまったんじゃあ、あんたモンスターに殺されちまうよ」
「んん、えぇ?」
「普通は木の幹にもたれてすぐ動けるように武器を抱えて眠るんだ。
 今のあんたは襲われたら一瞬だ」

ドラオはまだ起きません。
この男が言うように今襲われたら抵抗も出来ずに死んでしまいます。

「わかったら、そこのドラキーと交代で番をしながら眠るんだな。
 じゃあ私はもういくよ…」
「あ、あど、ども…」

松明の明かりが遠くへ離れ、辺りは再び暗闇に包まれました。

「ふぅ」

一息ついてリュックを自分の下へ引き寄せます。
口紐が緩んで中が見えていました。

「開けっ放しだったかな…?」

構わず手を突っ込みオイルを探しますが、どうも中身が少し減っているように感じました。

「あ、あれ…」

ありませんでした。
束になった薬草全部と、保存食の半分が無くなっていたのです。
ヨウイチは混乱しましたがやがて気づきました。

169 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/15(水) 12:22:01 ID:zdNid8tw0
「あの男だ…! あいつが盗んだんだ……」

声をかけてきた今の男は盗賊だったのです。
恐らく、盗賊は全部盗もうとしたのでしょう。
ですがヨウイチのあまりの無防備さに同情し半分だけを盗み、助言を与えていったのです。
オイルを取り出し火に照らされながら、ヨウイチはそのまま眠れずに初日の夜を過ごすのでした。

170 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/15(水) 12:26:15 ID:zdNid8tw0
十四、 初めてのたたかい

あくる日、ヨウイチは寝不足でドラオはすっきりした顔で歩き始めました。

「仕方ないだろ… 俺だって気が回らなかったんだから」
「キーッ!キーッ!」
「わかったわかった。 これから気をつけるからもう言うなよ…」

昨晩のことをドラオと話しながら歩いていきます。
一時間ほど進むと、前触れもなく森がなくなりひろいひろい広野が現れました。

「おぉー!」

遠くには山があり林があり岩がありおおきな空があり、遠くにはまた森も見えます。
その地には人が踏み均した道が続き、まるでこの旅を最後まで導いてくれるかのようでした。
ヨウイチは自分で歩き見つけたその地がとても気に入ってしまいました。
ドラオも高く低く飛び回り喜んでいるようです。

「やったなぁ! 同じ道ばっかりで森から出られなんじゃないかって不安だったんだよ!」
「キッ!」
「いいなぁこういうの。 なんか、あこがれだなぁ」

二人は感傷に浸りながらゆっくり歩きます。
ところがいいことばかりではありませんでした。
途中すれちがった旅人が教えてくれたのです。

「ここから先はモンスターが多いから気をつけなさい」

棒切れを強く握り締め、今になってぐぅぐぅなる腹に保存食を与えながら進んでいきます。
そのうち、小高い丘を越えた辺りでなにかが動く気配を感じ、それはまさにモンスターでした。

171 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/15(水) 12:30:11 ID:zdNid8tw0
「おいドラオ!」
「キ…」
「いいかビビるな! 俺が戦うから、声で俺を助けろよ!」
「キキ…!」

ドラオは逃げ出さずヨウイチの話を聞き従ってくれるようです。
ヨウイチはといいますとリュックをおろし、棒切れを両手で握ってモンスターへと近づきます。

「ん、あれはスライムってやつだな… ああ、二匹もいる…」

ダンの教えを思い出します。
じりじりと近づくうちにスライムも二人をみつけ、ぷよぷよ近づいてきます。

「くるならこい! 前の俺とは違うんだ!」

スライムは表情一つ変えません。
そうこうしているうちにお互いの距離まで近づきました。

「こ、こっちからやってやる!」
「キー!」

ヨウイチは思いきって一匹のスライムに棒切れを叩き付けました。
すると、たったそれだけで、スライムはぺちゃんこになって動かなくなってしまいました。

あっけない事に動揺しているともう一匹のスライムがジャンプしてヨウイチに噛み付こうとしてきます。

172 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/15(水) 12:31:50 ID:l8bNbGg70
すみません。それを買うには支援がたりませんが……

173 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/15(水) 12:33:18 ID:zdNid8tw0
「キッ!」
「っ! いててっ!」

ドラオの声に反応してよけたつもりでしたが、意外に鋭い歯が腕に切り傷を作ります。
痛みを我慢して棒切れを握り直し、さっきと同じようにスライムを叩きます。
今度もやっぱりぺちゃんこになって動きません。

始めての戦いに勝ったのです。
わぁわぁと二人で大喜びし、スライムの死骸を見てみます。
気持ちの悪い光景でしたが勝利の気持ちのほうが大きくて、そんな事はなんともありませんでした。

174 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2007/08/15(水) 12:36:09 ID:zdNid8tw0
いったん、止めます。
続きはまた後ほど。

>>164,172
支援ありがとう!
ヨウイチは静かに目を閉じた……

175 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/15(水) 18:16:35 ID:zdNid8tw0
    〜作り合わされし世界〜

     → 冒険をする
         1:しなの  Lv4
       → 2:ヨウイチ Lv4

176 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/15(水) 18:17:34 ID:zdNid8tw0
十五、シエーナ

幾つもの林を抜け森を抜け数日、二人はようやくシエーナへとたどり着きました。
その数日の間、戦いは何度もありました。
薬草のないヨウイチは傷を増やし、時には逃げながらなんとか生き延びました。
ドラオは、そんなヨウイチを一生懸命に助けながら生き延びました。

ドラキーとも出会い、戦いました。
ドラオが心配でしたが本人はどうやら人間側なんだと割り切っているらしく、なんともない涼しい顔のままです。
逆にヨウイチは、ドラキーが飛んだまま攻撃してくるものですからとても苦労して勝利しました。
もしダンに出会わず旅をしていたら、二人とも無事ではなかっただろうと口には出しませんが思っていました。


シエーナはバザーが催されていてとても賑やかです。
たくさんの出店が並び、人々が行き交いヨウイチもドラオもときめきます。

「ドラオ… 俺たち二人だけでここまでこられたな」
「キィ」
「なんとか最初の目的を果たせたぞ。 つっ… まずは傷を治すという薬草を探すか」

薬草はすぐに見つかりました。
バザーに出店されている店で薬草一つ80ゴールドです。
ヨウイチには物価がわからないので安いのか高いのかわかりません。
変な話し方の店主でしたが傷が痛むので二つ買い、その場で考えます。

「で… どうすればいいんだ?」

ドラオは知らないようです。
仕方がないので変な喋り方の店主に聞くと、葉を食べればいいという事でした。

177 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/15(水) 18:21:08 ID:zdNid8tw0
「苦そうだな… 怪しいな… 仕方がないっ!」

ヨウイチは勇気を出して葉を丸めて口へ放り込み、数回噛んでから飲み込みます。
すると、痛みがあっという間に消え傷はふさがりすっかり元通りになってしまいました。

「おおおぉぉぉぉ…… こ、これはすごい……」

驚き、葉をしげしげと見つめますが変わった様子はなく、ただの葉っぱです。
味は渋いお茶に近く、お茶好きなヨウイチはますます気に入ります。
盗まれた薬草の事を考えると腹が立ちましたが、授業料だと思いあきらめました。

「さー、ドラ… あれ?」

さっきまでそばで浮いていたドラオの姿がありません。
うろうろ探してみると、ドラオは女の人のそばで羽ばたいていました。

「キ〜!」

何か見つけたような声を出しながら、女の人の顔の前でふわふわしています。

「こらドラオ! 知らない人を驚かしちゃあダメじゃないか!
 ゴメンな。勝手に飛び回るものだから……」

女の人は気にしないといった風に言います。

「いや大丈夫だ。この動物は……?」
「ドラキーを知らないのか?」
「私の世界にはいなかったからな」

178 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/15(水) 18:26:03 ID:zdNid8tw0
まさかと思いました。
自分と同じ世界の人かと考えましたが、ヨウイチはこの世界をまだ良く知りません。
もしかすると別の意味かもしれないと考え直します。
詳しく聞きたい気持ちは強いのですが、変な噂になるのは嫌でした。

「あぁなるほど…… あ、こらドラオ! やめろっ」

ドラオが、ヨウイチの肩に乗ろうと一生懸命にしています。
羽が顔に当たってちょっと痛いのです。

「よく懐いているな」
「ドラオは人を怖がらないからな。 触ってみるか?」

落ち着かないドラオをつかまえ差し出し、女の人がドラオを触ろうとします。
ところが、さっきまで頭の上を飛んだりしていたのに、ドラオは逃げるように何処かへいってしまいました。
まるで触られるのを嫌ったようです。

「……何て言うか、その……」

ヨウイチはきまずくなって、けれど言葉が出ません。
ドラオは人懐こいはずなのに、どうして逃げてしまったのかわからなかったのです。

「羨ましいな。 どうやって仲良くなったんだ?」
「え? いや、普通に友達になったんだけど」
「むぅ…不公平だ! 私とも友達になってくれ!」
「俺に言われてもな……」

虚しそうに空を見上げる女の人には気の毒でしたがドラオを探さないといけません。
ヨウイチはこっそり素早く、ドラオの飛んでいったほうへ歩くのでした。

179 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/15(水) 18:30:59 ID:zdNid8tw0
十六、 ドラオのたから

ドラオは出店ではないよろず屋にいました。
この世界の人たちは悪意のあるモンスターとそうでないモンスターの区別が付くようです。
童話のお姫様が頭に載せる、そんなような冠を店主と一緒にとぼけた顔で自分とあわせています。

「お客さん似合いますよ!」
「キィ?」

ヨウイチはあきれながらドラオと店主のやりとりを見ていました。

「キィ」
「おや、お気に召しませんでしたか? それでは… これはどうです?」
「キィキィ!」

緑色のガラス玉がぶらさがった小さなちいさな首飾りを店主につけてもらい、ドラオは満足したようです。

「どうです、お気に召したようですね」
「…キィ」
「ええと… お買い上げですか?」
「キィキィ、キィ」
「えー… お買い上げですね! 80ゴールドになります!」

あわててヨウイチは二人に割って入ります。

「ちょ、ちょっと待った!」
「ああ、お客さん申し訳ない。 このネックレスはこの方が」
「い、いえ… 友達で。 ドラオ!」

声が聞こえないように小声で話します。

180 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/15(水) 18:34:43 ID:zdNid8tw0
「お前わかってるのか。 お金はそんなにないんだよ」
「キ!」
「いいか。 俺だってアレコレ買い物したいんだ。
 でも我慢してるんだぞ? なのにお前─」
「キィー……?」
「う、おい。 や、やめろよ、そんな目で見るんじゃない…」
「キー」
「く…… わかった、買ってやるからもうその目はやめろ…」
「キッ!」

ヨウイチの言葉にドラオがぱたぱた飛び回ります。

「いつもはなんにも考えてないような目のくせになんという…
 すみません、80ゴールドでしたよね。 これで…」
「ありがとうございます、よくお似合いですよ!」

お金を支払い店を出ると、ドラオはネックレスをまるで大勢にみせつけるかのように胸を張って飛んでいます。

「はぁ… こんな事はこれでもう最後だぞ?
 さて、宿屋を探して今日はもう休もう。
ちょうど陽も傾いてきたし」

バザーの雰囲気だけを楽しみながら宿屋を探します。
たくさんの人が楽しそうに出店をまわり、その雰囲気は二人の疲れを軽くしてくれました。

181 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2007/08/15(水) 18:35:56 ID:zdNid8tw0
今日はここまで。
続きはまた後日投稿します。

182 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/15(水) 19:57:57 ID:f+CVPVCw0
おおお、シナノさんが・・・。シナノさんがでてきた。
「こうきたかっ!」っていう感じで、(いい意味で)予想を裏切られた感じです。

旅先で合流して一緒に戦う日もくるのでしょうか・・・。わくわく。

183 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/16(木) 00:19:46 ID:7JDGwSN40
>>合作
乙です。
リンクしあってるのって良いよなぁ。
wktkが止まらない

冒険の書がちゃんと二つになってるのがたまらんw


184 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/17(金) 00:05:18 ID:UfC39d0AO
合作乙!!
しなのさんキタ━━(゚∀゚)━━
ドラオでア〇フルのCM思い出したwww


あと合作以外の作品もwktkしてる。

185 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/19(日) 21:13:38 ID:X8G77rnL0
wktk保守

186 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/20(月) 00:18:54 ID:AqZ9/iTZ0
    〜作り合わされし世界〜

     → 冒険をする
        1:しなの  Lv4
      → 2:ヨウイチ Lv5

187 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/20(月) 00:21:11 ID:AqZ9/iTZ0
十七、 うわさ

日が変わり昼、二人は買い物や用事を済ませシエーナの門にいます。
ヨウイチは買い物がてら町の人に話を聞いて回っていました。
石版の話をダンから知って以来、噂ではなく本当なんじゃないかとずっと考えていたのです。
ここシエーナでも聞いて回り、商人から貴重な話を聞くことが出来ました。

「ここだけの話、マウントスノーに石版を持っている金持ちがいるらしいぜ。
 その石版をどこかの神殿に捧げると、願いがなんでも叶うそうだ」

話を聞いて、ヨウイチは石版を持つ人に会おうと決めました。
神殿についてはそれ以上の話は知らないらしく聞くことが出来ません。
まだ嘘か真かわかりませんが、今のヨウイチには元の世界へ戻るための唯一の手がかりになります。

「次はマウントスノーだ。 遠いらしいから覚悟しろよ」
「キキーキ?」
「いや。 途中に立ち寄れる町はないそうだよ。
 かなり北にあるらしいから寒いって話だ」
「キィ…」
「そんなに気を落とすなよ。 ほら、こんなに食料だって薬草だって買い込んだ。
 水は樹木から採れるって聞いたし大丈夫だろ。
毛布だって買ったんだぞ」
「キッキッ」
「ベッド? そんなの我慢しろよ。 それよりもう一つ、いい事きいたんだ」

石版の話のほかに別のうわさも聞いていたのです。
食料を売っていた商人が教えてくれました。

188 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 00:23:47 ID:3d1IXtP/O
リアルタイム遭遇(゚∀゚)

189 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/20(月) 00:24:14 ID:AqZ9/iTZ0
「うわさ? そうですねぇ…
 噂じゃないんですが商人仲間の話でしてね。
 ここから北に進んだ森の中で不思議な町を見たって言うんですよ。
あの森には町なんてないんですけどね。
だいたい、あの男はいつもホラふ…─」

ヨウイチは噂や不思議な物事が好きでした。
商人の話を全部聞かないうちにドラオをつかまえ、出入り口までやってきたのです。
ドラオは興味がないので反対しましたが、ヨウイチの強引な押しに負けました。

「さー出発だ!」
「キィ…」

広い大地を目の前にして、能天気なヨウイチと不満なドラオは北へ向けてシエーナを発ちました。

190 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/20(月) 00:27:12 ID:AqZ9/iTZ0
十八、 まほう

シエーナで買ったものは食糧や薬草、毛布だけではありません。
装備も買っていました。

「これは銅の剣っていうんだ。 かっこいいよな」
「キィー?」
「い、いや。 初めてなんだよ、本物は…」

銅の剣はずっしり重く、形は剣ですがまるで金属の塊でした。
初めての本物は不安ですが、自分がとても強くなった気にさせてくれます。

「キキキ?」
「防具は… もう金がなくて買えなかった」
「キィー……」
「ちがうよ。 ネックレスじゃなくてあのいんちきな薬草のせいだよ。
 あれがなければ革の鎧っていう、ごついのが買えたんだけど」
「キッキキ」
「これ? これは旅人の服っていうんだ。
 冒険者見習いの証らしいよ。 防具屋の人が最初はそれでいいって言ってた」

振り返るとシエーナははるか彼方、前のほうにはうっそうとした森が見えます。

 嘘じゃないとしたらどうして騒ぎにならないのだろう。
遠いといっても見えるのに。

それでもヨウイチは自分の好奇心を抑え切れません。
もしかするとこの森の中で、元の世界へ戻れるかもしれないと思ったからでした。

191 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 00:28:22 ID:WyzySJvP0
支援

192 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/20(月) 00:30:18 ID:AqZ9/iTZ0
路を外れ森へ足を踏み入れます。
ほとんど人が通ったことのないような、そんな雰囲気にヨウイチは心がわくわくします。
ドラオは体にまとわりつくツタや葉にとまどいながら、ヨウイチにピッタリくっつきました。

「隠された町なのかな。 森の広さで見るとかなり狭そうだ… ん!」

がさがさと音を立て、目の前にくらげのようなモンスターが現れました。
ホイミスライムです。
スコップを持ついたずらもぐらも、のそのそ後から出てきました。

「初めて見るモンスターだな。 剣の練習するんだったらスライムがよかったけど…」

いたずらもぐらがスコップをふいふいと振り臨戦態勢になります。
ホイミスライムは笑顔でじっとしていますが、それが逆に不気味でした。
ヨウイチは覚悟を決め、まずいたずらもぐらを倒すことに決めました。

「おらー!」

重たい剣をぶんと振り、いたずらもぐらをかすります。
腕にニブい感触が伝わり、どうやら小さな傷を負わせたようです。
それを見たホイミスライムが突然、たくさんの足をいたずらもぐらにくねくねとしました。
ヨウイチは驚きます。
傷がふさがり血は止まり、いたずらもぐらが元気を取り戻してしまったのです。

「ななな…!?」

今度はスコップが、動揺するヨウイチをかすりました。
ドラオはどうしていいかわからずにそこらを飛び回りおろおろしています。

「なんだったんだ??」
「キキッ?」

193 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/20(月) 00:33:22 ID:AqZ9/iTZ0
考えてみても、いたずらもぐらの傷を治したのは薬草ではありません。
意味がわかりませんでしたが必死に剣を振るいスコップを払い、それを繰り返します。
何度かカチンカキンとしているうちにもう一度いたずらもぐらに当てることができました。
今度はかなり深い傷で、もぐらは動きが鈍くなっています。
よくわからない事をさせないように止めを刺そうと剣を大きく持ち上げたとき、
ささっとホイミスライムがくねくねしていたずらもぐらの傷を治してしまいました。

「また…!!」

いたずらもぐらはひょいと体を翻し、剣の落ちる場所から離れます。
そのままスコップで足を乱暴に叩き、ヨウイチはその一撃で膝をついてしまいました。

「あつっ!」
「キキキー!」

ドラオが道具袋から薬草をちぎって取り出し、ヨウイチの口へ押し込みます。
飲み込むと痛みは治り、こんな状況なのにドラオの器用さに感心してしまいました。

「あ、ありがとう。 いま思い出したけど、あれは魔法ってやつなのかもしれない」
「キィ?」
「…聞いてくれ。 いいか……」
「キ?!」

余裕な表情を浮かべじりじりとモンスター達が近づいてきます。

「魔法の事は後で教える! 生きてたら!」
「キィィィ〜〜〜!?」

ヨウイチの耳打ちに戸惑うドラオでしたが、ヨウイチは構わずいたずらもぐらを攻め立てます。
ホイミスライムは時々ふらふら動くのですが、勝利を確信しているのでしょう、攻撃はしてきません。
その証拠にスコップのほうが生身を切り裂く音をたてるのです。

194 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/20(月) 00:37:12 ID:AqZ9/iTZ0
「いてぇぇ!! ちくしょうぅぅ!!」

もうボロボロで痛くて、剣も鈍くなっていましたが懸命に攻撃し続けます。
気迫に押されてしまったのでしょうか、いたずらもぐらが少し後ずさりした所に大きな一撃を与えます。

「よしっ! はぁはぁ!」

かなり堪えたのでしょう。
もぐらはクラクラして目の焦点があっていません。
とどめのために剣を振り上げます。
瞬間、ホイミスライムがくねくねしようと細い足を一本持ち上げました。

「キ、キキキー!!!」

大きなドラオの声が響き、ホイミスライムはくねくねしますがいたずらもぐらの傷は治りません。
ドラオの羽がホイミスライムの口を完全に塞いでいたのです。

「もう治してもらえないな」

力いっぱい剣を振り下ろし、いたずらもぐらにごすんと強烈な一撃があたります。
血は流しませんでしたがぐたりとその場に倒れこみ、いたずらもぐらが動くことはありませんでした。

「よっしゃ! ドラオよくやった!」
「キー!」

ヨウイチの声でドラオはホイミスライムから離れます。

「ふぅ。 さーお前、まだ戦うのか」

薬草を飲み込みながらホイミスライムを威嚇してみます。
無言のホイミスライムでしたが少しの沈黙のあと、静かにこの場を離れていきました。

195 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 00:38:19 ID:WyzySJvP0
支援スライム

196 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 00:38:46 ID:3d1IXtP/O
携帯支援

197 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/20(月) 00:40:40 ID:AqZ9/iTZ0
十九、 眠りのまち

戦いを終えた二人は少し休むことにしました。

「ダンに聞いた話の受け売りだけど、魔法っていうのはな。
 魔力を持つ人やモンスターが、その魔力を使って特別な力で攻撃したり癒したりするものらしい」
「キィ、キー?」
「うーん、魔力は… ごめん、俺もそこまでは覚えてないんだ。
 で、さっきくらげみたいなやつが使っていた魔法はホイミっていって、傷を治す魔法だそうだ。
魔法を使うには魔法の名前を口に出さなきゃいけなくて、お前に塞いでもらった。
だからホイミは使えなかったってわけだ」
「キキー! キキィキキッキー」
「え。 なんだ、お前知ってたのかやつらの名前!
 えー、もぐらがいたずらもぐらで、くらげがホイミスライムか… 変な名前だ。
てか、ホイミスライムはそのまんまじゃないか」
「キ」
「よく知ってたな。 モンスターだからか?」
「キキッ。 キィ〜」
「知らないけど知ってた……? よくわからないけどやっぱりモンスターだよ」

長く人間と暮らしていたものですから、そういった部分が潜んでしまっていたのでしょう。
何度かのモンスターとの遭遇で意識の深い部分が目を覚ましたのです。

「けど、突然おれを襲ったりしないでくれよ。 ははは」
「キ… キ!」

ドラオは笑わず、だけど強い返事を返しました。

198 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/20(月) 00:44:16 ID:AqZ9/iTZ0
休憩を終わらせ、二人は森の探索を続けます。
森は、感じた以上にスカスカでした。
ヨウイチはここでよやく不安を覚えます。

「ほんとにあるのか…」

狭いとはいえある程度の広さを持った森です。
何度かの戦いを経て、周りはすっかり暗くなってしまいました。

「これ以上は… 松明を持ってても危険だ。
 しょうがないから今日はここで寝よう」
「キ!? キィキィィ」
「仕方ないだろ。 どこから出られるかわからないんだ。
 下手に動くとまたモンスターに襲われるし」
「キィ…」

野宿の準備を済ませ、保存食を食べます。
クレージュの保存食と違って少し甘い感じがします。
町によって味付けが違うのでしょう。

「さて… 今日はお前から寝ていいよ」
「キー」

ドラオが横になり、ヨウイチは銅の剣を抱え座り炎を見つめます。

「結局、町はなかった…
 うそだったんだろうな、期待してたのに…」

少し、気が抜けてしまいます。
と同時にとても眠たくなって、ヨウイチはそのまま目を閉じてしまいました。

199 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 00:47:05 ID:WyzySJvP0
キング支援スライム

200 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/20(月) 00:49:30 ID:AqZ9/iTZ0
「うぅむ… あ!」

大きな声を出してヨウイチは飛び起きます。
ハッと周りを見渡すと見たこともない景色です。
いえ、景色というよりはどこかの町にいたのです。

「え、え、え??」
「キィ… キッ!?」

隣で寝ていたドラオも驚き飛び起きます。

「な、なぁ。 俺たちシエーナの北で眠っていたはず…
 いや俺は見張って… あぁ、急に眠くなって寝てしまったんだ…」
「キー?」
「ああ。 これが商人の言ってた町… なんだろうな!」

驚きはしましたが、ヨウイチは嬉しくて仕方ありませんでした。
こんな不思議な世界でこんなに不思議な体験が出来たのです。
それに商人の話が本当だったということは、石版や神殿の話だって本当かもしれません。
気持ちは高ぶり、大きな期待を抱くのでした。

201 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 00:51:11 ID:hBfdHBmW0
しえん

202 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2007/08/20(月) 00:55:46 ID:Z9UkrszRO
規制されました。
解除まで起きてられないので今夜はここまでにします。

>>支援
いつもありがとうございます!
続きはまた明日にして、おやすみなさい!

203 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 01:12:00 ID:wxxLKecy0
乙です。
ドラオ賢いよドラオ。

204 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 01:13:07 ID:3d1IXtP/O
布団の中から乙
俺も寝る

205 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 01:26:06 ID:PcHSMrBE0
乙!続き楽しみにしています!

206 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/20(月) 19:55:31 ID:hlwBMG0j0
    〜作り合わされし世界〜

    → 冒険をする
        1:しなの  Lv4
     → 2:ヨウイチ Lv6

207 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/20(月) 19:58:28 ID:hlwBMG0j0
二十、 夢のまち

「おぉぉ… これはすごい事になったぞ」

二人の寝ていた場所はずいぶん町のはずれで、誰かに見られたりはしていませんでした。
さっそく、この不思議な町を歩いて回ることにします。

「それにしたっていつの間に町へ入ったんだろうな」
「キィ」
「んー… あ! もしかすると眠ったからかもしれない!
 だって考えてみろよ、俺たちは目が覚めたじゃないか」
「キキ!」
「たぶん、そうだ。
 なるほど、あの森で眠らないと入れない町なのか。
だからシエーナの人にもわからない。 さしずめ夢の町ってところか…」
「キィキー」
「そうかもな。 俺たちはまだ寝てるか、夢の中で起きてるかのどっちかなんだろ。
 ん、いや… 夢の中で起きてるっていっても、起きてないことになる、寝てる……?」
「キィ!」
「あ、ああ、ごめん。 行こうか」


一通り町を見て回りましたが、クレージュやシエーナとあんまり変わったところは見られません。
ちょっとがっかりしたヨウイチは、町の人に話を聞いてみることにしました。
内容はもちろん石版と神殿の話です。
こんな不思議な町なら知っている人がいてもおかしくないと思ったのです。

208 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/20(月) 20:01:31 ID:hlwBMG0j0
「こんにちは」
「こんにちは。 ん、君は見ない顔だね。 旅人かい?」
「えーと、ついさっきこの町にきたばっかりなんだ」
「そうかい。 クリアベールへようこそ。
 それで、僕に何か聞きたいことでも?」
「願いをかなえてくれる石版や、不思議な神殿の話を聞いたことないかなと思って」
「うーん。 すまないね、聞いたことないよ」
「…ありがとう」

まだ一人目です。
簡単にたくさんの話を聞けるとは思っていませんが、町の名前を知ることが出来ました。

「クリアベール… きれいな名前だな。
 今度はそこの道具屋に入って聞いてみよう」
「キー」

道具屋にはいると体格のよい店主がにこやかに話しかけてきました。

「いらっしゃい! うちでそろわないものはないよ!」
「あ、はぁ… それで聞きたいんだけ─」
「はい、はい! こちらなどどうでしょう?」

ヨウイチが話を聞こうとしているのに、なぜか店主は品物を勧めてきます。

「ちがうんだ。 薬草じゃなくて─」
「いやですねぇ、お客さん! これは薬草じゃなくて"ど・く・け・し・そ・う!"
 冗談なんか言って、もしかしてお気に召さなかった?! ならこれはどうです?」
「いや─」
「これ、すごいでしょう… ほら!
 急所にさすと一撃でモンスターを葬れる毒の針! ほらっほらっ ね?!」

209 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 20:01:51 ID:vgQt8tFo0
よっしゃ支援!

210 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/20(月) 20:05:10 ID:hlwBMG0j0
今まで見たことのないテンションで、ヨウイチとドラオは断れません。
そのまま愛想笑いをしながら最後のせいすいを出されたところでやっと、言いました。

「ちょっとまってくれ。 俺たちは買い物しにきたんじゃない。
 話をしたいんだ」
「え?! え… な、なんだそうですか…
 それならそうと早くいってもらわなくちゃ…」
「す、すまない… ええと、石版とか不思議な神殿とかの話を聞いたことないかな?」

買い物に来たのではないとわかったとたん、店主はすっかり元気を無くしてしまいました。

「はぁ… まるっきり聞いたこともございませんよ…」
「そうか… もう一つ聞いても?」
「…なんでしょう?」
「あんた、なんでそんなに必死にしつこく売ってくるんだ」
「それは… うちのカミさんが… 売れなきゃ怖いから…」
「……そうか」


しばらくして、道具屋を出ました。

「キィ」
「仕方ないだろう。 …お前にはわからないだろうが、仕方ないんだよ」

道具袋には新しい道具のせいすいが一つ、追加されていました。

「はぁ。 なんか落ち込んだ。
 嫁はいないけど… なんか、わかるんだよなぁ」
「キーキィキィ」
「それもそうだな。 よし、気を取り直して別の人に話をききにきくか!」

211 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 20:07:07 ID:vgQt8tFo0
作り合わされし支援

212 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/20(月) 20:10:00 ID:hlwBMG0j0
二人は噴水を眺めながらゆっくり歩きました。
会談を昇り、何の気なしに見回すと、なにやら犬と三人が会話しています。
ヨウイチは不思議に思い近づきました。
聞き耳を立てるとやっぱりどうも犬と会話しています。
さらによく観察してみると、三人のうち一人の男が犬と会話しそれを男女へ伝えていました。
犬の言葉がわかる人間がいることにびっくりしましたが、ヨウイチは良く考えます。

 もしかすると犬ならば、石版や不思議な神殿をしっているかもしれない。

伝えられた犬の言葉をふむふむと聞く男女を見て、ヨウイチはあの犬が特別なんじゃないかと思えてきました。

 石版も神殿も知っているかもしれないぞ。
ぜひ、話さないといけない。

しばらく待って、男女が去ったのを確認して犬と男に話しかけます。

「なあ、あんた。 犬と話ができるのか?」
「ええ、出来ますよ」

犬は、興味がありそうでないようなそんな目です。
何か言いたそうなドラオの口を塞ぎ、期待を抑えながら聞きました。

「面白そうだな。 ちょっとやってみてくれよ。
 名前はなんて?」
「ゲレゲレじゃないだろうか。 と言っています」
「何で自信なさげなんだ? まあいいや。
 ゲレゲレは石版について何か知らないか?」
「ゲレゲレにはいない嫁探しならするそうです」
「え、嫁探しだって? 石版は知らないのか…」

213 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/20(月) 20:14:08 ID:hlwBMG0j0
石版を知らないというゲレゲレにヨウイチはちょっとガッカリしましたが質問を続けます。

「じゃあ、不思議な神殿の話を聞いたことは?」
「死んでも知らない。 行けないと言っています」
「ん… よくわからない答えだけど…」

神殿はしっているが危険なので教えたくない、そうヨウイチは解釈します。

「神殿についてもっと詳しく聞いてくれないか」

男が今度は長めに犬と会話します。

「いきたいなら戻らなければならない、と言っています」
「え。 どういう事なんだ……」

ヨウイチは一生懸命に聞いた話を理解してみます。

『神殿はとても危険だ。
 だから教えられないが、どうしても行きたいのならここにいてはいけない。
 戻らなければならない』

ヨウイチの中で答えはまとまりました。

 「なるほど… よくわかったよ、ありがとう」

ゲレゲレと男に礼を言い、二人は目覚めた町のはずれへとやってきました。
背中の荷物を降ろし、ヨウイチはやっと塞いでいたドラオの口を開放します。

214 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 20:16:48 ID:vgQt8tFo0
ゾーマ「我が規制の中で生き絶えるがよい!!」

215 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/08/20(月) 20:17:48 ID:hlwBMG0j0
「…! キー!!」
「い、いやぁ。 すまん、だってお前ゲレゲレに飛びかかろうと…」
「キキキキ!」
「不思議な感じ? そりゃあそうだろう。
 なんたってゲレゲレは教えてくれたんだ、神殿の存在を!」

興奮してちょっと大きな声で言いました。
神殿があるのなら、石版の噂だって本当に違いないからです。
なんでも叶える、その石版の噂です。

「まぁそう怒るな。 でかい収穫があったんだから。
 とにかく、希望がわいてきた。
さぁ、戻ってマウントスノーだ!」


その場で座り込みじっとします。
ですが、一向に森へ戻ることが出来ません。

「…どうやって戻るんだ?」
「キィ… キキ!」
「あ! そうか、寝るんだ。
 起きればきっと戻ってるよな」

すぐさま二人は寝転びます。
が、陽がじりじり照り付けてまぶしくて眠ることが出来ません。

「無理だな」

その一言になぜかドラオがおかしそうに羽をぱたつかせ、つられてヨウイチも笑ってしまいます。
ひとしきり笑って空を見上げていると、二人はいつの間にか眠ってしまうのでした。

216 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2007/08/20(月) 20:22:10 ID:hlwBMG0j0
本日はここまでです。

>>vgQt8tFo0 さん
支援ありがとうございます。

ゾーマ「解除あるかぎり 規制も また ある……。 ぐふっ」

217 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/20(月) 20:25:28 ID:vgQt8tFo0
タカハシさん乙!w


    〜作り合わされし世界〜


    → 冒険をする
      → 1:しなの  Lv5
         2:ヨウイチ Lv6

218 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 20:28:59 ID:3d1IXtP/O
うはっ(゚∀゚)


219 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/20(月) 20:30:41 ID:vgQt8tFo0
○第八話 
   『好き』

好きと相手に伝える事は、特別な事だと思う。
けれど客を喜ばす為だけにしか使われない私の言葉は何の価値も持たない。
こんな仕事をしている者の「好き」は媚びや社交辞令でしかないからだ。

本気の恋は許されない職業。
そのくせ一人前に恋をしたいなどと思う自分がいた。
擬似恋愛で一時の安らぎを与える商売。
それでも本当の自分を見て欲しいと思う自分がいた。
そしてそんな自分が嫌いになるくらいに、私は恋をしていた。

けれど私の中のズルイ部分がそれを実らせなかった。
どうしても私は人の心を試すような事をしてしまうのだ。
だからなのか、彼らが私の仕事についてどう思うのか知りたがってしまった。
嘘をついた訳ではないが、何故本当の事を言ってしまったんだろうと思う。
人に気を使って嘘を付くのには慣れていたはずなのに……

  「おい」

誰かの呼ぶ声が聞こえる。

  「おい! しなの!」

んん……

  「起きたか?」

いや、まだ寝てる……

  「起きてるじゃねぇか……」

220 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 20:32:54 ID:IAmEUJMq0
支援

221 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/20(月) 20:36:06 ID:vgQt8tFo0
何だ、アレフか……どうした? もう出発か?

  「いや、その、だな……」

目が泳いでるぞ。

  「……お前に謝りたい! どうすりゃいい?」

え……いきなり何だ。
どうすればいいと聞かれてもな。

  「俺、お前の機嫌悪くさせちまったんだな」

あぁ、昨日の事か?

  「あの後アレンに叱られちまったよ」

……この仕事はあまり認められないからな。

  「いや、俺は別にどんな職業だって軽蔑したりはしねぇよ。
   むしろそういう仕事は尊敬したっていいと思ってる。
   モンスター相手にするより人間相手にする方がめんどくせぇからな」

そういうもんかな?

  「そういうもんさ。少なくても俺にはできねぇ。
   誰かに嘘笑いするなんて特にな」

私は勇者アレフの方がよっぽど凄いと思うがな。
私よりよっぽど世界の為になっているだろ?

222 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/20(月) 20:42:06 ID:vgQt8tFo0
  「呪われちまうような勇者のどこが凄いんだよ……」

まぁそう言うな。

  「……」

私が言葉を続けなかったせいでアレフは所在無いのか、視線がせわしない。
猪突猛進なアレフのこんな弱気な姿を見れるのは貴重だと思う。
少し意地悪かな。

  「……許してくれるか?」

いや、許さない。

  「……」

アレフが私に呪文を教えてくれるまで許さないぞ。

  「え……」

何をぽかーんとしてるんだ。
教えてくれないのか?

  「……そんなんでいいのか?」

あぁ。いいだろ?

  「よし分かった! じゃあまた後でな!」

途端に嬉しそうな顔をしてアレフは寝床に戻って行った。

223 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 20:42:31 ID:hlwBMG0j0
シエン

224 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/20(月) 20:47:21 ID:vgQt8tFo0
アレフは何も悪くない。
悪いのは私だ。
自分の気持ちを言わずに相手に合わせて話を進めるのはズルイやり方なんだし、
許すも何も私にとっては謝らせてすまないという思いしかないのだが、
アレフの気持ちを無下にする事もできなかった。

けれどアレフの率直な言葉を聞いて安心したのも事実だ。
こんな私の事を少しも不快に思っていないようだ。
形としては私がアレフを許すという事になってしまったけど、
今はアレフの優しさに甘えさせてもらおう。
そして早く呪文を覚えて2人の役に立てるように頑張ろうと思う。

それにしても、あんなに申し訳なさそうにしているアレフは初めてみたな。
早朝に起こしたのはきっとアレンにバレるのが恥ずかしかったからだろう。
そんな事を思うと自然と顔がほころんでしまった。
案外カワイイところもあるじゃないか。
ふふ。

  「いいか? 呪文ってのはだな、こう腹から吐き出すような感じでだな」

何だその嫌な例えは……

  「だから〜こう体術とは少し違うって事だよ。
   中にあるものを引き出すってぇの?」
  「精神の具現化、ですか?」
  「あぁ、そんな事誰かが言ってたな。それだよそれ。
   つまり〜精神を具現化して〜」

その日からさっそくアレフに呪文を教えてもらう事になった。
なったのは良いのだが、どうもな。

225 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 20:48:03 ID:IAmEUJMq0
支援

226 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/20(月) 20:52:28 ID:vgQt8tFo0
  「こうだよ、こうっ! 分かったか?」

いや、ちっとも分からん。全然。さっぱりと言う程にさっぱり。

  「何だ物覚えの悪いヤツだな」

……これは私が悪いのか?
呪文を見たのも昨日今日だっていうのに、いきなり使えるようになる訳ないだろ。
だいたい人の手から炎が出るのは何かおかしくないか?

  「おかしかねぇだろ。立派な力だ」
  「しなのさんの中に呪文を否定する考えがある、
   というのが呪文を使えない理由の可能性がありますね。
   イメージは大切ですが、どうせなら良い方向に意識を持っていきたいですね」

そういうものなんだろうか……
と言うかアレフの説明が下手過ぎて困る。

  「あんだと? じゃあアレンが教えろよ」
  「僕は理論しか理解していません。練習はしましたけどね」
  「それでも勇者かよ」
  「パーティー内で役割分担出来ていればいいんですよ」
  「よし、こうなったら一発呪文食らってみるか?
   そうすりゃ呪文が本当だって身をもって分かるだろ。
   安心しろ、すぐにホイミしてやっからな」
  「ちょっと父さん!」

さすがに呪文を受けるのはイヤだな。
とりあえずイメージトレーニングとアレフの呪文をよく見る事が私の課題となった。
課題と言われると学生に戻った気分だが、この様子だと前途多難な予感……

227 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/20(月) 20:57:29 ID:vgQt8tFo0
○第九話
   『モンスター強襲』

いくつかの町や村を回り、ようやく泉があるという情報を得た私達。
昨晩は宿屋のベッドでぐっすりと眠れたから気持ちが良い。
朝食もしっかりと食べ、元気良く村を出発する事が出来た。

  「そんでよ〜ローラがお姫様抱っこしろとか言いやがってよ〜
   仕方なくやってやったんだよ〜重たいのによ〜
   んでモンスターが来やがったからローラを放り出したんだよ〜
   そしたら滅茶苦茶怒りやがってよ〜」

そんな話をしながら林を抜けると、泉というよりは湖に近いだろう場所にたどり着く。
アレンの話では洞窟の深奥に勇者の泉はあるらしいから、
ここではないだろう事はすぐに分かった。

  「本当にたどり着けるんでしょうか……」
  「あのジジイめ! 嘘つきやがったな!」

さすがに嘘つき呼ばわりは酷いだろう……

  「この世界がどうなっているのか未だに未解明なのですから、
   誰にも責任はありませんよ」

異世界への召還か、リアルな夢物語か、はたまたタイムスリップか。
そのどれでも説明のつかない世界異変の原因が色々と噂されているようだった。
竜王の支配、邪教の布教、聖なるオーブの喪失、魔族の、教団の陰謀、
魔王の夢、天空城の墜落、石版の収集、賢者の捜索、等々。
様々な憶測が飛び交い、議論され、人々の話題を独占していた。
私もそれについては大いに興味がある。
それが分かれば私が帰る方法も分かるか――

228 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/20(月) 21:02:35 ID:vgQt8tFo0
  「しなのさん!」
  「下がれ!」

な、何、だ? 地震……?
ググッと地面が揺れ、不快感と不安感が一気に増す。

  「来るぞ!!」

アレンとアレフが森の方に振り向き、武器を構える。
風も無いのにビリビリと木々が震え、2人の雰囲気が緊張したものに変わっていく。
周囲を警戒していると、私達が通って来た林道から1人の男が飛び出して来た。

  「逃げろ!」

男は私達の姿を認めると持っていた剣を斜めに振り、危険を訴えかける。
一番に目に付くのはその不気味な兜。
近くに寄るまでもなくそれが嫌なものだと分かる。
男が一度振り返って後ろを確認した事で何かがいる事を理解する。
そういう事を観察できるくらいに一瞬辺りが静かになった後、
男の後ろからモンスターが視界を覆い尽くすくらい大量に姿を見せた。

  「何だってんだよ!!」

アレンとアレフは少しの怯えも見せずにモンスター達と戦闘を開始した。
地を這うもの、空を翔けるもの、素早いもの、力強いもの、呪文を唱えるもの。
同じ種類の生き物がいないと言っていいくらいに多種多彩な群がりだった。

モンスター達の目標に私達が加わったようで、こちら目掛けて駆けて来る。
私はその光景に圧倒され腰が抜けたように座り込んでしまった。
本能をむき出しにして命を狙ってくる野性というものに生理的な嫌悪を覚えた。

229 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 21:03:10 ID:IAmEUJMq0
支援

230 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/20(月) 21:05:55 ID:vgQt8tFo0
  「はっ!」

アレンの流れるような剣捌きに成す術なくやられていくモンスター。
コウモリ男の翼を落とし、豪傑熊の目を潰し、鎧剣士の剣を弾き飛ばす。
突出してきたモンスターだけを狙い、戦闘不能にできれば良いと考えてるのだろう。
余計な体力を使わないためにもそれはとても有効な手段だった。
そして攻撃する瞬間には次の目標に目をやっている。
モンスターの間を駆けて行く脚のバネが素晴らしい。

  「食らえっ!」

力任せに敵を串刺し、攻撃呪文を唱え、殴りつけ、蹴り飛ばす。
宝箱モンスターを燃やし、一つ目巨人の腹を斬りつけ、スライムを握りつぶす。
多少の傷は気にもせず、ただただ真っ直ぐ突進していくアレフ。
彼の迫力だけで逃げ出してしまうモンスターもいるようだった。
その後を追いかけようとするのだけは止めて欲しいが、
荒々しくも怪物に物怖じしないその勢いが凄まじい。

  「……」

そしてアレンとアレフと一緒に私を守ってくれるもう一人の男。
全体の成り行きを見、穴を埋めるようにして呪文と剣を使い分ける。
敵の層が厚い場所に雷を落とし、思わぬ攻撃をして来たモンスターを軽くいなす。
さらにアレンとアレフの足場を上手く確保したりして、サポートも上手くこなしている。
先程出会ったばかりだとは思えないほどにチームワークが取れている。
この人ならどんな人とでも上手く連携が取れるのではないかと思う。
攻守自在の名選手、という感じだろう。

231 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/20(月) 21:09:53 ID:vgQt8tFo0
  「しなの! しっかりしろ!」

大きな口を開け鋭い牙で私に噛み付こうとした猿が目の前でアレフに斬られる。
猿の血が顔にビチャリと付着する。
そうだ……しっかりしろ……!
グイッと頬を拭い、立ち上がる。
薬草やらが入った袋を握りしめ、サポートに回る。
せめて足手まといにならないように。

私は必死にナイフを振り回し、聖水や斑蜘蛛糸を投げつけるしか出来なかったが、
男達は即興にも関わらず見事に互いを補い合い、モンスターを撃破していく。
しかしジリジリと詰め寄られ、とうとう水際に追いやられてしまう。
足首まで水に浸かった時、何かが絡みついてきた。
うわっ! 助けっ……!!

  「湖のモンスターが!!」

水中に全身が引き込まれるが、溺れる前にアレンが助け出してくれた。
ゲホッゲホッ!! ゴホッ……!
す、すまない……

  「チッ! このままやってもしなのが疲れるだけだぜ!」
  「いったん逃げましょう! キメラの翼を!」
  「いやダメだ。私は集落には近づけない」

何故か男が反対し、アレフが男を鋭い目で睨みつけた。

  「あ? なら置いてくぜ?」
  「それが一番だ。行け」
  「行きますよ!」

え、ちょっと待――

232 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/20(月) 21:13:17 ID:vgQt8tFo0
と私が叫ぶ前にアレンがキメラの翼を空に放り投げる。
モンスター達の叫び声が遠ざかっていくのが聞こえ、私達3人はレーベの村へ舞い戻った。
辺りが急に静かになった。
怪我をした場所が唐突に痛みを訴えかけてきたのがとても不快だった。

  「はぁはぁ……大丈夫か? しなの」
  「いったん、宿屋へ……」

どうして……

  「あ?」

どうして逃げたんだ?!
あの人死んじゃうじゃないか!!

  「しなのさん! 行っては駄目です!」

いや、私は行くぞ。
このままじゃ私のせいだ。
私が弱かったせいで誰かが死ぬなんて!

  「おいしなの! ちょっと待てよ!! お前が行って何が出来る!」

放せ!
そんなヤツだとは思わなかった!
勇者なら彼を助けようとするんじゃないのか?!

233 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 21:15:38 ID:IAmEUJMq0
一体何者なんだ支援

234 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/20(月) 21:18:05 ID:vgQt8tFo0
  「しなのさん! 誰も助けないだなんて言ってませんよ!」
  「そうだぜ。ほら、震えてるじゃねぇか。ちょっと落ち着けよ。
   逃げたのは足手まといなしなのを村まで送っただけに決まってるだろ」

……

  「アレフさん……」
  「うるせーな、分かってるよ。んじゃあ行くのか? もう助けてやらねーぞ」
  「冗談ではなく、次は本当にあまりかばえないかもしれません。
   あの数を殲滅するには本気でやらないといけませんから。
   覚悟して戦って下さい」

……そうか、すまなかった。
早まったよ。

  「まぁ俺らはパーティーだからな! 何するにも一緒ってヤツだ!
   のけ者にしようとして悪かった!」

いや私が弱いのは事実だからな……
アレフ、私に力を貸してくれ。

  「あぁ、気合入れろよ?」
  「しなのさん、絶対に死なないって僕と約束して下さい。
   しなのさんがいなくなったら僕は泣きます」

ちょ……分かったから抱きつくんじゃない……!
恥ずかしいだろ……

  「ヒューヒュー! よっしゃ、行くぜ!」

その掛け声にうなずき、私達は湖目指して再び林道を走り出した。
ナイフを握りしめた手に力を込めて、もっと強くなりたいと願った。

235 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/20(月) 21:24:07 ID:vgQt8tFo0
今日はここまで〜!
支援ありがとうございました〜
ようやくドラクエっぽくなってきたかと思います。

え〜合作は順調に進んでいるのですが、
合作以外の作品の投下がなされていないようなのでお願いを一つ。
もし合作の為に投下を控えている書き手さんがいましたら、
作品投下を楽しみにしているので、どうぞ遠慮なさらずに投下してください。

もし僕の勘違いでしたらサーセンwwww

あ、あと合作参加者まだまだ募集してますので、そちらもヨロシクw
ではでは( ^ω^)

236 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 21:50:30 ID:IAmEUJMq0
お二方ともに乙でした!

237 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 22:32:57 ID:EY/uuBIw0
あ〜、どっちも続きが気になる〜

タカハシさん、暇潰しさん乙です!
この10スレ目の舞台、最初はどうなるんだろうと思ってましたが
かなりいい感じになってますね。チョッとしたニアミスなんかもあったりして
昔の富士見ファンタジアのタルウェシリーズみたいで面白いです。

この先の展開楽しみにしてます!

238 :魔法の俺らんど ◆yeTK1cdmjo :2007/08/20(月) 23:09:32 ID:IAmEUJMq0
 はいどうも、キム皇を仲間にした俺が登場ですよ。
 なんだか久し振り? それは気のせい。
 7月7日? 前スレ540? 何のことです?

 ま、それはそれとして。
 ファミコン神拳の一人、キム皇に魔力があるかどうか――魔法が使えるかどうか調べてもらったわけですよ。
 キム皇曰く、「魔力はあるものの、自分達のものとは異質な魔力を感じるだす」とのこと。
 ドラクエ世界の住人じゃないからか?

「魔力があるなら魔法は使えるんだよな?」
「使えるだすよ。最初はギラやホイミ辺りから始めて徐々に上のランクに上げていくといいだす」
 そりゃそうだ。
 ハナっからメドローアやメゾラゴンなんかできるわけねえもんな。

「具体的にどうすんだ?」
「集中とイメージだす。体を巡る魔力を一点に集め、その魔法を生み出すんだす」
「集中とイメージ……ね」
 魔力を集中し、炎が生み出されるイメージ。
 囁き――詠唱――祈り――念じろ!

「ギラ!」


239 :魔法の俺らんど ◆yeTK1cdmjo :2007/08/20(月) 23:10:39 ID:IAmEUJMq0
 無事にギラは発動した。
 キム皇の評価では「ギラの上位魔法であるベギラマ以上」らしい。


 た  だ  し  魔  法  は  尻  か  ら  出  る  !


「うん、死のう」
「待て待て! 落ち着け! 死ぬな!」
「死ぬしかねえだろ! 尻からギラ出す奴どこにいるんだよ!」
「……たった今自分で出したじゃないっすか」
「殺す! こいつマジ殺す!」
 勉三の分際でこいつはもうqあwせdrftgyふじこlp

「やめろ! キムこうも余計なこと言うな!」
「止めんな! 殺させろ!! ギラギラギラギラ!!!」

 俺がギラと叫ぶたび、尻から炎が出て宿屋を燃やす。
 手や杖から炎を噴出しているならまだわかるが尻から出ているのはさぞかしシュールな光景だろう。

 尻から炎を噴き出したことがあるか!?
 見てる奴らは呆然といかにも「何が起きた」って顔つきだ、わかるか!?
 人は怒り叫びながら尻から炎を出せるんだ!!
 お前だってきっとできるぜ、気がついてないだけでな!!

「ゆうてい!」
「はい。――ちょっと眠ってください」

 最早何を言っているのかわからない俺の首筋に手刀を打って気絶させた――そう知ったのは、翌日のことだ。
 その場は収まることは収まったし冷静にもなった。
 だが、魔法は尻から出る。
 この現実だけはどうしようもない。

240 :魔法の俺らんど ◆yeTK1cdmjo :2007/08/20(月) 23:11:47 ID:IAmEUJMq0
「12発?」
 目が覚めて昨日のことを謝罪した俺に対し、ファミコン神拳三人衆は意外な数字を告げてきた。

「何度もギラを連呼したっすが、12発目を撃った後はギラは出てこなかったんだす」
「今の貴方のMPはギラ12発が限界と思ってください」
 確かギラの消費MPは3だから最大MPは36……いや、FC版は消費MPが2だったから24か。

「自分は何がどれだけ唱えられるのか。これは戦闘において非常に重要なことだす」
 呪文を使う場面でMP切れは確かに辛い。攻撃呪文はまだいいとして、回復呪文が使えなくなったら大変だ。

「魔法力の限界がわかったのは不幸中の幸いだな」
 尻から火が出るのは不幸ですかそうですか。

「あれだけ連発できるのは初めて魔法使ったにしては悪くないだす……発動方法は問題だすが」
「ギラの火力もその辺の魔法使いと遜色はないようですし、すぐに上手くいきますよ……発動箇所も」
 何これ? 俺慰められてるの? それともバカにされてるの? クマ2匹が馬鹿にしてくるAAが俺の頭をよぎるんだが。
 尻から火が出るのは確かにバカにされる要素満載だけどさ、何もいじめなくたっていいじゃない。
 実際に俺の目の前で尻から火を出す奴見たら指差してゲラゲラ笑うけど。
 きっとこうなることを恐れてククリは一ヶ月コースを選ばなかったんだな。

「まともなギラが撃てるまで竜王の城に行かねえぞ」
「そのことだが、魔の島に渡る橋がない」
「橋の心配はしなくていい。俺に秘策がある」
「はあ」
「それよりも、魔の島に向かうまでにどんなモンスターが出るか調べに行ってくれ」
「あなたはどうするんですか?」
「特訓だ。キムこうと一緒にな」
「……あてと、だすか?」
「まさかイヤとは言わねえよな?」
「あてはイ――」
「な?」
「……わかっただす」

241 :魔法の俺らんど ◆yeTK1cdmjo :2007/08/20(月) 23:13:29 ID:IAmEUJMq0
 というわけでリムルダール郊外。

   / ̄\
  |  ^o^ | <ギラを となえます
   \_/
   _| |_
  |     |
         / ̄\
        |     | <しりから ださないでください
         \_/
         _| |_
        |     |


    / ̄\
    | ^o^  | < ギラ!
    \_/                       ,,从.ノ巛ミ    彡ミ彡)ミ彡ミ彡ミ彡)ミ彡)''"
    _| |_                       人ノ゙ ⌒ヽ         彡ミ彡)ミ彡)ミ彡)'
   /    )                ,,..、;;:〜''"゙゙       )  从    ミ彡ミ彡)ミ彡,,)
   / / //      ,,..、;;:〜-:''"゙⌒゙          彡 ,,     ⌒ヽ     ミ彡"
  ⊂⊂/ |::::::゙:゙                       '"゙        ミ彡)彡''"
    / / /    ``゙⌒`゙"''〜-、:;;,_              )   彡,,ノ彡〜''"
    | ||               ゙⌒`゙"''〜-、,,     ,,彡⌒''〜''"
    ○○                      "⌒''〜"
         / ̄\
        |     | <しりから だすなと いっている
         \_/
         _| |_
        |     |

 これをくり返すこと5回。
 俺の魔法オワタ\(^o^)/

242 :魔法の俺らんど ◆yeTK1cdmjo :2007/08/20(月) 23:15:19 ID:IAmEUJMq0
「魔法発動のイメージは悪くないだす。問題は魔力集中の場所っす」
「掌だろ」
「魔力の流れを見る限り、どうやら掌から魔法が発動するイメージのみで、掌に魔力を集中させていないだす」
「ちょっと待て。魔力が掌に集まらずに尻に集中してるってことか? なんでまた尻に?」
「それはあてが聞きたいだす。どっかで尻から魔法を出す魔法使いでも見ただすか?」
「……グルグルか」
「グルグルが何かわからないだすが、そのグルグルとやらのせいで潜在意識の中に『魔法は尻から出る』と刷り込まれているんだす」
「どうすりゃいい?」
「掌に魔力を集中させることを強くイメージすればいいだす」
 ……掌に集中か。

「呪文を唱える時はどんな構えでもいいんだろ?」
「ま、まあ、別にどんなポーズを取ろうがかまわないだすよ」
 俺の年代で掌に集中と言えばこれしかない。
 脚を肩幅に開いて腰を軽く落とし、両掌を腰の横に構える。
 思い描くは唯一つ。
 両掌の中心に魔力を集中。

「か――」
 囁き。

「め――」
 詠唱。

「は――」
 祈り。

「め――」
 念じろ――!

「ギラああああああああああああああああああああ!」


243 :魔法の俺らんど ◆yeTK1cdmjo :2007/08/20(月) 23:16:31 ID:IAmEUJMq0
「手から出た……よな?」
「……出ただす」
「どうよ?」
「普通のギラだすね」
 ちくしょう……ちくしょおおーー!!(AAry

「かめはめギラああああ!」
「普通のギラだすね」
「かめはめギ(ry」
「普通のギ(ry」
「かめは(ry」
「普通(ry」
「か(ry」
「(ry」

 連続でかめはめギラを出すこと4回。
 当初の目標通り尻ではなく掌からギラは発動できるようになったものの、尻以上の威力はなくなった。

「威力が落ちたとは言えギラとしては問題ないからいいじゃないだすか」
「そういうことにしておくか……」
「ところであの構えはなんだすか?」
「亀仙流の奥義とも呼べる大技――かめはめ波だ」
 当時ジャンプを――ドラゴンボールを読んだことのある子供は誰もが一度は真似したことがあるだろう。
 ガキの頃に誰もが真似したことを、恥ずかしげもなくやってのけた俺はもっと評価されていい。
 もうそろそろ27になるけど。

 有名な復活の呪文、ゆうていみやおうきむこうほりいゆうじ――と来たら鳥山明とぺぺぺぺぺ(ryしかないだろう。
 ゆう帝ミヤ王キム皇と揃っていて鳥山明がダメだということはない。
 ドラクエ世界でドラクエ絵師の技を使って何が悪い。

 鳥山先生ありがとう、あなたのおかげでギラが撃てました。
                                           (PN・ドラクエ大好きっ子/26歳・男)

244 : ◆yeTK1cdmjo :2007/08/20(月) 23:23:56 ID:IAmEUJMq0
遅くなりました。
投下終了です。

245 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 23:36:46 ID:tsJ4gFbcO
尻だとベギラマ
かめはめ波だとギラ

246 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 23:42:14 ID:vHzCLI6YO
支援出来なかった〜久々乙!!

247 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/21(火) 01:23:18 ID:kyLwwSEW0
ここでグルグルネタっすかwwwwwwwwww
意表つきすぎて爆笑しましたよwwwwwwwwwww

248 : ◆Tz30R5o5VI :2007/08/22(水) 02:19:37 ID:SKLZkWu/O
>>1


249 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/08/22(水) 18:57:28 ID:mLuy6aNl0

    〜作り合わされし世界〜


    → 冒険をする
          1:しなの  Lv5
          2:ヨウイチ Lv6
       → 3:タロウ  Lv1

250 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/08/22(水) 18:58:20 ID:mLuy6aNl0
・第1話 タロウの犬冒険

僕が目を覚ますと、そこは知らないところだった。
起き上がってうろうろ歩き回るけど何が起こったかわからないよ。
『きゃあ! あんたどっから入ってきたのよ!』
この家のおばさんに怒鳴られて僕はそこから逃げ出した。
僕だってどうしてここにいたのか分からないのに。
後で分かったことだけど、僕がいたのは宿屋という建物だったらしい。

僕の名前はタロウ。
どうして僕はこんなところにいるんだろう。
昨日はちゃんと自分のお家で寝たはずだよね。
ひょっとして僕、捨てられちゃったのかな。


ううー、僕が血統書のない普通の犬だからってひどいよー!


でも、まだ捨てられたって決まったわけじゃないよね。
もしかしたら僕のことを探しているかもしれない。
どうにかして戻らなきゃ。

だけど、本当にここはどこなんだろう。
周りは嗅いだことない匂いばっかりだ。
お家に帰りたいよー。

251 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/08/22(水) 18:59:11 ID:mLuy6aNl0
……あれれ、なんだか懐かしい匂いがする。
僕知ってる! これって香水っていうものの匂いだよ!
お家にいたとき嗅いだことがある。
僕はうれしくなって尻尾を振ってしまう。
どこから匂いがするんだろう……。

分かった! あのお姉さんからだ!
「くーんくーん。」
僕はいい香りのするお姉さんにピョンと飛びつくと小さく鼻を鳴らした。

お姉さんは大はしゃぎだよ。
『どうしました? そんなに犬が珍しいのですか?』
お姉さんと一緒にいたゴーグルのお兄さんが何か言っている。
そんなことをまったく気にしないでお姉さんは僕をなでなでしてくれる。
きゃあ肉球はやめて!

『犬に限らないが、動物は好きなんだ。』
お姉さんうれしそう。もしかしたら僕をお家に連れていってくれるかな。
なんだかお姉さんが僕を仲間にしたそうにこっちを見ている気がするよ。
『でもちょっと連れて行くわけには行きませんね。』
ゴーグルのお兄さんが反対している。このお兄さんは犬が嫌いなのかなぁ?
『一緒に行きたくないでちゅ〜』
もう1人のお兄さんも反対してるみたい。まるで鬼だよ。角まで生えているし。
でも、何であんな変な喋りかたするんだろう?

しぶしぶお姉さんは僕をそっと地面に置いた。
ううう、どうやら連れて行ってはもらえないみたいだよ。
お姉さんは名残惜しそうに僕の方を何度も振り返っている……。
ああ、また一人ぼっちだー。

252 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/08/22(水) 19:00:14 ID:mLuy6aNl0
「よっ、どうした不景気な顔して。」
突然知らない犬に話しかけられた。
「あのね。僕、迷子なの。」
「おいおい、お前も犬なら自力で帰ってみろ。」
「そうしたいんだけど変なんだ。知らない町、知らない人、知らない匂い……」
「何も分からないってか。ここはレイクナバって町さ。」
「聞いたことないよ。」
「確かにこの辺じゃ見ない顔だな。お前、名前は?」
「僕タロウ。」
「タロウか。変わった名前だな。俺はトーマスって言うんだ。狐狩りの名手さ。」
「え、狐さんがいるの? 僕もお友達になりたい!」
「お前狩りの意味分かってないだろ。そんなことじゃ帰るどころか町から出られないぞ。」
「どうして?」
「町を出たらモンスターが襲い掛かってくる。戦えなきゃやられるだろ。」
「えー! ところでモンスターって何?」
「何って、モンスターはモンスターだよ。戦えないなら腕に自信のある人間について行け。」
「うー、そんな人の当てがないよ……。トーマスさんは外に出るとき誰かについて行くの?」
「そそそそ! 前はトルネコって人についていったんだ。もうこの町にはいないけどな。」
こんなことならさっきのお姉さんに無理にでもついていけばよかったよ。
「仕方ない。モンスターと出くわしても何とか逃げ延びる術を教えてやるよ。」
「本当! ありがとう!」
「なめまわしと言って相手の顔をなめてひるませる技だ。」
「うう、なんかやだな。」
「我慢して覚えろ。」

タロウはなめまわしを覚えた!

「ここから昼に太陽のある方角に行くとエンドールというでかい町がある。
 そこから日の出の方角にある洞窟を抜け、山を登ると小屋がある。そこに勇者がいるそうだ。」
勇者は世界を救った英雄なんだって。彼だったら何とかしてくれるかもしれない。
僕はトーマスさんとお別れをして、勇者のいるという山奥の小屋を目指すことにした。

253 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/08/22(水) 19:01:14 ID:mLuy6aNl0
第2話に続く

254 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/22(水) 19:16:39 ID:9AsK3EMt0
タロウさん、きたー。
お姉さんはしなのさんかな。


255 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/22(水) 23:24:14 ID:i2HGURx60
めぐみさんの人だな

256 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/08/22(水) 23:25:18 ID:i2HGURx60
これは恥ずかしいw

257 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/24(金) 00:32:52 ID:rN1W/mQe0
タロウ編、投下乙!
文中のお姉さんは、やっぱしなのさんだよな?
クロスオーバーおもしろい!

次は4勇者の登場か。
どういう性格で来るか楽しみだw

258 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/08/24(金) 00:56:56 ID:oV33DJlq0
○因縁の対決○

ギィン・・・・この男はかなりの年をいってそうだがどんな攻撃を仕掛けてくるのか分からない。
まして竜人族の最後の生き残り。相当実力は持っているはず。
 タケ「(よし!もょ、俺に代われ。最初の様子見は俺の得意分野やからな。)」
 もょ「(こんかいはいい。おれがやる!)」
 タケ「(けど・・・・お、おい!ちょっと!)」

どうやら声をかけるのが苦しい状況になった。もょもとのテンションが普段より異常なほど高まっているようだ。
まいった・・・・助言すらもできねぇ・・・・・

もょ「いくぞ!」

もょもとがギィンに飛びかかって斬り込んで行く!
ギィン「ほぅ。なかなかのスピードじゃないか。」
迎え撃とうとした時もょもとは軌道を変え別の攻撃態勢に入った。

 もょ「はやぶさぎり!」
ギィン「遅いッ!!」

その瞬間ギィンの正拳突きがもょもとの腹部に直撃した。
 もょ「ぐ・・・・いま・・・なにがおこったんだ・・・おれのけんのほうがはやかったのに・・・」
ギィン「ふぅん・・・・・ワシの攻撃に耐えるとは。流石腐ってもアレフの子孫か。」
ムーン「何ですって!?これ以上私達のご先祖様を侮辱するのも許されないわ!バギッ!!」

ムーンはバギで攻撃を仕掛けたのだがギィンは竜巻を無防備で仰ぐように受けた。しかも涼しげな表情だ。



259 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/08/24(金) 00:58:22 ID:oV33DJlq0
ムーン「なっ・・・・・・」
ギィン「ワシを涼ましてくれたのか。ありがとうよ。ちょっと血が出てしまったがな。」
ムーン「な、舐めるんじゃないわよ!」

サマル「リア!呪文で攻撃して!僕がその後から槍で攻撃するから!」
 リア「分かったわ!お兄ちゃん。ヒャド!」


リアのヒャドがギィンに向かうのだが足を凍結させる事に成功した。

 
ギィン「なっ、足が凍ってしまったぞ!?」
サマル「今だ!これでも喰らえ!」
ギィン「バ〜カ。素直でやりやすいわ!初心者向けの戦いじゃの。」
サマル「えっ!?」 

ギィンはサマルの槍ごと持ち上げながら壁に向けて投げつけた!

サマル「がはっ!す、凄く痛い・・・苦しい・・・・・」
 リア「お、お兄ちゃん・・・・」
ムーン「私が治療するわ!もょもと!時間を稼いで!」
 もょ「わかった!」

その時ギィンが屈辱的な発言をした。


ギィン「それぐらいの時間いくらでもやるわい。あっさり死なれては困る。たっぷりいたぶらないとなぁ・・・・
     ワシの恨みはまだまだ果たせんからのぉ・・・・」


 もょ「ふざけやがって!」


260 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/24(金) 00:59:04 ID:n9kBSNyX0
支援!!

261 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/08/24(金) 00:59:41 ID:oV33DJlq0
 タケ「(も・・・・ょ・・・・・お・・・・・・・・け・・・・・)」
 もょ「(タケのこえがききとりにくいぞ。どうしたんだ?)」

もょもとがちょっと他の事に気がそれたら話せる状態になった。

 タケ「(おっ、漸く普通に話せるわ。もょ、うかつに攻撃を仕掛けたらアカン。)」
 もょ「(な、なんでだよ!)」
 タケ「(それなりの理由がある。お前がさっき攻撃が届かずに逆に攻撃を喰らったよな?)」
 もょ「(ああ。)」
 タケ「(あれはカウンターって言って相手の力を利用して攻撃する技や。)」

 もょ「(カウンター?なんなんだ!それは!?)」

 タケ「(簡単に言え例えるともょの力が10、ギィンが6とした場合、
     もょの力を利用して16にして攻撃する訳やで。)」

 もょ「(ばかな・・・・うそだろ?)」
 タケ「(ギィンは完全にもょが攻撃するタイミングを掴んでいるだろうな。うかつに攻撃はできへん訳よ。)」

 もょ「(じゃあ、どうする?)」

 タケ「(みんなで一斉に攻撃を仕掛けたらええ。それやったらギィン対応が遅れて逆に成功する可能性が高くなる
     わ。但し一回で必ずしとめるんや。何回も出来へんで!)」
 もょ「(よし!やってみよう!)」

 もょ「ムーン、さくせんがある。じつは・・・・・・・」

ムーン「・・・私と同じ意見ね。私とリアが同時に呪文を放った瞬間と同時にサマルと攻撃を仕掛けて!いいわね?」
 もょ「わかった!」


ギィン「相談は済んだのか?さっさとかかって来るがいい・・・・・・」

262 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/24(金) 01:00:14 ID:Q51yX3ubO
支援

263 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/08/24(金) 01:01:29 ID:oV33DJlq0
ムーン「いちいち五月蝿いわね!行くわよ!リア!」
  リア「うん!」

ムーンとリアが同時に呪文を放ったと同時にもょもととサマルが一斉に駆け出し攻撃を仕掛ける。

ギィン「こんな呪文ワシには通用せん!!」

ギィンが呪文をはじいた後サマルが突っ込んで攻撃を仕掛けたのだが・・・・・・

ギィン「貴様らの手などお見通しじゃ!!二人とも返り討ちにしてやる!」





――――――――――――――――――――――――――――――直前でサマルがこけた。




ギィン「な、何じゃと!?」
この瞬間ギィンもあっけに取られてカウンター発動のタイミングが狂ってしまった。


もょ「たあああああああっ!まじんぎり!」


もょもとの魔人斬りがクリーンヒットした。断末魔をあげながらギィンは倒れた。



・・・・・・・・・・結果的には上手く行った様だ・・・・・・・・・・・・しかし直前でこけるってありえねー!

264 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/08/24(金) 01:02:34 ID:oV33DJlq0
ムーン「サ、サマルがこけてくれたおかげで上手く行ったわね。」
  もょ「あるいみナイスプレイだぞ。」
サマル「何なんだよ!もう!格好悪いよ!」

リアは必死に笑う事をこらえている。サマルはある意味天性のドジかもしれん・・・・・・


しかし束の間、ギィンが立ち上がった。


 もょ「ばかな・・・・・まじんぎりがまともに決まったのに・・・・」
ギィン「年はとりたくないものじゃ・・・・・・ワシも本気を出さないといかんのぉ・・・・・」
ムーン「本気だって?」

ギィン「ワシの本当の姿を見せてやろう・・・・これからは全力で貴様らを殺す!ゆくぞ!ドラゴラム!」

ギィンが呪文を唱えるとみるみる竜の姿に変わっていった。しかも皮膚の色が黒い・・・・・まさか・・・・・

  リア「あ・・・・ああ・・・・・・」
サマル「信じられない・・・・・・・・・・・こんなに大きいなんて・・・・」
  もょ「あれは・・・・・ダースドラゴンだ・・・・・きろくではごせんぞさまにたおされたはず・・・・」
ムーン「な、何ですって!?」

ギィン「そうだ・・・・ワシは建前上アレフに殺されたんじゃが、実際はかろうじて生き延びたんじゃ・・・
    しかし今の貴様らにレヴァティンは所有していない様だな・・・・貴様らに勝ち目はない。」


 もょ「くっ・・・・・・」


確かに威圧感は相当凄いものだ。俺やもょもとはドルマゲスと戦った経験のおかげか何とか正面を向けて戦えそうだが
他の三人は怯んでいる。

265 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/08/24(金) 01:04:01 ID:oV33DJlq0
ムーン「あ、あんな化け物、・・・・・倒せるわけがないわ・・・・・・」
  もょ「みんな、ここはおれがやる!いくぞ!」


もょもとが斬りかかると同時にギィンも火炎を吐き出した。


 もょ「ぐうっ・・・・・」
ギィン「グルルルルル・・・・・・さらにこれも食らえ!!」


今度は吹雪を吐き出してきたのだ。こいつの狙いは・・・・まさか・・・・

 もょ「さ、さむい・・・・・・・」
 タケ「(もょ!次の攻撃は物理攻撃でくるぞ!避けるように備えろ!)」


俺の声が聞こえているだろうか?それじゃないと危ない。吐き終わった瞬間にギィンが爪で攻撃を仕掛けてくる。



・・・・・が何とかかすった程度で回避できたようだ。


 もょ「な、なんとかさけれたな・・・」
ギィン「ちっ・・・・ワシの攻撃を避けるとは中々のモンだ。」
 もょ「は、はがねのよろいにひびが・・・・・」


鋼の鎧にひびが入ったのだ。確か瞬間的に鉄を温めた後、急に冷却した場合簡単な衝撃で鉄が壊れやすい。
確かダイの大冒険のフレイザード戦で載っていたな・・・それをギィンは実行したのか。
あなどれん・・・・・・

266 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/08/24(金) 01:04:52 ID:oV33DJlq0
しかしもょもとの息使いが荒い―――――――――――――――疲労が溜まって来た証拠か。

 タケ「もょ!早く俺と代われ!今のお前じゃコテンパンにやられるだけや!」
 もょ「あ、あとすこしおれにやらせてほしい・・・・なんとかいけそうなんだ・・・」
 タケ「な、何やて!?どー見てもお前の方が劣勢やないか!」
 もょ「だいじょうぶ・・・・・ためしたいことがあるんだ・・・まあみてくれ・・・・・」

こんなもょもとは初めてだ。話が終わった後直にもょもとはギィンに向かっていった。

ギィン「最後の捨て身の攻撃か・・・・哀れなもんじゃ!この爪で切り裂いてくれるわ!」

ギィンは腕を大きく振りかぶって引掻こうとしたがかすっただけで懐に潜り込まれた。

ギィン「ぬっ!?」
 もょ「いまだ!」

その瞬間ギィンの腹部から血が勢い良く噴出したのだ・・・









一      体      何      が      起      こ      っ      た      ?






267 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/24(金) 01:05:58 ID:n9kBSNyX0
支援…!

268 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/08/24(金) 01:07:16 ID:oV33DJlq0
ギィン「こ、この嫌な感覚は、確かアレフの技・・・・・許さんぞぉ!!!!!!!!!!!!!!!!」


ギィンが勢い良くもょもとに近づき、攻撃を仕掛けてきた!!もょもとは回避しようとしたが間に合わず、
とてつもない大きな尻尾で吹っ飛ばされた。

 もょ「ぶぐわぁッ!!!」
ギィン「この忌々しい人間め!焼き尽くしてくれるわ!!」


更に火炎で追撃された!!もょもとは必死に堪えていたのだが蓄積されたダメージと疲労の影響で案の定、倒れてしまった。


 タケ「お、おい!大丈夫か!?しっかりせえ!」
 もょ「や、やっぱり・・・・・・だめ・・・・・だった・・・・・・」
 タケ「そんな事あるかい!!今は気をしっかり持つんや!死ぬンやないで!」
 もょ「タケ・・・・・た、たのむ・・・・・おれのかわりに・・・・みんなを・・・・・」
 タケ「もょ!返事しろ!!おいっ!!」






もょもと&タケ
Lv.16
HP:  0/112 (もょもと気絶)
MP:  2/  2
E鋼の剣 E鋼の鎧 E鉄兜
特技 共通技:チェンジ
 もょもと専用:隼斬り・魔人斬り・ドラゴン斬り(New!!)
 タケ専用  :かすみ二段・強撃・ゾンビ斬り・大防御・メラ

269 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/08/24(金) 01:11:45 ID:oV33DJlq0
支援ありがとうございました。
今後ともよろしくです。

270 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/24(金) 01:22:50 ID:L4uFEyQH0
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
お久しぶりのレッドマンさん、乙!
ダースドラゴン強ええええええええええ!

ここでタケってのがまた!
続き期待してます

271 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/24(金) 06:37:16 ID:3lp3C445O
熱い展開になってきたな!
次はどうなるかwktk

272 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/24(金) 09:06:56 ID:seblDgkk0
カオス的な展開になりそう。
果たしてどうなるのやら。

273 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/24(金) 11:39:01 ID:cQuGA68U0
>>249-252
犬が主役って面白い!
タロウの犬種ってなんだろう。
柴っぽいけど違うか?

>>258-268
レッドマン氏続きキター!!!
どうなるんだもょ&タケ!

274 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/25(土) 10:39:49 ID:+tdJ9OBV0
レッドマン氏乙
きっとタケならやってくれる。

275 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/25(土) 11:03:06 ID:L6jhOqx50
主人公のタケがどう活躍するかが楽しみだ。
しかし他の三人は完全に空気w



276 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/25(土) 17:19:54 ID:NW2MpKq3O
       り    上
    盛             が
 あ                   っ
さ         ぁ   っ         て
       ぁ         !
                       き
      ぁ      !  !
                      ま
      ぁ
                    し
         ぁ       た
             ぁ

277 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/08/26(日) 00:18:03 ID:8kBvvWu10

    〜作り合わされし世界〜


    → 冒険をする
         1:しなの  Lv5
         2:ヨウイチ Lv6
       → 3:タロウ  Lv2

278 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/08/26(日) 00:19:04 ID:8kBvvWu10
・第2話 タロウの犬転換

町の外では大きなバッタや空飛ぶネズミが襲い掛かってくる。
僕は噛み付いたりなめ回したりしながらなんとか撃退して行った。
でも、戦っているとき矢が当たっちゃった。痛いよお。

勇者さんを目指して僕は進む。
洞窟を抜けて山を登る。
でも、何か変だよ。なんだかくらくらする。
こんなときモンスターに襲われたら大変だよ……

『何だお前は?』
魚のひれみたいなものをつけたお兄さんがいる。
モンスター……じゃないよね?
『毒を受けているな。毒矢頭巾にでもやられたか。』
そういうとお兄さんは僕に葉っぱを食べさせてくれた。
『毒消し草だ。これで体の毒は消える。』
お兄さんは僕を助けてくれてみたい。
『お前、一匹で旅をしているのか? 気をつけていけよ。』
「わん!」
『ちょっと待った! なんだお前の格好は!? それじゃ旅はできないぞ。』
格好って言っても僕が身に着けているのは首輪だけだよ。
『袋のなかにいろいろはいっているから持っていけ。』

タロウは鉄の爪を装備させてもらった!

わー、かっこいい爪だね。僕も少しは強くなるかな?

279 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/08/26(日) 00:20:05 ID:8kBvvWu10
お兄さんのおかげで僕は小屋までたどり着くことができた。
「くーん……」
『何だお前は?』
なんだか恐そうなおじさんがいる。この人が勇者なのかな?
『お前みたいなワンちゃんは一晩泊まっていきやがれ!』
えー! なにそれー!

「すまない。我が主は少々強引なのだ」
この小屋にも犬がいて僕に話しかけてきた。
「ううん泊めてくれてありがとう。ねえ、あの人が勇者なの?」
「いや、勇者は……おや、ちょうど来たようだな。彼が勇者だ。」

『じいさんいるかー。シンシアがスープ作りすぎたから持ってきたぞ。』
『何で毎度毎度シンシアちゃんは分量間違えるんだろうな。』
『知らん。おや、お前はさっきの犬じゃないか。』
さっきのひれのついたお兄さんだ。この人が勇者なのかな。
『迷い犬だったのか? そうだ、名前をつけてやろう。』
僕タロウなんだけどな。
『ボロンゴというのはどうだ? プックル、チロルなんてものいいな。』
ううう……不安だ。
『よし決めた。お前の名前はゲレゲレだ!』
いやー! お願いだから考え直してー!
『たっぷり可愛がってやるぞゲレゲレ!』
きゃー!

凄い名前をつけられて何をされるのかと思ったけど、普通に遊んでもらったよ。

280 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/08/26(日) 00:21:48 ID:8kBvvWu10
「すまない。勇者殿は少々強引なのだ。」
「ううん楽しかったよ。ゲレゲレにはびっくりしたけどね。」
「そうか。それはよかった。」
「こんなに良くしてもらえるのは、きっと生類憐みの令以来だね。」
「何だそれは?」
「僕もよく知らないけど犬を大切にすることらしいよ。」
「ふむ。初めて聞いたな。」
そうなんだ。やっぱりここってどこか違う世界なのかな……
「僕ね、お家に帰りたくて勇者さんに会いに来たの。」
「家に帰るために?」
「うん。なんだか僕のお家、こことは全然違うところにあるみたいなんだ。」
「ふーむ。しかし頼みたくても勇者殿といえども犬の言葉は分からぬぞ。」
ううう、勇者なら何でもできると思ったのにな……
「とにかく今日は疲れているだろう。ゆっくり休むといい。」
「ありがとう。そうするよ。」
「楽しい夢を見れるといいな。夢には不思議な力があるそうだ。」
「不思議な力?」
「かつての勇者殿の仲間に夢で未来を見ることができる一族の者がいたそうだ。」
「それは凄いね。僕もそんな夢が見てみたいな。」
「何か未来につながる夢が見られるといいな。」
むしろこれが夢だったら楽なんだけどな。
僕はそんなことを思いながら眠りについた。

第3話に続く

281 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/26(日) 01:36:10 ID:39Sx42ir0
タロウかわいいよタロウwwwww
『お前みたいなワンちゃんは一晩泊まっていきやがれ!』に吹いたw

282 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/26(日) 01:39:26 ID:Y2f7e2lsO
あの時のゲレゲレはタロウだったのか!
てか、ビアンカのネーミングセンスは4勇者の遺伝か…

283 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/26(日) 01:46:23 ID:Y2f7e2lsO
4勇者は男か…
呪いのアイテムは何かな?

284 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/26(日) 13:49:40 ID:FPhAj7sw0
ゲレゲレかわいい。
がんばって立派なキラーパンサーになってね。

285 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/27(月) 21:24:26 ID:dpSKSb9hO
乙!
タロウかわいいよタロウ

286 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/08/27(月) 23:05:14 ID:Ebaz7kg+0
○混沌の戦士○

これはやばくなってきたで!もょの代わりに俺がやる事になったんや!
しかし、もょが倒れたら俺も消滅すると思っていたんやけど、まだ消滅せえへんのはもょが生きている証や。
宿主の死=俺の死に繋がると言う事やな。
しかし今はこの状況を利用して何とか頭の回転をフルスロットルで対策を考えへんと………………
確実に全滅してしまうで。

  リア「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ムーン「う、嘘でしょ!?もょもとが……………………」
サマル「そ、そんな………………」

ギィン「ククッ、その男が貴様等のリーダーらしいな。あらゆる面で支えられてきた訳だ。」

このクソ竜完全に状況を把握しているわい。今はまだ起き上がるべきやないな。

ギィン「愉快!愉快!愉快!愉快!愉快!愉快!愉快!愉快!愉快!愉快!愉快!愉快!愉快!愉快!
     貴様等から絶望や恐怖が感じるぞ!!これこそがワシの願望じゃ!!」

ムーン「ま、まだ負けたわけじゃないわ!」
ギィン「虚勢を張っても無駄よ。その証に足が震えているではないか……」
ムーン「くっ………………これでも受けるがいいわ!!イオッッ!!」

ム−ンが呪文を唱えたんやけど全く通用してへん!呪文耐性もかなりあるみたいやな。

ギィン「絶体絶命じゃな。痛くも痒くも――――――――――――――――――――無いわ!!」
ムーン「あ、ああっ……………………………」
サマル「もう諦めよう!勝てっこないよ!!」
  リア「で、でも…………………」
ギィン「命乞いをしても無駄よ。あの男とは会わせてやるわ。あの世でな。」

ここら辺で始めるとするか。俺の特訓と最大限に絞った知恵をクソ竜にぶつけたる!!

287 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/08/27(月) 23:06:05 ID:Ebaz7kg+0



 タケ「何勘違いしているんだ……………………………!!」












 全員「えっ!?」








 
 タケ「俺のバトルフェイズはまだ終了していないぜ!!」






288 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/08/27(月) 23:07:31 ID:Ebaz7kg+0
ギィン「な、何じゃと!?立ち上ってくるとは!?」
ムーン「う、嘘でしょ………信じられない……」
  リア「もょもとさん!!」
サマル「もょ!!」

  タケ「みんなすまん。心配かけたな。」
ムーン「か、体は大丈夫なの!?」
  タケ「ちょっと怪我した程度だ。心配するな。さぁ、仕切り直しだ!再開するぞ!」

ギィン「貴様……………しつこい奴じゃ!叩き潰してくれるわ!!」
ギィンが大きな尻尾で攻撃を仕掛けてくるが咄嗟に大防御の体制をとった。

ギィン「た、耐えやがった!!」

 タケ「おいおい、こんなもんか。って言ってもけっこー痛かったけどな。」

ギィン「ならばわしの連続攻撃を耐えれるかどうか試してやるわ!!」

ギィンが炎を吐いてきた。ここは何とか凌ぐ様に耐えよう。
 タケ「くっ……………まだまだ!」
ギィン「ならば次はこれでどうじゃ!」

今度は吹雪を吐き出してきた。これがチャンス!!

 タケ「メラッ!!」

よし!うまく剣に融合させることが出来たで!!

ギィン「馬鹿な!魔法剣で吹雪を無効化にするとは…!!」
 タケ「食らいやがれ!火炎斬り!!」

クリーンヒット!!っと思ったが直前で少し避けられた。流石もょが苦戦した相手や。

289 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/08/27(月) 23:08:20 ID:Ebaz7kg+0
  タケ「ちっ!外してしまったか。」
ムーン「もょもとが…………呪文を…………いつの間に…………しかも魔法剣まで……」
  リア「すごおぃ!」
サマル「こ、これないけそうだ…………………頑張れ!!」

3人に驚きと歓喜の表情見れた。何とか戦闘体制に戻すことが出来たで。

 ギィン「まさか……その剣は……レヴァティンか!?」

いや、普通の魔法剣なんやけど。ハッタリかますか。

 タケ「そうだ。まさか俺がレヴァティンを精製出来るとは思わなかっだろう?」

ギィン「ぐっ………」

 タケ「お前のトラウマを突いて攻撃してやる。ご先祖に代わりとどめを刺してやろう!」

ギィン「ククククク……………ハーッハッハッハッハッハッハッ!!!!ハッタリはよせ!!」
 タケ「な、何がおかしい!?」

いきなりクソ竜が笑い始めたがな。気持ち悪い。

ギィン「レヴァティンはその程度の火炎ではないわ!しかもたかが鋼の剣に呪文と融合させただけではないか!」
 
あっさり見抜きやがった。陽動作戦は失敗か。

ギィン「それにまさかこんな所でめぐり合えるとはな!貴様の呼吸…行動…剣技…思考…何もかもが別人じゃ!!」

 タケ「何だと!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

更に俺の存在までを見抜きやがった!!


290 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/08/27(月) 23:10:53 ID:Ebaz7kg+0
サマル「ど、どう言う事だ!!」
ギィン「その男の体内に二人分の魂が入っているんじゃ。」
ムーン「な、何を根拠に言っているのよ!!」

ギィン「並の人間では見抜けぬがワシには誤魔化すことは不可能!!
    何故なら、その男の魂をこの世界に呼び寄せたのはワシだからじゃ!」

 リア「ええっ!!」


3人が俺を見つめてきた。−−−−−−−−誤魔化しがきかん。−−−−−−−−−カミングアウトするか。

  タケ「このおっさんが言っているのは事実や。ここまで的確に言われるとは思わんかったわ。」


  リア「は、話し方が変わっちゃった?」
  タケ「もょのためにもばれたらアカンなーって思っていたんやけど、まさか俺をこの世界に呼び寄せた張本人がおるとはの。」

ムーン「貴方は……一体何者なの!?」
  タケ「それは……」


ギィン「ワシが貴様を呼んだ事情を話してやる。混沌の戦士(カオス・ソルジャー)よ。」
 タケ「何言っているんや?誰が混沌の戦士やねん。中二病か?このクソ竜が。」
ギィン「その訳を話してやる。とりあえず聞くがいい。」
 タケ「……………………………………」


何を根拠に言っているんだ?しかし、この世界に俺の存在意義が聞ける機会だ。
聞くだけ聞いてみるか。



291 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/08/27(月) 23:12:27 ID:Ebaz7kg+0
ギィン「…我が竜人族は絶滅寸前。そこで異世界から部下を集めるようにとあるお方からの
     指示でその呪文を授かりワシ等の手駒にしようとした訳だ。」

 タケ「ほー、しかし俺の世界には何千何億という人間や生物がるんやけど、どういうつもりや!?」
ギィン「貴様がある時から破壊衝動が大きくなり、負の理念が増幅された。その理念が我々が望む理想の混沌の戦士。
    呪文との波長が貴様の波長と一致したため呼び出したのだ。不具合があったため、肉体までは一緒に呼び出せなかったがな。」

 タケ「−−−−−−−−−−−−それで?」
ギィン「そこで魂を入れる器が必要だったのだ。恐怖に駆られた人間が必要となった。」
 タケ「それでもょを選んだわけか。」

ギィン「まさか器がアレフの子孫とは思わなかったがな。そこで一つ提案がある。」
 タケ「何やて!?」
ギィン「我々の配下になるのなら仲間の安全を保障しようではないか。その方がお前の器も喜ぶであろう。
    どうじゃ?」

確かに美味しい話だ。しかし必ず裏がある。俺はとっさに答えた。

 タケ「だが断る!!」

ギィン「何じゃと……」

 タケ「いかにも確実に勝ち誇っている奴に「NO」と断ってやる事や・・・まして150年たった今も
    憎しみ続けている奴など信用できへんわい!俺の世界でも同様にお前みたいなド腐れ国家があるもんでな。」

ギィン「貴様………我々に歯向かうのならば器ごと嬲り殺してくれるわ!!」
ギィンが爪で攻撃を仕掛けてきたがとっさに剣で受け止めた。が、かなりの威力だ。

 タケ「ぐっ・・・・・・だあああああああああああ!!負けっかああああああ!!」
……………………………………何とか攻撃を仕掛けたのだがあまり効果がない。
いくら呪文で攻撃力を上げても当たらなければ意味がない。

292 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/08/27(月) 23:13:26 ID:Ebaz7kg+0
ギィン「パワーやスピードもアレフの子孫よりも劣るか。混沌の戦士よ。情けないのぉ。」
 タケ「まだまだぁ!!」
ギィン「ならばこれでどうじゃ!!」


今度は突進してきた、スピードが遅い分回避は出来そうだが−−−−−−−−−−−−−−後ろにリアがいる。
彼女が危ない。即座に大防御をしたのだが吹っ飛ばされた。


 タケ「ぐはあっ!!こ、これはかなりきついがな………大防御してこれかよ……予想外やで。」
 リア「だ、大丈夫…?」
ギィン「貴様も愚かな男よ。そんな女などほって置けば回避できたものの……」
 リア「えっ!?」

 タケ「知るかアホォ!たまたまや。お前の力量を測っただけや。それに友との約束もあるからなぁ!」
ギィン「くだらんのぉ………約束など。強気になっても形勢逆転は出来ん!!」

 タケ「だからどうしたぁ!まー今のアンタには一生分からん事や。てか、単細胞には理解できない難題でっか?」
ギィン「なんじゃと!?」


 タケ「こいや!それでも竜人族は臆病モンの種族かオイ!?俺ごときに威圧されて全く情けないわ!!」



さあ挑発に乗ってくるか!?

ギィン「ならばもう一度吹き飛ばしてくれるわ!」

案の定乗ってきた!



293 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/08/27(月) 23:14:08 ID:Ebaz7kg+0


こんな化けモン通常の攻撃では返り討ちできねぇ。しかも魔法剣を精製するほどの時間もない。大防御しても完全に防げない。














          な          ら          ば          !          !















294 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/08/27(月) 23:14:45 ID:Ebaz7kg+0
ギィン「何ィ!!突っ込んできたじゃと!!ぐひゃああああ!!」


何とか捨て身のカウンターで会心の一撃を食らわす事が出来たが……………俺自身も衝撃の反動によりおもいっきり壁に叩きつけられた。


 タケ「グバァ!!ガハッ!!ガハッ…………ヒュー……ヒュー………」

これはやべいわ!ボディブローを鳩尾にまともに打たれて、悶絶し、息苦しい状態に似ている。いや、それ以上に苦しい。
けど今更倒れるわけにはいかん。

ギィン「ハァッ!ハァッ!……まさか相撃ちを狙うとわのぉ。しかし顔色も青くなっているようだな。ククッ………」

やはりチアノーゼか。そんな事より早く呼吸を整えねないと、攻撃態勢がとれねえ!
ここは喰いしばれ!!
 
 タケ「あ、甘くみんなや…まだ倒れへんで…俺は…」
ギィン「貴様みたいな欠陥品などいらん!他の者と仲良く死ぬが良い。」

こんな状態で勝てる方法がみつからねぇ。どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?





いや、一つだけある!!







295 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/27(月) 23:15:17 ID:RyS+CCfH0
支援

296 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/08/27(月) 23:16:08 ID:Ebaz7kg+0
  タケ「ムーン…」
ムーン「な、何よ。」

  タケ「アンタに頼みがある。これを―――――――――――――――」

ムーン「ええっ!?そんな事は無茶よ!!貴方が何者か知らないけど危険すぎるわよ!!」
  タケ「もょとの誓い俺にはあるんや…この勝負は絶対に負けられへん…頼むで…」


何とか協力要請が出来たみたいだ。俺も準備をするか。決着をつけるための。


ギィン「最後に言い残すことは無いか?」
 タケ「この勝負、俺らの勝利で終わるわ。俺のミソっかすの魔力と生命力で魔法剣を作り出すわい!!見とれ!!」


全身を炎を出すことに集中させる事によって魔法力が切れた状態でも火炎球を出すことが出来た。
後は剣と炎を融合させ、全力で突っ込む準備が整った!


ギィン「ふぅん…ならば貴様の覚悟を見せてもらおうか。」
 タケ「今からいくで……たあああああああああああああああああああ!!」


突き足す体制でギィンに全力疾走で向かっていった。


ギィン「最後は見苦しい捨て身の攻撃か。ならばこの爪で大きく引き裂いてやろう!!」
ギィンが大きく降りかかろうとした時………



297 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/27(月) 23:19:53 ID:7B/73cJ1O
支援します!

298 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/27(月) 23:23:26 ID:VUB7H2Br0
支援

299 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/27(月) 23:53:16 ID:TKD6JCYl0
規制されて続き投下できなさそうなら、
今日はここで終了するか規制解除まで待つか、
避難所の職人スレに書いてもらえれば転載しますよ。

300 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/27(月) 23:59:05 ID:Z8Rlkh4U0
タケ、かっこよすぎ。
支援体制に入る。

301 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/08/28(火) 06:20:20 ID:f53cRkM+0
ムーン「バギッ!!」
ギィン「か、加速したじゃと!?まずい!!」

ムーンが俺の背中にバギを唱えてくれた影響でスピードが瞬間的に速くなった。これを利用して―――





 タケ「疾風火炎斬り!!」




腹部に潜り込む事が出来た以上に全体重をのせて斬り込む事に成功した。

 タケ「や、やったぞ……!!おっしゃああああああああああああああああああああ!!」

無事に上手くいって良かった。しかも、おまけにギィンが元の老人お姿に戻っていった。
確実に止めを刺したっていっても過言ではない。

もょとの約束が守れて一安心や。後はもょの目を醒めるのを待つだけか。

サマル「う、嘘だろ…」
 タケ「どうした!?」
サマル「う、後ろ…まだ立ち上がってくるとは…」



何とギィンがまだ生きていたのだ!!!!

302 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/08/28(火) 06:21:25 ID:f53cRkM+0
ギィン「流石……混沌の戦士じゃの……アレフの子孫が斬り込んだ後、更に同じ箇所を斬り込むとは……」
 タケ「くっ………」

その時俺はギィンの威圧感に飲まれていた。

あれだけ斬り込んだのに―――――――――――――――
ムーンと連携して自分の体を痛めながら――――――――――――
全力を出し切ったのに―――――――――――――――

ギィン「まだ…………ワシは……………………負けとらんぞ………………」
全く動けねぇ。相手は瀕死の状態にも拘らず動くことが出来ない。



『もういい!やめろギィン!!もう決着はついている!!』



 タケ「だ、誰やっ!?」

ギィン「りゅ、竜王様………………………………」

もょもと&タケ
Lv.18(Level 2up!!)
HP:  12/130 
MP:  0/  9
E鋼の剣 E鋼の鎧 E鉄兜
特技 共通技:チェンジ
 もょもと専用:隼斬り・魔人斬り・ドラゴン斬り
 タケ専用  :かすみ二段・強撃・ゾンビ斬り・大防御・メラ
        火炎斬り(New!!)

303 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/08/28(火) 06:27:39 ID:f53cRkM+0
昨日は規制の影響で諦めて寝てしまいました。
すいません。
支援された方々ありがとうございます。

304 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/28(火) 13:24:02 ID:MAxSNjrP0
遅くまでおつかれさまでした。
(初代?)竜王きたーーーっ!

305 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/28(火) 15:09:36 ID:f7VyWLKVO
乙でがんす。
こんな展開になるとは思わなかった。

306 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/28(火) 18:45:27 ID:jGO8Fpw10
やはり
タケ「何勘違いしているんだ……………………………!!」
タケ「俺のバトルフェイズはまだ終了していないぜ!!」
に噴いたw

中の人絶対王様だろw

ずっとタケのターン!!

307 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/28(火) 20:52:18 ID:/RWutXaEO
レッドマンキタキタキタキタキタキタキタキタ━━(゚∀゚)━━

激しく乙です。


タケかっこぇぇぇ(゚∀゚)
でもまさかの展開!
続きwktk

308 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/29(水) 11:19:28 ID:qH0CC+U20
レッドマン帰ってきていたのか!
熱い展開が良かった。


309 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/30(木) 10:35:39 ID:o9+ygR1Z0
レッドマン乙。
んで保守っとな。


310 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/08/30(木) 20:13:07 ID:LkxmOvWM0

    〜作り合わされし世界〜


    → 冒険をする
         1:しなの  Lv5
         2:ヨウイチ Lv6
       → 3:タロウ  Lv3

311 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/08/30(木) 20:14:15 ID:LkxmOvWM0
・第3話 タロウの犬予言

その夜、僕は夢を見た。
きれいな町、美しい空、空飛ぶベッド……
えええ! いやー! ベッドが空を飛んでるー!

『あら、可愛らしい犬がいるわ。』
『今は犬に構っている場合じゃないぞ。』
ベッドから降りてきたお兄さんとお姉さんが僕に気づいて近づいてきた。
空飛ぶベッドに乗っているなんて宇宙人じゃないよね……
『ふふふ、空飛ぶベッドが珍しいのかしら?』
『そりゃそうさ。俺も始めてみたときは驚いたよ。まさに夢の世界だな。』
『ええ。もう2度とここへ来ることはないと思っていたのに……』
『再び夢と現実の境目があいまいになってきている。何かが起ころうとしてるんだ。』
『夢と現実だけじゃない。私たちが知らない世界とも混ざり合おうとしているわ。』
なんだか難しい話をしているね。
『どうした、ミレーユ、ハッサン。』
今度はつんつん髪のお兄さんがベッドから降りてきた。
『犬か。お、人懐っこい犬だな。よしよし。』
お兄さんが僕の頭をなでてくれる。
あれ、このお兄さんの匂い、勇者さんに似てる気がする……。
『ねえ、この子何か不思議な感じがするわ。』
『この犬が? しかし犬に話を聞くわけにはいかないしな……』

『分かるかもしれないわよ、犬の言葉。』
どこからか女の子の声が聞こえてきた。
その女の子の姿を見たときベッドの人たちはなんだかとっても驚いていた。
『バーバラ……』
『みんな久しぶり! デスタムーア倒したとき以来だね!』

312 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/08/30(木) 20:15:16 ID:LkxmOvWM0
よく分からないけど、なんだか感動の再会をしているみたい。
『また……こうして会えるとは思わなかった。これは夢か。いや夢には違いないか……』
『ねえ、落ち着いてよ。……私も会えなんて思ってなかった。』
つんつん髪のお兄さんと髪を頭の上で結んだ女の子はなんだかうれしそう。
この2人は昔何かあったのかなぁ。僕、犬だからよく分からないけど。
『皮肉なものだな。誰よりも平和を愛する2人。
 この2人が出会うことができるのは世界が危機になったときだけなのだから。』
ハッサンという人が何かかっこいいことを言っているみたい。
きっとこのハッサンさんはかっこいい人なんだね。僕、犬だからよく分からないけど。

『さあ、この子の話を聞きましょう。』
やっと僕のことを思い出してくれたみたい。
ミレーユさんとハッサンさんは情報集めに行ってしまっている。
なんだか2人きりにしたかったみたい。僕は犬だから関係ないね。
『話を聞くって、どうするんだ?』
『ここは夢の世界よ。なんだってできるんだから!』

僕たちはジョンという人の家の前に来ていた。ジョン君は空飛ぶベッドの元の持ち主なんだって。
『わかりました。この子の言っていることを通訳すればよいのですね。
 いえ、私もみなさんのお役に立ててうれしいのです。犬は一度受けた恩は忘れないものですから。』
この家の前にいる人なら僕の言葉が分かるらしいよ。本当かな。
『それじゃ、この犬の名前とどこから来たのか聞いてもらえるかな。』
『ああ、駄目よ。見た目は人間でも相手は犬なんだから、もっとゆっくり聞いてあげないと。』
この人は夢の中では人間だけど現実では犬なんだって。変なの。
『言いたいことが伝わらないのは誤解の元よ。』
『そうだな。じゃあ、まずはこの犬の名前を聞いてもらえるかな。』
男の人がうなずくと僕に話しかけてきた。
「君の名前を教えてくれますか?」
男の人が犬の言葉でしゃべっている!
凄い! 本当にお話できるみたい!
僕はこの不思議な男の人を通していろんなことを話した。

313 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/08/30(木) 20:16:17 ID:LkxmOvWM0
『うーん。やっぱりこの子こっちの世界の犬じゃないみたいね。』
『こっちの世界じゃないというのは現実の世界ということか?』
『ううん。夢でも現実でもない、今繋がっている世界でもない。さらにその外側の世界……』
『やれやれ、世の中ってのはどこまで広いんだ。』
『こんな噂を聞いたわ。異世界の迷い込んできた人間がいて、彼らが元に戻るためには石版が必要だって」
『石版?』
『魔力のある石版には何かを封じる力があるそうよ。世界の一部とか魔王クラスの魔物とかね。』
『おいおい、この犬が魔王だっていうのか?』
『そうじゃないわよ。そんな石版なら違う世界のものでも封印できるかもしれないってこと。』
『封印か……』
『石版はかけらになっていて異世界の人間だけがいける不思議な神殿に収めるそうよ。』
僕は犬なんだけどね。
『世界の命運はこの犬が握っているってことか……』
バーバラさんが通訳役の人を通して僕に話しかけてくる。
「ここは夢の世界なの。あなたはもうすぐ目が覚める。そうしたらあなたは石版を探すのよ。」
石版を集めて神殿に行く。これが僕がお家に帰る方法らしい。

『しかし、違う世界って言うのは凄いな。普通の犬が鉄の爪を装備しているんだから。』
『それはこっちの世界でつけてもらったんじゃないかな。』
『……そうだよな。いや、鉄の爪を装備している時点で普通の犬じゃなかったんだよな……』
『ねえ、落ち着いて。こんなことで落ち込まないでよ。』
『そうだな。よし、俺からもタロウにプレゼントをあげよう!』

タロウは鉄の胸当てを装備させてもらった!

世界を頼むと言ってお兄さんたちは行ってしまった。

314 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/08/30(木) 20:17:33 ID:LkxmOvWM0
「ねえねえ、『恩を忘れない』って、あのお兄さんたちは何をしてくれたの?」
「私のご主人様が旅立つために必要なものをくれたのです。」
「へえ、何をもらったのかな。」
「旅立つために必要なもの。それは勇気ですよ。」
勇気? 石版探し旅をする僕にも必要なものなのかな……。

タロウはすてみを覚えた!
タロウはみがわりを覚えた!

『なあ、あんた。犬と話ができるのか?』
『ええ。 出来ますよ。』
通訳してくれた男の人に別の男の人が話しかけてきた。
その男の人は鳥みたいなモンスターの口を押さえている。ううう、怪しいよー。
『面白そうだな。ちょっとやってみてくれよ。名前はなんて?』
「僕ゲレゲレ! じゃないタロウだ!」
『ゲレゲレじゃないだろうか。と言っています。』
『何で自信なさげなんだ? まあいいや。 ゲレゲレは石版について何か知らないか?』
「ゲレゲレじゃないよ目が覚めたら探すの。」
『ゲレゲレにはいない嫁探しならするそうです。』
『え、嫁探しだって? 石版は知らないのか……
 じゃあ、不思議な神殿の話を聞いたことは?』
「神殿は知らないよ。行かなくちゃいけないんだけど。」
『死んでも知らない。行けないと言っています。』
『ん… よくわからない答えだけど…
 神殿についてもっと詳しく聞いてくれないか。』
「僕も行きたい。だから戻らなくちゃいけないんだ。」
『生きたいなら戻らなければならない、と言っています。』
『え。どういう事なんだ…… なるほど…… よくわかったよ、ありがとう。』
ううー、もうちょっとゆっくり話してよ。なんだか話が通じてない気がする。

第4話へ続く

315 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/30(木) 21:43:59 ID:1v9OF8Lu0
ちょwwwwなんというネ申通訳をしてくれたんだクリアベールの犬www
ヨウイチさんと出会ったゲレゲレの謎が解けたよ

316 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/31(金) 00:10:39 ID:+RX80m9u0
乙ー
この展開というか演出というか、
誤訳がすごすぎる。
とりはだたちまくりwwwww

317 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/31(金) 17:05:55 ID:CLk7GkhK0
         m              \ l|l l|l l|l l|l l|l l|l l|l l|l l|l l|l l|l l|l l|l l|l /
          /              三                       三
  もふっ                   三  モフモフ キタ━━━(゚∀゚)━━━???  三
       ト:'"゙"'っ    ピ        三                       三
      <c,,. _,っ  ヽ  ョ        / l|l l|l l|l l|l l|l l|l l|l l|l l|l l|l l|l l|l l|l l|l \
    /^l'"'"~/^i'ツ'ッ.,   :   イ              ∧_∧
  ヾ          ヾ  i  ン            (∀゚  )
  ミ ´ ∀ `      彡 :              と[ V  フつ
  ッ       _    ミ  | ,. - 、           |(⌒ヽ>
 (´彡,.     (,,_,ノ  _,,.ヽ  レ'    Y⌒          ̄ヽ_)
     "'"'゙''""''''゙""´
                     ヽ_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_人_ノ
       ハ,_,ハ    m       )                       (
  ?   ,:' ´∀';   ノ    r 、  ) うおぉー 俺にもモフモフさせろー!! (
    l^ヽ'"'"~/^i'ツ'∧_∧ /    )                       (
  ヾ        'ミ,    )   __Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y
  ミ  ´ ∀ `  と,   ヽ ==--- ̄ ̄
  ッ       _   "ミ__>  ====----
 (´彡,.     (,,_,ノ  _ヽ_)_)
     "'"'゙''""''''゙""´
              バフッ


318 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/31(金) 20:42:59 ID:Juii1J8S0
そうか。あの神殿の話は誤訳だったのか・・・。
うーん、タロウくん、めげるな・・・。

319 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/31(金) 22:56:44 ID:1rrANIVDO
ちゃんと訳せwww


とりあえず乙であります。

320 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2007/09/02(日) 15:41:25 ID:Leuix2Jj0
お疲れ様です。
まとめサイトを「九泊目」まで更新しました。
10泊目からはまだまとめていません。
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html

321 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/02(日) 20:55:11 ID:pC3vLNNpO
タカハシ氏乙!

322 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/02(日) 21:30:31 ID:9DKAE8VMO
>>320
お疲れ様。
つ@

323 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/09/03(月) 21:26:57 ID:0S4wv/gW0

    〜作り合わされし世界〜


    → 冒険をする
         1:しなの  Lv5
         2:ヨウイチ Lv6
       → 3:タロウ  Lv4

324 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/09/03(月) 21:28:14 ID:0S4wv/gW0
・第4話 タロウの犬誤算

目が覚めると僕はきこりさんの家にいた。
「よく眠れたかなゲレゲレ。いやタロウ。」
「あのね、変な夢を見たんだ。石版を探して神殿に行かなきゃ行けないの。」
「夢のお告げか。お前はそれを信じるのだな。冒険を続けるなら一度エンドールまで戻ったほうがいい。」
「どうして?」
「ここから先は砂漠だ。とても犬一匹では越えられまい。エンドールの先にいけば旅の扉と呼ばれるものがある。」
「旅の扉ってなあに?」
「私も詳しいことはわからぬが空間をつなぐものらしい。お前が異界から来たというのなら何かヒントがあるかもしれない。」
「ふーん不思議だね。ありがとう。僕行ってみるよ。きこりのおじさんと勇者さんにもありがとうが言いたかったよ。」
「人間が犬の言葉を理解できぬのが残念だな。その勇者殿も世界の異変を調査するためにかつての仲間たちと旅に出た。」
「そうなんだ。」
きこりのおじさんは勇者さんが持ってきたスープをおいしそうに飲んでいる。
「あのスープおいしかったよ。僕ね、おいしいものが大好きなんだ!」
「それはよかったな。」
「おじさんも僕と一緒だね。残り物が大好きなんだね。」
「……人間が犬の言葉を理解できない方がいいこともあるようだ。」
あれ、僕変なこと言ったのかな?
「私からの餞別代りだ。ひとつ技を教えてやろう。危険だと思ったら使うといい。」

タロウはすなけむりを覚えた!

僕は再びお礼を言うと旅の扉を目指してきこりさんの家を後にした。
ゲレゲレという名前ともお別れだ。
きっと人間にこんな変な名前をつけられた動物は僕だけだろうな。

小さな建物の中に青い渦のようなものがあった。これが旅の扉なのかな?
飛び込むのは怖いけど旅立ちには勇気が必要だという言葉を思い出して僕は渦の中に飛び込んだ。

325 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/09/03(月) 21:29:20 ID:0S4wv/gW0
僕はぐるぐる回ってやっと渦から抜け出した。
気持ち悪いよぉ……
ここはどこだろう? さっきよりも大きな建物みたいだ。あ、誰か人がいるよ!
『何だお前は。俺様の子分にしてやろうか?』

……僕は今、コリンズという子の子分をしています。
『いいだろう、新しい子分を手に入れたんだ。』
『わー、かわいい犬だね!』
『いいなー。』
コリンズ親分は遊びに来た男の子と女の子に僕を紹介している。
僕は石版を探さなきゃいけないのにな。僕は小さく「くーん」と鳴いた。
『ねえ、コリンズ君。この子何かを探しているみたいよ。』
「え! 僕の言葉がわかるの?」
『うん。ねえ、何を探しているのか教えてほしいの。』
女の子は僕の言葉がわかるみたい。この世界は不思議な人がいっぱいだね!
僕は女の子に石版の話をした。

『このこの名前はタロウで、元の世界に戻るために石版を探しているんだって。』
『ねえ、コリンズ君。タロウを連れて行っていいでしょ。』
『よし! 親分からタロウに石版探しを命じる!』
そんなわけで男の子と女の子と一緒に石版を探しにいくことになったよ。

326 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/09/03(月) 21:30:45 ID:0S4wv/gW0
『ねえ、お父さん、この子連れて行ってもいいでしょ。』
『ちゃんと面倒見るから。』
2人はお父さんに僕を飼ってくれるようにおねだりしている。
『いいんじゃないかな。でも、ちゃんと面倒見るんだぞ。』
お父さんは連れて行ってくれそうだね。
『でも結局面倒見るのはいつもモンスター爺さんですよね。』
と、お父さんの家来みたいな人が言う。
って、モンスター爺さんって誰ー!
『そういえばルドマンさんが不思議な石版を手に入れたって話を聞きましたよ。』
『本当なのピピン。それじゃサラボナに行ってみようよ!』
『その前にタロウをみんなに紹介しておこう。おいでタロウ。』
お父さんが僕を馬車に連れて行ってくれる。僕、お馬さんってはじめて見たよ。
そんなことを思っていると馬車の中から大きな猫が出てきた。モンスターだ!
『怖がらなくていいよ。とってもいい子なんだ。』
そういえばいやな感じはしないや。すごい、モンスターを仲間にしちゃったんだ!
『紹介しよう。キラーパンサーのゲレゲレだ。』
いたー! ゲレゲレいたよー!
『せっかくだから面白いものに乗せてあげよう。』
1人ではしゃぐ僕の目の前でじゅうたんが広げられる。
みんながじゅうたんに乗るとふわふわと浮き上がった。
『驚いたかい? 魔法のじゅうたんなんだ。』
凄い! 僕車に乗せてもらう時は窓から顔を出さなきゃいけないけどこれなら必要ないね!
なんてことを考えていたけど乗ってみると空飛ぶじゅうたんって怖いよー!
怖がる僕とみんなを乗せてじゅうたんはサラボナという町を目指して飛んでいった。

第5話に続く

327 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/03(月) 21:32:36 ID:FRjKBRgM0
タロウ乙!

328 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/03(月) 21:33:17 ID:zyjdMR3d0
乙です。
ゲレゲレw

329 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/03(月) 21:52:11 ID:kLrn9XCY0
こんどは言葉が通じてよかった。
石版、みつかるといいね。

330 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/03(月) 22:29:38 ID:3Cq/aB4K0
ゲレゲレ実在するんだよタロウw
サブタイトルを犬冒険とか犬誤算とか
「大」を「犬」にしてるとこが密かに好きだww

331 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/03(月) 22:29:46 ID:OI5iIx2ZO
キラーパンサーもゲレゲレwwwwwwやっぱりネーミングセンス遺伝wwwwww

332 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/04(火) 10:54:17 ID:B41bcd2+O
タロウの奇妙な災難感じって感じですなぁ。

333 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/06(木) 07:07:20 ID:u8Jb8GU0O
タロウ可愛いよタロウ

334 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/09/06(木) 19:51:29 ID:jvj/AXYw0

    〜作り合わされし世界〜


    → 冒険をする
         1:しなの  Lv5
         2:ヨウイチ Lv6
       → 3:タロウ  Lv5



335 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/09/06(木) 19:52:44 ID:jvj/AXYw0
・第5話 タロウの犬決戦

サラボナの町につくとお父さんたちは大きなお屋敷の中に入っていった。
僕は男の子と女の子といっしょに外で待つことになった。
ずっと気になっていたんだけど男の子は誰かの匂いに似ている気がするよ。誰の匂いだろう?
『あ、リリアンがいる。ほらタロウ、かわいい子がいるよ。』
男の子が指を差す先にはメスの犬がいた。
「こんにちは! 僕、タロウ。」
「はじめまして。私の名前はリリアンと申しますわん。」
「リリアンさんはこのお屋敷で飼われているの?」
「そうですわん。私、飼い主のようなお嬢様を目指しておりますの。」
「わー面白そう! 僕もお嬢様になる!」
「……それはちょっと難しいと思いますわん。御覧なさい、あの子も笑っていますわよ。」
僕の言葉で女の子がくすくすと笑っている。
「飼い犬は飼い主に似るといいます。あなたの飼い主は面白い方なのでしょうね。」
「ふーん。飼い犬はご主人様と似てくるんだ。」
「そう。飼い犬というのは自然と飼い主の真似をしてしまうものですわん。」
「そうなんだ。」
「主人だけではなく戦いの相手の技を真似るというもの有効ですわん。」
ふーん。僕も真似してみよう。

タロウはまねまねを覚えた!

「あれ、ご主人様が面白いって、僕が面白いってことだよね?」
「そうですわん。お嬢様はあまり直接的な表現はしないものですのよ。」
「うう、面倒くさいなー。」
やっぱり僕にお嬢様は向いていないみたい。
それにしてもリリアンさんのしゃべり方ってどこか不自然だよ。
どこか不自然なのか犬の僕には難しくてわからないけどさ。

336 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/09/06(木) 19:53:46 ID:jvj/AXYw0
『ルドマンさんがタロウの力を見てみたいそうです。』
『どういうこと?』
お屋敷から戻ったピピンさんの言葉に男の子が質問する。
『タロウの話では石版というのは大切なものだろう?』
『うん。そうよ。』
お父さんの言葉に今度は女の子が答えた。
『タロウにその石版を神殿に持っていけるだけの力があるのかどうか知りたいというわけなんだ。』
『そっか。それでタロウは何をすればいいの?』
『戦っているところを見せればいいんだ。仲間の誰かを相手に戦ってもらおう。』
『タロウ戦えるのかなぁ。』
『見たところそれなりの戦闘を経験しているようだね。』
『わかった。タロウ、お外に行くよ。』
ううー、戦うのはいやだけど仕方ないみたい。

『この犬がタロウか。ふーむ、どこからどう見ても普通の犬だな。』
うん、僕は普通の犬だよ。
『いや、見た目は普通だが石版を欲しがるとはおかしな犬だ。』
おかしくないよ。このおじさんがルドマンさんらしい。

『メッキーが相手になってくれるそうだ。』
馬車から鳥さんみたいなモンスターが出てきた。
『バトルスタート!』
始まりの合図とともにメッキーさんが飛び掛ってくる。
僕はすばやく横に飛んでよける。
攻撃が外れてメッキーさんは岩にぶつかった。
隙だらけになったメッキーさんに僕はすかさず噛み付く。
逃げようとするところをなめまわしで動きを封じる。
戦いは僕のペースだ!

337 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/09/06(木) 19:55:39 ID:jvj/AXYw0
そう思った瞬間メッキーさんの周りをきれいな光が包み込む。
『あれは回復呪文のベホイミという魔法なの。』
不思議そうな顔をする僕を見て女の子が教えてくれた。
それって何? うわー、傷が見る見るふさがっていくよ!
元気になったメッキーさんが息を吸い込むと口から何かを吐き出してきた。
「うひゃあ! 冷たい!」
冷たい息が襲い掛かってきた! 何でそんなもの吐けるのー?
びっくりしている僕に間髪いれずメッキーさんが攻撃をしてくる。
僕はその攻撃をまともに食らってしまった。
ううー、痛いよぉ……

メッキーさんが再び息を吸い込んだ。
僕はその攻撃を受けるべく身構えた。
冷たい息を受けきると僕は同じ技で反撃した。
さっき覚えたまねまねの特技だ。
あれ? 僕、氷を吐き出してる!
みんなびっくりしてるけど1番驚いているのは僕だよー!
僕、普通の犬じゃなくなっちゃったのー!
何とか気を取り直し鉄の爪で攻撃を仕掛ける。
するとメッキーさんがまた魔法を使ってきた。
『あれはラリホーだ!』
男の子がそう言うのが聞こえたと思うと同時に、僕は急に眠くなった。

寝・ちゃ・駄……目…………だ…………

そう思う気持ちはだんだん薄くなって、僕はその場で眠ってしまった。
僕は負けたんだ。

第6話に続く

338 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/06(木) 20:43:09 ID:OB7FWzr30
タロウくん、実は結構つよかったのねん・・・。
でも、ぴんち・・・。

ルドマンさんの試験、合格できるのかな。

339 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/06(木) 21:32:50 ID:qaYfrpht0
タロウの特技が増えていく過程がいつもさりげなくていいね
そして戦闘センスが結構良いwwww

340 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/07(金) 19:49:20 ID:Zza8sBNz0
小学校のとき、先生に知能に障害がある子のうちに遊びに行かされた
彼は脇目もふらずにドラクエ3をやっていて、正直、「こいつでもドラクエとかわかるんだなあ」と思った
三十分ほど彼のプレイを見ていて、とても悲しい事に気が付いた
彼がそのゲームでやっているのは、アリアハンの周りでスライムとカラスを倒す、ただそれだけだった。パーティにただ一人の勇者のLvは50を越えていた。彼は永遠、素手でスライムを殺し続けた
とても楽しそうだった
先に進めてやろうと思い1コンに手を伸ばしたら凄い剣幕で怒鳴られた。なんて怒鳴られたか聞き取れなかったけれど、とにかく怒鳴られた
それを見て彼の母親が「ごめんなさいね、○○ちゃんはファミコン大好きのよ」と僕に謝った
彼はドラクエ以外のソフトは持っていなかった

僕はそれ以来、ゲームをやらなくなった。以前のようにゲームにのめり込めなくなってしまったのだ。コントローラーを握るとやるせなくなった。友達の家に行ってもみんながやるのを見ているだけだった
その間、僕はゲームに興じる友達の背中だけを見るように努めた
本当にむなしかった
その内に、僕はファミコンを憎むようにさえなった。今までの人生の中で、あんなに何かを憎んだことはない
それは真夜中に僕を目覚めさせた
ゲームなんかこの世からなくなってくれと本当に願った
僕はソフトを彼に全部あげて、本体は捨ててしまおうと思ったが、兄に怒られそれすらできなかった。
一人暮らしをしている今でもゲームは嫌いだし、もちろん家にも置いていない。

時々、彼と、永遠に世界を救えなかったであろう彼の勇者の事を思い出すと、とても悲しくなる

341 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/07(金) 19:50:43 ID:/z9vOO900
 

342 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/07(金) 20:02:07 ID:rxV08rWL0
泣いた……

343 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/07(金) 20:31:09 ID:YplNzGR5O
>>340
コピペ乙

昔どこかで読んだが、悲しくなったなぁ

344 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/07(金) 23:36:55 ID:mw0nHvHnO
スライムと大烏でlv50にするのって何年かかるんだ?

345 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/08(土) 01:46:55 ID:n40PNC+L0
最近合作以外の職人さん来ないな(´・ω・`)

あとオレは今でも総長や隙間風氏を待ってる。

346 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/08(土) 13:41:36 ID:E/OXpE260
スライムとか大ガラスとかって、せいぜい経験値2〜3くらいだよね。
敵が複数あられることもあるから一回戦闘当たり平均6くらいもらえるのかな。
レベル50になるのに必要な経験値は1,546,436だそうです。

およそ25万回の戦闘を繰り返したのだろうか。
一回の戦闘が三分だとして12886時間=536日=17ヶ月(飲まず喰わず、睡眠もしない場合)。
学校いったり(不登校かもしれんが)、飯やネル時間、ドラクエの場合はエンカウントするまで歩く時間もあるから実働が四分の一だとすると70ヶ月くらい?

実際にはエンカウントするまでの歩く時間はもっと長いから、もっと長くかかりそうですね・・・。

347 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/08(土) 15:33:19 ID:evrln1Rs0
レベル50に達するまで約70ヶ月として、6歳からゲームをスタートしてたとしても12歳ぐらい?

前半部分は分かるが、後半(語り手がゲームに対して興味を失った事)〜最後(悲しくなる)の
繋がりが微妙に理解できない。もしかして解釈間違えてるのかな?

別に延々と戦ってたって、勇者本人がそれを望めばいいんじゃないかなと思うんだけど。
父親が戦った事実とか、世界の真実とか、それを知らないままの勇者を悲しんでるのであれば、
それは単に、結末を知っている側の押しつけだと思うし、自分の手で得なければゲームを進める意味が無い。
勇者だからって死んでしまうとは情けない!とか、そんなの戦ってもないヤツに言われる筋合いないし、
そんな事言うなら最初にもっとマシな武器と金寄越せよとw
それぞれのプレイスタイルがあっても良いし、世界を救えなかった勇者だっていたんじゃないかな。
それを「悲しくなる」ってのはどうしても語り手の身勝手に思える。勇者という運命に縛られたプレーヤーの嘆きか?
語り手の「とても悲しかった」を読んで悲しくなった。そう思わせる意図だったとしたらかなり納得。

まあコピペにマジレスってあれだろうけど。特に他意はないけど思ったから書いといた。
合作も連載作もまだ見ぬ新作も楽しみにしてます。

348 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/08(土) 17:26:26 ID:OdVz7zj20
和み系・熱血系・お笑い系など色んな作品が増えてきて良いね。
職人さん達頑張ってくれ!!
読むのが楽しみなんだよ〜

349 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/08(土) 18:34:10 ID:qZ6ge7TdO
>>347
それは自分視点で解釈し過ぎw

350 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/08(土) 19:40:36 ID:QD3mjIVR0
>>244
遅レスだがGJ
いつもクソ笑わせてもらってるよ

レッドマン氏も熱いな
合作はもちろんwktkして待ってる

351 :エイコ:2007/09/08(土) 22:42:10 ID:HkNXkQ6M0
-3-

夢じゃないのか。いや落ち着け、夢だろ、傷があっただけだろ、
前に太ももに矢傷を負ったことがあったんじゃないのか?

……ねえよな。

手始めに服を着た。とりあえずジーンズとTシャツでいいだろう。
ベッドの上に投げてあったカーディガンを羽織り、座る。
ハラは減っているので、テーブルの上のサンドイッチを食べる。
よかった、ハムサンドだから悪くなってない。

バッグからマルメンを出して火をつける。くはー、この一服の為に生きてるんだよなあ。
あっちの世界では1本も吸わなかったな。持ち込み出来たらよかったのに。

野菜ジュースを飲みながら紫煙をくゆらす。
味覚オンチなので、食い合わせ飲み合わせはまったく気にならない。
それよりも、すっかり忘れているようで実体験で覚えているドラクエ8に夢中だ。
公式ガイドを引っ張り出し、サザンビークのページを開く。

「似てる……つか同じ」

PS2の電源を入れようとすると、何故か電源が入っている。
テレビを点け、外部入力に切り替えると、ドラクエ8の世界が映し出された。

352 :エイコ:2007/09/08(土) 22:43:11 ID:HkNXkQ6M0

「何で……?」

しばらくいじってないのに、何かのはずみで電源が入ってしまったのだろうか。
訝りながらコントローラーを引っ張り出す。
手の癖でルーラを開く。ん?

ルーラのリストに、ゲームではまだ行っていないと思っていたが、
サザンビーク、ベルガラックなどの名前がある。

恐る恐るサザンビークにルーラする。
到着すると急いで門へ向かう。ウッ、3D酔いがくらっと。

「ゲッ!!」

目の前に飛び込んできた画面は、宿屋から出たあの光景とまったく一緒だった。

353 :エイコ:2007/09/08(土) 22:44:44 ID:HkNXkQ6M0

-4-

やっていないゲームの続き、矢傷・・・
私は呆然とタバコを吸い続けた。

「何で……?」

ネットは怖くて見られない。
体感2週間もの間、ゲームの世界にいたなんてまだ信じられないのだ。
その分、ゲームも進んでいるなんて、どうやったってムリな話だ。
夢で片付けるには、どうにもつじつまが合わない。
どうやったらこうなったんだろうか。

玄関ドアがバンバンバン! と叩かれる。うっせえな。誰だよ。

「チョットアンタ、電気ぐらい点けなさいよッ、どーしたの?」

このボロアパート、物思いに耽る事すら出来んのか。

「開いてるよ」

一人の男が無遠慮に乱入してきた。
男というかオカマだ。
オカマというか同じアパートに住んでる学生時代の先輩だ。
ニックネームをデミーラという。
何でかというとオカマだからだ。
他に理由はない。


354 :エイコ:2007/09/08(土) 22:45:55 ID:HkNXkQ6M0
「ワイン開けてよ、栓抜き折れちゃった」

しらねえよ怪力オカマ。
見れば、ワインオープナーが無残に根元から折れている。

「何考え込んでるの? あらドラクエ8、まだやってたの?」
「……センパイに最後に会ったのっていつでしたっけ?」
「ハァ? ほとんど毎日会ってるじゃないの、アンタ大丈夫?」
そうだった、このオカマ、ほぼ毎日何か理由をつけてうちを訪ねて来るんだった。

「昨日は『飲み会だから来ンなよ!!』って、言ってたじゃない」
「そ、そうだったな、うん」
手持ち無沙汰に壊れたワインオープナーをぐるぐる回す。
デミーラは私のソムリエナイフを引っ張り出し、勝手にワインを開けはじめた。
壊すなよ。

「何があったのアンタらしくないわね」
「どーせ言っても信じてくれないから言わねえ」

すると、ワインを投げ出して私に飛びついてきた。
「言っても信じられないような体験したのッ?! 何ッ? 言いなさいよッ!!」

しばらく押し問答の果てに、私はドラクエ8体験談を話す羽目になった。



355 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/08(土) 22:47:13 ID:jVu7JRnu0
支援!!

356 :エイコ:2007/09/08(土) 22:47:14 ID:HkNXkQ6M0

-5-

話し終えると、デミーラはおもむろに立ち上がり、私のプラダのリュックにポイポイとその辺のものを入れ始めた。
「何やってるのよ」
「何やってるのよじゃないわよ、アンタ、またいつ旅立つか分からないわよッ!!」
「ハァ? せっかく戻って来たのに?!」
「何で戻って来たの? せっかくならクリアしてらっしゃいよッ!!」
「ハァ? イミワカンネ」

やっとの思いで開けたワインをがぶ飲みしながら、
ケータイー、ハンカチー、あと非常食ー、とか言いながらどんどんリュックの中に詰める。
それは非常持ち出しリュックではなくブランドもんのバックだと分かってるのだろうかデミーラ。
やがて満足したのか、留め金をパチンととめると、私に投げて寄越す。
「次行く時はソレ持ってらっしゃい!! そしてアタシも連れてって!!」
「ハァア? ワカンネって言ってるだろ、行き方なんか!!」
「大丈夫、同じことやれば行くわよ、という訳でどんどん飲め!! そして記憶を無くせ!!」
「ウッソ、マジで……」

今日が土曜日なのが災いしているのか、幸いしているのか、
これでいてデミーラは銀行員だったりするので、土日は休みだ。
「クッソ、ワケワカンネ、そうだよ、仕事どうするよ、臨職切れて」
「もー仕事なんてどーでもいーじゃないの、ドラクエの方が面白いわよ」
「あたりめーだこのオカマ」
「オカマじゃなわよバイセクシャルよ」
「どっちだっていいよもー」
「そういや矢の傷っての見せてよ」
「パンツ見えるからやだよ」
「いーじゃないの別に」
「よくねえ両刀だろうが」
「キーッ何よ乳なし〜」
「・・・メラ。」

357 :エイコ:2007/09/08(土) 22:48:09 ID:HkNXkQ6M0

ボフッ!

突如、空間に小さいけれど炎が上がった。
「ギャー!! 何すんのアンタ!! アチアチアチ!!」
炎はデミーラの髪に燃え移り、チリチリ焦げ臭い匂いがした。
あわてて台所の水で消火したが、一部消失してしまった。
「イヤー!! 月曜日からどーすんのよッ! アタシ仕事してんのよーッ!」

ていうか、メラ?
途端に怖くなる。目の前のワインをあおる。
「何なの今のッ、あぶないじゃないのよッ、どっから火出したのよっ!」
「ワカンネ、あーっ、ワカンネ!」

どぼどぼとグラスにワインを注ぐ。一気にあおる。
「チョットアンタ!! そのワイン高いんだからね!」
シラネ、ワカンネ、ドーデモイイ。
「あー、デミーラ回ってるぅ〜、キャハハハ」
「ちょっとアンタ、飲みすぎよ」
「裂けるチーズ食いた〜い」
ぐらり。視界がゆらぐ。

大の字に床に寝転ぶと、天井が渦を巻いた。
「あ〜たびのとびら〜」
そこまでしか覚えていない。



358 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/08(土) 22:48:46 ID:jVu7JRnu0
支援!

359 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/08(土) 23:17:30 ID:E/OXpE260
おおお、エイコさん、ちょーおひさしぶりです。
懐かしい&再開うれしい。
支援っ!!!

360 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/09(日) 00:37:37 ID:HYqDBxSw0
エイコキテタ――(゜∀゜)――
乙!現実世界でも呪文使えるのは怖いな。

361 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/09(日) 13:23:04 ID:bAR6LkC80
おおおおおエイコさんだ!!!続ききてすげえ嬉しいwwww

362 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/09/09(日) 23:03:33 ID:xrbETjJf0
>>234の続き


    〜作り合わされし世界〜


    → 冒険をする
      → 1:しなの  Lv8
         2:ヨウイチ Lv6
         3:タロウ  Lv5

363 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/09/09(日) 23:10:15 ID:xrbETjJf0
○第十話
   『呪われた関係』

湖での戦いを終えて無事に男を助けた後、私達のパーティーは4人となった。
新しく仲間となった彼の名はアレル。
アレルもまた呪われた身であり、その元凶は不幸の兜によるものだった。
何故かは分からないが、異常なまでにモンスターが彼に寄って来てしまうらしい。

モンスターに常に狙われてしまう事の危険性を考えてか最初は同行を拒否した彼だったが、
アレンとアレフは勇者だから大丈夫だと私が力説してようやく了承を得る事ができた。
アレルは私がいる事で余計に提案を受け入れる事を渋ったが、
実際先の戦いで彼らの連携は見事なものだったし、
勇者の泉に行けば呪いは解けるのだから同行しない理由はないだろうと思ったんだ。

しかしそれは案外甘い考えだったと後悔するのに二日とかからなかった。
今までは野宿をしていてもぐっすりと眠れていたが、
4人となってからは一日たりとも熟睡出来た日はない。
寝ぼけ眼のままモンスターから逃げるという日常の訪れ。
アレルが集落に近づけないと言っていた理由がようやく分かった。
このまま町に入れば故意にモンスターを町に近づけさせてしまう事になるからだ。
ふかふかのベッドが恋しいよ。

  「どうした? 寝れないのか?」

ん……最近整ってきた生活リズムがまた狂ってきたからかな。
それに少し疲れが溜まってるかもしれん。
アレルが他の2人を起こさぬ程度の声量で話しかけてくる。

  「これを食べるといい」

……?

364 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/09(日) 23:16:42 ID:GGkY/WCz0
しえん

365 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/09/09(日) 23:19:03 ID:xrbETjJf0
  「命の木の実。体力がつくと言われている」

ふぅん。
と相槌を打ちながらダイヤの形をした殻を割り、黄色い実を取り出して口に含む。
……美味いな。もっとないのか?

  「あるが……口に合わなくないのか?」

……おかしいか?

  「いや、味覚の違いに言及しても仕方ない。
   けれど住む世界が違うというのはやはり大きいのだろう」

まぁ向こうでも私はおかしいと言われる事があったけどな。

  「こんな事態に巻き込まれてる時点で十分おかしいと思うぞ」

アレルがくくっと少しだけ喉を鳴らす。
む、それはお互い様だろう?
私は怒ったように言うが、実際は安心していた。
あんなに禍々しい兜を被っていても、中身は人間なのだと再確認できたのだから。

  「いや、からかった私が悪かった。
   しかし、まだ知り合ったばかりだというのにこうも話しやすいのは何故かな」

ふふ、営業スマイルでもしようか?

  「君はそのままの笑顔でも素敵だ」

それは営業トークというものだよ。
アレルは私の言葉でまた笑う。

366 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/09/09(日) 23:25:56 ID:xrbETjJf0
  「やはり美人と話すのは良い。
   それだけで気が紛れてしまう男の単純さのせいだろうが、良い。
   ……と、こんな事を言うと怒られるか」

そんな事はない。
そう言えてしまうのが大人の証拠さ。
いいじゃないか、私は好きだぞ。
小さくなった焚き火に照らされてアレルの素顔が垣間見える。
肉厚ではない唇から、ふっとアレルの息が漏れる。
ふぅん、スルーされたか。
アレンだったら声を上げて笑うところなんだがな。

  「君は……君からみて私はどういう人に見える」

唐突な質問だな。
揺れる炎をじっと見つめているアレン。
普段は見る事の出来ないその目の奥で何を考えているんだろうか。
彼の声色は凄く落ち着いていて、低音の響き具合が渋い。
顔の大部分を覆う兜のせいでアレルの表情は確認しずらいが、
涼しめの細目は光を失ってはいないし、表情にも余裕が見受けられる。
青年時代の快活さが身を潜め、自分というものをよく知った大人の男という感じだろうか。
そしてそれに満足している。

  「満足、か。そうだな」

アレルはこの世界で目覚めた時からずっと孤独な旅をしていたらしい。
助けてくれる仲間もおらず、状況も理解出来ない。
ただ多くの見知らぬモンスター達を相手にしながら彷徨い続けていたのだと言う。
何と言う精神力だろう。強い人だ。
けれど私と話しているにも関わらず、
アレルの関心はどこか違うところにあるような気がした。
そう思ったのは何となくだけれど、悲しい気持ちになった。

367 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/09/09(日) 23:31:01 ID:xrbETjJf0
薄暗い森の中を進んでいた。
歩き続けてもう何日が過ぎたのだろう。
いつ襲ってくるとも知れないモンスター達を警戒しながら足を運ぶ。

しかしそれも機械的に足を動かしているだけで、
何かのきっかけさえあれば止まってしまうような足取りだった。
言わば携帯の電池が残り一つの状態。
充電する事を許されないままに、しかし使用する事も止められない。
私達は疲れていた。

町だな……
じゃあ調達に行ってくるよ。

  「あぁ、頼んだぜ。あったかいもんが食いてぇ」

アレンの言葉を背に
呪われた彼らは町に入ることを自分達から自粛すると決めた。
必然的に私が買い出しに行く役目となる。
戦闘であまり役に立てない私が唯一皆に出来る恩返し。
せめて呪文が使えれば良いのだが、まだ私は使えない。
すみません。おいくらですか?

  「……」

声を掛けるとあからさまに嫌な顔をされてしまった。
あの……

  「……やるよ」

いや、そういう訳には。お金ならきちんとあります。

  「そんなお金なんていらないよ!! これもこれもやるから早く出てっておくれ!!」

368 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/09/09(日) 23:36:50 ID:xrbETjJf0
店主のただ事ではない剣幕に押されて私は通りへと飛び出す。
振り返ると店主が素早く扉を閉めて鍵をかけるのが分かった。
何、だ……?

  「おい! 何してる!!」

町の警護をしているらしき者が近づいてきた。
私は何もしていない。ただ買い物を――
そんな抗議を聞く耳持たず、男は私の腕をがっちりと掴んで無理矢理に引っ張った。
何をする……! 放してくれ、私は何もやってない!

聞く耳持たず、ズルズルと引きずるようにして町の入り口へと連れて行かれ、
私はそのまま外へと突き飛ばされた。
そして起き上がる前に頭から液体をかけられた。
思わず男を睨む。
何をするんだ!!

  「うるさい黙れ! 呪われてる分際で入ってきやがって!!」

な……に……?

  「こんな世界になっちまったんだ! これ以上厄介事増やすんじゃねぇよ!」

男は瓶を私に投げ付け、町中へと帰って行った。
瓶は聖水を入れる一般的なものだった。
私が呪われてるだって?
そんな馬鹿な事があるものか……
私は、元の世界に帰りたいだけ、なんだ……

  「しなのさん! どうしたんですか!」

あぁ……でもちゃんと食料は頂いてきたよ。

369 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/09/09(日) 23:41:22 ID:xrbETjJf0
拭けよ、とアレフがタオルを差し出してくれる。
うん、大丈夫だ……

  「一体何が……」

……私も、呪われてしまったみたいだ……

  「そんなまさか……しなのさんにはルビスの加護がないから……?」
  「呪いは呪いを呼ぶ」
  「アレル、何でそれを知ってんだ?!」
  「そんな事より急ぎましょう! 勇者の泉に行けば――」

呪われていると言われ、意識したからだろうか。
私の頭の中に何かが重くのしかかっている感覚がし始める。
寝て起きればスッキリすると分かっているあの疲れようとは違う。
その得体も知れないものが私の足をひざまつかせようとしている。
少しでも力を加えれば倒れてしまうだろう。

  「――!! ――!!」

アレンが肩を貸してくれて、私を励ましてくれている。
大丈夫……大丈夫だ……
何とか返事をしようとするが、もはや声が出ているのかも分からない。
息するのが辛いし、体を動かすと神経から痛みが響いてくる。

気持ち悪い……頭痛が痛い……
私は失恋したあの時を思い出していた。
酔えない酒をあおり、悲しみを消そうとしたあの日。
流れる涙、締め付けられる心。
後悔の固まり、私を苦しめる記憶。
そういうものに引き込まれるように私はブラックアウト。
だんだんとアレンの声も聞こえなくなっていった。

370 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/09(日) 23:47:16 ID:r70nChcrO
支援

371 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/09/09(日) 23:47:30 ID:xrbETjJf0
○第十一話
   『3人寄ればももんじゃの知恵とか何とか』

  「お、ようやく姫様のお目覚めだな。
   三日も寝てたんだぞ。
   ほら、水飲めよ。
   気分はどうだ? 落ち着いたか?

   うん、ってお前声出てねーぞ。
   あーって言ってみ? あーって。
   ん〜やっぱり出ねぇな。
   ま、いっか。

   そんな事よりメシ作ってやったぜ。
   食え〜。
   何ぃ? 食べたくないだぁ?
   いーや駄目だ。
   これ食って良くなって、早く出発するんだからよ。
   何たって俺らはパーティーだからな〜4人で一組!!
   まぁ俺も休めたから調度良かったけどな。

   ん? あぁ、ここは教会。
   ったく、急に倒れやがってよ。
   アレンも大変そうだったなー。
   重そうだったしな〜。
   お、何だ怒ってんのか?
   可愛いヤツだな。
   頭撫でてやるよ」

372 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/09/09(日) 23:52:45 ID:xrbETjJf0
  「うわっ何だ! 凄い熱じゃねーか。
   それで寒いのか?
   メラしてやろうか?
   止めろってか。
   じゃあ取り合えずマント掛けといてやるよ。

   あ、そうそう、良い情報があんだ。
   勇者の泉な、もう少し行った所にあるんだってよ。
   今度は間違いなさそうだ。
   この教会は色んな旅人が泊まるらしくってよ。
   だからもう明日には楽になってるはずだから、頑張れよ。
   それにお前まだ呪文使えるようになってねぇからなぁ。
   元気になったらすぐ練習開始だからな。

   何つーかさ、俺は理論なんて難しい事は分かんねぇけどよ、
   何か思う事があるなら外に出した方がいいぞ?
   自分に素直になって生きねーと呪文は使えねぇからなぁ。
   ……昔、俺も無理してた時があってよ。
   人の為、国の為、世界の為ーってさ。
   あんときゃあ悩んだぜ。
   似合わないとか言うなよ。
   自分で言ってて恥ずかしいわ。

   また呪文使えなくなんのは困っからな。
   俺は正直に生きるぜ。
   だからしなのも正直にな。
   どーもお前は溜め込むタイプに見えるし。
   あぁ、長話したな、すまん。
   顔が赤いな。
   何? 水?
   よしじゃあ取ってくっからよ、ちょっと待ってろや」

373 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/09/09(日) 23:57:08 ID:xrbETjJf0
  「入るぞ。水を持って来た。
   アレン? 食事しに行ったよ。
   まぁそう怒ってやるな。
   君の食事を作って腹が空いたんだろう。
   さ、飲めるか?
   久し振りの美味しい水だ。
   ゆっくり、少しずつ飲んでくれ。

   すまなかったな。
   私のせいで君にまで迷惑をかけてしまった。
   ルビスの加護を受けていれば呪いもそこまで苦しくはならないんだがな……
   3人の呪いによる影響がこんなに強いとは思わなかったよ。

   いつかこうなると言われた……?
   そうか、君も覚悟はしていたんだな。
   今しばらくは苦しいかもしれんが、明日までの辛抱だ。

   ん、用という程でもないが……
   見舞いついでに髪を切ってやろうと思ってな。
   長いと寝る時邪魔だろう。
   ん、安心してくれ。
   はさみの扱いには慣れている。

   ……
   ……
   ……何か話せ、か?
   そう言われてもな……
   ……
   ……そうだな」

374 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/09/10(月) 00:03:07 ID:oswgEHPy0
  「髪を切るのと体に傷がつくのは似ている、といつか仲間が言っていた。
   不思議な事を言う奴だと私は思ったよ。
   髪に神経は無いのだから切られても痛くないはず。

   何故だと私が問うと彼女は、
   痛くない代わりに私の心が切られてる感じがするからイヤだと答えた。
   月日を重ねて伸ばしてきた自分の決意や思いが無くなってしまう気がするらしい。
   とても悲しそうな表情で言うものだから、
   切るのを止めようか? と言ったら怒られたよ。

   何となく分かる、か……?
   私には今でもさっぱり分からない。
   でも切り終えた後に鏡を見せると急にニコニコし始めてな。
   髪を切られるのは悲しいけど、短くなったらまた新しい自分になれるから嬉しい。
   その新しい髪形が自分に似合っていたらもっと嬉しいと喜んでいたよ。
   変な奴だろう?
   今でも彼女の気持ちは理解出来ない。

   好きなのかって……?
   そういうのとは違うな。
   彼女は仲間だ。
   彼女だけ特別視する事はない。
   単に思い出しただけさ。
   でも……
   もし君もそういう気持ちになるなら、私に分かるように教えてくれたら嬉しい。

   よし、終わりだ。
   今鏡を持って来よう」

375 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/09/10(月) 00:08:49 ID:oswgEHPy0
  「しなのさん、鏡ですよーってどうしたんですか?!
   あぁ、アレルさんがですか。
   え? そうですね……
   正直、似合いません。
   しなのさんはロングのイメージなんですよね〜何か。
   見ます? 鏡です。
   でもスッキリしましたね。

   それでですね、しなのさん……
   せっかく首筋が涼しくなったようなのでこれでも付けてみてください。
   スライムピアス、
   いつかしなのさんが気に入っていたモンスターのアクセサリーです。
   僕からのプレゼントです。
   うん、これは可愛いです、似合ってます。
   え、どうしてかって?
   ……
   ……

   しなのさんは、帰りたいですか?
   元の世界に帰りたいですか?
   僕と一緒に、ずっと一緒にいませんか?
   しなのさんの世界のことを知らない僕に、
   僕の世界の方が良いだなんて言えませんけど……
   けど、誰よりもしなのさんの事を好きでいられるとは言えます。

   しなのさん、僕はしなのさんが好きです。
   最初に会ったその時から。
   今もドキドキしています。
   これからもきっと。
   だから……
   だから僕と一緒にいてください」

376 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/09/10(月) 00:22:07 ID:oswgEHPy0
  「……
   ……僕らしくない、ですか?
   そうですね、自分でも少し、そう思います。
   実は……
   石版をある神殿に持って行くと元の世界に帰れるという噂があるんです。

   この教会を訪れる人はなかなかに多いらしいのですが、
   石版のありかを知らないか、というような感じで、
   皆こぞって石版の話をして去って行くそうです。

   その噂が本当なのかどうかわかりませんが、
   何の繋がりもない人達がこうも同じ話題を語るというのはおかしいと、
   ここの神父様が仰ってました。
   僕らが彷徨っている間にその噂は広まったんでしょうか。

   でも、その噂が本当なら、
   しなのさんはしなのさんの世界に帰れます。
   勇者の泉へ行って呪いを解いた後、
   この世界異変の原因を突き止める旅に出ようと2人は言ってましたが、
   しなのさんがその石版を必要とするなら僕はしなのさんを手伝いたいと思ってます。

   でも正直僕は嫌な仕事が待っている世界にしなのさんを帰したくはありません。
   だから今僕は僕らしくないんでしょうね。
   こうやって焦ってしまうくらい、僕はあなたが好きなんです。
   その髪形が似合ってる事でアレルさんに嫉妬してしまうくらいに、好きです。

   こんな時に色々と言ってしまってすみません……
   もう行きますね。
   おやすみなさい、しなのさん」

377 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/09/10(月) 00:26:20 ID:oswgEHPy0
今日はここまで〜
支援ありがとうございました( ^ω^)

レッドマンさんもエイコさんも戻って来てスレが賑わってきた予感(`・ω・´)!
ではまた〜

378 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/10(月) 01:49:32 ID:heeT+1pf0
ロトの勇者揃った感じ?
そしてなんという恋模様…wニヤニヤしてる俺きめぇwww

379 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/10(月) 13:34:24 ID:UdgasPhA0
しなのさん、いいなー。
教会はアレルさんがいても、魔物もはいってこれないのだろうか。
ひさしぶりにゆっくりやすんで、はやくよくなってほしいです。

380 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/12(水) 12:51:02 ID:hKC+/LzS0
保守

381 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/09/12(水) 22:02:25 ID:/OQm1gQt0

    〜作り合わされし世界〜


    → 冒険をする
         1:しなの  Lv8
         2:ヨウイチ Lv6
       → 3:タロウ  Lv6

382 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/09/12(水) 22:04:06 ID:/OQm1gQt0
第6話 タロウの犬団円

僕は男の子の回復呪文で怪我を治してもらっている。
目を覚ましたとき勝負は終わっていたんだ。
ああ、これじゃ石版はもらえないよー。
『タロウ、ルドマンさんに認めてもらえるよう僕と特訓しよう!』
ううう、大変だー。

「くえー!」
突然メッキーさんが大きな声を上げる。
声のする方向を見ると大きな岩が動いていた。
あれはさっきメッキーさんがぶつかった岩だ。あれ、岩に顔があるよ!
『爆弾岩だ!』
『メガンテをされる前に倒さなくちゃ!』
『待つんだ!』
お父さんが止めるのも聞かず男の子が岩に斬りかかる。
でも、その一撃では爆弾岩は倒せなかった。
岩のモンスターはいまにも何かやらかしそうだ。

あの子が危ない!
僕は本能でそれがとても危険なものだと感じていた。
すなけむりを巻き起こして目をくらませ捨て身で攻撃した!
でも、爆弾岩は倒せなかった。
そして……

爆弾岩はメガンテを唱えた。

383 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/09/12(水) 22:05:09 ID:/OQm1gQt0
僕は大きなダメージを受けていた。
体がばらばらになりそうだよ。息をするのも辛い……
魔法が使われる瞬間、僕はとっさにみがわりを使って男の子をかばっていた。
何でそんなことをしたのか僕にもわからない。

『うう、ごめんよタロウ僕のために……』
僕は町の中に運ばれて治療を受けている。
男の子は今にも泣きそうだ。
『泣かないで。タロウは大丈夫だよ。』
『うん、泣かないよ。僕は勇者だもん……』
あれ、この子も勇者なんだ。
この子の匂いはきこりさんのところにいた勇者さんの匂いと似ているんだ。
それに夢の中であったお兄さんにも。
だから僕はこの子をかばったんだね。
勇者さんたちは僕に親切にしてくれた。犬は1度受けた恩は忘れないんだ。
……でも、これで恩返しできたことになるのかなぁ?

『勇敢なタロウはさしずめ犬の勇者だね。彼には勲章をあげなくちゃいけないな。』
『あのね、タロウが勲章っておいしいのかって聞いてるよ。』
『あははは。タロウには名誉よりもご馳走のほうがうれしいよね。』
うん。僕おいしいもの大好きだよ……

数日後、回復魔法のおかげで僕はすっかり元気になっていた。魔法ってすごい!
「もうお体は治りましたのね」
「あ、リリアンさん。うん、もう大丈夫だよ!」
「よかった。あなたみたいな勇敢な犬はそうはいませんわん。」
「きっと僕の飼い主が勇敢なんだね!」
「うふふ。きっとそうですわね。飼い主のほうも飼い犬に似てくるものですからね。」
リリアンさんの言うことはやっぱり難しいね。

384 :作り合わされし世界 ◆8fpmfOs/7w :2007/09/12(水) 22:07:48 ID:/OQm1gQt0
『タロウの怪我は治りましたが特訓するまでもう少し待ってください。』
『その必要はない。私はあの犬が気に入ったのだ。
 タロウをリリアンの婿として認めようではないか!』
えええー! よく分からないけどお嫁さんゲットー!
『いや、そうじゃなくて石版をですね……』
『そうだったな。もちろんタロウに石版を渡そう。』
そうだった。僕が探していたのは石版だったよ。
石版じゃなくてお嫁さんを探すなんておかしな話だよね。
『タロウは石版を託すべき勇敢さとやさしさを持っている。私の目に間違いはあるまい。』
こうして僕は石版を手に入れた!
『でも、もっと強くなったほうがいいから特訓はしようね。』
えー! うう、世間は厳しいよー。

『ここが神殿の入り口みたいだね。』
『せまいな。でも、タロウだけなら通れるだろう。』
僕の訓練中、お父さんは神殿へ続く洞窟を見つけてつれてきてくれた。後はこの奥にいけばいいみたい。
『石版は道具袋に入っているね。』
『武器と防具も装備させたよ。』
『タロウとはここでお別れか。ちょっと寂しいね。』
『それじゃタロウ、がんばっておいで! これは僕たちからのプレゼントだよ!』

タロウは風の帽子を装備させてもらった!

『タロウ最後に聞かせて。この世界は楽しかった?』
うん、楽しかったよ。だって……

『ねえ、タロウはなんて答えたの?』
『楽しかった。この世界も元の世界と同じように、犬と人間が仲良く暮らしているからって。』

こうして僕の石版探しは終わり、神殿を目指す冒険が始まった!

最終章へ

385 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/12(水) 22:08:07 ID:I329gnSq0
    _  ∩
  ( ゚∀゚)彡 タロウ! タロウ!
  (  ⊂彡
   |   |
   し ⌒J

支援

386 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/12(水) 23:37:17 ID:5jOIFlzN0
おお、タロウくん、よかったね。
神殿でみんなと合流するのだろうか。
wktk

387 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/13(木) 02:26:53 ID:dwUWYWeG0
タロウ…(´;ω;`)メガンテ喰らったが無事でよかった
ついにタロウ編は最終章か

388 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/14(金) 22:53:22 ID:ecKjeQtSO
タロウ保守

389 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/15(土) 23:40:48 ID:M/DzpUduO
保守

390 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/16(日) 22:49:40 ID:CGHWx0o8O
保守

391 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/17(月) 02:37:09 ID:KeoSfYD00
タロウは一足先に帰宅か・・

392 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/17(月) 23:36:22 ID:X5YvWC7bO
保守

393 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/19(水) 00:33:35 ID:czI631wCO
保守

394 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/19(水) 10:21:15 ID:PeZl3y4mO
保守

395 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/19(水) 20:24:08 ID:BDADdq+U0
私はある日ドラクエ1の世界の宿屋で目を覚ましました。
世界を救おうと思いましたがパフパフをやめられず先に進めませんでした。

次に目が覚めたとき私はドラクエ2の世界にいました。
ここでの私はサマルトリアの王女でした。冒険に連れて行ってもらえませんでした。

今度はドラクエ3の世界でした。
いつの間にかモンスター格闘場で生計を立てていました。

ドラクエ4の世界での私はトルネコでした。
私の居場所は馬車か牢屋です。

ドラクエ5の世界では神様になっていました。
ずっとトロッコで回ってました。

ドラクエ6の世界の私はゴランという若者でした。
でも、今は老人です。

ドラクエ7の世界では羊になっていました。
時々呼び出されて暴れる以外は平和な生活です。

ドラクエ8の世界では7賢者の末裔の1人になっていました。
今、目の前にドルマゲスがいます。

こんなことならずっとドラクエ1の世界にいたかったです。

396 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/20(木) 12:25:40 ID:GCqRnzS70
どんどんヒドくなっててワロスww

397 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/20(木) 13:52:19 ID:4xNvWwcoO
マスタードラゴンはトルネコ以下かYO!

398 :Stage.7-3 hjmn[1] ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/20(木) 21:55:51 ID:9JDH2BKU0

アルス「ちーっす」
タツミ「どうもー。皆様お久しぶりです。宿スレ10泊目も400目前ですねー」
アルス「合作も順調だし、この勢いにあやかって今日も元気にサンクスコール!」
タツミ「『いつの話だよ!』ってツッコミは勘弁してねw」

アルス「まずは前スレの九泊目分から。
   >>611様、ホームシックなんかにかかってねえよ俺は! ちょっと…懐かしいだけで」
タツミ「たった二日で懐かしいってかw >>612様、出しましたよ〜。詳しくはまた後ほどw」
アルス「>>613様、そうそう、リアルサイドで死んだら生き返らないんだよなぁ。
   ああ、俺の平和な生活はどうした。――ところでタツミ、エリスに惚れたの?」
タツミ「どうかなー。自分で言うのもなんだけど、僕って恋愛に関しては少し冷めてるから。
   >>614様、嬉しいんですが夜はちゃんと眠ってくださいw まだまだ残暑も厳しいですから」
アルス「クールだなお前。その割にはユリコのこと気にかけてるみたいだがw
   >>615様、だよな!? エリスかわいいよな!? や、ユリコちゃんもなかなかだけどさ」
タツミ「君こそエリちゃんにライバルが現れたら途端に応援しだしてない?
   >>617様、作者が向こうで小躍りしてます。あんまり誉めると調子にノるんで、
   ダメ出しも遠慮しないでゲシゲシやっちゃってくださいねッ」

アルス「そして>>627-629タカハシ様、大変遅くなりましたが、10泊目スレ立てお疲れ様でーす」
タツミ「まとめサイトへのログ掲載もありがとうございました。今後ともよろしくお願いします」

  (>>616様、>>618様は他の方へのレスでしたので、
   読者様同士のお話に割り込むのも失礼かと思い、コールは控えさせていただきました)


アルス「(コソッ)ところでタツミ、びんてーじとかぼんてーじってなんだ?」
タツミ「ビンテージは名品、一級品を指す言葉で、基本的には5〜10年以上過去に作られているもの。
   ボンテ(デ)ージは……えーと(語源がスレ的にちょっと……)あとで辞書引いとけ」
アルス「?? 了解」

399 :Stage.7-3 hjmn[2] ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/20(木) 21:57:17 ID:9JDH2BKU0

アルス「続いて前スレ埋め用番外編『斬殺勇者アリスちゃん!』のサンクスコール!
   ……ってすごいタイトルだよな」
タツミ「改めてマエスレ>>612様、アリスちゃん採用しましたよ〜。そりゃもう身体張って命懸けでした。
   >>653のバラミちゃんイメージ画、カワイイですね♪」
アルス「>>654◆yeTK1cdmjo様、『俺』シリーズの作者様っすね! 初便乗! 祝びんじょー!」
タツミ「ゲーム世界がリアルで苦労してる同士、今度『俺』さんと飲んで語りたいなぁ」
アルス「未成年だろお前。>>656様、ほらほら、うらやましいなんて言うから、
   タツミが『じゃあ代わってくださーい!』って泣いてるし」
タツミ「ええもうノシでもリボンでも過剰包装でもしますからぜひアリスちゃん持ってってくださ……」
   ライデイ~ンウギャーチョットアリスチャンジョークダヨボクハタツミクンヲマモルタメニデモイチバンキミガキケン
   ウワァオウジャノケンハヤメテタツミクンノバカーゴメンッテバモウタスケテアゲナイカライヤイマキミガコロシカケテル
アルス「あーあ……。えーと、ここからは新スレ分。
   >>8様、電車の中で変な目で見られなかった?w 次の埋め時期にご期待下さい」
タツミ「ゼィ…ハァ…、ただいま。>>9様、確かに可愛いですよ? ほんと可愛いんですけどね。
   いやなにも言いません。こうなりゃどんな番外でも汚れ役でもやりますよははははは」
アルス「なんか悟りの境地に入ってるな」


アルス「以上かな。サンクスコールだけで2レスになるとは」
タツミ「こんなに反応いただけて、ホント嬉しいです♪」
アルス「間が空きすぎただけじゃねーの?」
タツミ「君がツッコミ入れてどうすんだよ」


アルス・タツミ『それでは本編スタートです!』


【Stage.7 SAKURA MEMORY -Part1- 】(←すみません前回も-Part1-です。ページまとめてくださいorz)
 リアルサイド続編 [11]〜[16]

400 :Stage.7-3 [11] ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/20(木) 22:01:58 ID:9JDH2BKU0
  Prev (マエスレ)>>605-609
 ----------------- Rial-Side -----------------

 相手の武器は、その格好に合わせたようにブレードもグリップも黒。余計な装飾がなに
もないシンプルな造りで、明らかに殺傷を目的として設計されている本格的なものだ。
 それも、先日の不良少年みたいなのがイキがって持ってるだけならともかく、この男に
はそんな素人じみた気負いなどまったくない。本物の「斬り合い」に慣れている人間だ。

 だが、軽い。
 男が振り下ろしたナイフを、俺は細長い鉄の杭で再び受け流した。こんな頼りないエモ
ノでさばけてしまうのは、相手の武器が軽量だというより、力のかけ方が散漫だからだ。
「ふむ……妙だな。うまく動かん」
 男も実力を出し切れていないことに気付いたようだ。
「現実側は制限があるとは聞いたが……どこがおかしいんだ?」
「俺に聞くなよっ」
 あのな。親切に答えるわきゃねえだろーが。

 確かに制限のせいもあるだろうが、こいつ、構えを間違ってんだよ。
 俺の基本の型であるその構えは、応用が利くのでマルチタイプと誤解されがちだが、実
はナイフのような軽い武器にはあまり向かない。筋肉の生み出すエネルギーを1エルグも
無駄にせずインパクトに変換する、ってのを追求したもんだから、武器にある程度の重量
が無いと刃が走りすぎて、パワーロスの方が大きくなってしまう。
 軽量武器には専用の型がちゃんとある。どこで習ったんだか知らねえが、親父が基礎を
創り、俺が体系化し、後にアレフガルドで「ロト流」としてまとめられるはずのそれは、
中途半端な知識で使いこなせるもんじゃねえ。


(それでも6:4ってところか……)
 こいつの言うとおり、制限がかかっているのは俺も一緒だ。身体的にどの程度までの負
荷に耐えられるのか自分でまだ把握できてない以上、いつなにが起きるかわからない。
 早めに終わらせるべきだ。だがまだ早い。一般人が歩く遊歩道から、もう少し離れない
と――。

401 :Stage.7-3 [12] ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/20(木) 22:04:32 ID:9JDH2BKU0

 すれ違うのもやっとの狭い林道で打ち合いながら、押されているフリで奥へ誘い込む。
「おい、どこまで逃げる気だ」
「うるせえっ。てめえこそ腰が引けてるぞ」
「ふん……関係ない人間を巻き込まないように、か?」
 俺の内心を見透かしたように、男は鼻で笑った。
「しょせんあんたも、プレイヤーを身代わりにしたクチだろうに」
「!」
 男が繰り出したナイフの切っ先が、俺の左手の甲をかすめていった。一拍遅れてピリッ
とした痛みが走る。
「いまさらイイコぶるなよ」
「だからって、なにしてもいいわけじゃねえだろう」
 傷口から沁み出した血が、指先を伝って地面に滴り落ちた。いつもならホイミで簡単に
治せる傷だが、こっちじゃそうはいかない。
「この世界には回復呪文も蘇生呪文もないんだ。間違って人を傷つければ……」
「そうだな。殺せばそれで終わりってのは、ラクでいいよな」

 今まで抑えていた苛立ちが、カッと熱を持って脊髄を駆け上がった。
「てめえみてえなのが、俺の型式使ってんじゃねえ!」
 低い位置から間合いを詰め、鳩尾を狙って鉄杭を突き上げる。
 ぎりぎりで避けた男が、俺の背中にナイフを振り下ろした。俺はそのまま地面に片手を
ついて足払いをかけ、相手が飛んでかわしたのに合わせて方向転換。
 瞬間、目の前に男のブーツが迫っていた。上半身をのけぞらせたが勢いを殺し切れずに、
胸に蹴りを食らって吹っ飛ばされる。木の幹に背中がぶつかり、薄桃色の花弁が舞い散っ
た。肺から無理やり押し出された空気を補充する間もなく、次の一撃が迫ってくる。
 ギン!
 黒いブレードを、鉄杭で思わず受け止めた。
 しまった、と思った瞬間、とうてい鍔迫り合い(ツバゼリアイ)で勝てるはずのない細い鉄杭
がそこから折れ、勢いに乗ったナイフが俺の喉を斬り裂いていった。
 パッと血しぶきが飛んだのが自分で見えた。
(やばっ……)
 回復呪文がない、という恐怖感のせいで、対応が一瞬遅れる。

402 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/20(木) 22:06:17 ID:FNn50Umu0
支援ぬ

403 :Stage.7-3 [13] ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/20(木) 22:08:34 ID:9JDH2BKU0

 男は容赦なく俺の足を払い、顔面をつかんで後頭部を地面に叩きつけた。
「が……!」
 頭の中が白く弾けた。腹にズシッと重いものが乗っかって、息ができなくなる。
「なにが伝説の英雄だ。ただのガキじゃないか」
 喉にヤツの指がかかった。目の前に、血のせいでよけい黒光りするブレードが突きつけ
られた。
 うわー、もしかして俺、めっちゃピンチじゃね? 人の首を締め上げながら、男はなん
かブツブツ言いだしてるしっ。
「普通に血も赤いしな。あれか、開いたら中身は違うとか? どうなんだ」
 ちょwwwww中身っておまwwwwwwwwww
 いーやー! こんなサイコさんに解体されるなんてゴメンだー!!

 俺は地面の土をえぐって、力任せに相手の顔に叩きつけた。使える物はなんでも使うの
がオレ流だ!
「なっ……」
 ひるんだ一瞬の隙に、折れた鉄杭を男の腹に突き立て、ひざで腹を蹴飛ばした。男の下
から這い出して、必死に息を整える。
 首に手を当てて傷の程度を確かめてみると、どうやら頸動脈やリンパなんかは無事みた
いだ。一応よけたつもりではいたが、思ったより血が出てヒヤッとしたんだよな。
 相手も浅かったのか、腹に手を当ててから小さく息をついている。

「……あまりきれいな戦い方ではないな」
 顔についた土をぬぐいながら男が言った。
「ケホッ。ア、アホか。戦いなんてたいがい泥臭いもんだろうが」
 そんなスマートにキマる戦闘なんて、強者が弱者をいたぶる時くらいのものだ。

 ――そう続けようとして、俺はそのあとの言葉を飲み込んだ。
 男がジッとこちらをにらんでいる。あの薄笑いはもうなかった。
「なんだそれは。伝承と違うじゃないか」
 そこにはなんの表情もなく、瞳だけが氷のように冷たい。
 背筋がゾッとした。

404 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/20(木) 22:12:16 ID:+bLd1D0s0
支援

405 :Stage.7-3 [14] ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/20(木) 22:13:09 ID:9JDH2BKU0

   ◇

「おかしいな。『勇者は常に華麗に戦うもの』じゃないのか?」
「なんだよそれ」
 俺が警戒していると、男は急に背筋を伸ばして、ナイフを持ち直して眼前に立てた。
「俺はアレフ。アレフィスタ=レオールド。あんたは?」
 左手を十字にクロスさせ、アレフガルド流の騎士の礼を取る。
「……本気かよ。せっかく平和な国に来て、バカじゃねえのか」
 戦いの最中に名乗るのは、たいていの場合、敵を殺すときの死出のみやげだ。
 それでも相手が名乗ってきたからには、こちらも名乗りを返さなきゃならない。
「アルスだ。――アルセッド=D=ランバート」
 俺は次の武器とする鉄杭を地面から引き抜いた。強度こそ足りないが、リーチと「刺す」
ことに特化してる分、まだナイフとは相性がいい。無いよりはマシ、という程度だが。
 正直、ちょっとヤバイ。どうもさっきから身体が重くてしょうがないのだ。 
 現実側の制限のせいか? それにしても、あまりに消耗が早すぎる――。


 そのときだ。
 葉ずれの音とともに、俺の視界にパステルブルーが現れた。
 男の後ろでユリコが、恐ろしい物でも見たように、両手で口を押さえている。
「タツミ……!? そんなに血が……」
「バカ! 逃げろユリコ!」
 俺が叫ぶと同時に、男が再びニヤリと笑った。身を翻し、真っ直ぐ彼女に向かっていく。
「関係ねえやつに手ぇ出すな!」
 追いかけようとした瞬間、ガクっと足から力が抜けた。
 なんだ? さっきの後頭部への一撃で脳震盪でも起こしたか? いや違う、なにかおか
しい。まるでタイムリミットでも来たような。
 ちくしょう、どうなってやがんだ!

 恐怖で身がすくんでいるのか、彼女は動かない。男がナイフを振り上げた。
「ユリコ……!」

406 :Stage.7-3 [15] ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/20(木) 22:15:31 ID:9JDH2BKU0



 スパーン!
 ……といい音がして、彼女のハイキックが男のあごに決まった。



「あんた、あたしのタツミになにすんのよぉ!」
 しかも二段蹴り。
 そのまま流れるように回転し、ふわっとワンピースが広がって(ピンクのレースでした)、
気合いも腰も入りまくった見事な回し蹴りが男の脇腹にメリ込んだ。
 たまらずよろけた男の顔を両手でムンズとつかむと、さらにひざを叩き込む。
 2発、3発と入り、最後の仕上げとばかりの腹蹴りをくらって吹っ飛ばされると、男は
地面に転がったまま動かなくなった。

 マジっすか。

「タツミ! タツミ、大丈夫!!??」
「いえ、大丈夫です。ええもう」
 思わず逃げ腰になる俺に駆け寄ってくるユリコちゃん。
「やだ、こんなに血が出てるッ。待ってね、すぐお医者さんに連れて行くからね」
 グシャグシャに泣きながら俺をギュムっと抱きしめるユリコちゃん。ちょっデカ、柔ら
かいんですがっ。かなり着やせするタイプですねオネーサン。
 これバレたらおっかねえなぁ、と思いつつも、役得だしまぁいいかと浸ることに決定。


「……邪魔が入ったな」
 だぁ! サイコ男(アレフだっけ?)起きてくるし。お前はもう黙って寝てろ。
「なによ、まだヤル気? 沈めるわよ?」
 ユリコがギロっとにらむ。俺でさえゾッとした男の眼力にもまったく怯んでない。

407 :Stage.7-3 [16] ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/20(木) 22:17:59 ID:9JDH2BKU0

 アレフは自分の左腕の袖を上げると、腕時計を見て忌々しげに舌打ちした。
「完全に時間切れか」
 小さくつぶやいて、もはや俺たちなんか完全無視で背中を向ける。まるでなにごとも無
かったかのように、ガサガサと林の奥に消えてしまった。
 ああいう切り替えの早さは一流戦士のそれらしいのに。狂気じみた言動がアンバランス
で、はっきり言って気味が悪い男だ。
「通報した方がいいだんだろうけど……」
 ユリコが悔しそうに唇を噛んだ。ああそうか、「奨学金」だかなんだかの関係で、ケー
サツはダメなんだっけ?


 それにしても、やっぱり変だ。なんか頭がボーッとする。まるで全MPを一気に消費し
たみたいな疲労感が襲ってきて、身体が動かない。本当にどうなってるんだろう。
「あ、あれ、タツミ……? あんたコンタクトなんかしてたっけ?」
 は? なんだいきなり。こんたくと、とはナンデスカ。
「今確かに……でも、そう言えば……」

 彼女がなにやら動揺しているが、急激に理解力が低下していて、意味が入ってこない。
 よくわかんねえけど、ただ、ユリコちゃんせっかく可愛い服だったのに、血やら草キレ
やらでドロドロになっちゃってて、なんか悪かったなぁとか。
 そんなことがグルグル回って。

「あなた、誰? タツミじゃないの……?」

 彼女の呆然としたような言葉を最後に、俺の意識はすうっと闇に呑まれた。



                      ――To be Continued Stage.8
                      Writing BGM "No Reason" by SUM41.


408 :Stage.7-3 atgk ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/20(木) 22:18:46 ID:9JDH2BKU0
本日はここまでです。
BGMは中身に合わないかもしれせんが、
これ聞きながらノリノリで書いてました、というだけなので
あまり気にしないでください。

409 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/20(木) 23:04:56 ID:4xNvWwcoO
そんな…アレフだったなんて…

410 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/21(金) 00:36:25 ID:8hKVmGeMO
乙でした!
だから同じ型だったのか…この前のはルーラ使ってたしサマル辺りか?
なんか元の姿に戻ってるぽいし、何もかも予想GUY過ぎて今後がスゲー楽しみだ。

つーかユリコちゃんに惚れた!w
エリちゃんもだけど、強い女の子はいいなぁ。
アレス役得過ぎだろうwww

411 :410:2007/09/21(金) 00:41:11 ID:8hKVmGeMO
スンマセン打ち間違い。
↑アレスじゃなくてアルスです。

412 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/21(金) 17:51:06 ID:Af+Hs4XgO
R氏キテタ━━(゚∀゚)━━

ユリコ強ぇぇぇぇぇ!惚れた。
そしてアルスウラヤマシス(´・ω・`)

なんだかカオスな展開になってきましたが、続きがwktkすぐる!

413 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/22(土) 13:16:18 ID:OZxq3Eur0
>>395
> ここでの私はサマルトリアの王女でした。
kwsk

>>408
ユリコさん、強ぇぇぇぇ。でも助かってよかった。
力が抜けた理由といい、時間切れという言葉といい、リアルサイドでの戦闘には何か制限がありそうな悪寒。
お目目が、本来の色にもどっちゃってるのかな・・。


414 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/23(日) 06:24:53 ID:Wf7fTbWOO
アルスってフルネーム、
アルセッド=D=ランバートっていうんだ。
かっこいいな。
真ん中のDはなんだろう?

415 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/23(日) 08:43:14 ID:LDtZAPkp0
俺は真っ先にワンピースの「Dを継ぐ者」を連想したw

416 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/23(日) 15:14:05 ID:GD9Jn5Cj0
>>414
ドラクエ

417 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/23(日) 16:04:04 ID:lk4No4lZO
童貞かと思った………

418 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/24(月) 00:38:47 ID:VSS2U8IrO
ハーフの西洋妖怪狩人じゃね

漏れのマイキャラもDが付いてる

フェンサ・D・ドルーガ

頭悪りぃから、名前として成り立ってるか分かんねえ

419 :Stage.? 雑談-Deep Red-[1] ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/24(月) 17:59:57 ID:jEoq8oIa0
今回の雑談はちょっとワルっぽい雰囲気です。ご注意ください。


タツミ「おお、ワルっぽくだってさ♪ じゃあ少しディープなオトナの話をしようか?」
アルス「はぁ? 俺はいいけど……なんでノリノリなんだよお前、なんか企んでるだろ」
タツミ「別に〜。まずは可愛らしく、今のD談義からとある読者様の一言より、お題。
   ぶっちゃけアル君、まさかDじゃないよね? だから最初が聞きたいなー」
アルス「っかぁ! アホか。つまんねえ話だぞ。実ははっきりしねえし」
タツミ「はっきりしない? よけい聞きたいんだけど」
アルス「しゃあねえなぁ」


アルス「とりあえず、俺んちの向かいにある天下のルイーダ's バーだがな。
   腕っ節が自慢の冒険者なんざ、8割は魔物狩りで金を稼いでる荒くれまがいだ。
   そんなんが世界中から集まってりゃ、当然、酒と賭博ともう一つ、
   夜の人材派遣が相当な稼ぎになるんだが、そういうのと間違えられたんだよ、俺」
タツミ「おっとぉ。それはそれは」
アルス「俺もガキの時分は不用心というか、好奇心に勝てなくて、つい覗いてみたワケ。
   ま、宵の口はカワイイ坊やに薄めたラムを舐めさせて笑ってるだけの、
   気のいい酔っ払いばかりだったんだが、長居しすぎて客相が変わってな。
   いつの間にかガラの悪い女パーティーの席で飲んでて、ラリホー耳打ちされてから記憶がねえ」
タツミ「それでも女の人が相手ならねぇ。不幸中の幸い?」
アルス「けっこう美人揃いだったしなw 目が覚めたら城の医務室で、しかも王様が見舞いにきてたよ。
   よそ者だったから、まさか俺がオルテガ・ジュニアとは思わなかったんだろう。
   可哀想に、そのあと彼女たちを一度も見たことがない。国外追放じゃ済まないだろうしなぁ」
タツミ「ほえ〜! アルって本当に特別扱いだったんだねー」
アルス「俺がじゃない、オルテガの名前がだ。死んだ後もかなりの客寄せになってたからな、
   経済効果を考えりゃ、引き継がせる前の俺に、くだらねえスキャンダルは御法度だ。
   あのババアも監督不行届で裏稼業はしばらく停止。かなりのあおりを食らったろうよ」
タツミ「お客さんにとってもいい迷惑だw ルイーダさんが君を嫌うわけだよ」

420 :Stage.? 雑談-Deep Red-[2] ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/24(月) 18:02:30 ID:jEoq8oIa0

アルス「まあな。んで問題はほら、記憶がねえって言ったろ? マジでまーったく覚えてねえのよ。
   現場に駆けつけたのは正規兵だけで、箝口令でその時の状況はどんなに聞いても口割らねえ。
   俺を嫌ってる連中は『アバズレに食われてざまあみろ』って今でも酒の肴にしてるが、
   実際は未遂だったんだか最後までイっちゃったんだか、真実は闇の中。
   お前ならどう思う?」
タツミ「どうっていうか……五体満足ならどっちでもいいよね。僕ならどうでもいい」
アルス「お前もそう思うか。まぁ俺もそう思ったから、今の今まですっかり忘れてた話だ。
   いつ内臓ブチまけてくたばるかもしれない身で、そんなん騒いでもなぁ」


タツミ「あーあ、Y談にもならなかったねー」
アルス「だからつまんねえっつったろ。……それより、こんな話だぜ。持ってねえの?」
タツミ「ちょっと、マジメな首席奨学生にそれを聞く?w 高校入る前にスッパリやめたよ」
アルス「なんだよシケてんなぁ」
タツミ「うっそ。そう言うと思って持ってきた。――って、ゴメン。ガス切れてやんの」
アルス「メラ。100円ライターでも簡単には着けらんねえんだなw あ、意外とうまい」
タツミ「そう? 僕にも……ちょ、動くな……。ん、どうも」
   

タツミ「んじゃ次のお題ー。なんで魔物ってお金持ってるの?」
アルス「つくづく性格悪いな……お前くらい頭良けりゃわかるだろ」
タツミ「魔王が仕組んでるのはわかるけど。くたばった冒険者の金も自動回収で流通に戻るなら、
   悪い話じゃないと思うんだよね。まあ、裏はあるんだろうけど」
アルス「わかってんじゃんw
   冒険者なんて、結局どっかの死人が持ってた金をあさる因果な商売さ。
   でも腕に自信があるなら一番手っ取り早い稼ぎ方だ。今や世界中に冒険者が溢れてる――。
   そこで問題、冒険者って、なんでしょう?」
タツミ「生産性はないしなぁ。減価償却資産? その価値がすり減っていくだけの人たち。
   やめる頃には使い物にならないのがほとんどっぽいしね」

421 :Stage.? 雑談-Deep Red-[3] ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/24(月) 18:07:11 ID:jEoq8oIa0

アルス「ご名答。一見そいつらが世界中に金をばらまいてるお陰で活性化してるように思うが、
   血を流して稼いでる連中の掃き溜めがいくら潤ったところで、いずれそこから腐っていくだけだ。
   なまじ優秀なヤツほど冒険者になりたがり、より多く稼ぐために強い魔物に挑んでは死んでいく。
   強い魔物ほど多くのゴールドを持つって習性も、実にうまく機能してるよ」
タツミ「そして若い働き手がいなくなり、潰れる街や村も増える。人類社会は緩やかに廃退していく、か」
アルス「そこまでわかってて、その仕組みを最大限に利用しつつ、『正義』を掲げて魔王打倒を誓う。
   勇者なんざ一番ヤクザな稼業だよなぁ。相応の代価もあるがね」
タツミ「他の冒険者と違って、『ダメでしたぁ、テヘ♪』じゃ済まないもんねー」
アルス「そゆこと。……くはは、『現実側』からゲームを見たときは笑ったぜ。
   そういう裏事情は見事にカットされてんのな」
タツミ「天下のドラクエで、そりゃ表に出ちゃヤバイでしょw」
アルス「うん、だから安心した。夢とロマンの冒険活劇に見えてるなら、そのままの方がいい」


アルス「よーし、次はお前の番だろ?」
タツミ「そろそろ行数も足りなくなってきたし、今日はここまで♪」
アルス「お、お前ってヤツぁ〜! 人に語らせるだけ語らせといて、自分は逃げる気か」
タツミ「行数がないだけだってば〜」
アルス「違うだろ。俺がユリコとハグしたからムカついたんだろ、実は」

タツミ「……アハ、バレた? 君ってば、どさくさに紛れてあの豊満なプルプルを堪能しやがって」
アルス「不可抗力だっつーの。プルプルとか言うな。ってか、フッといて俺の女扱いかよ?」
タツミ「いいじゃん、番外なんだから。多少の本音は許してよ。ふみゅ〜」
アルス「はいスネないスネない。俺も以後気をつけますから」
タツミ「じゃあいいよ。――さて、そろそろ僕もピュアな本編仕様に戻るかな」
アルス「じゃあ俺も、正義感の強い純粋勇者に戻るかねぇ」
タツミ「次はゲームサイドみたいだから行くね。バイバイ」
アルス「おう」


タツミ「ま、そんな世界でも全部背負って救おうってんだから……すごいよねぇ」

422 :Stage.? 雑談-Deep Red-atgk ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/24(月) 18:09:33 ID:jEoq8oIa0
本日の雑談はここまでです。
今回は、本編ではほとんど描かれる予定がないゲーム世界の闇部分を書いてみました。
(あくまで「三津原辰巳所有のドラクエ3」の世界のお話でありますが)
決定的な言葉はなるべく省きましたが、苦手な人はごめんなさい。

423 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/24(月) 20:27:14 ID:r9FngCXl0
>>422
本編だけでいいですよw

424 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/24(月) 20:51:36 ID:mFi5ub0WO
なんでよ?本編も番外もひっくるめてこの人の作品だろ。
俺はハメ外し気味の番外好きだからやめないでほしい。

アルスもタツミも意外と不良だなww
でも話の内容すげえレベル高い。
俺にはついていけないw

425 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/24(月) 20:57:19 ID:WgVCPPBl0
>>424
同感。楽しみました。
設定細かいなー

また待ってます。

426 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/24(月) 21:41:33 ID:h1hIeM/QO
>>422
いつも雑談乙。
設定細かくて物語が深みを増すよ。これからもガンガレ。

427 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/25(火) 10:18:44 ID:6I5mHSFj0
アルス淡々と語ってるけど、
当時は結構ショックだったんじゃないかな?
オトナって汚いよね 。・゚・(ノД`)・゚・。

428 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/26(水) 17:11:18 ID:iiEm08sr0
保守

429 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/09/26(水) 21:35:05 ID:AfZF5mFo0
―上の巻―

……どこだここは?
俺はなぜ滝の前にいるんだ?
これは夢か?
それとも俺は死んであの世にいるのか?

呆然としている俺の耳に妙な声が聞こえてきた。
「あなたの名前を教えてください。」
「誰だ? ……俺は死んだのか?」
「私はルビス。すべてを司るもの。」
どっちだろう。こいつは神か、それとも痛い人か。

「俺の名前はエンだ。」
後者だと判断して偽名を使うことにした。こんな奴に本名が知られるのはやばい。
エンは通貨単位の円だ。これが思いついたのは俺が為替専門のデイトレーダーだからだろう。
「それは本名ですか、戒名ですか?」
ルビスがそう聞けば「やっぱ死んでるんかい!」と返したところだが言ってこなかった。
奴はせっかくの笑いを取るチャンスをつぶしたわけだ。
もっとも、そんなもので笑うやつがいればの話だが。

その後ルビスはいくつかの質問を出し、俺はそれに答える。
奴は質問から分かったという俺の性格について駄目出しをしてきた。
いるよな、こういう占い師って。
言うこと聞かないと不幸が訪れるとか。
そういうのは言うこと聞いたほうが不幸になるんだよな。
不幸ってなんだ。死ぬのか。……あれ、俺って死んだんだっけ?
ルビスは俺が死んだかどうか答えていないよな。
そんなことを考えていたら、そこで意識が途切れた。

430 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/09/26(水) 21:36:09 ID:AfZF5mFo0
……
「起きなさい。私のかわいいエンや……」
きっつい台詞とともに俺は目を覚ました。
目の前の女は一方的にしゃべったあとついて来いと言って出て行った。
あいつ誰? さっき俺が名乗ったエンと呼んでいたが……。
ふと、部屋の鏡が目に入った。
そこに俺の顔は映っていなかった。その代わり見知らぬ顔があった。

女の後をついていったところ、俺は王様だと言う男から世界を託された。
状況を整理すると、俺は勇者であり父の果たせなかった魔王退治の旅に出るらしい。
さっきの女は母親だ。何をどうしたらこんなことが起きるのだろうか。
ひょっとして死んでこの男に生まれ変わったのだろうか?
だが、母が俺の考えたエンという名前で呼ぶのはどういうことだ。
考えても答えは出そうになかった。あきらめてこの状況を受け入れるしかなさそうだ。

旅に出るにははじめに酒場で仲間を募るのが筋らしい。
「連れて行くなら戦士、僧侶、魔法使いの3人がいいぜ。ひっく!」
酒場の酔っ払いがそんなことを言ってくる。
酔っ払いの言うことは真に受けないことにしている。
しかもこいつは魔法使いなんて薦めてくる。
魔法使いを自称するような奴には近づかないのが身のためだ。
俺は武闘家、商人、盗賊の3人を連れて行くことにした。

どういうシステムか分からんが俺が名前を決めていいらしい。
仲間とはコードネームで呼び合うシステムなのだろうか。
俺は仲間の名前と職業を決めて酒場に呼び出してもらった。

431 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/09/26(水) 21:37:18 ID:AfZF5mFo0
「俺はゲン。武闘家だ。」
無愛想な東洋人風の男が出てきた。
一匹狼を気取っているのだろうがただのむっつりスケベだろう。

「私は商人のドルよ。稼がせてもらうわよー。」
今度は金に汚そうな女が出てきた。
このキャラならば関西弁でしゃべるべきだろう。
道理をわきまえない女だ。

「おいらはユーロって言うんだ。盗賊さ!」
最後はガキンチョじゃないかよ。俺に子守をしろと言うのか。
「おまえ、親は?」
こう俺が聞くとこの子供は泣きそうな顔になった。

……うぜぇ。

そうだよな。まともな親がいればこの歳で盗賊なんてしていないよな。
だが、ここでつまらない身の上話なんて始めるなよ。
俺は他人の不幸自慢で同情するほど人間ができちゃいない。
それに不幸だというなら俺だってそうだ。
たった1人でこんなところに来てしまったのだから。

結局ユーロは涙目になったものの泣きはしなかった。
俺はこの3人を冒険に連れて行くことにした。
3人の本名は知らないがビジネス上の付き合いなので問題ない。
こいつらの給与は国王が払うことになっているだろう。
俺に払えと言ってきても契約書がないので払うつもりはない。

432 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/09/26(水) 21:38:28 ID:AfZF5mFo0
むっつりスケベの武闘家、抜け目がない商人、泣き虫の盗賊。
3人の仲間を連れて楽しい旅の始まり始まり。
これで魔王を倒せばいいわけか。魔王ラモスだかモスラだとか言ったっけ。
冒険して魔王を倒して世界を平和にする。昔話ではお約束のような物語。
その物語の主人公が俺というわけだ。

しかし、このとき俺はまだ理解していなかった。
自分がどこにいてどんな立場なのかを。

冒険は思いのほか順調に進んだ。
この世界にはまだ慣れていないが旅という非日常のおかげで目立たずにすむ。
町での買い物なんかはドルに任せているのでこちらも問題はない。
思ったよりも使える女だ。
旅に出るため知っている人間に会わずに済むのも都合がいい。
母親にもなるべく会わないほうがいいだろう。さようなら俺の母。
そういえばリアルの俺の親はどうしているだろうか。
俺がいなくなったからといって泣いている姿が想像できない。

旅には危険がつきものだ。道中モンスターが襲ってくる。
モンスターまで出てくるとはどこまでもお約束な世界だ。
初めての戦闘こそ戸惑ったがそれ以降は何とかなっている。
しかし仲間全員モンスターとの戦闘経験がなかったのは予想外だった。
特にゲン。こいつが一番モンスターにびびっていたんじゃなかろうか。
武闘家を名乗ってこの体たらく。今までいったい何と闘っていたんだ?
それ以外は問題なかった。一度ユーロが口から血を吐いたことはあったが。
みんなで慌てたが乳歯が抜けただけだった。

433 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/09/26(水) 21:39:30 ID:AfZF5mFo0
その後は盗賊の鍵を手に入れて喜ぶユーロを見て将来を心配してみたり、
魔法の玉で壁が吹っ飛ぶのを見てはしゃぐドルにおびえてみたり、
ゲンにぼこぼこにされるカンダタにちょっぴり同情したり、
村民がみんな寝ている村で俺が変な真似をしようとして止められてみたりしていた。

一方、俺の自身はどんどんおかしなことになっている。
旅を始めて間もなく俺は魔法が使えるようになった。
そのあとロマリアという国では突然王様になった気がする。
続いて武闘家の幽霊が見えた。幽霊のくせに生前の姿ではなく骸骨なのは何故だ。
そして、ついには妖精が見えるようになった。性悪のエルフだったが。

長い旅ではごたごたも起きる。きっかけはアッサラームでの出来事だ。
ユーロがキャットフライというモンスターから宝箱を奪った。
中身はぬいぐるみ。猫の着ぐるみだった。ちょっと小さい。
「これじゃユーロにしか装備できないかしら。」
「いや、ちょっと待て。」
そういうと俺はぬいぐるみを解体した。

「ちょっと細工してみた。装備してみてくれ。」
俺がそう言ってぬいぐるみをドルに渡した。ドルは物陰で着替えて出てきた。
手足の部分に猫手猫足、腰にはしっぽ、頭には猫耳をつけている。
「ねえ、どうかしら。似合う?」
「どうって……」

434 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/09/26(水) 21:40:36 ID:AfZF5mFo0
.






   い い の で は な い で し ょ う か 。





.

435 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/09/26(水) 21:41:38 ID:AfZF5mFo0
はじめは『いまさら猫耳ですか』なんて思いました。
でも、やっぱりいいものはいいんです!
などと、つい、広告でよくある商品を使った人の声のようになってしまった。

「ねえ、ちょっとユーロもつけてみて。」
そういうとドルは猫耳をユーロにつけた。
「あら、かわいいわ。」
まあ、これはこれで一部マニアの人に受けそうではあった。
「いいわね。新しい商売になるかも。」
などと言っている。こいつのこういう金の匂いに敏感なところは嫌いではない。
「ぬいぐるみって結構いい防具なのよ。誰が装備する?」
「持っているほかの防具との兼ね合いを考えもっとも守りが固められるように……」
などとゲンが言っているが、そんなことはどうでもいい!
ここで小一時間ほど討論になった。
「おいら、すごろくに行ってていい?」
ユーロが飽きてきたころに結論が出た。誰も装備しないことになった。
次の目的地は砂漠でとてもぬいぐるみなんて着ていられないのだ。早く気づけよ。

436 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/09/26(水) 21:42:42 ID:AfZF5mFo0
その砂漠にある城、イシスで恐ろしい事件が起きた。
魔法の鍵を手に入れるべくピラミッドに入るため墓を管理するイシスの女王に挨拶に行ったときだ。
「女王様に見ていただきたいものがあります。きっと気に入ってもらえると思いますわ。」
ドルがこんなことを言い出した。
「猫耳少年ユーロ君です!」
そう言ってぬいぐるみを装備したユーロを見せた。

どうやら女王は猫耳少年ユーロ君を気に入ったようだ。
城に猫と子供が多いことから気に入るだろうと踏んだらしい。
女王陛下が一部マニアの人と見抜いたドルの目に狂いはなかったようだ。
これでピラミッドに入る許可を得られるだろう。
にゃんこの姿で『盗賊の鼻』の特技を使い鼻をくんくんさせているユーロを見て思った。
連れてくる盗賊は女にすべきだったと。

しかし、俺たちは女王のマニア加減を見誤っていた。
なんと俺の猫耳姿が見たいと言ってきやがった。
恐ろしい女だ……

俺はぬいぐるみを装備した。
なんと言う屈辱。
しかし、俺は相手をたたえることにした。
さすが女王様だ! とんでもないドSだぜ!

こうして俺のプライドという大きな犠牲を払い魔法の鍵を手に入れた。
それを捨てるなんてとんでもない……

―中の巻に続く―

437 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/26(水) 21:48:14 ID:q9GRL+sd0
>>434
一レス使ってそれですかwww

438 :Stage.8 hjmn - 1 ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/26(水) 22:08:07 ID:LfZZ9TuH0

アルス「ちーっす」
タツミ「どうもー。さてサンクスコールの前にちょっとこの場を借りまして、
   アルスにど〜しても言っときたいことがあるんだよね」
アルス「ちょうどいい。俺もお前に言いたいことがある」
タツミ「ふーん、別にいいけど」
アルス「んじゃ、せーの――」


タツミ「アルスごめん、おとといの雑談は僕が悪かった!」
アルス「タツミすまん、おとといの雑談は俺が悪かった!」

タツミ「………………」
アルス「………………どうぞ」

タツミ「その、冗談のつもりだったんだよ、あんな重い過去があるなんて知らなくてさ。
   心の中では『ヤッベ地雷踏んだぁぁ!!??』って血の気引いてたんだけど、
   君は淡々と語り続けてるし、僕が変に同情するのもおかしいしって、
   こっちもなるべく『大したことじゃないよねー』みたいな返事してたり……ホントごめん」
アルス「あーいや、俺も断りゃいいのに大人げないっつーか、あんなん人前で話すことじゃねえよな。
   引っ込みつかなくなって続けてたが、お前も平然と流してくれて逆に助かった。
   あとアレも、まさかマジで持ってるとは思わなかったんだよ。一瞬出すの迷ってたろ。
   優等生で通してんのに、吸ってたこと知られたくなかったんじゃって……こっちこそすまん」

タツミ「……じゃあこの話はここまでということで。うん」
アルス「おk。しっかし、お前ってもっと生真面目なタイプだと思ってたんだがなぁ」
タツミ「そう見せてるだけで、僕もそんなカタブツじゃあないよ。まあいろいろとねー」


439 :Stage.8 hjmn - 2 ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/26(水) 22:10:04 ID:LfZZ9TuH0


アルス「では、こちらの事情でこれ以上お待たせするのも申し訳ないし」
タツミ「恒例のサンクスコール、始めまーす!」


タツミ「えーと、>>409様、アレフさんあやしい人になってましたね……。
   ショックでしたらすみません。なにか理由があるんだとは思いますが」
アルス「>>410様、もしかして相手の正体わかってる? 俺は他のドラクエ知らないからなぁ。 
   ユリコに関しては、俺もビックリしたよ。役得だったけどなw」
タツミ「ま、まあ不可抗力だから仕方ないか。>>412様、キックボクシングだか
   テコンドーだか知りませんが、彼女に本気で蹴られたらマジで吹っ飛びますw」
アルス「経験あるのかよ。>>413様、確かにリアルサイドの戦闘は制限があるみたいだな。
   もう一回くらい誰かと手合わせして、その辺の調査しないとマズイなぁ。
   ちなみに目の色は、もともとうっすら色が入ってんの。詳しくは近々本編で」
タツミ「>>414様、そう! 知らなかったよ、君の本名アルセッドって言うんだね?」
アルス「言ってなかったっけ。真ん中(ミドルネーム)はうちの習慣で名付け親の名前が入るんだ。
   なので>>415様が言う、ワンピースでの定義とはちょっと違うんじゃねえかな」
タツミ「>>416様、ということで『ドラクエ』も違うみたいですね。んで、なんて入るの?」
アルス「少なくとも>>417様のは違うかなw 大したことでもないんで説明するが、
   俺の場合は名付け親がデニーじいちゃんだったから、Denyって。それだけ」
タツミ「なるほど。>>418様、違ったらごめんなさい、吸血鬼ハンターの人ですか?
   マイキャラさんとは、どうぞ仲良く♪」


アルス「しかし……ふぅ」
タツミ「どうしたの」
アルス「いやさぁ……。なんかユリコちゃんの大活躍のおかげで、
   俺の前半の死闘がすべてオマケだったような気がするんだけど .....orz」
タツミ「仕方ないんじゃないかなー。インパクトあるでしょ、あっちの方が」
アルス「そうだな……」

440 :Stage.8 hjmn - 2 ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/26(水) 22:16:10 ID:LfZZ9TuH0


アルス「では、こちらの事情でこれ以上お待たせするのも申し訳ないし」
タツミ「恒例のサンクスコール、始めまーす!」


タツミ「えーと、>>409様、アレフさんあやしい人になってましたね……。
   ショックでしたらすみません。なにか理由があるんだとは思いますが」
アルス「>>410様、もしかして相手の正体わかってる? 俺は他のドラクエ知らないからなぁ。 
   ユリコに関しては、俺もビックリしたよ。役得だったけどなw」
タツミ「ま、まあ不可抗力だから仕方ないか。>>412様、キックボクシングだか
   テコンドーだか知りませんが、彼女に本気で蹴られたらマジで吹っ飛びますw」
アルス「経験あるのかよ。>>413様、確かにリアルサイドの戦闘は制限があるみたいだな。
   もう一回くらい誰かと手合わせして、その辺の調査しないとマズイなぁ。
   ちなみに目の色は、もともとうっすら色が入ってんの。詳しくは近々本編で」
タツミ「>>414様、そう! 知らなかったよ、君の本名アルセッドって言うんだね?」
アルス「言ってなかったっけ。真ん中(ミドルネーム)はうちの習慣で名付け親の名前が入るんだ。
   なので>>415様が言う、ワンピースでの定義とはちょっと違うんじゃねえかな」
タツミ「>>416様、ということで『ドラクエ』も違うみたいですね。んで、なんて入るの?」
アルス「少なくとも>>417様のは違うかなw 大したことでもないんで説明するが、
   俺の場合は名付け親がデニーじいちゃんだったから、Denyって。それだけ」
タツミ「なるほど。>>418様、違ったらごめんなさい、吸血鬼ハンターの人ですか?
   マイキャラさんとは、どうぞ仲良く♪」


アルス「しかし……ふぅ」
タツミ「どうしたの」
アルス「いやさぁ……。なんかユリコちゃんの大活躍のおかげで、
   俺の前半の死闘がすべてオマケだったような気がするんだけど .....orz」
タツミ「仕方ないんじゃないかなー。インパクトあるでしょ、あっちの方が」
アルス「そうだな……」

441 :Stage.8 hjmn - 3 ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/26(水) 22:17:28 ID:LfZZ9TuH0

アルス「続いて雑談についてのサンクスコール。
   >>423様、いやーすみません。やっぱ聞いてて気分のいい話じゃないよな」
タツミ「くだらない話題を振っちゃった僕が悪かったんです。ごめんなさーい。
   >>424様、本編も番外も楽しんでもらってありがたいです。
   僕の場合は、バレないようにちょーっと悪いことやってるタイプですねw」
アルス「>>425様、あくまで俺みたいなガキから見た世界観なんで、
   たくさん間違ってるところもあるんだろうけどな」
タツミ「>>426様、アルスが言うように、これから物語が進んでいくうちに、
   新たにわかってくることも多いと思います」
アルス「>>427様、……まあ当時はそれなりに。三日間くらい部屋に閉じこもってたかなぁ。
   もう過去のことだし、今はまったく気にしてないけどさ」


タツミ「以上になりますね。いろいろ至らない主人公ですけど」
アルス「今後ともよろしくお願いしやっす」
タツミ「いやはや、すっかり前座が長くなってしまいましたが……」


アルス・タツミ『それでは本編スタートです!』


【Stage.8 新しいお友達】
 ゲームサイド [1]〜[6]


442 :Stage.8 [1] ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/26(水) 22:18:15 ID:LfZZ9TuH0
  Prev >>400-407 (Game-Side Prev (マエスレ)>>558-569)
 ----------------- Game-Side -----------------

 アルスがなんだか大変なことになっていた、その頃。

 そんなことは露も知らず、僕は初めての船旅に浮かれていた。真っ白な帆船『リリーシェ
号』は、ロマン溢れる冒険の旅に相応しく。
 夕日が世界中を黄金色に灼きながら、水平線の向こうに沈みかけている。思いきり潮風
を吸い込めば、自然と歓声も上がる。
「っん〜っ、気持ちいい! けっこうスピード出るんだね」
「今日は潮も風も最高だ。勇者ってのは、自然も味方につけるみたいだな」
 船長のモネさんがガッシリした手を僕の肩に置いて笑った。
 もじゃもじゃの白ヒゲと、ちょっと悪党っぽい刺青と、トレードマークのキセル。ポル
トガ王から僕らの航海を任された人なんだけど、まさに「いよっ海の男!」って感じの、
頼りがいのあるおじいちゃん船長だ。
「これなら、明日の朝にゃあエジンベアに着くぜ」
「お願いします」
 問題はあの差別主義の番兵だな。ロマリア国王(仮)をやってたときに事前に釘を刺し
ておいたし、ポルトガ王の紹介状もあるから大丈夫だとは思うけど……くしゅん!
「おっと、風邪ひいちゃいけねぇ。さ、中に入んな」
「はーい」

 船室に戻ろうとしたら、入れ違いにロダムとサミエルが出てきた。ロダムは口に手を当
てて青い顔をしている。船酔いがひどいらしい。
「大丈夫?」
「え、ええ、ご心配なさらz……うぷ!」
 船縁に駆け寄り、身を乗り出してまた吐いている。
 ロダムの背中をさすりながら、サミエルは脳天気に笑った。
「しっかし意外ッスよねえ。てっきり勇者様だと思ってたのに」
「別に僕は、酔いやすくて吐いてたわけじゃないってば」
 でも気持ちはよーくわかる。あんまり吐くと胃を痛めるし。頑張れロダムー。

443 :Stage.8 [2] ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/26(水) 22:20:38 ID:LfZZ9TuH0

 船室に降りていくと、なにやらみんなが騒いでいた。「あっち行ったぞ!」「こっちに
逃げた!」とか叫んでいるから、ネズミでも出たんだろうか。
 エリスがいたので聞いてみると、なんでも魔物が荷物に紛れて乗り込んでいたらしい。
「教会の洗礼を受けていない魔物を乗せるのは、縁起が悪いんだそうです」
「そうか。船乗りさんは験(ゲン)を担ぐ人たちだからね」
 こういうのはただの迷信じゃなく、昔からの知恵が反映されていることが多い。僕も手
伝った方がいいかな。
「勇者さーん、そっちに行きゃしたぜ!」
「え?」
 瞬間、足下をなにかが駆け抜けていった。ランプの明かりじゃ暗くてよく見えなかった
んだけど、サッカーボールくらいの青いカタマリが、僕の後ろの、樽の陰に隠れたようだ。
「勇者様は下がっていてください」
 エリスが杖を構えて前に出ようとする。
「待って待って、たまには僕に任せてよ」
 逃げ回ってるくらいだからそんなに強い魔物でもないんだろうし。
 船員にランプを取ってもらって、かざしてみる。どれ、確かこの辺に……


 そこで僕は、見てしまった。


 こ、こんな……こんなことがあっていいのか?
 ありえない。ありえないモノが、こ・こ・に・い・る!!!!!


「カ………………………カ〜ワ〜イ〜イ〜ッッ☆♪!!」


 ちょ、ちょっと待ってよ、なにこの、つぶら〜な瞳!
 丸くてね、半透明でね、プルプルしててね、もうなんて言ったらいいのか!

444 :Stage.8 [3] ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/26(水) 22:21:19 ID:LfZZ9TuH0

「いや〜カワイ過ぎるッッッッ!! え、もしかしてこれがスライム?」
「そうみたいですね」
 横からのぞき込んだエリスがうなずいた。あんまりカンドー無いみたいだけど、女性は
こういうのに弱いんじゃないの?
「私たちは子供の頃から見慣れてますから。そう言えば勇者様、アリアハンからロマリア
に直行しましたから、近くで見るのは初めてでしたか」
 そうなんだよ。これならアリアハンでちょっと外に出てみれば良かった。

 さて、モニターの前の読者様は「たかがスライムだろ?」と思われるかもしれない。
 ドラクエ界ナンバー1の有名モンスター、あまりにいろんなメディアやグッズで出回っ
てるから、いまさらというか……。
 だぁがしかし、ホンモノはもう想像の範囲外! ウェルシュコーギーの子犬にもアメリ
カンショートヘアの子猫にも負けず劣らずの愛らしさだ。そんなのがウルウルした目で僕
を見上げているのだから、言うことはひとつしかない。
「飼う!」
「ダメです」
 光の速さで却下されたぁ!
 僕が味方だとわかったのか、スライムは物陰から出てくると、ピョンと僕の胸に飛び込
んできた。柔らかくてひんやりした肌触りも超GOOD!だ。あ、なんか震えてるよぉ。
「いいでしょエリス。こんなに怖がってるのにっ」
 スライムを抱きしめて訴える僕を、エリスと屈強な船乗りさんたちがじりじり取り囲む。
「そうは言ってもなぁ。勇者さん、洗礼してないのはヤバイんだよ」
「他の魔物を呼び寄せてしまうそうです。海のモンスターは手強いんですから、危険はで
きるだけ回避するべきですよ、勇者様」
「じゃあ、どうするの……?」
「海に捨てます」
 そ、そんな〜!
「死んじゃうじゃないか! 可哀想だよ、この子なんにも悪いコトしてないのに!」

 ランランララランランラ〜♪


445 :Stage.8 [4] ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/26(水) 22:22:30 ID:LfZZ9TuH0

 誰だナウシカのBGMかけてるヤツぁ! やめやめ、あれ防衛に失敗してるじゃん!
「お願い、ちゃんと面倒見るから。ね? ね?」
「ダメったらダメです。わがまま言わないでください」
「お願い、ちゃんと面倒見るから。ね? ね?」
「ループ合戦なら負けませんよ。朝まで続けますか?」
「よーし朝までやろうじゃないか。その頃にはエジンベアだ、真っ先に教会に行って、そ
の『洗礼』とかいうの、やってもらえばいいんでしょ?」
「勇者様ってば……」
 あきれ顔でため息をつくエリス。わかってはいるけど、でも〜。

「おや、皆さんどうしたんですか?」
 そこにロダムとサミエルが戻ってきた。船員さんの1人が説明する。
 穏やかに聞いていたロダムは、事情がわかると僕の方に近づいてきた。
「まあまあ、そんな涙目で睨まないで。この子に洗礼をしてあげれば良いんでしょう?」
「え……ロダム、できるの?」
 にっこり笑う宮廷司祭殿。
「あんた神父の経験があるのかい?」
 モネ船長がほぉっと感心する。ロダムは少し照れたように頭をかいた。
「まだ駆け出しの時に武僧に転向したもので、簡単な典礼だけですがね」
 ロダムは僕からスライムをそっと受け取ると、テーブルの上に置いた。スライムはおと
なしくしている。
 気を利かせた船員さんが分厚い本を持ってきた。バイブル――聖書か。
 ロダムが祈祷を始めると、みんなが手を組んで祈り始めた。僕もそれに倣う。
 お、スライムも目を閉じてるし。賢いやつだなぁ♪

 たっぷり10分くらい祈ったのち、精霊神ルビスに誓いを立てて聖水をかけて(ダメー
ジ食らうんじゃ!?と心配したけど平気そうで良かった)、スライムの洗礼は終わった。

   ◇


446 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/26(水) 22:23:53 ID:q9GRL+sd0
リアルタイムktkr支援

447 :Stage.8 [5] ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/26(水) 22:25:27 ID:LfZZ9TuH0

 下を向いて本(聖書)を読んだせいで、ロダムはまた酔いがぶり返し、儀式が終わった
途端に甲板に出て行った。ありがとうロダム、あなたの犠牲は無駄にしないよ!
「プニプニしてかわいーなー♪ よし、お前の名前はヘニョだ」
「ヘ、ヘニョ……?」
 エリスとサミエルが口の端をヒクヒクさせている。そのいかにも「こいつセンスねぇな」
的な眼差しが痛いんだけど。
 だって誰かさんがあんまり嫌がるからさー。いいじゃないか、スライム本人だって気に
入ったみたいだし。ずーっとニヘラっとしてるから、いまいちわからないけど。

「そろそろメシにするぞ」
「お、待ってました!」
 船員さんに声をかけられて、サミエルがさっそくとなりの食堂に移動する。
「ここのシェフのメシはうまいッスよねぇ」
「だねー。そういえばヘニョはどんなもの食べるの?」
「基本は草食ですが、だいたいなんでも食べますよ」
 雑食と思っていいのかな。じゃあ旅の間もエサには困らなそうだ。


 ……だが、その雑食性であることがどのような問題を引き起こすのか、僕はすぐに思い
知ることとなった。



 今日の夕飯は子羊のシチュー。黒胡椒がピリッと効いてなかなかの美味。ヘニョも食べ
たそうだけど、まだ熱すぎるかな。
「冷ましてあげるから、もうちょっと待ってね?」
 僕のひざの上で不服そうにしているヘニョをなぜてやる。
 と、視界の隅をなにかがカサカサっと走り抜けた。
 同時に、ヘニョがピョンと飛び降りて素早く追いかけていく。隅の方でガタガタなにか
と格闘して、すぐに僕のひざに戻ってきたんだけど。

448 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/26(水) 22:25:58 ID:fAepN6m90
支援支援

449 : ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/26(水) 22:40:49 ID:FyRAD7UqO
さる規制の解除はどのくらい待てばいいんでしょう?

450 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/26(水) 22:48:21 ID:ypx9CU/uO
支援!!

451 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/26(水) 22:52:28 ID:RGxEUlICO
支援!

452 :Stage.8 [6] ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/26(水) 22:54:44 ID:FyRAD7UqO

 その口には――ネズミがくわえられていた。

 すごいでしょ、と目をキラキラ輝かせているヘニョ。……まったく動けない僕。
 まだバタバタ暴れているネズミを丸呑みするヘニョ。……顔がひきつってる僕。
 パキパキ絞め殺されるネズミが透けて見えるヘニョ。……鳥肌たちまくりな僕。
 ニヘラっと笑う口の中が血まみれになってるヘニョ。……今にも吐きそうな僕。

「やるもんだなぁ! よっぽど腹が減ってたんだな」
 モネ船長や船員さんたちの評価が上がったことは喜ぶべきなんだろうけど。
 僕は震える手でそーっとヘニョを床に降ろし、できるだけゆっくりと食堂の出入り口に
向かった。みんな必死で笑いをかみ殺してるんだけど、僕にそれを抗議する余裕はない。
 ドアを開けて、ドアを閉めた瞬間に、甲板への階段を駆け上がる。見張りに出ていた船
員さんが驚いて声をかけるのも無視して、ロダムのいる船縁に猛ダッシュ。
 彼のとなりに立つなり、今食べてたシチューをお魚さんのエサにしてやったわけで。

「……おや、勇者様も酔ってしまわれたんですか?」
「まあ、ね」


 だーかーらー! こんなリアルなのドラクエじゃねえっつーのぉ!
 せめてスライムくらい、可愛いままでいて欲しかったよ、ううっ。





                            ――To be Continued.



453 :Stage.8 atgk ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/26(水) 22:58:49 ID:FyRAD7UqO
本日はここまでです。
なんか>>440が重複してしまいました。
まだ専ブラに使い慣れていないもので……どうもすみません。

それにしても、本当にさるさんはキツイなぁ。
今回も最後は携帯で投下。改行とか不安です。

454 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/27(木) 10:11:03 ID:yG617Fvu0
>>429-436
冒険の書シリーズキター!
今回はデイトレーダーが主人公か。仲間の名前がみんな通貨単位だw
猫耳主人公・・・いろいろ捨てちゃったなww
次の巻が待ち遠しい

>>438-453
二人とも仲いいよな
お互いしまったとか思いながら会話してたのかw
そしてヘニョktkrwwww
涙目で訴えてるタツミの方がかわいいw

455 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/27(木) 18:41:59 ID:efRvWzNwO
◆IFDQ/RcGKI氏
乙です。

いつの間にか船を手に入れたんですね
回想と云う形でも良いので
エリス救出からの話も語ってもらえたら
幸いです。

456 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/27(木) 21:21:25 ID:JNDw+xYXO
R氏乙です。

スライムはペットとして絶大な人気ですねw

それにしてもスライムを観察しとけば消化の様子が分かるのだろうか…(((゚Д゚;)))

457 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/09/27(木) 22:37:54 ID:EPkVQ+2r0
○竜王○

 タケ「お前が竜王か。どう見てもガキっぽい奴やなぁ……」


ハッキリ言って驚いておるんよ。
竜王って威厳があるおっさん顔の様な奴だと思っていたんやけど、どー見ても中坊ぐらいのガキしか見えへんのや。
けど……幼顔だからっと言って気は抜けへん……
ターバンみたいなモンを被って顔を隠しているんやで。性別すら判断できん。

 竜王「そう睨むな…混沌の戦士よ。まだ戦いを望むか?」

 タケ「アンタがやる気なら……俺はやるで。」

 竜王「無理するのはよせ。実際は立っているのがやっとだろう。回復させてやる。」

あっさり俺の状態を見抜きやがった。
その直後竜王は俺に回復呪文を唱えたんや。疲労も怪我した箇所も一瞬にして回復したで!
しかしスゲエ呪文や。

 タケ「どういうつもりや!?敵に塩を送る真似しやがって。」

俺はとっさに剣を構えた。



 竜王「剣を納めろ。私はお前達と争うつもりはない。少し時間が立てばお前の相棒も目が覚めるだろう。」



一体どういうつもりや?竜王は即座にギィンにも同じ呪文をかけた。

458 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/09/27(木) 22:39:06 ID:EPkVQ+2r0
ギィン「す、すみませぬ。竜王様……」
 竜王「まぁよい。やはり老いには勝てぬか。」
ギィン「お恥ずかしい限りです。」
 竜王「ギィン。お前の執念は理解できるが我慢しろ。今はこの者達と話がしたい。」
ギィン「はっ………かしこまりました。」

 竜王「さて、アレフの子孫達、そして混沌の戦士よ。私が竜王だ。」



ムーン「あ、あなたが……りゅ、竜王……」



 竜王「何を震えておる……私は話をするだけだ。すまないがお前の様な臆病者とは話しにならん。」
ムーン「くっ…」


さりげなくきつい事を言うなぁ…このガキは。けどおどおどした奴と会話する事に対して
腹が立つのは理解できる。

459 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/27(木) 22:40:09 ID:8Vy5dXH0O
おっ!リアルタイム遭遇。支援

460 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/09/27(木) 22:41:16 ID:EPkVQ+2r0
 タケ「なら俺と話するか?」
 竜王「混沌の戦士か………………お前が我々と敵対する状況になっていたとは。正直驚いたぞ。」 


 タケ「勝手にこの世界に呼び出しやがって。済んだ話の事はもうええわい。
    これも一つの因果関係やろ。話は変わるが混沌の戦士と呼ぶのはやめてくれ。俺にはタケって言う名前があるんやで。」


 竜王「名前などどうでも良いだろう?仕方があるまい。
    タケよ、お前はなぜそんな危険な戦い方をしたのだ?死んでいてもおかしくはなかったんだぞ。」


 タケ「運が悪けりゃ死んでいたやろな。ハッキリ言って俺達とギィンではかなりの実力差がある訳や。
    ましてたかが鋼の剣がドラゴンに通用するわけがない。にも関らず通用した事がおかしい。
    それに全盛期のギィンなら確実に全滅していた。
    もょもとに比べたら、あらゆる面で俺が劣っているし。
    俺が勝っているのは知恵と予測能力だけ。それに俺なりの自分の意地があったからな。」


 竜王「意地だと?……理解できん。
    人間とは不思議なものだな。意地で自己犠牲をする価値などあるとは思えんが。」
 
タケ「なんやて?」
 竜王「とりあえずここまでだ。そろそろお前の宿主と代わってもらおう。どうやら目覚めた様だからな。」


あっさり会話を打ち切りやがった。完全に竜王のペースに乗せられちまったわい。

461 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/09/27(木) 22:42:41 ID:EPkVQ+2r0
 もょ「う……ううん………ああ、タ、タケ!だいじょうぶなのか!?しかもかいふくしている…」
 タケ「心配すんな。ちゃんと約束は守ったで。安心しろ。」
 もょ「あ、ありがとう!ムーンがてあてをしてくれたのか?」
 



 タケ「ちゃうよ。手当てをしたのは竜王や。」




 もょ「な、なんだって!?」
 タケ「理由はわからん。しかし俺の存在が完全にばれたわい。ミスしてもうた…すまん…」
 もょ「そうか…」
 タケ「それよりも今は竜王がもょと話したがっている。ここは任せるよ。」


 もょ「おれにはなしがあるとは……どうしたんだ?」

 竜王「成る程。タケとは全く正反対の性格だな。もょもとよ。」

 もょ「なんでおれのなまえをしっているんだ?」

 竜王「お前たちの戦いと今の会話で知ったよ。話は変わるが、危なっかしかったな…」





 もょ「……………だろうな。タケがいなけりゃおれたちぜんいんしんでいた。」

462 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/09/27(木) 22:44:00 ID:EPkVQ+2r0
サマル「なっ………」
  リア「……………」
ムーン「で、でもっ……」

 竜王「臆病者に回答は聞いておらん。それにしてもすんなりと自分の欠点を認めるとは。大した男だ。
    人間とは自分の欠点を認めたがらない生物だからな。」



 もょ「いったいどういうつもりなんだ。なにがいいたい?」







 竜王「本題に入ろう。まず一つ、このままではお前の友タケは消滅する。」

 





俺が……消える!?どういうこっちゃ!?

463 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/27(木) 22:44:15 ID:8Vy5dXH0O
支援

464 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/09/27(木) 22:45:07 ID:EPkVQ+2r0
タケ「お、おい!どういうつもりやねん!」
竜王「まず私の話を聞け。今更バタバタしても仕方があるまい。」

確かに如何し様もねえ。



竜王「本来は私が別の混沌の戦士を呼び出すはずだった。しかしギィンが勝手に呪文を使用し失敗したため、
   タケの魂だけがこの世界に来たのだ。当然、憑依する肉体がなければ魂がすぐに消滅することになる。」



もょ「そ、そうだったのか…」


竜王「タケがお前の体内に入ったのは、皮肉にもお前の恐怖の波長がタケの魂の波長に一致したために
   緊急避難として最適だったのだ。しかし、いつまでも魂の共有は出来ない。
   それにタケはお前や仲間達を守るために生命を削りながら戦ったのだ。」

もょ「なっ…」


竜王「タケは戦闘中に魔法力が無くなって呪文を唱えられる状態ではなかった。そこでタケは己の生命を削って呪文を唱えたのだ。
   この方法が一番危ない。魂の消滅を更に加速させてしまう。」

もょ「じゃあどうすればタケのたましいをたすけることができるんだ!?」
竜王「ただでは教えるわけにはいかん。だが、お前達が私の条件を飲んだら教えても良い。」

もょ「いいだろう!」

465 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/09/27(木) 22:46:23 ID:EPkVQ+2r0
竜王「封印を解く紋章を集めて精霊ルビスを呼び出すのだ。誰かがルビスを封印したらしい。
    恐らくはハーゴンだろう。」


   
ムーン「ハーゴン………!!!」



 竜王「ほぅ。その名前を聞いただけで恐怖から怒りの感情に変化するとは。只の臆病者ではないな。」
ムーン「いい加減にしなさいよ!誰が臆病者ですって!!」


 タケ「落ち着けムーン。今のお前じゃ勝てん。」


ムーン「うるさいわね!!貴方には関係ないでしょ!」
  タケ「自分を過信し過ぎじゃボケ!お前の呪文がギィンに全く通用せえへんかったやないかい!現実を知れ!」
ムーン「ううっ……」

 竜王「話を戻そう。この呪文の欠点は術者の目の前で召還できないのだ。この世界のどこかに召還されるらしい。」

 リア「不思議な呪文だね……」

 竜王「なぜ精霊ルビスの封印を解く必要がある理由は、他の世界からの人間を召還する呪文の本を頂戴したからだ。
    その本はちょっと特殊でな。一度唱えると呪文を唱えた本人や他の者がいくら試しても二度と唱えることが出来ないみたいなのだ。
    悪魔でもギィンの報告を述べただけだが、実際私も試したが呪文が唱えられなかった。」

466 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/09/27(木) 22:47:18 ID:EPkVQ+2r0
サマル「じゃ、じゃあ……他の世界から来た人間が数人いるのだけどその人達は誰が召還したの?」
 竜王「タケ以外で異世界から来た人間がいるのか!?」
サマル「そ、そうだけど…」
 竜王「もしや……私の予測だが、精霊ルビス本人かハーゴンが呼び出した可能性があるかもしれん。」

ククール達が呼び出したのは多分精霊ルビスだろう。じゃあドルマゲスを召喚したのはハーゴンなのか?

 もょ「タケをたすけるためにはもんしょうをあつめればいいのか?」

 竜王「そう言う事だ。精霊ルビスしか対応できないだろう。私達にとってもタケが必要だからな。
    お互いにとって悪い話ではあるまい。」

 もょ「わかった!おれたちがせいれいルビスのふういんをとこう。そのじょうけんはのむぞ。」
 竜王「交渉成立じゃな。まずはこれを渡しておこう。」

竜王は太陽の形を紋章をもょもとに渡した。

 竜王「この太陽の紋章の他に紋章があるみたいなのだが…確か我が城の書物にあった本によると
    5種類あるらしい。しかし具体的などの場所にあるかはわからぬ。」
 リア「そんな…」
 竜王「心配するのではない。山彦の笛という道具を渡しておこう。
    紋章が近くにある場合笛を吹くと、笛の音と紋章と共鳴して音色が少し遅れてもう一度聞こえるそうだ。」
    
準備周到な奴だ。

 竜王「さて、決まった所でもう一つお前達に渡すものがある。いや、返すというべきか…」
 もょ「なにをだ?」
 竜王「ロトの剣をだ。」

この城に封印されていたのか!!これで確実に戦力が大きく変化する。

467 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/27(木) 22:47:34 ID:8Vy5dXH0O
支援

468 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/09/27(木) 22:49:01 ID:EPkVQ+2r0
ギィン「りゅ、竜王様!あれは私が封印したのですよ!それを忌々しいこやつらに渡すとは一体どういう考えのつもりです!?」
 竜王「ギィン。世の中は変化しておるのだ。それに対応しなければなるまい。」
ギィン「し、しかし…」
 竜王「私なりの考えがある…(ゴニョゴニョゴニョ…)」
ギィン「―――――――――――その理由なら仕方がありませぬ…お前達。着いて来るが良い。」

ギィンが俺達を案内し始めた。何か企みがあるみたいだが今は従うしかあるまい。

ギィンが案内した部屋に到着すると不気味な感じの部屋だった。黒い煙の様な物が剣を取り囲っている。

ギィン「では……封印を解くぞ。」
ギィンが詠唱始めたら黒い煙が徐々に消えていって剣が姿を表した……

サマル「こ、これがロトの剣……」

驚くのは無理もない。何せ150年も封印されていたために剣全体が寂び付いていたのだ!

 竜王「ふむ……長い歳月は聖剣ですら時の流れには逆らえぬみたいだな。」
ムーン「こ、これは本物なの!?貴方達嘘ついているんじゃない!?」

ギィン「貴様何を言っている。封印した私が言っているから間違いない。
    竜王様が不在ならとっくに貴様を切り裂いている所だ!!」

ムーンもいい加減にしてくれよ。こいつは対人恐怖症なのか?

 もょ「いや、もっていこう。」
 リア「ええっ!?」
 もょ「たぶんごせんぞさまがみまもってくれそうなきがするんだ。しかしほんとうにもっていっていいのか?」
 竜王「かまわぬ。お前達が持ったほうが都合が良いだろう。」

ロト剣を手に入れた。しかしただの錆びた剣しか見えないが、御守代わりにはなるだろう。

469 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2007/09/27(木) 22:50:19 ID:EPkVQ+2r0










竜王の城から出た時にそれが起こった―――――――――――――――――――――
人の醜悪の部分――――――――――避けられぬ状況が――――――――――――










もょもと&タケ
Lv.18
HP: 77/130 
MP:  4/  9
E鋼の剣 E鋼の鎧 E鉄兜 錆びた剣
特技 共通技:チェンジ
 もょもと専用:隼斬り・魔人斬り・ドラゴン斬り
   タケ専用:かすみ二段・強撃・ゾンビ斬り・大防御・メラ
         火炎斬り

470 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/27(木) 22:53:53 ID:8Vy5dXH0O
レッドマン乙です!
しかしwktkする展開だな。
続きを待ってるぞ( ^ω^)

471 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/27(木) 23:32:45 ID:rt0mO95o0
レッドマン氏乙

初回からほぼリアルタイムで読ませてもらってるが
正直かなり巧くなってるな
文章もシナリオも

毎回すげー楽しみだ

472 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/28(金) 14:35:02 ID:qac/B8ie0
レッドマンの最近の展開が読めない。
いい感じだ。GJ!

473 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/28(金) 21:00:46 ID:oM6IygMU0
あえて苦言を呈させてもらうが、台詞の前にキャラ名を付けるのは何とかならないかな。
読みにくいし。
付けなくても誰の台詞か判る工夫をして欲しい。

474 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/28(金) 23:07:58 ID:SZkRJD+CO
レッドマン乙!
もぅ
じらさないでよ///

475 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/29(土) 13:11:42 ID:Pner0Evt0
作者さんのスタンスだし良いんじゃない?
ただ誤字は良作が駄作になってしまうから気をつけた方がいいね。

次回も期待!

476 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/29(土) 20:30:26 ID:V7PDbWqFO
誤字脱字や各キャラクターの自然なセリフ回しをチェックする簡単な方法。
声に出して感情込めて読む!
最初こそ恥ずかしいかもしれないが、マジお薦め。

477 :Stage.9 hjmn ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/30(日) 22:52:58 ID:4pwvblo40

アルス「ちーっす」
タツミ「どうもー。まずは改めて皆さんにご紹介します。うちの新メンバー、ヘニョちゃん!」
アルス「その名前どうにかしろ。いくらスライムたって、そんな弱そうなのはないだろ」
タツミ「実はヘニョは愛称なんだもんね。本名は立派だよ?」
アルス「ほぉ、言ってみろ」
タツミ「ヘニョリゲス!」
アルス「もっと弱そうだろ! ワザとか!?」
タツミ「もしドルマゲスがヘニョリゲスだったら、あんなに売れなかっただろうな」
アルス「なんの話だよ……」
タツミ「と、雑談はこれくらいにして、恒例サンクスコールいっきまーす!」

アルス「>>454様、うーん最近は『仲いいのかな』と思い始めてる。なぁタッちゃん?」
タツミ「ヒトを騙し半分で危険な世界に放り込んだ人間がなに言ってんだw
   さて、>>455様……それはつまり黒胡椒を取ってくるあたりも含まれますよね」
アルス「そうだ忘れてた! お前カンダタにさらわれたんだよな? なにがあったんだ」
タツミ「うっ、読者様のリクエストじゃあ断れないもんなー。そのうち語ります、そのうち。
   >>456様、普通の草なんかを食べてるだけだったら、それほどでもないんですけどね。
   もう生きたエサは与えないようにしないと。とほほ」


アルス「いつも感想レスありがとさん!」
タツミ「投下中のご支援にも本当に感謝しています。これからも応援よろしくお願いします」


アルス・タツミ『それでは本編スタートです!』


【Stage.9 仮免勇者と彷徨勇者】
 [1]〜[6] ゲームサイド

478 :Stage.9 [1] ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/30(日) 22:56:04 ID:4pwvblo40
  Prev >>442-452
 ----------------- Game-Side -----------------

 トントン、とボールが弾むような音がした。ヘニョだ。相変わらずの笑顔だけど、少し
手前で留まってモジモジしている。気にしてるのかな。
 おいで、と手を差し出すとピョンと飛びついてきた。
「ごめんごめん。君が悪いんじゃないよ」
 スライムも生きているんだから、100%「かわいい」だけで済むはずがない。勝手な理
想を押しつけようとした僕が悪いんだよね。
 リアル……か。

「そう言えば、ロダムは神父さんだったの?」
 さっき気になったことをそれとなく聞いてみる。ロダムは少し口ごもった。
「そうなんですがね……いや、お恥ずかしい話なんですが」
 頭をかく彼に、僕は首をひねった。「神父」と「僧侶」の違いもよくわからない僕には、
なにが「お恥ずかしい」んだかも理解できない。
 ロダムもそれに気づいたのか、「異世界の方なんでしたね……」と苦笑した。
「簡単に言うと、神父は殺生できないから、僧侶になったということですな」

 神父はあくまで「救う」職業であって、たとえ魔物でも無闇に命を奪うわけにいかない。
だが世界規模で魔物被害が拡大している昨今、彼らの強力な退魔能力を正当に利用するた
めに、殺生を許された特別な聖職が設けられた。
 それが「僧侶」。だが名目上はどうあれ、殺すために聖職に就くという矛盾は埋めよう
がなく、特に神父からの転職は「宗旨替え」と中傷を受けることも多かったという。
「最近は理解されてますがね。現実問題、きれいごとで魔物は払えませんしなぁ」
「ロダムはどうして……やっぱり、街が魔物に襲われたから、とかで?」
「よくある話ですよ。妹一家が犠牲になりまして」
 ロダムはただ穏やかに、月明かりに煌めく夜の海を見つめている。
「本来は神父の修行をする『宮廷司祭』も返上するべきなんですが、国王様が認めてくだ
さいましてね。ありがたいことですよ」
 旅が終わったあとは、たとえどんなに殺生を犯してもまた神父に戻っていいってことだ
そうだ。こんな特別待遇を設けてるのは、世界中でもアリアハンだけなんだって。

479 :Stage.9 [2] ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/30(日) 22:58:28 ID:4pwvblo40

「へぇ、あの王様もけっこういいとこあるじゃん」
 優秀な人材が勇者にスカウトされないよう、ルイーダに手を回したりしてたけど。それ
だけ「人」の力を大事にしてるってことなのかもしれないな。


 本当に複雑だ。「現実」と同じように。
 この世界もまた、様々な人間模様があって、そこに悲哀があって、歓喜があって、みん
な一生懸命に生きている。とてもこれが「ゲーム」だなんて思えない。
 いや、ゲームだからなんだっていうんだ? そんなのは、僕の住む世界から見たときの
勝手な枠組みでしかない。ここにはここの、確かな「リアル」がある。

 でも……それでも、彼には耐えられなかったんだろうか。
 すべて投げ出してもかまわないくらい、「ゲーム」という事実が嫌だったんだろうか。

 アルスは捨ててしまった。勇者であることも、家族や恋人や、仲間も、なにもかも。
 そんなこと、アルスを信じ切っているみんなにはとても言えなくて、僕は彼の行き先も、
彼と連絡が取れることも隠している。魔王を倒せば戻ってくる、なんて嘘をついている。

 本当は、ちょっと、苦しい。


「――勇者様?」
「あ、はい! ……え、どうしたの?」
 つい考え込んでしまった僕は、ロダムがなんだか険しい顔をしているのに驚いた。
「大変なことを忘れていましたよ。職業の話で思い出したのですが、勇者様はまだ本試験
に受かっていらっしゃいませんよね?」
「ホンシケン? なにそれ」
「まずい、もう日にちがありませんぞ」
 ロダムは急に僕を船内に引っ張っていった。ヘニョもピョンピョンあとをついてくる。
 僕らに割り当てられた船室に戻るなり、そこにいたエリスやサミエルも交えて、いきな
り作戦タイムに突入。

480 :Stage.9 [3] ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/30(日) 23:02:20 ID:4pwvblo40

 なんと僕、まだ「勇者」の仮免中なんだって。
 ……仮免?

   ◇

「そうですよ、忘れてました! アルス様、本試験の前にいなくなられましたから」
 エリスも口に手を当てて「参ったな」って顔をしている。
「よくわかんないんだけど……僕はまだ正式な勇者じゃないってこと?」
「勇者様は、『勇者』というものについてご存じですか」
 逆に問い返されて、僕はふるふる首を振った。
 ダーマで転職できないから「勇者」が職業だっていうのはわかるんだけど、勇者は勇者
だってなんとなく思ってたし。
「勇者というのは通称なんです。正式には『世界退魔機構認定特別職一級討伐士』という
んですよ」
 そ、そりゃまたご大層な。

 世界退魔機構とは、ほぼ世界中の国や街が加盟している、モンスター被害の対策機構だ。
 ダーマ神殿で認定される「戦士」や「魔法使い」などの一般の冒険職とは別に、この退
魔機構が認定しているのが特別職であり、冒険において格別の特典が与えられる。
 その特典というのが――

 ・加盟国、または加盟店のアイテムを安く提供してもらえる。
 ・ほぼ売買を拒否されない。
 ・アイテムの買取価格が、商品的価値の有無に関わらず売値の4分の3。
 ・宿屋に何時でもチェックイン可能。また宿泊拒否されない。
 ・真夜中でも教会の利用が可能。
 ・親族への生活補助金を、所属国家に支払うよう促す(強制ではない)。

 ――などなど。


481 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/30(日) 23:03:53 ID:mIVAYlVa0
支援!

482 :Stage.9 [4] ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/30(日) 23:04:39 ID:4pwvblo40

 言われてみれば納得できる。普通は使い古しのステテコパンツなんて絶対に買い取るわ
けないもんな。
 武器や防具なんかも、本当は僕たちが買ってた値段の1.2倍〜1.5倍はするんだとか。

 それだけの特典があるので、当然のように特別職に就くための道は険しい。
 ただし、基本的にこの世界における「職業」はすべて「やる気のある初心者を支援する
ため」の制度であり、特別職においても試験で実務経験を問われることはない。「Lv.1」
の勇者が存在するのもそのためだ。
 でも怠けられても困るから、取得後3ヶ月間は仮免で、その後の本試験を経て正式に認
められる。さらに1年ごとに更新試験があり、資格を維持する方が大変なんだって。

「その本試験ってどんなの? 正直、実技だったらキツイよ僕」
 ペーパーだったら自信あるんだけどなぁ。
「一級討伐士の場合、本試験も更新試験も内容は一緒でして、期限までに次の3つの条件
の内、いずれかをクリアしていればいいんですが……」

 1)なにか大きな人助けをする。
 2)魔物から街や村、教会など慈善組織(海賊等は含まれない)を護る、救う。
 3)世界退魔機構が指定する試練をクリアする。

 サミエルがぽんとひざを叩いた。
「なーんだ、それなら今までの旅の中で、どれか当てはまりそうじゃないッスか?」
「そうですね、それを退魔機構に申請すればいいんですよね」
 エリスもほっと胸を押さえている。が、ロダムはまだ難しい顔をしたままだ。
「無理でしょうなぁ。たとえば大きな人助け、なにかしましたか?」
「金の冠を取り返したじゃないッスか」
「……では、ロマリア国王がそれを認めますか? 対象者が認めない限り、審査を通りま
せんよ」
 申請内容の真偽を確認されるのは当然として。なるほど、冠を盗まれるなんて失態、あ
のロマリア国王が公に認めるわけないよな。魔法の鍵についても同じく。

483 :Stage.9 [5] ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/30(日) 23:07:28 ID:4pwvblo40

「バハラタでも、カンダタ一党をこらしめましたが……」
 そう言うエリスも自信なさげだ。答えは聞くまでもない。
「あくまで『人さらいらしい』という噂の範囲で、実害が出ていたわけではありませんか
らね。私たちが向かったのも、勇者様がさらわれたためですし」
 そうそう、変にストーリー狂ったんだよね。思い出したくもない……あの変態オヤジに
は二度と会いたくないよ。
 あ、誤解がないように言っておきますが、宿スレ的にヤバイことはされてませんよ。

「となると3番だけか。『世界退魔機構が指定する試練』って、たとえば?」
「そうですな、今の勇者様でもこなせそうなものとなると……」
 ロダムはしばらくうなっていたが、ようやく言葉を絞り出した。
「……ランシール、でしょうな」

 ガターン! と椅子ごとひっくり返る僕。全員が驚いた顔で僕を見ている。
「ど、どうなされたんですか勇者様!?」
 みんなが助け起こそうとしてくれてるんだけど、さすがに身体に力が入らない。
 じょ、冗談じゃないよ。ポルトガからすぐエジンベアに直行したいからこそ、あれだけ
根回ししたのに! 消え去り草を売っているランシールに先に行くんだったら、同じこと
じゃないか。なんなんだよソレ。

「軌道修正されてるのか……?」
 ロマリアからピラミッド行きを強制されたときにも感じたことだけど。
 確かに、勇者職の話も試験の話もおかしいとは思わない。でもなんでそれが「今」なん
だ? まるでなにか見えない力が、ドラクエ3のストーリーに無理やり当てはめようとし
て、圧力をかけてるように思える。

 それに、考えてみればアルスもアルスだ。こんな大切なことは先に教えておいてくれて
もいいじゃないか。あの夜……ピラミッドで、少しは見直したのに。
「ごめん。ちょっと甲板に出てくる」
「こんな時間にですか?」

484 :Stage.9 [6] ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/30(日) 23:11:57 ID:4pwvblo40

「頼むから人を来させないで。しばらく1人にして欲しい」
 言い捨てて、僕は部屋を飛び出した。ついてこようとしたヘニョをどうするか一瞬迷っ
たけど、立ち止まった途端に飛びついてきたスライムを抱きしめて、また小走りに甲板に
向かう。

 そろそろハッキリ言ってやらなきゃダメだ。あの人は僕をクリアさせたくないみたいだ
けど、それがどういうことなのかわかってないのか?
 故郷に戻れなくなる。そのつらさは、ゾーマを倒したあとに嫌なほど味わってるだろう
に、なんで自分から帰り道を閉ざそうとするんだ。

 プルルルルルル! プルルルルルル! ……ッピ
 
「もしもし、アルス? 楽しんでるところ悪いけど、大事な話があるんだ。ちょっと長く
なると思うんだけど、ユリコたちから離れられる?」
 


『……………………タツミなの?』



 頭の中が、真っ白になった。
 片岡百合子。どうして。

『タツミ? アルスってこの子の名前? ねえ、あんたいったいドコにいるのよ!』
 叫ぶようなユリコの声を、僕はただ呆然と聞いているしか、できなかった。

485 :Stage.9 atgk ◆IFDQ/RcGKI :2007/09/30(日) 23:14:33 ID:4pwvblo40
本日はここまでです。

一般冒険職の試験は、職業によってもバラつきがありますが、
有名私立中学の入試、簿記3〜2級、英検3〜2級など、
大人でも子供でも頑張ればいけそうなレベル。

特別職の一次試験は、東大クラスの大学入試、弁護士資格、
くらい難しいと思ってください。

486 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/01(月) 00:35:08 ID:UvUZ4iqJO
◆IFDQ/RcGKI氏キタ――!!
勇者試験そんなに難しいのか?w
ってことは、アルスも実はすげえ頭いいのかな

ロダムも苦労あったんだな
いつも思うけど、脇役がいい味出してるよ

487 :人生の雨とムチ ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/01(月) 04:26:18 ID:uFmNvnQM0
目の前に広がる光景をどう理解したものか。

…と、言っても薄暗くカビ臭い部屋…波の音が聞こえるから船の中なのだろうか?
体を動かす事すらままならない今の俺にはその狭い部屋の一部しか見えないのだが、
なんとか周囲に目をやると、なんとも暗〜い表情の人が十余名。
老若男女分け隔てなくそれぞれ後ろ手に腕を縛られ、両足首も拘束された状態で
ここに押し込められている。当然、俺の体も同じように拘束されている。
まぁとにかく俺は今そんな所にいるわけだ。

昨日の記憶を思い返してみてもこの状況に繋がる要素は全くなし。
いつも通り大学に向かう電車の中で一眠り。
そして目が覚めたらこの光景。

ふむ、これはひょっとすると北の国の『アレ』に巻き込まれたかね?
もしくは俺の新鮮な『中身』を移植用に切り売りされるのかね?
はたまたどこかの無人島に投げ出されて『殺し合い』でもさせられたり?

ハハハ…ファンタスティック。


「…って、落ち着いてる場合じゃねえ!」


そうだ、これは明らかにヤバイ。
平和ボケした日本人の俺でも生命の危機をビンビンに感じる。
何とかしないと…
そうだ、まずは今の状況の把握だ。
横で同じように拘束されている男に声をかけてみる。

488 :人生の雨とムチ【2】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/01(月) 04:28:44 ID:uFmNvnQM0
「おい、あんた。教えてくれ。ここは一体どこなんだ?」
我ながらマヌケな質問だと心の中で自嘲する。
しかし今はなりふり構っていられない。
男は一度こちらに顔を向けるとすぐに目線を元に戻して語りだした。
「…わからない…一体何が…行商の旅の途中にモンスターに襲われて意識を失って…」

ダメだこいつは…
モンスターだなんて完全に錯乱している。
恐らく屈強な悪の組織(仮定)の連中に襲われたショックでアヒャになっているのだろう。
だいたい科学の発達した近代世界にモンスターだなんてドラクエじゃあるまいs…
ガチャ…ガチャリ

不意に扉の方から金属音がした。
反射的にそちらに目をやった先には
悪の組織にふさわしい覆面で顔を隠した人影(両手は大蛇)に
その周囲をふよふよ飛び回る顔が多数付いた球体。

どう見てもモンスターです。本当に(ry


「…って、落ち着いてる場合じゃねえ!モンスターだあ!!」


錯乱なんかじゃない。現実だ。
部屋の中のあちこちでキャーとかウワーとか悲鳴が上がる。
かく言う俺も腹の底から絶叫したわけだが…

「チッ…暴れられて傷物にでもしちまったら厄介だな…エビルスピリッツ!」
低い声で覆面が言い放つと、浮遊していた球体が前に進み出た。
瞬間、鼻腔をくすぐる甘い香りに包まれて俺の意識は再びまどろみに消えていった…


489 :人生の雨とムチ【3】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/01(月) 04:30:21 ID:uFmNvnQM0

……き……ろ………きろ…

心地良い眠りを妨げる雑音は俺の大嫌いなモノの一つだ。
強制的に眠りを覚まされた直後の俺はハッキリ言ってとても機嫌が悪い。
単に『寝起きが悪い』のだが、その性質が災いして目覚まし時計を何度投げ壊したか…
まあ最近では体が学習して、設定した時刻の数秒前に自然と目が覚めるようになった。
これも人体の神秘…そもそも睡眠とは生命の維持にとって不可欠な脳の休息であり…


「起きろ!」


――目が覚めた。

自分でも驚くくらいにパッチリと目が覚めた。
何が起こったのかすぐには理解できなかったが、次の瞬間には体で理解できた。

ヒュッという風きり音に続けてバシィッという乾いた音。
背中の一部が一瞬冷たくなり、一瞬遅れて灼熱したような痛みが走る。

「新入りの分際でいつまで寝てやがる!」

ピエロのような格好をした男が叫びながら手に持った鞭を振るう。
その度に俺の体が乾いた音をあげ灼熱する。

「…ってぇ…いきなり何をする!」
突然理不尽な仕打ちを受ければ、いくら温厚な日本人の俺でもキレる。
だが、怒りに任せて掴みかかった俺の突進は次の鞭の一撃で止められる。

490 :人生の雨とムチ【4】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/01(月) 04:31:22 ID:uFmNvnQM0
ボロボロの服から露出している胸元に鞭を受け、俺はたまらず倒れこむ。

俺のお気に入りの白いライダーズブルゾンがいつの間にか子汚いボロの服に
変わっているショックも忘れるくらいの衝撃。

…ゴメン、忘れられないや…

…って、服を気にしてる場合じゃねぇ!


さらに倒れた俺に二度三度と鞭が振るわれる。
痛え…シャレになんねえ…

「威勢がいいじゃねえか…だがなぁ、逆らうヤツはここではこうなるんだ!
 俺様が直々にその体に教訓を叩き込んでやる!!」

四度五度六度…数えるのも嫌になるくらい同じ音を聞き、同じ痛みに襲われる。
生まれて初めて味わう激痛に俺はただうずくまるしかできない。



何分…何十分こうして鞭で打たれているんだろう…
相変わらず鞭が振るわれる乾いた音と半狂乱なピエロ男の声が聞こえているが、
目の前がチカチカしていたのはおさまっている…
むしろ目の前が暗くなってきた…まるで睡眠に入る直前の思考回路のようだな…

「そのくらいにしておいたらどうだ?」
背後から男の声が聞こえ、うるさく響いていた鞭の音が止んだ。
もう視覚も聴覚もグチャグチャだったが、彼の声はなぜか透き通って聞こえた。
「それ以上やったらその人は死んでしまうぞ。」

491 :人生の雨とムチ【5】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/01(月) 04:33:12 ID:uFmNvnQM0

  死

…あぁ…死なんて実感した事がなかったなぁ…そうかこれが…


  死?


…嫌だ…



   死にたくない!!

飛び起きた俺の全身を痛みが走り、俺はその場にへたり込んだ。
それでも痛みを堪えて声のほうに目を向けると、ピエロ男に向かい合う二人の男の姿。

片方は紫の布(ターバンっていうのかアレ?)を頭に巻いた男。
恐らく彼がピエロ男を止めてくれたのだろう。

「なんだ?またお前か。いつまでも反抗的なヤツだ。」
ピエロ男が忌々しげに舌打ちをする。

「お前は何度痛い目を見ても懲りないらしいな。」
ピエロ男が鞭をしならせ、バシィッと地面を打ち鳴らす。
ヤツの照準は完全に俺からターバンの男に替わったらしい。

…助かった…けど、このままだとあの男が…

492 :人生の雨とムチ【6】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/01(月) 05:02:19 ID:uFmNvnQM0
「まあまあ二人とも落ち着いて。」

険悪な雰囲気の二人の間に、ターバンの男と一緒にいた緑の髪の男が口を挟んだ。
「いつもすみませんね。本当にコイツは反抗的で、俺からも言って聞かせますので。」

…え?俺見捨てられた?…死亡フラグってヤツですか?

「でも、コイツの言うとおりそれ以上やったらその人たぶん死んじゃいますよ。
 今は神殿の完成が最優先ですよね?人手を減らすのはマズいんじゃないですか?」
緑髪がニコニコと愛想笑いをしながらピエロ男に語りかける。
その少し後ではターバンの男がピエロ男を睨みつけている。




数秒の沈黙を破ったのはピエロ男だった。


「ふん。気に食わんがお前の言うとおりだ。今人手を減らすのは得策ではないな。
 今日はこれで勘弁してやるが、お前はその二人にしっかり言い聞かせておけ。
 次に歯向かうような事があったらその時は容赦しないからな。」

ドスドスと乱暴な足音を立ててピエロ男が去っていった。
ターバンの男と緑髪は安堵した表情で顔を見合わせている。

…本当に助かったのか?

ボンヤリしている俺にターバンの男が声をかけてきた。
「酷い目にあったね。大丈夫だったかい?」

493 : ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/01(月) 05:05:22 ID:uFmNvnQM0
新作投下してみました。世界は5です。
現実の人間を幼少期から同行させるのは難しかったので青年時代からのスタートです。

494 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/01(月) 08:15:15 ID:hI19NMb2O
>>492
新作ktkr
次回も楽しみに待ってまつ

495 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/01(月) 13:48:03 ID:SJLnF0e10
>>487-493
トリップがゲマwww
新作乙! これからどう発展するのか楽しみ

496 :人生の雨とムチ【7 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/01(月) 18:59:32 ID:uFmNvnQM0
「あ…あぁ…ありがとう…」
差し伸べられた手を取り立ち上がろうとするも、足元がフラついてしまう。
「おっと…ベホイミ…よし、これでもう歩けるだろうけど無理しないほうがいいよ。
 アレの辛さは僕達もよく知っているから。」
ベホイミってあんた…それなんてドラクエ?
かめはめ波を出そうとする小学生じゃあるまいし、こんな場面でそのギャグは…

え?…痛みが消えてる…?

ほんの数秒前までまともに立ち上がることすらできなかったはずなのに、
彼が手をかざして言葉を発した瞬間、全身の痛みが全て消えていた。
あれだけ鞭で打たれたのに、今では痺れも残っていない。

ハハハ…ファンタスティック。
だいたい科学の発達した近代世界に魔法だなんてドラクエじゃあるまいs…
「おや?まだミミズ腫れが残っているね…ホイミ。」

彼が言葉を発すると赤く膨らんでいたミミズ腫れが飛行機雲のように消える。

どう見ても魔法です。本当に(ry

いやいや魔法だなんてそんな馬鹿な。
バミューダトライアングルだって科学的に証明できているこの近代社会に魔法って、
そしたらアレか?もし俺がここでイオナズンとか叫んだら凄い事になるのか?
就活の履歴書に【特技:イオナズン】とか【趣味:ザラキ】とか書けるのか?
ハハハ…それだったら使っちゃいますよ?イオナズン。良いんですか?
しかし、確かに今あれだけの痛みと傷が一瞬で…
いやいや…でも、船の中で見たモンスターとか、魔法とか…
モンスター…魔法…まさかね…

497 :人生の雨とムチ【8 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/01(月) 19:01:55 ID:uFmNvnQM0
「知ってて何でお前は毎回歯向かうかなあ。その度に止める俺の身にもなれっての。」

混乱している俺をよそに緑髪がターバンに茶々を入れる。
「…って言うか、お前もいきなりムチ男に殴りかかるなんて何考えてんだ!
 俺達が間に入らなかったら本当に死んでてもおかしくなかったんだぞ?」

そうだ。死ぬところだったんだ…俺…

いまさらの様に思い出して背筋がぞっとする。
あの時、視覚も聴覚も痛みも感覚も消えて意識も手放してたら今頃は…

「本当にありがとう。二人が助けてくれなかったら俺は今頃…」
慌てて立ち上がり、俺は二人に心からの礼を言う。

二人は一瞬驚いたような表情を見せ、次の瞬間には笑顔になっていた。
「気にしなくていいよ。でも、ヘンリーの言った事は覚えていてくれないかい?
 君の命は君自身にとっても、君の大切な人にとってもかけがえのない物なんだ。
 ここの生活でどんなに辛い事があっても、どんなに理不尽で悔しい思いをしても
 まず生きる事を考えて欲しい。君に何かあったら悲しむ人が絶対にいるから。」
ターバンが諭すように僕に語りかける。
表情は笑顔だったが、その瞳は真剣だった。
俺はただ黙って頷いていた。

俺が死んで悲しむ人か…
親父やお袋はやっぱり悲しむのだろうか?
大学の飲み仲間やバイト先の人間はどうだろう?
もう数年連絡を取っていない中学、高校のクラスメイトは…
もう俺の事を忘れてしまっているだろうか…

498 :人生の雨とムチ【9】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/01(月) 19:04:45 ID:uFmNvnQM0
「ま、新入りのお前もすぐにここでの立ち回りがわかるようになるだろうさ。
 そうすりゃ二度とあんな無茶をしないに決まってるぜ。な?」

ヘンリーと呼ばれた緑髪が馴れ馴れしく俺の肩をバンバン叩く。
普段ならウザイと思う所だが、何故か今は心地良い。
「おっ、そうだ。なんならお前もこのヘンリー様の子分にしてやろうか?
 ヘンリー様が直々に奴隷生活のエンジョイの仕方をレクチャーしてやるぜ?」



前言撤回…
普段ならウザイと思う所だが、今でも普通にウザイ。
緑髪の後ろではターバンがこちらに向かって申し訳なさそうな笑顔を浮かべながら、
顔の前で両手を合わせている。『ゴメン、合わせてやって。』…といった感じか。
これも恐らく毎回の事なのだろう。思わず苦笑がもれる。

「あ〜ん?何笑ってるんだ?新入り。そう言えばお前の名前を聞いてなかったな。
 お前、名前は何て言うんだ?」
「あ…俺の名前はイサミ。村崎 勇。」
促されて慌てて自己紹介をする。


勇…勇ましい…勇気… 
温厚な小市民には不釣合いで好きではない自分の名前。

499 :人生の雨とムチ【10】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/01(月) 19:05:27 ID:uFmNvnQM0
「イサミ…変わった名前だな。俺はヘンリー=ブローマ=ベルデ=ド=ラインハット
 ヘンリーと呼んでくれ。よろしくなイサミ。」
「そう言えば僕も自己紹介がまだだったね。僕はサトチー。」




前言撤回…
少しだけ自分の名前が好きになりました。

拝啓 お父様、お母様。
 素敵な名前をありがとうございます。


「よ、よろしく。ヘンリーに…えっと…サトチー…?」
半ば引いた笑みを浮かべているのが自分でもわかる。

うん、あえて触れないでおこう。それがオトナの付き合い方ってヤツだ。

「いつまでサボってやがる!新入りの手当てが済んだならさっさと持ち場に戻れ!!」
石壁剥き出しの粗末な部屋の外からムチ男の怒鳴る声が聞こえる。

「あ〜あ、またヒステリーだよ。仕方ない、今日も適当に仕事を終わらせますか。
 ホラ、イサミもついて来い。親分が直々に仕事を教えてやるよ。」

いつの間にか子分になっていた俺は、二人に誘われるままに部屋を後にした。

500 :人生の雨とムチ【11】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/01(月) 19:06:42 ID:uFmNvnQM0
部屋の外で待っていたのは俺の新しい職場。
就職先が就活もせずに決まるなんて大学生にとってはまるで夢のよう。

皆さん額に汗して一心不乱に石や木材を運んでいます。実に健康的です。
上司のムチ男さんは俺達に対して常に真剣に愛の鞭を振るってくれます。
しかも食事付の寮完備。今日の夕飯は腐りかけたジャガイモでした。ヘルシーです。
湿ったゴザに疲れた体を横たえると明日への希望が徐々に失われてゆきます。

どう見てもタコ部屋です。本当に(ry

悪夢のような内定(辞退不可)に目の前が滲んでよく見えません。


イサミ  LV 1
職業:大学生 改め 建設作業員
HP:18/18
MP:0
装備:E奴隷の服

501 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/01(月) 19:13:25 ID:LhLPtzsV0
新作乙! 主人公はドラクエは知ってるけど5は知らないんだな。
サトチーwとヘンリーも違和感ないし、文章とか読みやすくて好みだ。
次の投下も楽しみにしてます。

502 : ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/01(月) 19:28:28 ID:uFmNvnQM0
>>500まで第一話を投下させて頂きました。
おおまかなストーリーは考えてあっても文章にするのは難しい…

では、イサミの冒険活劇、第二話の投下まで暫しの幕間で御座います。

503 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/01(月) 20:36:14 ID:p9UCNGXQ0
読みやすくて良いね。ぜひ完結させて欲しい。
妄想を形にするのは難しいけど、頑張れ。

504 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/01(月) 21:15:32 ID:I/dHHXDo0
ちょwサトチーかよwwwwにしてもヘンリー世渡り上手いな
同じく読みやすくて好きな文章なので続き待ってます

505 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/10/02(火) 17:52:59 ID:7ftfxckl0
―中の巻―(>>429-436

鍵の次は船が欲しくなった。船を手に入れるとなるといろいろ大変だ。船舶免許とか税金とか。
だが、それは俺の世界の話。この世界では黒胡椒さえあれば万事解決するらしい。
そんなわけで胡椒を求めいざ東の地へ。

胡椒売りの娘がさらわれたとかで助けてやったらただで胡椒をくれた。
ちなみに犯人はカンダタ。またカンダタか。
結果的にただで胡椒が手に入ったのである意味カンダタGJなのだが。
奴は人質に手荒な真似はしていなかったので許してやった。
また何かやらかして俺たちが手柄を立てることを期待したわけではない。断じてない。

あまりあっさり胡椒を持ち帰るとありがたみがないのではないかと思う。
だからもう少しこの地を探索して時間をつぶすことにした。
その結果、ダーマという神殿を見つけた。ここでは職業や名前を変えることができるらしい。
せっかくだからキャラ的に地味なゲンを、せめて名前だけでも素敵なものに変えよう。
こいつは最早いつかの幽霊のように素手で熊を倒せるくらいに強い。だが存在感がない。
お互いあまりしゃべらないのでこいつとの会話はこんな感じになってしまう。
「この世界で信じられるのは己のみ。だからこそ俺は強さを求めるのだ。」
「あ、そう。」
いい名前を思いついたが「名前というものをなめておるのか?」と言うので改名は断念した。

しかし、その後見つけた村の連中こそ名前をなめていると言っていいだろう。
こいつらオルテガと言う名前をポカパマズさんと呼んでやがった。
俺がそのポカパマズさんに似ていると言ってくるのは何かの嫌がらせだろうか。
だが、似ていると言う理由でポカパマズさんの使っていた兜をくれたのでよしとする。

探索も飽きたので胡椒を船と交換した。思っていたよりもいい船だった。
国王は胡椒をうまそうに食べていた。それは調味料だと教えてやらないほうが親切だろうか。
船を手にいれたら今度はオーブというものを集めることになった。
6個集めると何かが起きるらしい。7個集めるやつなら知っているのだが。

506 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/10/02(火) 17:54:03 ID:7ftfxckl0
夜の船旅では交代で見張りをしている。今は俺とドルが担当だ。
しかし、俺はついうとうとしてしまった。
「うわっ!」
俺は叫び声を上げ夢から目覚めた。
「大丈夫? すごい汗よ。」
「すまん、寝てしまった。ちょっと寝込みを襲われる夢を見てな。」
「そうなの? それにしては寝顔がうれしそうだったわよ。」
まさか本当は猫耳に襲われる夢だったなんて言えない。
「夢と言えばさ。エンは将来の夢ってある?」
夢。……元の世界に帰ることが俺の夢なのだろうか。
「もちろん世界を平和にすることでしょうけど、聞きたいのはその後のことよ。」
俺が答えなかったのを、俺の夢は魔王討伐だと解釈したらしい。
「その後のこと?」
「うん。平和になったあと何するのかなと思ってさ。」
……確かに元の世界に戻れなかったときにことも考えておいたほうがいいかもしれないな。
エンの過去を知る者が多いアリアハンに帰って暮らすのはまずい。他でで働かねば。
この世界の通貨はゴールドで統一されている。為替のトレーダーにとっては住みにくい世界だ。
「そうだな。何か商売を始めてみるかな。よかったら教えてくれないか?」
「私が? いいわよ、教えてあげる。格安で。」
「金取るのかよ!」
「だって私が信じられるのはお金だけだもん。」
素敵な台詞を吐いてくれる。こういう金に執着する姿勢は嫌いではないけど。

「でもさ、バラモスを倒した勇者を周りが放っておくわけないわよ。」
そんなものか。『魔王の倒し方』なんてハウツー本の執筆の依頼が来るかもしれないな。
……待て。そのときにはもう倒すべき魔王はおらんではないか。
「それにさ、勇者が客商売なんてプライドが許さないんじゃないの?」
プライドなら捨てた。猫耳をつけたときに。……うーん、様にならんな。
それと俺は猫耳を引きずりすぎだと思う。

507 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/10/02(火) 17:55:05 ID:7ftfxckl0
「ところでドルの夢って何だ?」
あまり自分の話はしないほうがいい。相手に話を振ることにする。
「私の夢はね、町を作ることなの。誰でも自由に商売ができる町よ。」
「今だって自由に商売できるんじゃないか?」
「まだまだ規制が多いわ。私が目指すのは、がんばった人ががんばっただけ稼げる。そんな町よ。」
どこの世界にも同じようなことを考える人がいるようだ。自由主義経済とか言うんだったかな。
ドルにとっては夢なのだろうが俺の世界では一般的なことだ。俺は知っている。その問題点も……
「そんな町を作りたいんだったらしっかりしたシステム作りが必要だな。」
「システム?」
「ああ、経済を動かす法律、法律を動かす政治、そういった町を動かすシステムのことだ。」
「ずいぶん難しいことを言うのね。」
「ああ、昔ゼミで……いや、昔読んだ本に書いてあった。」
「ふーん。あなたはずっと魔王を倒すための修行をしていたのかと思ったわ。」
「ああ、実を言えば俺はまったく違う世界の人間だからな。」

「……なにそれ?」
ドルは俺言葉の意味を探っているようだった。なぜ俺はこんなことを言ったのだろうか。
ちょっと親しくなっただけで自分の秘密を打ち明けるなんて。
いや、親しいどころか俺は彼女の本名すら知らないではないか。
「いや、修行中にそんなことを考えていたということだ。つまらない冗談だったな。」
俺の言葉にドルは納得していなかったようだが深くは追求しなかった。
そのあと俺たちはドルの夢と俺の昔の知識について語り明かした。
さほど昔のことではないはずなのに大学での勉強はあまり覚えていない。記憶なんて曖昧なものだ。

そして、夜が明けた。

「見て! 陸地が見える!」
朝日の光によって遠くまで見渡せるようになり、うっすらと陸地が見えたようだ。
新しい朝に新しい大陸、まるでドルの夢を象徴しているようじゃないか。
そんなことを考えていた。
ただし、上陸するまでの話だ。……新しい大陸かと思ったらアリアハンでやんの。

508 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/10/02(火) 17:56:07 ID:7ftfxckl0
アリアハンの城に魔法の鍵で開けられる扉があったことを思い出し探りを入れる。
せっかくだから俺は宝物庫の扉を選ぶぜ。
「勇者オルテガにはいろいろ世話になった。ここで何をしようと見てみない振りをしよう。」
宝物庫の番をしている兵士がそう言うので遠慮なくもらうことにしよう。でもオルテガって誰?
「あなたの仕事はこの宝を守ることでしょう。そんないい加減なことでいいの?」
なんとドルが説教を始めた。遠慮なくもらっていきそうなものだが意外と熱い女だ。
仕事と言うものに誇りを持っているのだろう。
最終的に倉庫番の兵士のおっさんが王様に話を通し俺たちが宝をもらえることになった。

おっさんはずっと独り身で身内がいないとのことだった。
だからこそ国王に掛け合うなんて真似ができたのだろう。
おっさんは1人は寂しいと言う。……俺も母に顔くらい見せたほうがいいかもしれない。
そういえばユーロにも身寄りがなかったな。
……これっていい巡り会わせではないだかろうか。
この人がユーロを養子にもらってくれることを俺は想像していた。
砂漠の女王様のところに行くという手もあるが、これはやめておこう。
あの女王の元にいて幸せを感じるかは、何と言うか個人差が大きい。
冒険が終わった後のそれぞれの人生。平和な世界での生活。
仲間たちは俺のつけた名前から元の名前に戻るのだ。
俺はここで思い出した。オルテガとはポカパマズさんのことだと。

509 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/10/02(火) 17:57:09 ID:7ftfxckl0
ひと時の帰郷のあと本格的なオーブ探しが始まった。
レッドオーブは海賊のアジトにあった。
海賊の女のおかしらに「女が海賊をやるのはおかしい?」と聞かれた。
「うちではこんな子供が盗賊をやっている。」と答えておいた。
パープルオーブはジパングと言う国にあった。まるっきり昔の日本だ。
そうか俺はタイムスリップしていたのか! いや、昔でもヤマタノオロチはいない。
ブルーオーブは1人で入らなければならない神殿の奥、地球のへそにあった。
俺がとりに行った。無事に帰ってきたときはユーロは泣いて喜んだ。
グリーンオーブは廃墟にあった。確か夜には村人がいたようだが気のせいだろう。
ユーロはここでもちょっと泣いていた。もっとも泣きたいのは俺も一緒だ。

「ユーロお前ちょっと泣きすぎだぞ。」
「何だよ。さっきはエンあんちゃんだって泣きそうだったじゃないか。」
見られていた。
「……とにかく男は涙を見せないもんだ。泣いているとチャンスも見逃すぞ。」
俺の顔はしっかり見ていたようだが。泣き顔より笑顔のほうがいい。
以前は笑うと歯が欠けているのが見えてかなりナイスだった。今は歯が生えてきているが。
それに養子に出るにも泣く子より笑う子のほうがいいだろう。
あれから何度かアリアハンに立ち寄っている。ユーロもおっさんに懐いているようだ。
俺も母に顔を見せている。そういえば最近、実家に爺さんがいることを発見した。
「わかった。おいら泣かないよ!」
「そうだ。男が泣いていいのは財布を落としたときだけだぞ。」
俺のジョークは受けなかった。俺は顔で笑って心で泣いた。

510 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/10/02(火) 17:58:11 ID:7ftfxckl0
そんな会話があったあと町を作りたいと言う老人に出会った。
町を作るには商人が必要であるという。
……これってまさにドルのやりたいことではなかろうか。
俺たちはドルをここに置いていくかを相談することにした。
「俺は反対だ。ここでドルが抜けると戦力的に大きなロスになる。」
「おいらもドル姉ちゃんとお別れするのは嫌だよ。」
ゲンとユーロは反対している。
「俺は……ドルの夢を応援してやりたい。」
「本当に、本当にいいの?」
「ああ、魔王退治だけがすべてじゃないさ。」
「でも……」
「魔王なんて俺たちが倒さなくても柱に小指をぶつけて急死するかもしれないぞ。」
「もう、そんなわけないじゃない!」
分からんぞ。奴がたまたまバリア床で体力を消耗しているときだったら、あるいは……
「とにかく自分のやりたいことを優先させろ。」
「……ありがとう。」
「みんなが幸せに暮らせる町を作れよ。」
「うん! お別れだけど、笑顔で送り出してね!」
「俺は泣くかもしれないけどな。」
「うれし泣きじゃないでしょうね。」
「違うよ。お前がパーティーから抜けるのは財布を落とすようなものだからな。」
空気が凍りついた。あれ俺ってヒャド使えたっけ?
「……そう、私は財布なのね。いいわ。財布は財布らしくお金のために生きてやる!」
ギャグが滑ったことで怒らせてしまったようだ。なんて笑いに貪欲な女だ。
……なんてな。俺に気の利いた台詞は似合わない。これでよかったのだ。
こうしてドルはパーティーから外れた。自由な町を作ると言う彼女の夢を実現させるために。

511 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/10/02(火) 17:59:12 ID:7ftfxckl0
ドルの抜けた穴を埋めるべく、ルイーダの酒場で新たな仲間を加えることにした。
初めて酒場で仲間を募ったときビジネス上の付き合いだと思っていた。
だが、今ではそれ以上の存在になっている。それがいいことなのかは俺にはわからない。
仲間にしたのはポンドと名づけた男の僧侶だ。苦労人という感じがする。
なんとなくリアルの俺の親父を思い出す。親父は平凡なサラリーマンだった。
親父は俺が一回のトレードで自分の年収ほどの金を動かしていたことをどう思っていたのだろうか。
この新しい仲間を見て、そんなことを考えてしまった。

新しいパーティーでサマンオサというところに行き、ラーの鏡ついで変化の杖を手に入れた。
それが船乗りの骨、愛の思い出、ガイアの剣へ変わっていき最後にシルバーオーブにたどり着いた。
ポンドはいきなりレベルの高い戦いに参加することになったがよくやってくれている。
しかし、このパーティーには弱点がある。男ばかりで旅が楽しくないと言うことだ。
……それだけではなく、いろんな意味でドルの存在は大きかったということだろうか。
俺の感想にもいまひとつ面白みがない。

最後のオーブを探し世界中を回る途中、ドルの町に行ってみることにした。
はじめはただの草原であったその場所は見違えるほど立派な町になっていた。
しかし、この町は荒んでる。町の中には為政者への、ドルへの不満がたまっていた。
何とかドルと話をしようとしたが叶わなかった。仕方なくその日は宿に泊まることにした。
そして、夜が明けてしまった。

革命がおき一夜のうちにドルは牢屋の中に入れられていた。
あの日、船の上で語ってくれたドルの夢はこうして終わった。
夢は夜明けとともになくなるもの。俺はそんなつまらないことを考えていた。
「私、自分の夢をみんなに押し付けすぎたみたい。」
牢屋から出してやることはできた。だがドルはもうしばらくここで反省すると言う。
あるいは俺たちに自分の姿を見られたくなかったのかもしれない。
「……屋敷の椅子の後ろを調べてみて。」
別れ際ドルはそういい残した。椅子の後ろにはイエローオーブがあった。
ほかのオーブと同じはずなのにそれはひどく重く感じた。

512 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/10/02(火) 17:59:50 ID:7ftfxckl0
すべてのオーブがそろいラーミアと言うでかい鳥が出てきた。
こいつに乗っていけば魔王の城まで飛んでいける。
魔王さえ倒せばすべての問題は解決する。根拠はないがそんな気がする。
俺は元の世界に帰ることができるのではないだろうか。
ユーロは新しい親の元で幸せな生活を始めることになるだろう。
ゲンにとっても武闘家として魔王を倒す以上の名声はあるまい。
ポンドも僧侶として平和な世界と平穏な生活を望んでいる。
そしてドルも……俺が裏から手を回すことで牢屋から出られるはずだ。
世界を救った勇者の頼みとなればあの町の連中も断れないに違いない。

しかし、世の中そんなにうまくいかないものだ。
俺たちの希望の光は、つまらない理由でかき消されてしまった。
そう、呆れるほどつまらない理由で。

―下の巻に続く―

513 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/02(火) 19:24:10 ID:/jElPciTO
乙!
うまいなぁ……

514 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/02(火) 21:12:15 ID:hBNQR1cZ0
乙です。
ドルさんと語り合った日とか、なんかいいですね。
それと、ユーロさんの将来を本気で相談している主人公さんとか、ドルさんが倉庫の宝物を盗まないで王様に話を通してもらったり、いい感じです。

515 :案ずるより鉄拳制裁【1】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/03(水) 00:35:09 ID:XHCbb8Co0
「つまり、魔法ってのは呪文に込められた力を引き出す技術の事だ。」
今、俺は就寝前の時間を使ってヘンリーから魔法の講義を受けている。

ここにやってきて一ヶ月が経った。
奴隷労働は辛い。何度も何度も心を壊されそうになった。
何度も何度も自ら命を絶つ事を考えた。
それでも、その度にサトチーとヘンリーに励まされて自分を保てている。

心を壊しそうになる度にサトチーが俺に語った。
―今日を生きて、明日も生きよう。
  君の死が君を知る人に与える悲しみは君が背負う悲しみよりも深い筈だから―



   そして俺は今日も生きている。



毎日毎日つるはしやスコップを振るって岩盤を掘り進め、
何度も何度も重たい石をトロッコで運ぶ。
時々ヘンリーとサボってる所をムチ男に見付かって鞭を喰らって
苦笑するサトチーにホイミで治してもらう。
最初は愕然とした壷も、今では慣れて普通に用がたせるようになった。
しかし、女の子にとってはキツイよな…アレ…

少しづつ体力もついたようで、筋肉が付いて体中が引き締まった気がする。
ビリーズブートキャンプよりも効果抜群。DOREIエクササイズSUGEEE!!
これを続ければ来年の夏には海岸の視線を独り占め?

絶対続けたくないけどね。

この生活で海水浴とか絶望的じゃん…

516 :案ずるより鉄拳制裁【2】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/03(水) 00:39:00 ID:XHCbb8Co0
[【1】でアンカー忘れ…orz LOAD DATA >>487-492 >>496-500]

さて、この一ヶ月サトチーやヘンリー、奴隷仲間と色々な話をした。
二人の子供時代の話…サトチーの親父さんの話…
ヘンリーがラインハットという国の王子だったという話…
この建築現場の話…教団の話…

魔法の話…モンスターの話…



そして俺は理解してしまったんだ…
正しくはなんとなく理解していても信じたくなかったのだが…
俺が今いる場所は俺の世界とは別世界。





「嘘だろ?別の世界ったって…信じらんねえよ。」
「妖精の国が存在するんだから、他に世界があってもおかしくないさ。」

俺の言葉をあっさりと受け入れるサトチーと半信半疑のヘンリー。
そうか、俺の存在は『妖精の国』と同等のオカルトなのか…
俺の世界での妖精は、ごく一部の心と体が綺麗な男性にしか見えないってのに…

もし、ここを無事に出られたとして俺は家に帰れるのだろうか…
ヘンリーはここを出たら城に帰ると言う。
サトチーは親父さんの遺志を継いで旅をすると言う。
俺は…帰れるのか?

517 :案ずるより鉄拳制裁【3】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/03(水) 00:40:13 ID:XHCbb8Co0
二人から魔法を教わるのも俺の大事な日課だ。
科学技術が通用しない。自動車もガスコンロもクーラーも電話もない世界。

タバコに火を点けるのも魔法が必要って事か…
こっちの世界にタバコがあるのかわからないし、タバコなんて吸える状況ではないが、
でも恐らく火打ち石みたいな物はあるんだろうな。マルメンライトはあるかな?
電子レンジがないのは痛いな。コンビニ弁当なんてのも存在しないだろうし。
そうだよな、"おべんとう"がそこらで手に入ったりする世界なんてないよな。

ともかくこっちで生きるには、こっちで発達している魔法技術を学ぶ必要がある。
魔法を学びたいという俺の申し出を二人は快く引き受けてくれた。



「呪文の言葉の意味を理解し、その過程を想像し、結果を導き出す。
 その過程を通らない魔法はただの言葉。何の効果も発揮しないんだ。」

なるほど、ベギラゴンやジゴスパークやマダンテという言葉は知っていても、
それだけで相手を全員デストロイしたり、汚物を消毒したりは不可能らしい。

そりゃそうだよな、言葉を発しただけで魔法の効果が発揮されちまったら、
『チャル"メラ"』とか『みや"ざき"』って言うだけで辺り一面カオスだし、
『ウホッ!い"いお"とこ』なんて言った瞬間、相手が爆死しちまう。

518 :案ずるより鉄拳制裁【4】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/03(水) 00:41:13 ID:XHCbb8Co0
「例えば魔法の基本とも言える"メラ" あれは『メラ』という呪文の言葉自体に
 『ともしび』という意味がある。弱々しいが大炎の源になる火の力だ。
 火の意味を持つ言葉があると理解したら、どうすれば火が出るのかを考える。
 火を発生させるには何が必要か、その結果どのような火が発生するか、
 過程が繋がって結果を導き出した時、初めて魔法は効果を発揮するんだ。」

城の教育係の受け売りだけどな。と、照れくさそうに笑うヘンリー。


ふむ、言ってる事はなんとなく理解できた。
ある意味では俺の世界の科学にも似ているのかもしれない。
何でも出来るパソコンがあっても、起動方法がわからなければただの箱に過ぎない。
そうだよな、俺も初めてパソコンを接続した時はチンプンカンプンだったもんな。
サポセンの女の人に何度も電話しちゃってさ。
あぁ、でも魔法にはサポセンがないんだよな。自分で全部何とかするしかないのか。
俺がゆとり世代の人間だったら投げてるな。絶対。


「概念をちゃあんと理解できれば魔法なんてすぐに使えるようになるからな。
 親分直々に講義してやってるんだ、しっかりトレーニングしろよ。」

519 :案ずるより鉄拳制裁【5】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/03(水) 00:42:46 ID:XHCbb8Co0
就寝前にヘンリーから魔法の理論や概念を学び、
昼の労働の合間にサトチーから実技を教わる。
「はい、それじゃあ今日もメラを使ってみようか。」

積み上げた石に木の板を立てかけただけの簡素な的。
俺はその的から離れた位置に立ち、掌を向けて集中する。


…考える…火の発生と成り立ちを…俺の掌の先が発火点に達する事を…


「 メラ!! 」





……返事がないただの不発のようだ。





「なんでだ?なんで魔法が出ない!?メラ!メラァ!!メルァァァ!!
 メラメラメラメラめがんてぇぇぇぇぇ!!!!」

「まあ落ち着いて。闇雲に叫んでも魔法は発動しないさ。」
サトチーが優しく微笑みながら俺を制する。
この一ヶ月、一度も魔法が成功していない…orz…

520 :案ずるより鉄拳制裁【6】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/03(水) 00:43:28 ID:XHCbb8Co0
「う〜ん…メラでここまで苦戦するとなると根本の属性が違うのかな?」
「…ぞくせい?」
「うん、攻撃魔法はメラ系、ギラ系って具合に系統属性が分かれててね、
 その人自身が持つ系統属性が合わないと魔法は絶対に発動しないんだ。
 確かにメラは魔法の中で一番簡単に取得できる基本魔法って言われてる。
 でも、その人がメラ系の属性を持たない場合は、どれだけ魔力があっても
 メラは絶対に使えるようにはならないんだ。」
「そうか…じゃあ、自分に合う系統を探せばいいんだな?よし!
 うおおおぉぉ!!!メドローアアアァァ!!!!」
「でも、稀に属性系統を全く持たないで生まれる人もいるんだよね。
 そういう人達は系統に限らず魔法そのものが使えない。」


…当然ではあるが、メドローアは発動しない…orzorz


「そう落ち込まないで。僕だって基本魔法のメラが使えなかったのに、
 バギ系はあっさり使えるようになったんだから。」
「……(軽く涙目)…」
「ヘンリーに色んな呪文を教われば、そのうち自分に合う系統が見付かるよ。
 今は魔力を高める訓練に集中しよう。ぼんやりしてるとまたムチ男に見付かるよ。」

涙目のまま瞑想に入る…

目を瞑り、精神を集中する…その時、いつもとは違う喧騒が俺の耳に入ってきた。

イサミ  LV 1
職業:建設作業員
HP:23/23
MP:3/3
装備:E奴隷の服

521 :案ずるより鉄拳制裁【6】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/03(水) 00:46:51 ID:XHCbb8Co0
第二話の前半部分まで投下です。

イサミのHP・MPが上昇してるのは奴隷労働とトレーニングの効果。
戦闘をしていないのでLVは保留。種を使ったような感じです。

522 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/03(水) 16:07:06 ID:VO5kLJIgO
>>520
乙!読みやすくてイイヨイイヨ‐(^_^)

523 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/03(水) 18:27:21 ID:OzoWbGuh0
>>515-521
投下乙。サトチーのセリフとか重いな…。
でも全体的な雰囲気が楽しいから面白いね。
なんかイサミに妙に親近感が沸いてくる。>>517後半の連想アホスw

524 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/03(水) 23:56:31 ID:UMiyhHZm0
オモスレ〜〜
○○バーグの話はゲームシナリオの中でも異質なエピソードだよなぁ
結構子供のときはショックだった

525 :案ずるより鉄拳制裁【7】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/04(木) 00:28:52 ID:FqCqxEk60
LOAD DATA 第二話前半>>515-520

「…また何か事故でもあったのか?」
「怪我人が出てるといけない。行ってみよう。」

この現場において事故は日常茶飯事だ。
作業の安全対策などは当然皆無。奴隷達は全員満身創痍で注意力も散漫。
落盤・崩落・落下…これまでにも様々な事故があった。
奴隷達の中で唯一、回復魔法が使えるサトチーは事故の度に怪我人を救ってきた。
どんな酷い怪我でも彼がいれば心配する事はない。

今回もきっと…




「な…」

現場に着いた俺達は想像とは違う光景に言葉を失った。


ケタケタと笑いながら鞭を振るい、動けない奴隷を痛めつける二人のムチ男。
それを泣きながら止めようとする一人の女性。
それもまた日常茶飯事の光景。

だが、いつもと違うのは、痛めつけられている奴隷…



「ヘンリー!!」

526 :案ずるより鉄拳制裁【8】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/04(木) 00:30:53 ID:FqCqxEk60
サトチーがムチ男達を押しのけ、痛めつけられているヘンリーを助け起こす。

酷い…
ヘンリーは全身を滅多打ちにされ、体中が赤…を通り越して赤黒く腫れ上がっており、
容赦ない鞭で所々皮膚が裂け、痛々しい傷口から赤い物が見える。
意識も既にないようで、サトチーが揺さぶってもピクリとも動かない。

まさか…


でも一体何があった?
俺の知っている限り、ヘンリーは立ち回りがとても巧い。
要領が良いと言うべきか…サボっていても鞭で叩かれる前にその場を免れ、
他の奴隷が鞭で痛めつけられている時には得意の弁論で切り抜ける。

その彼がなぜ?





「ヘンリー!!ヘンリー!!!」
「サトチー落ち着け!早く回復魔法を!」
俺の声でハッと我に返ったサトチーの手から癒しの魔力が発せられる。
何度も死に瀕した人たちを救ってきた温かな光。
その光に触れた体から傷や痣が消えてゆく。
それでもヘンリーはまだ目を覚まさない…

まさか…遅かった?

527 :案ずるより鉄拳制裁【9】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/04(木) 00:33:11 ID:FqCqxEk60
「…ヘンリー…ヘンリー…」
うわ言のように彼の名を呟き続けるサトチー。
俺にはその光景を黙って見ている事しか出来ない。


「…ん…」


ヘンリーのまぶたがゆっくりと持ち上がる。

よかった、気が付いた。
「…ああ…サトチー……イサミもいるのか……へへ…格好悪いな…俺…
 …コテンパンにやられちまったよ…」
「まだ喋っちゃダメだ!黙ってるんだ!」
「…だってさ…アイツ等…よってたかって女の人を…酷いじゃねえか…
 …女の人を助けるのは……親分の役目だろ?」

俺達の後ろからいやらしい笑い声が浮かぶ。
「ヒャヒャヒャ…奴隷の分際で歯向かうからそうなるんだよ。
 お前等奴隷は家畜なんだ。飼い主に逆らう家畜は処分されて当然なんだよ。」
ムチ男達が笑いながら俺達に言いのける。

家畜?処分?許せない…

一瞬で頭に血が上って沸点に達する。

「ん?なんだ?その目は。お前も痛い目見たいのか?」

過去にこれほどの怒りの感情を自覚した事があるだろうか。

528 :案ずるより鉄拳制裁【10】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/04(木) 00:33:55 ID:FqCqxEk60
「イサミ!!」
ムチ男に飛び掛ろうとしたその時、俺の背後から不意に声がかかる。

何で止めるんだよ…サトチー。

「ヒャハハハ…お前はよくわかってるじゃねえか。止めてやって正解だ。」
「臆病で卑屈な家畜じゃねえと長生きできねえもんなあ。ヒャハハハ…」

「サトチー…俺、我慢できねえ。家畜として生き延びるくらいなら、ここで人として…」
「イサミ…君は間違ってるよ。」
俯いたままのサトチーが俺に静かに語りかける。

間違ってる…何を…?

今日を生きて明日を生きる…って、プライドを捨てて死んだように生きる事なのか?

「僕達は…人として死ぬ事も、家畜として生きる事もない…」
サトチーは顔をあげ、凛とした眼光をムチ男に向ける。

それは…つまり…



「僕(俺)達は人として今日を生きる!!」



俺達の叫びは見事にハモり、二人同時にムチ男に飛び掛った。

529 :案ずるより鉄拳制裁【11】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/04(木) 00:38:15 ID:FqCqxEk60
ムチ男が怒声を上げて俺に鞭を振るう。

右肩から一直線に衝撃が走る…痛い…が、俺達の突進は止まらない。
サトチーが片方のムチ男に殴りかかる。
俺も残ったムチ男に掴みかかり、一心に殴りつける。
接近しちまえば鞭も怖くない。ずっと俺のターン。

お前がッ 泣くまで 殴るのをやめないッ!


「ケエェェェ!!」
突然の衝撃と胃からこみ上げる不快感。
ムチ男の蹴りが俺の腹部にヒットし、相手を掴んでいた俺の手が緩む。

しまった、距離をとられた。

そう認識した時には、相手は既にムチを振りかざしていた。
ヤバイ!痛恨直撃コースだ!!

「バギ!!」

覚悟を決めた瞬間、ムチ男が見えない何かに吹き飛ばされた。
俺に向かっていた鞭は軌道を変え、明後日の方向に逸れる。
今のはサトチーの魔法か。助かった。

「一気に決めろ!もう僕には魔力が残ってない!」
もう一体と組み合いながら、サトチーが声を上げる。

一気に決める…
しかし、距離がありすぎる…

魔法を…

530 :案ずるより鉄拳制裁【12】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/04(木) 00:39:30 ID:FqCqxEk60
「ヒャッ!小賢しいマネをしやがって。お前の魔力も吸い尽くしてやるぜ。」
起き上がったムチ男が奇妙に体をくねらせる。


くねくねくねくね…


何だ?あの動き…
…ミツメテハイクナイ…


脳が危険を認識した時、俺の中には妙な空虚感が漂っていた。
何だ?何をされた?

「ヒャヒャヒャ…お前の魔力はあらかた吸い尽くしてやったぜ。後は…
 じっくりとムチでいたぶって屠殺処分してやらあぁ!!」

遠い間合いからムチ男が鞭を振る。
完全に俺の間合いの外。近付こうにも、唸りを上げる鞭の連撃がそれを許さない。

鞭が吼える、叫ぶ、狂乱する。
俺の前進を阻むように、一撃で倒れないように鞭が俺の体を刻む。

531 :案ずるより鉄拳制裁【13】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/04(木) 00:40:13 ID:FqCqxEk60
近付かなきゃ…

近付けない…

ならばここから攻撃を…

魔法…

俺に使えるのか…

でも魔力が…

使わなきゃ…

使わなきゃ死ぬ…

考える…

ヤツをぶちのめす一撃…

ソレの在り方…








無意識に、だが自然に俺の拳が天を向く。

532 :案ずるより鉄拳制裁【14】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/04(木) 00:45:49 ID:FqCqxEk60
「ふん。魔力も残ってないクセにハッタリかましやがって。
 これで屠殺処分完了だあぁぁ!!!」

ヤツをぶちのめすのは、俺達が毎日転がしてきたアレだ。

そしてソレは…


す ぐ ソ コ に 既 に 在 る ! ! !


俺の拳が勢いよく地面に叩き付けられる。

大きく揺らぐ視界 轟音と震動に支配された空間
ヤツの真上の岩盤が崩れ、岩石がヤツの頭上に降り注ぐ。


「ヒ……ヒャアアアアァァァァ!!!!」


  岩 石 落 と し


飛び散る礫と舞い上がる砂煙が収まった時、ムチ男は岩の下でのびていた。

鉄拳制裁完了

533 :案ずるより鉄拳制裁【15】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/04(木) 00:47:29 ID:FqCqxEk60
イサミ  LV 5
職業:建設作業員
HP:4/38
MP:0/6
装備:E奴隷の服

呪文・特技:岩石落とし(未完成)

534 : ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/04(木) 00:54:32 ID:FqCqxEk60
第二話はここまでです。

イサミの岩石落としは、岩石を放り投げるオリジナルと違い、
相手の上に存在する岩盤を落下させる未完成品です。

後先考えないと、落盤で味方まで巻き込まれて大変な事になります。


535 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/04(木) 02:03:22 ID:ZLOXdcZ1O
乙!ハラハラドキドキして読んだよー。ペースが早いけど大丈夫か?

536 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/04(木) 03:56:36 ID:TgWoUfgd0
ペース速い方が好きな自分はサクサク読めるのは嬉しい

537 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/04(木) 06:21:34 ID:xjHHOECYO
乙!朝から興奮した。
イサミもヘンリーもキャラが立ってるしサトチーも一言一言が深い。
先が楽しみ。

538 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/04(木) 07:12:08 ID:U2fdb30KO
うおおお! 朝から良いもん見せてもらった!
サクサク読めるのに内容もちゃんとあってすごいな。
ずっと俺のターンって、ふざけてんのかと思うのにカッコいい。

539 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/04(木) 11:11:30 ID:lGVpm/q20
かっこいいっ!
「人として今日を生きるっ!」
惚れたぜ。

540 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 12:46:00 ID:YmXtNuKY0
デスパレスで暴力と汚物に塗れて、のた打ち回っているアリーナを現代人が救出するという内容の
原案があります。SS職人の手でSS化していただければ幸甚です。こちらからも、アリーナSSを御礼に
投稿いたします。
SSでは、宿屋で現代人が目覚めるのは中盤です。序盤は、ドラクエ世界帰りの人から、主人公は
呪文を主に学びます。戦士タイプゆえにジエタイか何かじゃないのが悔やまれるとか言われるものの、
実は賢者タイプです。序盤から終盤まで、アリーナはデスパレスで同時進行でのたうちまわります。
主人公の夢の中で、アリーナは助けを求めます。あとは回想シーン(もしあれば)以外はデスパレスで苦悶するのみ。
序盤は、ガーデンブルクでアリーナが人質に残るところから。盗難事件の黒幕はデスピ子飼いのマネマネ。
牢番は、デスピサロから直接もモシャスしたマネマネに三つ指ついて挨拶して、牢の鍵を開ける。
移送だということで、アリーナを縛って連行。牢の近くの天窓がなぜか開放してあって、キメラの翼で移動。
着いた先がデスパレス前で、びびるアリーナ。彼女の地獄の刻が始まった。

541 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 12:48:03 ID:YmXtNuKY0
デスピの動機は、ロザリーヒルにサントハイム領内からクズ貧民が多く移動してきたため。
16世紀以降のイギリスの貧乏人に対する管理を鑑みれば、状況はだいたい掴んでもらえると思う。
囀りの蜜に関するイベントとは違い、完全に怨恨。敵さんは、じわじわ嬲り衰弱させる所存。
アリーナは、領内演習や要所テンペ奪還等を経た戦士。オテンバとかと少し違う元気な姫。
エンドールの大会でデスピを少し見た事があって、傾奇者みたいなところが魅力で好感を持っていた。
大会では魔物の懐柔融和を模索するエンドール王をも無視して、ベロリンマンを惨○するという所業を
しでかしている。「北斗の拳」のサザンクロス編のクラブを思い出すと、状況はわかり易いと思う。
アリーナは、ベロリンマンのことが原因かと思って、なんとかデスピに赦しを乞おうとする。
デスピ的に、アリーナの性器はきしょいだけ。でも「花の慶次」みたいな感じで打ち解けると、交尾。
それがスクワット1回分の動きで、ヌヴヌヴとデスピの剛直がアリーナに入っていく。デスピが未曾有の生物なのが確かになる。
交尾をしてからは次第に、アリーナはデスピの手にかかるなら・・・・・という心境になる。

542 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 12:50:40 ID:YmXtNuKY0
「サントハイムの住人を全部収容している」「本当はもう消滅した」などと複数の贋情報でアリーナの心を
まいらせるとか、色々なシーンがあると萌えます。肉体的には、萌えるものほど限界はすぐ来ますからね。
逆エビで砂袋を背中に括りつけて、宙吊りにしてヨーヨーみたいに動かして体中をほぐすとか、
8方向からアリーナを押し合って蹴鞠ルールみたいにして遊ぶとか、ベビーサタンが人間ブランコにするとか。
垢だらけで、乾いた汗や糞尿で臭い体臭、擦過傷も痣も筋疲労もフルコースでヨレヨレの肉体。
デスピにだけは「(アリーナが“艶姿”になって)嬉しい?」などと懐く。宿命を解している男女。
救い出すべき姫だが、病弱薄命女とそれを介抱する若い男の組み合わせよりも萌える何かがある。
延命のための生薬や薬湯薬酒、光合成をするサンオイルのようなファンタジーな外用薬、小麦粉の粥。
「しずめるのかな」と半信半疑で浸かる温泉療法の泉、連行状態での散歩。もしくは、直々の拷虐。
デスピとアリーナの日々。終盤では、氏寸前の責めが慢性的になることで救出物語は手に汗握る展開に。
アリーナヴルSS。

543 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 12:52:20 ID:YmXtNuKY0
囀りの蜜のイベントだけど、文字盤とか木簡とか、読唇術とか何でも手段はありそうなもんだが。
ハンドベルで、モールス信号の原型になったような方法でいくとか。
なぜ、声じゃなきゃダメだったのか?
識字率が極めて低い国って、凄いな。
アリーナ、阿弥陀籤は知ってるだろうけど絵じゃなきゃわかんないだろうな。
「この文字は何なの・・・・・・?」不安げに訊く。ピサロも、デスピナイト3匹+メタルスライム1匹も
読んであげない。静止する時間。首を竦めて小刻みに震えるアリーナ。

背中もこしまわりも下腹部もケツも太腿も全面、鞭の痕。そして発熱する熱い女体。
薬草で揉み解す。
魔物の餌としても通じる麦飯や黒パン、琴欧州も大好きな主食主菜としてのヨーグルト。
蜂蜜とレモン添加の白ワインやブランデー。牢務怪物やデスピが餌をあげてるから、
逆エビや空気イス監禁をも高Lvオテンバヒメにはフィットネス代わり。
高手小手の姿勢で自分の脚で立つか上半身の関節を地獄にするかという監禁方法で夜通し・・・
ということもたまにしかしないし。

544 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 12:53:54 ID:YmXtNuKY0
アリーナVSデスピってどの段階が一番いけるのかな。
エンドールの段階じゃ尚早過ぎるし、勇者たちと合流してからじゃ単独行動なんか
陸の女護ヶ島しか機会が無いし。デスパレスの牢か隠れダンジョンみたいなところの牢じゃ、
とても鉄のツメと剣で対戦とか起き得ない。
脚もどこもボロボロのアリーナに逃げろと言って、
殆ど移動もできないのを観て堪能してから回収に行くとか
素手のアリーナを鞘や棍棒でじわじわ追い詰めるとか、
セクハラモードから主に指への関節技に移行とかになるのが関の山。
悩むよな。
原哲夫のマンガみたいに戦うとかって、
敵の手中じゃ無理だし、自由意志に基づく愛も起きないだろう。
アリーナは痣だらけでボロ着の半裸で、マッチョなデスピがクキュクキュに攻撃等をしまくる、
これが意外に、しっくりきてしまう。

545 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 12:55:35 ID:YmXtNuKY0
アリーナ管理隊のガーデンブルク産兵士が50代のオバチャンだったら嫌だな。
デスピの腕や腹を枕にして寝入る希少な日より幸せそうなアリーナ、これは
百合牝が欠かせない。そんなに太くない腕、常識的な規格の体格。
上級モンスターやデスピの暴虐のどん底で蠢いているアリーナには安らぎと情愛だと思うよ。
存在自体が。
だから、牝兵が醜かったら萌えどころが激減する。要注意だぞこの点は。
大事な注意点は他にもあるよ。
アリーナに対するイヂメが超回復が顕著になるような責めばっかしなのは、ドラクエ好きの女がマネできるようにだよ。
手伝いが欲しければ、いつでも言ってよ。行くからさ。

546 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 12:56:42 ID:YmXtNuKY0
現代人がこのスレみたいな状況になったら、♂は浮浪無頼の基地外、♀は女奴隷(村落や街の公共物)でENDだろうな。
現代人の体格とか免疫注射とか科学的思考や知識とかじゃ、克服し難い困難が目白押し。
ここのSSみたいな展開になったら、まさひろのGBサガ小説みたいなオチを予測すべき。

同人デブス、ウエストラインから膝のすぐ上まで、鞭で可愛い色にしてあげるから調教哀願しようよ。
SS形式でもいいぞ。
高手小手がデフォだけど、ソフトレザー使うから安心しようね。壁無し空気イスをさせて、肩をユサユサしてあげるよ。姿勢が崩れたら、生ゴミを食わせる。
顔に自信が無くても、髪の毛を露出する型の全頭マスクがあるから安心しようね。
後ろ手&足首束ねて、ごろごろ転がしてあげるよ。8畳間を10往復ぐらい。
季節手当てとしてポカリスエットを1リットル半、ストローの使用を許可しつつ飲ませるよ。

547 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 13:04:51 ID:YmXtNuKY0
それからは、物置で待機。緊縛と垂れ流しと暑さで、本物の女囚になるよヲタク女。
俺は鉄則として、女の首には輪や縄等を付けないし、浴槽を遊び道具にしないから、更に安心しろ。
遊ぶ前には、打ち合わせも1日以上を割いて、しっかりやる。
閉じ込める系も、放置ではない。有線式の赤外線監視カメラと有線式の音声監視機器で、見守る用意がある。
暴れて頭を打ったりしないか心配だからな。
平素から、今日は大災害やチャソコロ戦闘団が50%の日だというぐらいの、手中の女を守る意識。それが俺には有ります。
ドラクエファンの女、調教哀願をしようよ。濃密な時間を過ごして、可愛い姿にしてあげるからさ。

548 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 13:06:36 ID:YmXtNuKY0
「ピサロぉ、これとってよぉぉ」痣だらけの臭い体で、アリーナは鉄枷をじゃらつかせた。
錆びた枷が喰い込むリストが、膿んでいる。「かゆいの」。
つかつかとピサロは歩み寄り、ボロボロの汚れた麻の服に覆われたアリーナのお腹を蹴った。
黙るだけじゃない。
うつむいて、苦しそうにしているが、透明ゲロを一滴も垂らさない。
ピサロは高度な魔法金属の靴の底面積を全部使って、
アリーナの横隔膜とピサロの足刀が平行になるように、そして押し込むように蹴ったのだ。
腰の高さから伸びる短い鎖は、アリーナが床に倒れこむことを許さず、彼女の肩を苛んだ。
この鎖のせいで、アリーナはL字型の体勢で眠らざるを得ない。
用便は、足で木桶を引き寄せて、中腰でするのだ。
「ロザリーはなー、お前と違って生理が止まったりしないんだよカス」
処遇の違いが、健康の違いになっているのだ。
そして、木綿のフンドシのようなものをピサロは取り出した。その臭さは、月のものの臭いだ。
「これをクチで洗え。3週間ぐらいかけてやれれば良いよ。わかったな?」
「どうしてこんなことするの(泣)?」

549 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 13:07:54 ID:YmXtNuKY0
ピサロはアリーナの胸倉を掴むと、思いっきり立たせた。鎖がピンッと張る。
アリーナの腕が渦巻鉛筆のような捻じられ方をする。
枷は、彼女を後ろ手に固定するようには着けられていない。
胸倉が解放されて、顔を歪ませつつゆっくり座ろうとしているアリーナ。
アリーナが動ける範囲に、木桶の臭い物を垂らす。アリーナが中腰の姿勢で悔しそうにしている。
別の木桶から汚い水を、汚物溜りに流す。
「臭いよー」絞り出す様な高い声で泣き出すアリーナ。
汚物の木桶は、内側に乾いた汚物がこびりついているのだが、
それも生理用品と同じ期限の間に新品同様にしろと言う。
でも、木桶はアリーナのオートミールや飲料水を入れるものにするだけだから、
無理だったらしなくてもいいってさ。
汚物溜りが怖くて中腰。でも、いつまでも続かないし、麻のソックスで包んでいる足はもうどっぷりだし、
麻の服を腰まで捲り上げて下半身マッパになって、
シリを床に着けた。「あッ痛ゥッ!!」玉砂利や馬術道具で嬲った痕に、汚物が滲みる。
ピサロは後屈立ちになってアリーナを眺めているが・・・・・・。

550 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 13:09:18 ID:YmXtNuKY0
もうアリーナには汚物の飛沫を足で跳ねる元気も、ない。いいことしよう、などと誘うこともない。
性器を汚物で大変なことにしながら、歯をガチガチ鳴らして洟をすすり上げている。
頑張れアリーナ、毒消し草の免疫がついて人の世への無駄な執着という苦しみが丸4日の苦悶の中に消え、
苦悶の果てに安楽が体の奥深くから湧き上がってくるまで、
そんなに日は無いからな。臭いから食欲も挫かれ、安楽に近づくアリーナ。
アリーナと遊ぶために、何種類かの頭骨を持ってきているピサロは、気が変わり、
「クソなんかね、啜ったらいいんだよ」と優しく語り掛ける。
赤毛を虱だらけにして首を横に振るアリーナに、小袋から蠅を20匹ぐらい放す。
緩慢な動作でハエから逃げるように首を振るアリーナ・・・・・・。牢に棲む肉食の蟲がハエを平らげるまで、それは続く。

551 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 13:10:04 ID:XFotTZSu0
スルー推奨

552 :アリーナが可哀想なので、衛生責めは無しにしますね:2007/10/05(金) 13:11:40 ID:YmXtNuKY0
後ろ手で壁にもたれているアリーナ。やや疲れた様子だが、一応は直立している。
彼女の両手首をつなぐ錠前付きの鎖は、60cmほどの手摺と壁の間を通っている。
つまり、アリーナは自分の筋骨で直立していなければ、肩の関節や腕の筋が急激に悲鳴をあげる。
「おい垂れ流し女。何よごしてんだよ?」アリーナの70時間を労うのは、10交替目の荒くれだった。
帯剣したピサロが来ていないということは、別の「短い手摺」に移される心配は無いわけだ。
膝が着かない中腰という程良い高さの手摺、運動器具の鉄棒のように壁ではないところに設けた手摺、
床に足枷がついているところ、アリーナの身長より高いところにある手摺。
「伝えてくださる?あの傾奇者に。なんで人間を恨むのか」。9シフト目のモンスターは去り際に、
木簡にアリーナの請願を記した。「ちょっ(焦)!」それを見せられたアリーナ。破顔する怪物5匹。
木簡には「玉門が痒い」「腰巻のネチョネチョには慣れた」「腕痛い。虎男の肉棒が支柱にできたら」と記されていた。
「なんだこの姐ちゃん。ピサロ様を土人呼ばわりしてるぞ!?」「森の民は動物じゃありませんよ、姫」。
妄語両舌で、アリーナの憔悴した肉体に、恐怖と挫けそうな気持ちがのしかかる。うつむく。膝が震え出す。

「アリーナ」を貴女の御芳名に変換してプリントアウトすると楽しいですよ。

553 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 13:26:34 ID:fehCZOW/O
見つけた支援

554 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 13:37:10 ID:fehCZOW/O
何だ支援して損した

555 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 14:31:58 ID:0t7B21Q90
妄想を吐露するスレはここでつか?
それなりの文章力はあると思うんだから、もうすこしだけ、きれいな話にしてくれるとありがたいのだが。

556 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 14:38:31 ID:94CfT0hN0
何処の病院から逃げてきた奴が書き込んだんだろ

557 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 17:03:37 ID:qibKE+QeO
熱意に負けた俺が希望のSS書いてやるよ

うおのめ「ここはどこだ?」

〜中略〜

うおのめ「助けにきたぞ」
アリーナ「でかした」

〜完〜

558 :>>551のブータまんっ♪:2007/10/05(金) 20:04:16 ID:/gueIhfS0
「ガーデンブルクに漢が!?」驚愕し、そして怯えるアリーナ。
今だけは身の頼りであるはずの牢番は、うつむいていた。
屈強な男性どもに「あの、この人はやめてください」などとボソボソ、請願しているが
男が右足で少し踏み込み、鋼の盾で槍の穂先をカコンカコン叩き始めると、牢番は槍を壁に立て掛けて
隅の方に行ってしまった。黒装束の数人が、サントハイムの王家の紋章を染めた布を持ってくる。
「あの、どうぞおかまいなく・・・(怯)」。不穏な一団が、ただの女ではなく自分の身元を知った上で
何かしているのだと察して、怯えるアリーナ。それから、アリーナは頑張った。

559 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 20:06:39 ID:/gueIhfS0
雑魚モンスターなら絶命するような回数、棘の鞭で素肌を打擲する!
頑丈なカラダは瑕疵ばっかり増えてゆく。苦痛に身をくねらせるアリーナ。
そこを荒塩と臭いブランデーで消毒し、薬草と毒消し草を煎じもせずに食わせる。
逆エビに緊縛して、腕脚が×字に交叉する背中に座る。
腕脚の一部に4人が腕を絡ませて、4方向に進む。
筋骨総動員で体の内側が複雑に重層的に深刻に裂けそうになるのを止める、アリーナの体。
肌は玉の汗。
肉と酒と黒パン・麦飯やオートミールを飲食した荒くれの汚物を食わせる。
毒消し草があるのを良い事に、鞭の痕に汚物を塗る。
アリーナを後ろ手にして立たせ、足の甲を鋼の鎧のクツの部分で踏む。
彼女の動物的な啼き声にビクッとなっているのは、
隅の方でレオタードから見えるケツを向けて立っている牢番のみ。
嘶くアリーナ、5秒ぐらいで声が途切れる。
そして、屈強が「いざ!」と宣言して12ダースのパンチをめり込ませる。
酢を口に注いで起こす。体力がやばくなっても、ただ休ませはしない。
土下座や誓言などの強要で心を完全に挫く。

560 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 20:08:20 ID:/gueIhfS0
シンバルや怒声。地下の方から賑やかそうな音が洩れ聴こえる。
半裸でぐったり休むアリーナを、大きな騒音で地味に追い込む。
体中が虚ろに脱力している。アリーナの体に憩い無し。
泥饅頭を捏ねるライノソルジャーを見て、暗澹状態のアリーナ。
「どうして人間が嫌いなの?」「ヒト型の誰かのメイレイで、女の子をいぢめるの?」
騒音が、アリーナのか細い足掻きを掻き消す。
牢番に、準備運動の手伝いを強請する鬼畜怪物。アリーナ自身を、バーベル代わりにしたケダモノも居た。
赤毛や爪先が、床にだらしなく垂れてアーチ状の体勢になるアリーナ。後ろ手。足首は揃えて、括ってある。
足首が×字型に交叉したりしていないのは、魔物の微かな善意か。
「うわッ 臭ェッ」。腹筋等の出力が弱っていて、昨日と違って髪が魔物の腕の高さに広がる。
「シラミじゃねぇかバカ女〜〜(怒)」。背中のストレッチ効果で、ケツからも玉門からもボソボソとガス洩れする。
次にバーベル体操をした怪物に対しては、無理して上体と、それから自動的に脚を持ち上げた。もうガスも洩れなかった。
そして、笑い者が1匹現れた。「シラミ女・・・・・・そうか、俺をなめているのか」。「ち・・・・が・・・・・う・・・・」。
アリーナが数日の絶対安静に陥っても、責任を取るのは牢番の元ガーデンブルク兵(虜囚)である。

561 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 20:10:24 ID:/gueIhfS0
唐突に一掴みの糞便をバッと食わせる!
三日酔いのゲボを口移し!
上から下へ!
パイン入り酢豚の匂いが残存する濃厚なゲボ!

便所臭の濃い手で少し空洞を作り、鼻と口をふさぐ!
鞭痕が発熱する全身を、よこたえることも赦さない!
後ろ手や高手小手だけじゃなく、鉄砲縛りでまで腕の間に鎖を通してアリーナの頭上のどこかに
鍵で接続する。
しかも、常に空気イス系の姿勢じゃなかったら胴から上が捻じられる位置に固定!
末期的な期間になると、その状態でサンドバック化、完全脱力して徐々に脱臼に向かって痛みが蓄積されていく。
激化する痛みと、アリーナの鼻から注ぐ酢が極限まで昏睡を赦さない。
ボロくて頑丈な麻の服の胸倉を掴むと、振動が加わるし姿勢が更に変になるしでグギャッと短く叫ぶ!!
「足払い50本」。こんな、以前のアリーナなら準備体操にもならない事柄が、○刑宣告に等しい力を持つ。
もちろん足技は50匹のモンスターが1回ずつやりにくるのだ。

562 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 20:12:10 ID:/gueIhfS0
膝に8フィートぐらいのヒノキの棒を挟ませて、女の子正座をさせる。
その両脚に、1人ずつ座る。姫だっこをしておいて、胸の高さから落とす。
後ろ手縛りになっている腕に、屈強な腕を絡ませて早足で歩く。
その勢いで、アリーナを牢の床に投げ出す。
次の朝は、後ろ手のアリーナが肩が痛いと泣くのも無視して、五人掛けに挑ませる。

効力の無いワラ人形を、光の戦士特効の攻撃アイテムだと偽り、アリーナに力の注入を強要。
彼女の心が折れて、クリフト・ブライ・勇者を除く仲間たちの分から一つずつ、魂が裂ける想いで
言われたとおりの注入をする。拘禁初期にはまだ元気なアリーナ。
こういう、アリーナの心を玩ぶのもピサロらは堪能する。
不自由に拘束した手足で、土下座して最下級の女として忠誠をデスピに誓うアリーナ。
むき出しの肌には、無数の外傷が・・・・・・。

563 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 20:14:32 ID:/gueIhfS0
ドラクエファンなら、「O嬢の物語」が気に入ると思うんだ。読んでみようよ、面白いから。
マンガ版も出てるよ。アマゾンで注文したらすぐ届くよ。安いよ。
宿屋SSだけど、病弱女とか腕がカタワの女とかの話もきぼり。
ゲームのマップには無い懲治館で呻吟する現代人女性とかも良いぞ。
罹患した女囚として不潔な獄で過酷な肉体的尋問に耐える現代人女性も良いぞ。
濃厚な氏の濃密な影と萌えキャラクターのコントラストも大歓迎だぞ。
監禁で氏に到る妙なんか、創作物ならではの妙なんだから。往生の物語。
ゼシカも、実家の庭に棺収容の際に化粧落し等に使う綿を作るための綿花畑があったりしたら萌える。
ドラクエで棺といえば担架みたいなもんだし、面白いのではないだろうか。
イベントも何もかもを、綿花畑を展望できるところとか同じ敷地内とか言う範囲で進めるわけだ。
儚げ属性や抗う姿は万能属性だぞ。
牢シーンで活きのいい蚯蚓をバラバラッと撒きつける責め手とかも居たら良いな。

564 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 22:16:29 ID:USAPq/uF0
何を求めてこのスレに来てるか知らんが、ここはそういうスレじゃないと思うんだ

565 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 22:17:42 ID:u2PXk4yD0
NGワード ID:/gueIhfS0
専ブラ入れてない奴はスルーでよろ

566 :Stage.9 hjmn ◆IFDQ/RcGKI :2007/10/05(金) 23:24:05 ID:QuQvl7z70

アルス「ちーっす」
タツミ「ちーっす、じゃないよ、なんで携帯にユリコが出るんだ! 君なにやってんの!?」
アルス「俺のせいじゃねーって! いきなり殺されかけて、こっちだって大変だったんだ」
タツミ「あーもー、勇者はプレイヤーの生活を引っかき回すのが仕事なのかと小一時間(ry」
アルス「それよりほら! まずは読者様が第一だろ! な?」
タツミ「あっと、失礼いたしました。それでは今回のサンクスコールですっ」

アルス「>>486様、勇者になるのけっこう難しいんだよな。
   俺こう見えても、家でも毎日6〜7時間は勉強してたんだぜ」
タツミ「ふぇぇ、実は努力してたんだねぇ」
アルス「実技は得意なんだが、暗記物がなぁ……。
   タツミは見ただけで頭に入るんだろ? ちょっと羨ましいぞ」
タツミ「アルスだってできるんだろ?」
アルス「俺の『おもいだす』って、お前のとはちょっと覚え方が違うんだよ」
タツミ「そうなんだ。どう違うの……って、もう行数ないね」
アルス「だな。その辺はまたいずれ本編で!」(ふぅ、話そらせたか)


タツミ「ところで、今回のは1回貸しだからね。忘れないでよ」
アルス「……ぐ」



アルス・タツミ『それでは本編スタートです!』


【Stage.9 仮免勇者と彷徨勇者】
 [7]〜[13] リアルサイド

567 :Stage.9 [7] ◆IFDQ/RcGKI :2007/10/05(金) 23:25:05 ID:QuQvl7z70
  Prev >>478-484 (Rial Side Prev >>400-407)
 ----------------- Memories of Ars -----------------

「聞いてください、アルス様! 私、とうとう『魔法使い』になりました!」
「あ、そう。……で?」
 嬉々として報告に来たエリスを、俺はいつものように冷たくあしらって、読みかけの呪
文書に目を落とした。
 街から少し離れた草原の木陰で、誰にも邪魔されないよう独りで勉強するのが俺の日課
だったが、この女はしょっちゅう訪ねてくる。うるさくて仕方ない。
「今、ルイーダさんのところにも予約してきたんです。アルス様の旅立ちの時までには、
もっともっとレベルを上げますから、絶対に指名してくださいね!」
「まだ先の話だろうが……。まあ、気が向いたらな」
 確かに、12歳で正式な冒険職ライセンスを取得するやつなど、年に何人もいないが。
 俺から言わせれば、その前に3回も試験に落ちてる時点でアウトだ。ちゃんと計画を立
てて一発で受かる方がよっぽど賢い。
 そこらの冒険者と勇者は違う。多くの人命がかかる旅で「失敗」は許されないのだから。

 俺が黙っていると、エリスは肩を落とした。見るからに落胆している。
 ったく、面倒くさいやつだ。
「今晩、お前の部屋の窓を開けておけ」
「え?」
「いいな。邪魔だからもう行ってくれ」
「あ、はい」
 シッシッと追い払う。エリスは何度も振り返りながら街へと戻っていった。


 その夜、俺はエリスの生家である宿屋に向かった。2階の彼女の部屋を見上げる。言い
つけ通り開けてあった窓に、その場で小石を拾って放り込んだ。
 エリスは待機していたようで、すぐに顔を出した。
「アルス様♪」
「静かにしろ。こっそり降りてこい」
 彼女をつれて、城に向かう。

568 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 23:25:42 ID:+CbdOfoh0
偶然支援

569 :Stage.9 [8] ◆IFDQ/RcGKI :2007/10/05(金) 23:26:46 ID:QuQvl7z70

「あのどちらに……?」
 不安そうなエリスを、口に人差し指を立てて黙らせる。城の裏門に回ると、夜番のサミ
エルが俺の顔を見てニカッと笑った。こいつは親父の信者で、他の奴らと違って俺にも悪
い態度は取らない。事情を話し、中庭に通してもらう。

 庭の中心に、ジパングから運ばれてきた「桜」という大きな木があった。
 天頂から照らす月明かりに、満開の桜は薄桃色にぼんやりと輝いている。はらはらと散
る花びらは妖精が戯れているようで、幻想的な情景に、エリスは言葉も出ない様子だ。
「合格祝いだ。きれいだろ」

 が、ふと見るとエリスは両手で顔を覆ってしまっている。
「おい、どうした?」
「アルス様……。私、アルス様みたいに頭も良くないし、剣技も武術も全然ダメです」
 肩を小刻みに震わせて、絞り出すように言う。
「お役に立ちたくて……でも本当は……ヒック……ちっとも自信なくて……ヒック……」
「な、泣くことないだろ。そんなの最初からわかってる。ってか、俺と比べようってのが
おこがましいぞ。そうだろ?」
 困っている俺に、彼女は必死に嗚咽を飲み込んで、そして泣き笑いを浮かべた。
「その通りですね。ごめんなさい、やっぱり私バカですね」
「エリス……」
 彼女の部屋はいつも遅くまで明かりがついている。試験の前にはほとんど寝てなくて、
根を詰めすぎて倒れたのも1回や2回じゃないらしい。暇があれば城の書庫や宮廷魔術師
のもとに通い詰め、呪文学の成績はダントツでトップだ。
 それがすべて俺のためだと、彼女は真っ直ぐに答える。どんなに俺が邪険にしても。

 たまらなくなって、抱きしめた。
 本当はずっと前から、俺も彼女のことが好きだった。なにせひねくれたガキだったから、
この時まで認めようとしなかったけれど。「もしエリスまで他の連中みたいに裏切ったら」
と、怖かったのかもしれない。

 大好きだ。あの時から――そして今でも。

570 :Stage.9 [9] ◆IFDQ/RcGKI :2007/10/05(金) 23:28:52 ID:QuQvl7z70


 でも。
 そんな想い出も、彼女も………………すべて作りもの、なんだよな?

 俺自身も、おふくろも親父も、あそこに暮らす人々の誰もが、あの世界のなにもかもが、
ただのゲームでしかなくて。
 俺と仲間たちが命懸けで魔王と戦ったことも、その魔王でさえも、誰かが作り出した虚
構の物語でしかなくて。


 そして……だからこそ、あの世界には決定的なものが欠けている。
 決して救われない。どんなにあがいたところでどうしようもない。
 世界を救うはずの俺だけが、まるで救いがないことを知っている。


 ――なにも知らなければ良かった。
 なにも知らないまま、ゲームの中におとなしく収まっていたなら、俺はただのキャラク
ターとして戦っていられたのに。
 課せられた使命の重さに悩むことはあっても、まさか、今まで信じていたものすべての
価値を見失うなんてことは、なかっただろうに。


 どうして俺は、タツミのことを知ってしまったんだろう。
 どうして俺は、現実への境界を越えてしまったんだろう。


 ただ一人、知ってはならない世界の秘密を知ってしまった勇者は、
 どこへ行けばいい……? 




571 :Stage.9 [10] ◆IFDQ/RcGKI :2007/10/05(金) 23:30:53 ID:QuQvl7z70

 ----------------- Rial-Side Yuriko -----------------

(うなされてる……?)
 嫌な夢でも見ているのだろうか。片岡百合子は、眠り込んでいる少年の髪にそっと手を
置いた。
「あの……大丈夫だよ、ここは安全だから。安心して、ね?」
 そう語りかけると、少し表情が和らいだ気がした。
 三津原辰巳によれば、彼こそが家庭用ゲーム界きっての有名RPG「ドラゴンクエスト3」
の主人公だということだ。夢みたいな話だが、入れ替わった本人がそう言うのだから、信
じるしかない。
 それに、確かにあの戦いの跡は尋常なものではなかった。途中で折れていた鉄杭……な
にか刃物で押し切られたようだったが、並の人間同士なら、ああはならない。互いにもの
凄い力をぶつけ合った結果だ。
(でも、見た感じは普通よねぇ……)
 治療にあたっていた掛かりつけの医師は、特に不審に思っている様子はなかった。ケガ
も深い傷はないということでホッとしたが、なかなか目を覚まさないのは心配だ。
「過労のようですね、しばらく安静にしていれば、じき意識も戻るでしょう」
 医師はそう言っていたが、もう5時間は経過している。
(まあ、異世界に来て生活するって大変だよね。よっぽど疲れてたのかな……)
 少年が持っていた時代遅れの携帯電話を見つめ、ユリコは何度目かのため息をついた。


『それで、アルスの様子はどうなの!? ちょっとヘニョおとなしくして、今大事な話をし
てるんだから! え? ああ、ヘニョってスライムの名前なんだけどね』
 スライムって……。自分でなければ、絶対にふざけていると思うだろう。昔から変わっ
たヤツだと思っていたが、異世界で勇者やってます、というのはどうなのだ。
(しかも、戸惑ってるあたしのことなんかそっちのけで、この子の心配してるし……)
 よほど相方(?)が心配なのか、電話も5分置きにかけてくる始末。いい加減しつこい
ので抗議すると、時差がどうのと言っていた。なんのことやら。「寝ている本人にも障り
が出るから、目が覚めたらこちらからかけ直す」と説得して、ようやく静かになった。
 毎度のように思っていることだが、惚れる相手を間違えたかもしれない。

572 :Stage.9 [11] ◆IFDQ/RcGKI :2007/10/05(金) 23:32:53 ID:QuQvl7z70

「う…ん……」
 それにしても、よく眠っている。
 こちらも見事に騙してくれたものだ。ロクに知らない相手と「友人」として花見につい
て来るその大胆さに、ユリコは逆に怒る気になれなかった。
 騙された方が悪いというか。
 もっとも、目の前にそっくりの人間がいて、そいつも本人の名を名乗っていれば、多少
様子がおかしいからといって「別人が成り代わっている」とは疑わない。
 だからこそ眠っているこの少年も、タツミ本人も、そう簡単にはバレないと気楽に構え
ていたのだろう。
(そんな電波な発想をしろって方が無理よね)
 違うのはせいぜい瞳の色くらいか。実は少し青みがかって見えた。それも光の角度によ
るのか、通常は普通の黒にしか見えない。起きたらもう一度確かめてみよう。
 
(だいたい、こんな顔がゴロゴロいてたまるかっての。男の子のくせにさぁ)
 この少年もさすが有名ゲームの主人公なだけあって――
(いいなぁ……まつげ長いし。肌とかすっごくキレイだし)
 頬をおそるおそるなぜてみる。
(やーん、やっぱりツルツルだぁ。洗顔料なに使ってんの? ちょっと悔しいかも)
 フニっとつまんでみる。
(向こうの子って、みんなこんなのかなぁ。そりゃこっちの「理想」を形にした世界なん
だから、当然だろうけどぉ)
 フニフニ……。
(かわいい女のコも多いのかな。あいつも勇者なんてご身分ならモテるだろうし……)
 フニフニフニフニ……。
(そういえば、ぱふぱふとかあったじゃない! 3はギャグだったっけ? でもなぁ)


「あお〜、あいやっへんほ?」
「キャアアア!」

 ――あ、起きた。

573 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 23:32:57 ID:KDAlYdDl0
支援クエスト

574 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 23:33:21 ID:+CbdOfoh0
つい読みふけってしまった支援

575 :Stage.9 [12] ◆IFDQ/RcGKI :2007/10/05(金) 23:34:52 ID:QuQvl7z70

「えーと、アルス君、だっけ?」
 身を起こした彼は、今の一言で状況を察したらしい。
「もうタツミに聞いてるんだな。……アルセッド=D=ランバートだ。騙してすまない」
「あ、いえ」
 アルセッドというのが本名なのか。さすが勇者は名前もカッコイイのね。
(って、そうじゃないでしょ。反射的に許しちゃってるし)
 セルフツッコミを入れているユリコに、少年はふと首をかしげた。
「ここずいぶん広いけど、あんたの部屋か? それにその服……他と違うね」
 幾重にも合わせた襟元や、華やかな金糸の帯を、珍しげに見ている。
「やっ、変でしょう? 今時、普段着が着物とかあり得ないよねっ」
「キモノ?」
 さらに首をかしげるランバート少年。そうか、そもそも「着物」を知らないか。
「日本の民族衣装っていうか、昔の正装っていうか、そんな感じ……かな」
 異世界の勇者だとか言われると、どうにも気持ちが焦ってしまう。どこかユーロ諸国
の王子様がお忍びで日本旅行に来ていた、とかの方がまだピンと来るのだが。
(ってどこの厨設定よ。まあでも、要はそんなもんよね)
「そ、それはともかく。キミ、やっぱり呪文とか使えるの? メラとか?」
 まずは気を楽にしてもらおうと、ひとまず笑顔で会話を続けてみる。
 が、少年は「はぁ?」と呆れたような声を出した。
「ここは現実だろ。呪文なんか使えるワケないじゃん、常識で考えて」
 ――意外とリアリストらしい。

 言葉に詰まってしまったユリコを、少年はなんだか不審そうに見ている。
「なあ……あいつ、俺のこと、あんたになんて言ったんだ?」
「え?」
 入れ替わることになった経緯だよ、と彼は視線をそらす。ユリコも気まずくなった。
「それは……なんかタツミが無理に頼んだんだってね。すっかり迷惑かけちゃって。あ
いつも悪気は無かったと思うんだ、許してあげて?」
 手を合わせるユリコに、少年はきょとんとしている。そして盛大にため息をついた。
「ったく、お人好しもほどほどにしろよな……」
 なんのことだろう? ユリコが聞こうとした、その時だ。

576 :Stage.9 [13] ◆IFDQ/RcGKI :2007/10/05(金) 23:35:52 ID:QuQvl7z70

 廊下をドスドスと乱暴に踏み鳴らし、誰かが近づいてくる。バンと大きな音を立てて、
障子が左右に開けられた。
 古風な衣装をまとった初老の男が立っていた。ギロリと二人を睨みつける。
「お、お父さん……!」
 ユリコが慌てて間に立ちふさがったが、その彼女を乱暴に突き飛ばし、父親はズカズカ
少年の元まで近づいていくと、
 パーン!
 問答無用で横っ面をひっぱたいた。
「娘には二度と近づくなと、忠告したはずだがね。危険な目に遭わせおって……どう責任
を取るつもりかね」
「いきなりなにするのよ! だいたい人違い……あ、いや、そうじゃないけど」
 なるべく彼の正体をバラさないでくれ、とタツミに頼まれている手前、別人だとも言え
ない。どうしたものか。

 少年はあまりのことに呆然としている様子だった。が、なにか得心したのか、
「なるほどねぇ……」
 小さくうなずくと、いきなり妙なことを父親に尋ねた。
「すみませんね。ところで、お父さんもなにか武芸を嗜(タシナ)んでおられます?」
 ぽかんとしているユリコのとなりで、父親はひたいに血管を浮き上がらせている。
「君にお父さんなどと呼ばれる筋合いはないがね。剣なら多少の心得はあるが、それがど
うかしたのか」
「へぇ……。あそこに飾ってあるカタナ、レプリカじゃなさそうですね」
 そう言いつつ立ち上がると、思ったよりしっかりした足取りで床の間に歩いていく。飾
られていた日本刀を手に取ると、少年は片腕で簡単に持ち上げてしまった。
 本物の日本刀はかなりの重量がある。父親の顔つきが変わった。
 そして――

「試合、してみませんか。お父さん?」
 その瞳が、一瞬だけサファイア・ブルーに煌めく。
 まるでとっておきのイタズラを思いついた子供のような笑顔だった。


577 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 23:39:44 ID:+CbdOfoh0
あれ?支援

578 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 23:41:51 ID:+ZLslmraO
漏れも支援

579 :Stage.9 atgk ◆IFDQ/RcGKI :2007/10/05(金) 23:42:08 ID:QuQvl7z70
本日はここまでです。
だいぶ話が込み入ってきたので、次かその次のステージの間に、簡単なまとめをやろうかと思ってます。
読者様からの質問コーナーなんかもできればなぁ、とか。
もしあればですが、なにか疑問などありましたら、よろしくお願いいたします。
あ、でも本スレでこういうのはまずいのかな……?

580 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 23:46:16 ID:+CbdOfoh0
>>579
いつもながらGJ
ここで「続く」とは正直たまりません
リアルタイム支援は初めてだったんでドキドキしたw

581 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/05(金) 23:55:57 ID:94CfT0hN0
>>579
投下乙
何ともいいとこで終わったwww
次回楽しみだ

582 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 00:37:46 ID:GpFDZ4uW0
【萌畑】@御名前を貴女の実名カタカナ表記に差し替えて保存等して遊びましょう。

三日酔いライノサウルスの蕎麦や麺とかの具が多いゲロ。卵焼き系の臭さが特徴的な糞。
8時間の肉体鍛錬の後に酒と加工食品をしこたま食った中量級モンスターの尿。 それらを御名前が、クチ枷の強制力によって完食する。
「う”えええぇぇ・・・御名前どこー」「こっちや、ここや、御名前おるぞ」ドタドタと足音を立てて、そして、 かがんだライノサウルスが
御名前の口をエチケット箱と同様に使用する!
またはおもむろにグレー色の作業員ズボンをずりさげたライノサウルスが。
ぶば ぶちぶちぶち ばふっ 「はー」ケツを拭くと糞で汚れた藁クズを御名前の柔肌に貼る。
赤黒い系の色彩も混じってる尿でグズグズになった糞便が、一筋分ほどこぼれてムネの谷間を垂れていく・・・。最下等食糞女・御名前。



583 :滄海の一涙【1】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/06(土) 02:05:33 ID:vPdBw58i0
LOAD DATA 第二話後半>>525-533

「ひぎゃああぁぁぁぁ!!」
ウシッ! と、空手の決めポーズを決めた俺の後方から悲鳴が上がる。
振り返るとサトチーもまた、もう片方のムチ男をノックアウトした所だった。

「ありがとう。サトチーの援護がなかったら俺はやられてたよ。」
俺の言葉にサトチーが微笑みを見せる。
くじけそうな俺を何度も救ってくれたあの微笑み。
「お礼を言うのは僕の方だよ。」

??

その言葉の意味が理解できない俺にサトチーが続ける。
「ありがとう。ヘンリーの事で怒ってくれて。」

あぁ…そうか…
サトチーとヘンリーはずっと二人でこの最悪の状況を生き延びてきたんだよな。



―人として、明日を生きるために―



「あっ!」
何かを思い出したようにサトチーが珍しく間の抜けた大声を上げる。


「…ヘンリー…」

584 :滄海の一涙【2】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/06(土) 02:06:22 ID:vPdBw58i0



「………あっ!!」
サトチーの呟きを聞いて、俺も間抜けな大声を上げる。


頭に血が上って忘れてた。
ヘンリーの容態は?

「…すぴーー…ぴるるるる……すぴーー……」

俺達の死闘を知らず、女性の膝枕で幸せそうに寝息を立てて眠るヘンリー。

拝啓 お父様、お母様。
 ムチ男よりもコイツをぶちのめしたいと思ってしまいました。


「大丈夫。ベホイミはちゃんと効いたみたいだ。」
ヘンリーの様子を見て安心しきった表情を浮かべるサトチー。

釈然としない物があるが、ヘンリー以上に幸せそうなサトチーの横顔を見ていると、
俺の中のモヤモヤもスッキリと晴れ渡るような気が……モヤモヤ……

…あれ?何だ?…


…視界が…モヤモ……ヤ………し…て………

585 :滄海の一涙【3】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/06(土) 02:08:23 ID:vPdBw58i0

女が泣いている。

黒い翼の男を抱いて泣いている。

女が泣いている。

女が泣きながら男を抱きしめる。

男の体がさぁっと溶ける。

紫色の霧となって男の体が四散する。

女が泣いている。

紫色の霧の中で女が泣いている。

女が呟く。

霧の中で女が呟く。

紫一色の中で霧の中で女が呟く。

呪いの言葉を呟く。

女が笑っている。

…夢に違いないよな…まったく酷い夢だ…



586 :滄海の一涙【4】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/06(土) 02:09:07 ID:vPdBw58i0
こんなにゆっくりと眠ったのはいつ以来だろう。
たっぷりと寝た次の日は実に気持ちがいい。夢はアレだったけど。
奴隷になってから毎日まともに睡眠なんてとってないもんな。
それでも毎朝、定刻の数分前に目が覚めるのは人体の神秘。
寝過ごして鞭で叩き起こされるよりはマシだけどさ。
たまには邪魔されずに心ゆくまで惰眠を貪りたいじゃん?
ま、もう充分に睡眠を楽しんだ。
こんな朝の目覚めはきっと素晴らしいものだろう。

ゆっくりとまぶたが持ち上がる。

「お。やっと目が覚めたなイサミ。」
「よかった。丸二日も起きないから心配したよ。」
「まったく…経験も積まないでいきなり大技を使うからだ。ぶっ倒れて当然だろ。」

もうすっかり見慣れた紫のターバンと緑の髪がぼやけた視界に入る。
二日…そんなに俺は眠っていたのか。
二人ともホッとしたような顔をしているが、心なしか表情に疲労の色が見える。

「サトチーに感謝しろよ。この二日間寝ないでイサミの看病してたんだからな。」
「ふふっ ヘンリーだって心配してほとんど寝てなかったじゃないか。」
「ばっ…俺はただあれくらいの戦闘でへばる子分が不甲斐無くてだな…」

よく見ると二人とも目の下にクマを作っている。
サトチーの息が少し荒いのは、目を覚まさない俺に回復魔法をかけ続けたからだろう。

「ごめん。俺、助けられてばっかだ…」

587 :滄海の一涙【5】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/06(土) 02:11:10 ID:vPdBw58i0
「……ていっ!」 びしっ!
「痛!」

ヘンリーのチョップが俺の頭に打ち込まれる。

「覚えておけ。俺は弱い男は例え土下座しても絶対に子分になんかしない。
 もし、お前が本当に情けない性根の腐った奴なら俺はお前を見捨ててる。
 お前は俺が子分として認めてやったんだ。子分のお前が情けない顔してたら、
 親分の俺まで情けない性根の腐った奴に思われちまうだろ。」
ヘンリーが怒ったように早口でまくし立てる。
キツイ口調だが、その言葉には彼なりの優しさを感じる。

「…うん…ごめ…」
「ふん!情けない男も嫌いだが、言葉を知らない男も嫌いだな。」

イサミの言葉を遮ったヘンリーの背後で、サトチーがクスッと笑みを漏らす。

言葉…あぁ、そうか…

「そうだよな…ありがとうサトチー。それに親分。」
その言葉に、ずっと頬を膨らませていたヘンリーがニヤリと笑う。
「上出来だ。さすがはこのヘンリー様の見込んだ子分。」

いつものように笑いながら俺の肩をバンバン叩…こうとしたヘンリーの手をすり抜け、
サトチーに向き合う。(背後でヘンリーが派手に転んだようだがキニシナイ。)


「…で、ここは…石牢?」

588 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 02:12:13 ID:l8Yjy7xSO
サトチー支援!

589 :滄海の一涙【6】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/06(土) 02:16:13 ID:vPdBw58i0
重い規則違反をした奴隷達が投げ込まれる石牢。
奴隷達の宿舎として提供されている薄暗い部屋よりもなお暗い部屋。
奴隷達の寝床として配給されている湿ったゴザよりもなお冷たい石床。

奴隷管理人であるムチ男に歯向かった罰として俺達は投獄された。

朝晩の食事すら支給されず、飢えて死ぬまでただ放置される刑場。

ここに入れられる事は即ち死刑宣告。


「雨水が壁の隙間から染み出してるから飲み水は何とかなるけど、
 それでも水だけじゃ長くは持たねえよなあ。」

奴隷宿舎に取り付けられた扉よりも、はるかに頑強な鉄格子が俺達の生と死を遮断する。
腹が減ったな。二日間何も食わないで寝てたんだから当然だけど…
そう言えば、サトチーとヘンリーは二日間一睡もせず何も食わずに俺の看病をしていた?
俺よりもよっぽど極限状態なはずなのに、そんなそぶりは全く見せない。
一番休んだ俺が真っ先に根を上げてどうするんだ。

「この鉄格子を壊せればいいんだろ?」


俺はゆっくりと立ち上がり、拳を天に向け…


「ちょ…イサm…」


その拳を全力で地面に叩きつける!!

590 :滄海の一涙【7】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/06(土) 02:17:54 ID:vPdBw58i0
「おりゃああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」






ゴキッ!






うん…手が痛い…

サトチーが慌てて変な方向に曲がった俺の手に治療を施す。


「……ていっ!」 びしっ!
「痛!」
ヘンリーのチョップが再び俺の頭に打ち込まれる。

「ばっかやろ。経験不足のお前にその技はまだ無理だって言っただろ!
 今度こそ本当に目を覚まさなくなったらどうするんだ!!」
「…でも…」
「だぁ!口答えするな子分のクセに!!」 びしっ!
「痛!」
ヘンリーのチョップが三度俺の頭に打ち込まれる。

591 :滄海の一涙【8】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/06(土) 02:20:26 ID:vPdBw58i0
「まあ、ヘンリーの言う通りだね。僕達が考えなきゃいけないのはただ一つ。
 『三人とも無事に』ここを出る方法だ。無理はしちゃいけないよ。
 イサミに何かあるとヘンリーが心配するからね。」
そこまで言ってサトチーがクスクス笑い出す。

「だから俺は別に…もういい!」
壁のほうを向いてふて腐れるヘンリーを見てサトチーがまた笑う。
それを見て俺の顔にも笑みが漏れる。

緊迫する状況なのに、なぜか俺達は笑っていた。


「石牢で笑うとは変わった奴等だな…」


背後からの声に、俺とサトチーの顔から笑みが消える。

振り向いた俺の目に入ったのは鉄格子の向こうに立つ男。
その男が身につける純白の鎧の胸に下げられているのは 教団シンボルのエンブレム。

神殿衛兵…ムチ男の上に位する教団の兵士。

ひょっとして、ここで俺達を始末する気か。

俺とサトチーの体に力が入る。
来るなら来い!


「そう身構えるな。お前らをここから出してやる。」

592 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 02:21:08 ID:l8Yjy7xSO
再度支援

593 :滄海の一涙【9】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/06(土) 02:22:33 ID:vPdBw58i0
聞き間違いか?俺達をここから出す?牢の外に?
いや、さては俺達を天国に送ってやるって意味か?
俺達を舐めやがって。ここに一歩でも入ってきたらフルボッコにしてやr…

ガチャ…

入ってキタ――――――――!!
「出してやる代わりに一つ頼みがある。マリア、こちらへ。」

マリア様にお祈りして安らかに逝けってか。上等じゃねえか。
よし、そっちがその気ならムチ男を一撃粉砕した俺の爆熱ゴッドフ○ィンガーで瞬殺…
いや、こいつを気絶させて人質にして奴隷解放を要求してやろうか…

背後に隠した拳に全力を集中する俺の前に、金髪の女性が歩み出る。
人質?卑怯な…てめえの血は何色だあー!!
「このたびは助けていただいてありがとうございました。」

…ん?この女の人は確かヘンリーに膝枕をしていた人…
衛兵への怒りが急速に冷める。(と同時にヘンリーへの嫉妬が沸々と湧き上がる…)

「紹介が遅くなったが、私はヨシュア。そしてこっちが妹のマリアだ。」
兄が神殿衛兵で妹が神殿の奴隷…妙な兄妹だな。

「頼みというのはマリアの事だ。お前らにはマリアを連れてここから逃げて欲しい。」
…ん?今度こそ聞き間違いか?奴隷の管理者が奴隷に対して逃げろ?おかしくね?

「…失礼、あなたは神殿衛兵ですよね?そのあなたの妹が奴隷として働いている。
 さらに、神殿衛兵のあなたが俺達奴隷に対して妹さんを連れて逃げろと頼む。
 正直あなたの言動は神殿衛兵としても、兄としても疑問だらけなんですよね。」
俺の中で渦巻いていた疑問をヘンリーが言葉にしてヨシュアに投げかける。
そんな虫の良い話、にわかには信じられない。


594 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 02:52:12 ID:sncsb/yf0
支援効果あるかな

595 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 02:55:31 ID:ljdZIKsR0
支援射撃 撃ち方はじめ

596 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 02:56:56 ID:JdzCIZXV0
ダイの大冒険VSドラゴンボール
面白映像
http://jp.youtube.com/watch?v=OQbYaMlR1do&mode=related&search=dragon%20quest%20las%20aventuras%20de%20fly%20avan%20pop%20man%20dragonball%20papunica%20heroes%20sacrificio%20hola


597 :滄海の一涙【10】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/06(土) 03:08:13 ID:vPdBw58i0
ヨシュアが重々しく口を開く。
「私を信じられないのも当然だ。確かに私は妹を…お前達を苦しめてきた側の人間だ。
 妹を見殺しにしたと言われても仕方がない…妹が奴隷になると告げられた時も、
 妹がその細腕で大岩を運んでいる時も、私には何もできなかったのだからな…
 衛兵としての自分の身を案じた訳ではない……私は恐れていた…
 教祖様の思想に反する行動をとれば、恐らく私もマリアも教団の手によって…」

搾り出すように続けられるヨシュアの言葉。
その言葉から感じられるのは妹を救えなかった兄の後悔…悔恨…懺悔…

「だが…マリアのために戦うお前達を見て、私は自分の成すべき事を悟った。」
はっきりした口調で言い放つヨシュアの右手がヨシュア自身の胸に当てられる。

「ただ一人の妹を救えずに何が兄か! 最愛の妹をこの地獄から救えるならば…」
胸に当てられていたヨシュアの手が持ち上がる。
その手に握られているのは…


「愚かしくも敬愛した教団も、愚かな私自身の命も…喜んで捨ててやる!!」
ヨシュアの手に握られていたものが石の床に叩きつけられ砕け散る。


砕け散ったそれは 教団のエンブレム

衛兵が教団エンブレムを破壊する…

それは、教団への決別の意思…

そしてその行動は、懐疑的だった俺達の心を溶かすのに充分すぎる熱情を放つ。

「わかりました。妹さんの件は責任を持ってお引き受けします…
 ただし、こちらからも条件を出します。」

598 :滄海の一涙【11】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/06(土) 03:09:22 ID:vPdBw58i0
黙ってヨシュアの言葉を聞いていたサトチーが口を開く。
「僕の出す条件は二つです…一つは、自分の命を捨てるなんて二度と口にしない事。
 二つ目は、妹さんと生きて再会する事。この二つをここで誓って下さい。」

サトチーとヨシュアの視線が交差する…

「わかった…神に…いや、偉大なる精霊ルビスの名に誓おう。」
ヨシュアの手が、再度ヨシュア自身の胸に当てられる。
偽りのエンブレムで飾られる事のない、自分自身の心に誓うように…

「そうと決まれば早速。さあ、見回りが来る前に急いでこっちへ。
 神殿裏手通路を抜けた先にある死体処理用の水路。そこから逃げてもらう。」
ヨシュアに促され、石牢を後にする。

何度も夢見たここからの脱出…
もうすぐこの手に掴める自由…

自由…


自由になったら…


俺は何をすれば良い?

元いた世界でも、こっちの世界でも感じた事のない自由。
自由という物を俺は知らないのかもしれない…

自由という言葉の意味を知らないまま、俺は走り出す。

自由を手に入れるために。

599 :滄海の一涙【12】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/06(土) 03:12:45 ID:vPdBw58i0
「静かに…止まれ…」

建設中の神殿裏手通路を駆ける俺達に、先頭を走るヨシュアが告げる。
「まずい…通路の先から見回りが来る…隠れろ。」
「隠れろったって…隠れる場所なんかないぜ。」

神殿裏手通路は狭い一本道、隠れられるドアも資材の山もない。

「…くっ…騒ぎを起こすのはマズイが…やるしかない。」

息を潜め、曲がり角で身構える…一撃で昏倒させれば…



ガラガラガラガラ……ガシャーーン!!!



「何だぁ?お前等、何をやっている!!」
通路の先で響き渡る何かが崩れるような音。
それを耳にした見回りのムチ男が通路の先に走ってゆく。

『スミマセンねぇ。突然資材の山が崩れちまいまして。
 あぁ、危ないんで今は通路を通らない方が良いッスよ。』

高所作業等の足場の上から男の声が聞こえる。
ナイスタイミング!ナイスアクシデント!!

「ふひゅー…焦ったぜ。」
「危なかったな…今のうちに通路を抜けるぞ。」

ナイスタイミングだけどさ…タイミング良すぎじゃね?

600 :滄海の一涙【13】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/06(土) 03:16:03 ID:vPdBw58i0
ふと目をやると、足場の上から建設現場を見下ろす屈強な奴隷の姿。
奴隷宿舎の室長で、いつも俺達の面倒を見てくれたアルバニーのオヤっさん。

俺と目が合うと、親指を立て"ニッ"と笑ってみせる。

…ありがとう。

通路の先から水路まで不自然なくらい一直線に建築資材が積まれている。

資材の山の上から元踊り子のベイラルちゃんが俺達にウィンクをする。
誰よりも頑固だけど、誰よりも優しかったテルコ爺さんが小さく手を振る。


…みんな、ありがとう。


俺は泣きながら走っていた。
サトチーもヘンリーも泣きながら走っていた。

水路に繋がる小屋へ駆け込み、ヨシュアが用意した大樽に乗り込む。



…必ずみんなを助ける…だから…生きて…

水門が開放され、俺たちを乗せた樽が自由な世界へ放たれる。

俺は今、生まれて初めての自由の中での確かな道標を見つけた。

601 :滄海の一涙【14】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/06(土) 03:16:34 ID:vPdBw58i0
イサミ  LV 5
職業:建設作業員 改め 異邦人
HP:41/41
MP:7/7
装備:Eブルゾン

持ち物:カバン

呪文・特技:岩石落とし(未完成)

602 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 03:25:06 ID:sncsb/yf0
残った奴隷のみんな…(´;ω;`)良いやつらだ
笑いどころと泣き所があるのが面白いな

603 : ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/06(土) 03:34:23 ID:vPdBw58i0
第三話はここまでです。
原作には登場しない奴隷仲間(チョイ役ですが)登場。
作業現場の気の良い仲間達…ってイメージです。
隣の水牢からジャー…では味気ない感じがしまして…


途中、後先考えない連投で見事にバイバイさるさんに引っ掛かりました。
支援してくれていた皆様に申し訳ないです。ゴメンナサイ。
そして、支援ありがとうございます。ゲマの目にも涙です。

604 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 04:03:59 ID:4V9FMkIEO
投下終了まで起きて待ってて良かった。

…(´;ω;`)<ブワッ!
優しい仲間達に泣いた。

605 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 07:57:02 ID:rHmMWW570
いい奴の話は泣ける。ありがとう。

606 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 11:57:15 ID:xz3SmQVE0
右手は挙手。
脚は135度に曲がった姿勢。
右手の高さは調節してあり、ピンッと張っている。これ以上、下に行けない。
行こうとすれば、右の中指から肩口までが重力で地獄を見る。
アリーナの両足首の枷とウエストの鉤付きコルセットは、鎖でつないで連動関係にあるから、
これ以上脚を伸ばして立つこともできない。
「調子どうよ」。アリーナの肩をユサユサする。
2時間近い空気イス、足の可動域はとても狭いけど、意外に様々な姿勢に変えて耐えてきたアリーナ。
肩ユサユサで、ついに「ヴァギャーーーアアア!!!!!」の絶叫。
「唾がかかったぞ・・・こら」。
その頃、ブライとクリフトは魔物側を動揺させるべく、人員を探していた。
「どこの村落や都市社会にも属してなくて、脚気や骨粗鬆症なんか無縁の健康状態で、
地動説を受け入れるぐらい見識と度量があって、冒険が嫌いではない善良な女は居ないものかのー」。
「ついでに姫様が大好きな方がいいですよね。どこかに居られないだろうか・・・・・・」。

607 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/10/06(土) 13:43:40 ID:qNl9ubYi0
    〜作り合わされし世界〜

    → 冒険をする
        1:しなの  Lv8
     → 2:ヨウイチ Lv7
        3:タロウ  Lv6

608 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/10/06(土) 13:44:23 ID:qNl9ubYi0
>>215 から

二十一、 私の世界

まぶたを開けると元の森の中でした。
火は消え、陽は昇りすっかり朝です。

「ふぁぁ…… っと。 二人で寝ちゃったのか」
「キ… キィ…」

はっと気が付き荷物を調べます。
荷物はどうやら無事なようでとりあえず安心しました。

「魔物にも泥棒にも襲われなくてよかったよな。
 完全に無防備だったし」
「キ?」
「大丈夫だ。 さー、いくか!」
「キィ!」

二人は立ち上がり焚き火へ土をかぶせ、森の出口を探し始めます。
しばらく森を迷い、もう出られないのではと思ったところでようやく外の景色を見つけました。
そこを抜けると目の前には路が横断し、その路へ乗り北へと向かう事にします。

「どれくらい遠いんだろうな?」
「キー」
「うーん、そうだよな。 お前はほとんど町から出たことなかったんだっけ」
「キィキィ」
「はは。 そうだな、歩いてればいつかはたどり着くか」

均された土を踏み、とにかく進むことにします。
しばらく歩いてヨウイチが思い出したようにドラオに話しかけます。

609 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/10/06(土) 13:45:22 ID:qNl9ubYi0
「ああ、そういえばシエーナ、だっけ。
 あの町で会った女の人覚えてるか?」
「キィ、キキ」
「そうだった。 お前が最初に話かけ… ちょっかいだしたんだもんな」
「キ!」
「怒るなよ、ほんとだろ?
 でさ、ゲレゲレもだけどあの人もなんか周りの人たちとは違ったよな。
なんていうか、こう…」
「キ? キィ… キーッ!」
「な、馬鹿なこというな!
 鼻の下のばしてなんかないし別にそんなやましいことなんか…!」
「キ〜キ〜〜」
「ぬ… おまえ、ちょっと止まれ、いいから」
「キー!」
「あ! おい逃げるな!」

からかいながらドラオがすいすい空中を泳ぎ、ヨウイチは合わせて飛び跳ねながら追いかけます。
三分くらいそうやって遊んで、ふとヨウイチがいいました。

「もっと話を聞いておくべきだったかも、しれない。
 あの時は違うかもって思ったけど…
 "私の世界"ってどういう事なのか、もしかして俺と同じなのか……
もう一度、どこかで会えたらその時はちゃんと聞こう。
…俺は、一人じゃないのかって」

610 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/10/06(土) 13:46:06 ID:qNl9ubYi0
ドラオがいてくれるから今はなんともありませんでした。
ですが夜になり一人でおきているとどうしても考えてしまうのです。
これが元の世界で一人だったなら、きっといまよりぜんぜん平気でした。

「そういえば名前も聞かなかった」

顔を上げ周りを見渡します。
遠くには薄色の山がそびえ、路はまっすぐに東西南北、それぞれ運んでくれようとしていました。

611 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/10/06(土) 13:48:16 ID:qNl9ubYi0
二十二、 凍えるやま

何度もモンスターと戦い、商人や旅人と挨拶を交わしながら順調に進んできました。
何日、何十日かかったかわかりません。
二人は疲れていましたが、目の前の景色にそれはそれは感動していました。

「この山にマウントスノーの町があるらしい」

目の前はいちめん真っ白な山とふもとに広がる森に覆われています。
話に聞いていたマウントスノーがある山にたどり着いたのです。

「キィ」
「うん。 すごいな、山や周りの大地だけに雪が積もってる」
「キキー」
「そうだと思う、絶対さむい。
 けどお金ないし、節約で町に寄ったりしなかったからな。
お前はどうかわからないけど、俺はこんな薄っぺらな服で…」

途中いくつかの町を横目に見ましたが節約のためだと立ち寄ったりはしませんでした。

「けど大丈夫だろ、たぶん。
 山頂に登るわけじゃないんだし、ふもとからそんなに遠くないって聞いたし。
それに近くまできてるのにそんなに寒くないだろ?
けっこう平気でいけるんじゃないかな、たぶん」

不安はいっぱいありましたが、それでも進まなければなりませんから二人は森へと入ります。
森の中はしっかり路が作られ、それにそんなに寒くもありません。
もしかしたら平気なんじゃないかと二人は顔を見合わせ、どんどん進んでいきました。

612 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/10/06(土) 13:54:50 ID:qNl9ubYi0

「さ、さむい……」
「……」

ヨウイチは自分の甘さを後悔していました。
森を抜け雪の積もる山を登り始めた最初はよかったのです。
足をとられ汗をかき、暑いとさえ感じていました。
ですが体が慣れてくるとそれはもう寒くてたまりません。
毛布で体を包みますが多少マシなだけでした。
ドラオはというと、寒さで凍ってしまったかのように口をつぐみ道具袋の中へ身を隠しています。
歩みは極端に遅くなり、きつくなる山の斜面はなかなか思うように進ませてはくれません。

「おい。 す、少しはしゃべって体を温めたほうがいいぞ…」
「……」
「…ったく。 しょうがないやつだな…」

風もびゅうびゅう吹き、細かい雪の粉が舞い、視界を遮ります。
時々やってくる強風に体が押され倒れそうになりますがなんとか堪えます。
そしてドラオには言いませんでしたが、この時点で方向を見失っていました。
雪に覆われどこに路があるのかぜんぜんわからなかったのです。
後ろを見てもどこを見渡しても飛び回る粉雪に隠されてしまいます。

「はぁ… 俺はなんで… こんなことしてるんだろ…」

山に入って丸二日、ほとんど食べず眠らずで進んできましたが一向に町は見えません。
夜だって早く町へ到着するために這いながら進んだのです。
ですがあまりの寒さと疲労で頭はもうろうと、あんまりよく考えられなくなってしまいます。

 もう、いいじゃないか。
ここまで頑張ったんだ。
ここで眠って目が覚めれば、きっと元の世界だ。
これは夢だ、夢に違いないんだ。

613 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 13:55:51 ID:up//Ht/i0
支援

614 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/10/06(土) 13:59:06 ID:qNl9ubYi0
甘い考えが頭をよぎり、ですがどうしても振り払うことが出来ず、やがてヨウイチはその場にうずくまってしまいます。

「ラーメン… 喰いたいなぁ……
 あ? あの灯りは、屋台かな。
おおーい、客が、ここにいる、ぞぉ…………!!」

ハッと体に力が入り勢い良く立ち上がり、その灯りへ向け雪をもぐり進み始めます。
そうしてとうとう、どうやら人気のある場所へとたどりついたのです。
さっきまでの疲れや眠気がまるでなくなって、もう頭の中はラーメンでいっぱいでした。

「あっはっ!!」

感覚で一時間くらい、実際は十五分です。
思わず笑ってしまいました。

「町だぞ! おいドラオ!!
 ついたんだよマウントスノーに違いない!!」

道具袋がもぞもぞしてドラオが顔を覗かせます。
町は、すっかり雪に埋もれていましたが窓から漏れる明かりはとても暖かく感じました。

615 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 13:59:45 ID:up//Ht/i0
支援

616 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/10/06(土) 14:08:29 ID:qNl9ubYi0
二十三、 マウントスノー

「どうだ、体調は」

年老いた男の声で意識がはっきりしてきます。
体を動かしてみると、ふかふかのベッドに寝かされているのがわかりました。

「ここは… 屋台は…?」
「なんの事だ? 私はブルジオといい、ここはマウントスノーで私の家だ。
 君は五日のあいだ眠っていたのだよ」
「あ、俺はヨウイチです。 確か、町に到着したのは覚えてるけど…」
「町の入り口で倒れていたのだ。
 あの吹雪だったろう。 私は町長として外の様子が心配になり数人と見回りをし、騒ぐドラキーを見つけた」
「気を失ったんだ… あ、助けてくれてありがとうございます。
 なんていったらいいか… 本当に感謝します」
「礼には及ばん。 いつもの事で慣れているしな。
 今はすっかりいい天気で、雪もほとんど溶けてなくなった」

ホッとし、ベッドから起き上がってドラオを探しますが見当たりません。

「ドラキー、どこにいますか?」
「さっき広間で─」
「キィーーッ!」

バタバタ飛びながらドラオがヨウイチの顔にしがみついてきました。
羽が当たって痛いのですが、無事で安心します。

「見ての通り元気だし食欲もある。
 君をずっと心配していたよ」

部屋はきらきらした飾りがたくさんあり、暖炉まであります。
床には複雑な刺繍を施した絨毯が敷かれ裕福な家であると教えてくれています。

617 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/10/06(土) 14:18:49 ID:qNl9ubYi0
「しかし、ずいぶんと軽い格好で来たようだな。
 それにこの時期のあの三日間だけは山が吹雪いてしまうから、誰も外へは出ないというのに。
下の町で聞かなかったかね?
毎年、君のように迷い運ばれてくる者がいる」
「町へは寄らなかったもので… すみません、そういう時期があるとは…」
「準備も無しに山を登るとは。
 まぁ時期でなければ過ごしやすい気候だから、運がなかったな。
ここマウントスノーは他とは違い特別なのだ」

なんだか恥ずかしくて、ヨウイチは自分の姿を見返します。
ですが旅人の服ではなくて、まるで着た事のない厚手の服に着替えさせられていました。

「元の服はすまないが処分させてもらった。
 もう防具としては機能しないほどにボロボロだったのでな」
「し、しょぶん?!
 それは困る! 俺はまだ旅をしなきゃならないんだから!」
「ふむ。
 なぜ旅をしている? ここマウントスノーに来た理由はなんだね?」

自分の装備を捨てられびっくりしましたが、ブルジオの冷静な質問に落ち着きます。

「…目的は、まぁいろいろあって。
 マウントスノーにきたのは不思議な石版をみてみたいと、思ったからです」
「ほう… 石版を知っているのか。
 見てどうするんだね?」
「それは─」

言われて気づきました。
見るだけでは駄目なのです。
石版を手にし、それを神殿へと持っていかなければ意味がないのです。
ヨウイチは考えを改めることにします。

618 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 14:26:13 ID:S+ds57ZqO
支援

619 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/10/06(土) 14:26:32 ID:qNl9ubYi0
「……正直に言えばその石版を譲ってもらいにきました」
「ふむ。 石版を持っているのは私だ。
 …欲しいのなら一つ、条件を出そう」
「条件? なんです?」
「武器を持っているということは、君は戦いを知っているわけだ。
 そこで頼みがある。
 町の北にある洞窟に、スライムナイトというモンスターが住み着いたのだ。
普段なら町の中まで入ってくるモンスターなどおらないのだが…
あろうことか町へ忍び込みいたずらするようになった。
町の設備を壊したり畑を荒らしたり店の品物を盗んだり貢物を要求したりと、だんだん手におえなくなったのだ」
「え。 まさかそのスライムナイトを退治してくれと?」
「そうだ。
 これまで町に訪れる商人や旅人に依頼してきたが、失敗している」

ブルジオがごそごそ数枚の紙を取り出します。
ドラオがなぜか目を輝かせているのがわかりました。

「これはすごろく券といい、信用できる商人から仕入れたものだ。
 私は行ったことはないがなんでも広大なすごろく場で遊べるものらしい。
これをスライムナイトに渡してきて欲しいのだ」

すごろく券を手渡されますが、ヨウイチはどうにも納得できません。
モンスターがすごろくをするなんて考えられないからです。

「あの… 俺はそのモンスターを知らないんですが、こんな紙切れで大丈夫なんでしょうか」
「いや、大丈夫だ。
 様子を見に行ったときスライムナイトが"どうしてもすごろく場で遊びたい"と話しているのを聞いたからな」
「…そうですか。
 けど、そんな簡単な事でどうして失敗を?」

620 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/10/06(土) 14:39:21 ID:qNl9ubYi0
「それは… すごろく券と一緒に誰もが約束を果たさず逃げてしまうんだ。
すごろく場はよっぽど魅力的なのだろう… 私は旅の者と出会うたびに頼んでおる。
もちろん、君は特別に信用している」
「はぁ… で、この券を渡せばモンスターもすごろく場へ行ってくれると。
 でも、券がなくなれば戻ってくると思うんだけど」
「戻るだろう。
 が、それまでに対策を考える。
その時間稼ぎのために、一時でもいいから洞窟をからっぽにしたいのだよ」

なるほど、と考えましたがやっぱり納得できないところもありました。

「でも、渡すだけならそれこそブルジオさんだって出来る事だし」
「いいや。 もし券を渡して襲い掛かってきたら、我々は戦えない」
「あー… なるほど」
「うまくいったら石版は譲ろう。
 頼んだよ、ヨウイチくん」

621 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 14:52:10 ID:Edfd1jenO
ゐるぽ

622 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 15:09:07 ID:l8Yjy7xSO
規制に引っ掛かってしまうとは情けない!

623 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/10/06(土) 15:09:28 ID:qNl9ubYi0
二十四、 名もない洞窟

あくる日。
町は初めて見たときと全く違って雪はほとんどなくなっていました。
気候も陽のおかげか少し暖かく、あの吹雪が嘘のようです。
ブルジオの家で一泊した二人はぬかるんだ土をじゃぶじゃぶ踏んで北の洞窟へ向かいました。

「キィーキ−キー!」
「え、だめだよ。
 石版をもらうんだから。
革の鎧だって借りたし、持ち逃げなんて出来ない。
それよりほら! 剣と鎧、似合うだろ?」
「キィ…」
「……おまえ、そんなにすごろく場いきたいのか。
 でもなんで知ってる? 町から出たことないのに。」
「キ? …キー キーィ」
「知らないけど知ってる? なんだそれ。
 この世界の常識ってやつか? モンスターの本性ってやつか?」

洞窟は町からあまり離れてはいません。
話しながら歩いているうちに、丘へぽっかり口を開いた洞窟へとたどり着きました。

「ここみたいだ。 なんか薄気味悪いな」
「キキー」
「うん、暗くならないうちに帰ろう。
 中は一本道で短いっていってたし、すぐさ。
それにスライムナイトっていったってスライムなんだろ。 たいしたことなさそうだ」

ランプに灯りをともし洞窟へと入ります。
溶け始めた雪や暖かい日差しのせいでしょう。
中はとても湿っていて嫌な雰囲気です。

624 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 15:11:33 ID:VQqXW+gb0
リアルタイム遭遇ktkr
支援です〜。


625 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/10/06(土) 15:19:46 ID:qNl9ubYi0
「うわぁ。 なんかこんなとこ、ずっといるのはヤだな…」

ところが、ヨウイチの予想と違って二、三分まっすぐ進んだだけで最深部へと着いてしまいました。

「あ、あれ。 なんだもう奥か…」
「なんだおまえ!」

ドキリとして声のした暗がりを見ます。

「マウントスノーの人間か? 貢物ならさっさとよこせ」

そこにはおおきいスライムと鎧を着た人間に近い、背の低いモンスターがいました。
一匹だと思っていたのでヨウイチはあせってしまいます。

「あ、俺は… すごろく券を渡しに来たんだ」
「すっ?! すっ、すごろく券!!」

券の束を差し出すとスライムナイトは素早く奪い取りました。
束を数え、それからヨウイチとドラオをじろじろ見ます。

「間違いない本物だ。 俺は早速遊びにいきたいが、お前が邪魔だ」
「なら、俺はもういくよ」
「ちがうちがう、そういう意味じゃない」

人間みたいなモンスターがおおきいスライムにまたがり、スライムナイトが言いました。

「お前の着てるもの持ってるもの、全部いただくとする。
 だから生身は邪魔だ。 全部置いて帰れ」

626 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 15:28:11 ID:UOTk8ALo0
支援。

627 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/10/06(土) 15:29:35 ID:qNl9ubYi0
二十五、 スライムのくち

「くそっ! やっぱりこんな事になるのかよ!」

ヨウイチは身構えます。
相手は弱そうですが二人、油断はできません。

「ほー。 歯向かって来るなんて生意気だ。
 俺は強いんだぞ? いいのか? 痛い目にあうぞ?」
「うるさい! 目の前に悪党がいるのに引き下がれるか!」
「う、むぅ。 ん、おいドラキー。
 なんで人間の味方してるんだ、さっさとこっちへこい!」
「キィーー!!」
「な、なんだ。
 おまえ、堕落しきった人間にすっかり染まってしまってるな。
ようし…」

スライムに乗った戦士がなにやらドラオへ指を指しゆらゆらさせます。
ヨウイチはドラオをかばうように前へと出て剣でひゅうと威嚇しました。

「あっ! なんだ人間!
 じゃまをするんじゃない!」
「うるさい!
 とっととすごろく券を持って行け!」
「…まぁいい。 中途半端だがもうそのドラキーは俺達の仲間に戻った。
だてにスライムと一緒にいるわけじゃあないぞ!」

ハッとしてドラオへ振り返ります。
ドラオの目はとろんとしてしまい、意識がもうろうとしているみたいでした。

628 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/10/06(土) 15:36:58 ID:qNl9ubYi0
「お、おい! ドラ─」

ドカリと背中に重い衝撃が加わりました。
スライムナイトのスライムが体当たりしてきたのです。
その衝撃でドラオを思わず抱えこんで地面へと転がってしまいました。

「このやろう! 卑怯だぞ!」
「こっちはお前の物がぜんぶほしいんだ。
 綺麗もひきょうもない!」

今度はナイトが剣をびゅうとふるいました。
ドラオをぽいと投げ、剣を構えなおしながらごろごろ転がって避け、しっかりと構えなおします。

「今度はこっちからだ!」

土をけってまるで野球のように剣をぶうんと振り、それをスライムナイトがひょいとよけます。
あんまりに思い切り振ったものですから、ヨウイチは剣に引かれてトトトと横を向いてしまいます。

「ちょろい!」

スライムナイトの剣が風を切ってヨウイチの肌を切り裂きます。

「ピー!!」
「いっつつ!!」

今度はスライムに足をかみつかれてしまいました。
ヨウイチは痛みをこらえて後ろへ下がり、大勢を整えようとします。
切られた腕は思ったより深い溝ができ、足にはスライムの口型が残ってとても痛くてたまりません。

629 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/10/06(土) 15:45:39 ID:qNl9ubYi0
「きぃ」
「お?! おお、ありがとう」

ふらふらしながらドラオが薬草を手渡してくれました。
様子がおかしいので気になりますが、今はそれどころではありません。
薬草を飲み込み傷を癒し、考えます。

 あいつはあまり剣はうまくないし動きも早くない。
それに都合のよいことにとても油断している。
良く見ろ。
落ち着けば必ずかてるぞ。
 弱点だってあるはずだ…

深呼吸を一回、二回。
足元のちょっぴり大きめな石を片手に取りスライムナイトへ駆けていきます。

「もうあきらめて荷物を全部よこすんだな!
 正直ちょっとビビってたがなんともないぜ!」

びゅうんと大振りなナイトの剣がヨウイチの胸すれすれを通り過ぎ、体勢が少しだけくずれます。
ヨウイチはこの瞬間を狙っていました。
油断しているので気にせず剣を振り回すだろうと予想したのです。
そのまま予定通り、スライムの開きっぱなしになっている口へ思いっきり石を投げ込みました。

「ビギッ!! ビーッ!!」
「な! な! スラぼうどうしたのだ?!」

スライムはとても痛がって、それはもう暴れる牛みたいになりました。
そんな状態で、上に乗っているナイトはたまりません。

630 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/10/06(土) 15:54:19 ID:qNl9ubYi0
「こらー! 落ち着けー!!」

どすんと、暴れるスライムからナイトがすべりおち、スライムはさっそく口に入った石をぺっぺと吐き出しています。

「ば、ばかっ! 俺をおろすやつが─」
「さー逆転だ。 どうする?」

地面へへたるナイトへ切っ先をたて、大きいスライムを片足で抑えていいました。

「あ… いや、いや。
 お、俺は地面の上ではちゃんと戦えないんだ…
だから、許してくれ!!」

ナイトが必死に頭をさげます。
スライムは気の毒そうにその様子を見ていましたが、ガツンとした音と一緒にぺったんこになってしまいました。

「なにしてるんだよ! ドラオ!」

見るとドラオが大きな石をスライムめがけて投げつけていたのです。
表情はまるで今までみたことのないこわい顔をしていました。

631 :作り合わされし世界 ◆2yD2HI9qc. :2007/10/06(土) 15:58:25 ID:qNl9ubYi0
みなさまお疲れ様です。
今日の投稿はここまでです。
支援、ありがとうございました。

ついでに、まとめサイトへ絵板に投稿された画像のまとめページを新設しました。
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html

632 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 16:01:21 ID:VQqXW+gb0
お疲れ様でした。
なんとか形勢逆転ですね。
それにしても、ドラオさんの豹変、気になりますね・・・・。

催眠術かなにかでしょうか・・・。

633 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 23:17:08 ID:sncsb/yf0
ドラオ野生化?

634 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/07(日) 01:44:45 ID:kTrpigk90
ドキュン世界の宿屋だったら嫌だな。
田舎の学ラン・リーゼントのグループと今風の20代肉体労働者が混在してるのを、
時空的にもカオスな世界だとか勘違いしたりして。
宿屋は通称ドヤ。

635 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/07(日) 10:33:42 ID:4rst9skZ0
しかもタコ部屋だったりする。
二階には圧力鍋爆弾を作ってるDQNが住み着いている。

636 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/10/08(月) 00:30:54 ID:gO/7QA3i0
―下の巻― (>>505-512)

宝物庫のおっさんが死んだ。

俺たちは魔王バラモスを倒しアリアハンに凱旋した。
おっさんはラッパを鳴らして俺たちを祝福していた。
勝利の報告を国王にしようとしたまさにそのとき。
恐ろしい声が響き渡った。次の瞬間、雷のような、何か黒い力がおっさんに襲い掛かった。
やったのは大魔王ゾーマ。それはゾーマの俺たちに対する煽りだった。
奴にとっては何てことない煽りだったのだろう。つまらない、呆れるほどつまらない理由だ。

ゲンは怒りを隠そうとはしなかった。それは自分の無力さへの怒りかもしれない。
ポンドは手に負えないと分かっていてもおっさんの治療を止めようとはしない。
ユーロは泣きそうな顔をしていたが決して涙は流さなかった。
そうだよ、もう泣かないって俺と約束したもんな。……くそッ!
俺はこの光景をどんな間抜け面で眺めていたのだろうか。

国王は突然の出来事にまるで魂が抜けれいるようだった。
ポンドは王様を介抱するためここに残ると言ってきた。
「それに、今のあなたたちに必要なのは神の力ではないでしょう。」
ポンドは自分の引き際を知っているかのようにそう言った。
俺は父親が自分の生きたいように生きろと言っているような妙な錯覚を覚えた。
その苦労人に礼を言うと俺はゲンとユーロとともにアリアハンを後にした。

637 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/10/08(月) 00:32:58 ID:gO/7QA3i0
ドルの入っていた牢屋はなくなっていた。
最悪の事態を想像したがそれは杞憂に終わった。
町の人間はドルを許したようだ。
許したと言うよりはドル以外誰も町をコントロールできなかったのだろう。
追い出しておいて彼女に頼らざる得なくなる。情けない奴らだ。
そして、その情けない奴は今の俺でもある。
俺たちはドルにこれまでのことを話した。
「そっか。辛かったね……」
自分だって理不尽にも牢屋につながれていたと言うのに。
「この町は私の子供のようなものよ。あれはちょっと反抗期を迎えただけ。」
女は強いな。
「ねえ、もう一度私を冒険に連れてってくれる?」
「お前がいなくてこの町は平気なのか? お前の子供みたいなものなのだろう。」
ゲンが当然の疑問を投げかけてくる。
「町の代表をみんなで選ぶシステムを作ったわ。この町はもう大丈夫よ。」
自分がいなくても町が動くシステムまで作り上げたのか。
「それに……」
「それに?」
「子供はね、いつか親から独り立ちするものよ!」
本当に女は強いな。
「でもさ、いまさらパーティーに商人なんて要らないわよね。」
いや、必要なのは商人じゃない。おまえ自身なんだ。
「だから、私ね、賢者に転職する!」

638 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/10/08(月) 00:34:13 ID:gO/7QA3i0
俺とドルは2人でラーミアの背中に乗り竜の女王の城に向かっていた。
ドルが集めた情報では竜の女王は光の玉と言うものを持っていると言う。
ゲンとユーロは悟りの書と言う賢者になるために必要な本を探している。
ユーロのことは心配なのだが何かしていたほうが気が紛れるだろう。
「本当にいいのか? ……転職。商人はお前の誇りだろ。」
「商人としてやりたかったことはやっちゃったから。いろいろあったけどね。」
「……町のみんなに許してもらえてよかったな。」
「ねえ、覚えてる? 町を作るときエンが言ったこと。」
なんだっけ。どうしてバラモスが小指を柱にぶつけて悶絶する姿が頭に浮かぶんだ?
「私、みんなが幸せに暮らせる町、作れなかった……」
「そんなことない。あの町はみんなが幸せになるところに変わろうとしている。」
「……本当はね、牢屋に入れられたとき、とても辛かった。」
「泣きたいなら泣いていいぞ。……ここには誰もいない。」
そうさ。泣きたいとき人が泣くのを止めさせることなんて誰にもできやしないのだ。
「あなたがいるじゃない。」
「言っただろ。俺は違う世界の人間なんだって。だからカウントしなくていい。」
「……今だったら信じるかも。」
「変わったよな。昔は信じられるのはお金だけって言ってたのに。」
「ふふ、変わったと言うならエンの方よ。」
「俺が?」
そうか、俺は変わったのか。

俺たちは竜の女王から光の玉を託された。その直後、女王は出産とともに亡くなった。
女王は子供のために光のある世界を望んだ。俺たちができることは大魔王を倒すことだけだ。
誰も他人を泣くのを止めさせることなんてできやしない。
だが、暗闇が怖くて泣いている人のために光を灯すことはできるかもしれない。

その後ユーロたちが見つけてきた悟りの書を使いドルは賢者になった。
賢者は魔法のエキスパート。転職すると雰囲気も変わるようだ。
魔法を一から覚える。それがどんなに大変なことでもドルならやってのけるだろう。
そして俺たちは大魔王ゾーマのいる世界に通じるギアガの大穴の中へ飛び込んだ。

639 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/10/08(月) 00:36:16 ID:gO/7QA3i0
穴の中にあったのはアレフガルドと言う闇の世界だった。
イメチェンしたカンダタを華麗にスルーし、大魔王の城へ渡る方法を見つけることにした。
そして奴に対抗できるような強力な武器防具を手に入れることも考えなければ。

強力な防具である勇者の盾、光の鎧は見つけた。鎧のあった塔ではルビスが封印されていた。
全てを司るのに封印されるとは情けない。聞きたいことは山ほどあるが大魔王を倒したあとだ。
封印をといたルビスから聖なる守りを受け取り魔王の城へ行くための虹の雫を手にいれた。
そして王者の剣の情報をドルが手に入れ、その材料となるオリハルコンをユーロが見つけた。
これをマイラと言う村の刀鍛冶に剣にしてもらおうと思ったが話が進まない。
俺は気晴らしに温泉に入ることにした。しばらくたった後ユーロがきた。
「オリハルコンを剣にしてもらえるよ! 今ドル姉ちゃんとゲンあんちゃんが話をしてる!」
「本当か! あの鍛冶屋どういう風の吹き回しだ?」
「鍛冶屋の奥さんがモンスターに襲われていたところをゲンあんちゃんが助けたんだよ!」
「それなんてエロゲ?」
俺はそうつぶやいていた。

「ねえねえ、エンあんちゃん。聞いてもいい? エロゲって何?」
聞かれていた。
昔の俺だったら「自分で調べようね。」という意味のことを3文字で言い放っていたろう。
だがこの世界にはパソコンも検索サイトもない。教えてやることにしよう。
「エロゲというのは男の人と女の人の物語で男にとって魅力的なお話のことだ。」
俺は嘘にならない程度に答えておいた。
「ふーん。ねえ、エンあんちゃんもエロゲしてみたい?」
「ああ、してみたいなー。」
「そっかー、おいらもできるかな?」
「ははははー、ユーロにはまだ早いなー。」
などと、ほのぼのとした会話を繰り広げた。俺っていいあんちゃんだな。
この世界にエロゲを知っている人間はいないのでほのぼのとした会話にしか聞こえまい。

こうして俺たちはエロゲ的な展開で手に入れた剣を持ち、ゾーマの城に乗り込んだ。
……うーん、様にならんな。

640 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/10/08(月) 00:37:17 ID:gO/7QA3i0
ゾーマの城では男がでかいドラゴンのモンスターと戦っていた。
「私はもう駄目だ……。そこの旅の人よどうか伝えてほしい。私はアリアハンのオルテガ。」
戦いに敗れた男は俺に何かを話しかけてくる。
「エンを訪ねオルテガがこう言っていたと伝えてくれ。」
エンとは俺のことではないか。
「平和な世界にできなかったこの父を許してくれ……とな ぐふっ!」
父。そうか、この男はエンの父親なのか。
だが、どうすればいいんだ。エンは俺だがこの男の言うエンは俺ではない。
この男のいうエンにどうやって伝えればいいというのだ。
本当のエンはどこにいるのだ?

そんなことをゆっくり考える間もなく魔物たちは容赦なく襲ってくる。
大魔王の側近どもをなぎ倒し俺たちはついに大魔王と対峙した。

負ける気はしなかった。
力のゲン。鍛え抜かれた肉体から放たれる拳は会心の一撃となり大魔王を襲う。
すばやさのユーロ。誰よりも速く賢者の石をかざし味方の危機を何となく救う。
賢さのドル。その英知から繰り出される数々の魔法は仲間を守り大魔王を討つ。
俺の仲間は強い。
差し詰め元デイトレーダーである俺のとりえは運のよさか。
運のよさ。そうだな、こんな仲間と旅ができた俺は幸せものに違いない。

641 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/10/08(月) 00:38:19 ID:gO/7QA3i0
「光あるかぎり闇もまたある……。わしには見えるのだ。再び何者かが闇から現れよう……。」
滅び行く大魔王が最後の捨て台詞を吐く。
……俺はどこまでも大魔王とは気が合わないらしい。
俺に言わせれば光があるから闇があるんじゃない。闇があるから光があるのだ。
誰だって闇は怖い。勇者だって暗闇は怖い。だからこそ人は光を求めるのだろう。
絶望の闇に落とされたからこそ俺たちは誰よりも強く光を求めた。
どうやら絶望を食らうのは大魔王だけではないらしい。人もまた絶望を糧に生きていけるのだ。

642 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/10/08(月) 00:39:21 ID:gO/7QA3i0
大魔王を倒したことで俺はロトという称号を手に入れた。
「エン、エン、私の声が聞こえますか?」
そしてタイミングよくルビスの声が聞こえてくる。どこかで見てやがったか。
「大魔王のいなくなった今なら、あなたの記憶を戻すことができます。」
何を言っているんだ? 意味が分かっていない俺の頭はひとりでに何かを深く思い出す。

……そうだ。思い出した。俺はアリアハンのエン。オルテガの息子だ。
「あの16歳の誕生日、あなたは大魔王の力によってエンとしての記憶を失いました。」
エンはここにいた。じゃあ、デイトレーダーの俺はいったい誰なんだ?
「記憶を失ったあなたに私ができたことは、前世の記憶を呼び出すことだけでした。」
前世の記憶。俺はエンとしての記憶を失いあたかも突然この世界に目覚めたようになったのか。
やはり俺は1度死んでいた。そして生まれ変わった。だがそれは十数年も前のことだった……
そもそも生まれ変わったとして16歳からスタートするなんておかしな話なのだ。
何ってこった。エンと言う名前は思いついたのではなくかろうじて覚えていたことだったのか。
あのときルビスが質問攻めにしたのは前世の俺に対して探りを入れていたというわけだ。
「よくやってくれましたね。エン。」
「褒めるなら仲間たちも一緒にしてくれないか。俺1人ではどうしようもなかった。」
「ええ、もちろんです。ドル、商人としも賢者としてもみなの助けになってくれました。」
「私もみんなに助けられました。」
「ユーロ、子供ながら辛い戦いを乗り越えましたね。」
「えへへ。おいらがんばったよ。」
「そしてゲン。異世界の人間であるにもかかわらずよくやってくれました。」
「……ああ。」
……何を言っているんだ。
「俺はこの世界の人間ではないのだ。ある日、目を覚ましたらこの世界の宿屋にいた。」
まったく最後でこんなどんでん返しが待っているとは。
ゲンは前世の俺がいたまさにその世界から迷い込んできたらしい。
そしてこの世界に体ひとつでやってきたゲンは武闘家として生きることにしたのだ。
俺は異世界からただ1人この世界にきたと思っていたがそれも違っていた。
この衝撃の事実を知って俺が最初に何を思ったか。
それは「やべ、エロゲ知ってる人間いたよ。」ということだった。

643 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/10/08(月) 00:40:23 ID:gO/7QA3i0
大魔王はいなくなりこれから俺たちの新しい生活が始まる。
ゲンは元の世界には帰らなかった。
俺は元の世界では死んでいるので帰れるわけはない。
不思議なことに、今だったら両親が俺の墓の前で泣いている姿が想像できる。
だが俺は涙を見たくない。誰も俺のために泣かないでほしい。
俺はこの世界でこうして生きているのだから!

この世界で俺は勇者になった。ロトと言う最高の称号も手に入れた。
だが、俺がいなくてもこの世界が闇に覆われることはないはずだ。
明るく照らす光によって見たくもないものが見えてしまうかもしれない。
俺の灯した光はすぐに消えてしまうかもしれない。
それでも人は闇を恐れる。人には光が必要なのだ。
だからきっと誰かが光を灯すだろう。
誰もが光を灯すことをできるわけではないかもしれない。
光を灯すことができなくても嘆き悲しまないで欲しい。
闇の暗さを恐れる人は光の大切さを知っているのだから。
光を望む思いがきっと誰かの力になるはずだから。

この世界に案中を求めるより、もう少しこの仲間と冒険を続けたい。
俺やゲンが住んでいた世界に行く方法を探すのも面白い。
どこかまったく違う世界で自分の国をつくってみるのもいい。
世界のどこかにはなんでも願いをかなえてくれる竜がいるという。
まずはそいつを探してみるのもいいかもしれないな。
親父や宝物庫のおっさんも生き返らせることができるかもしれない。

644 :冒険の書3 ◆8fpmfOs/7w :2007/10/08(月) 00:41:25 ID:gO/7QA3i0
「そういえば、お前たちの本当の名前ってどんなものなんだ?」
「教えない。」
ドルがいたずらっ子のような顔をして言う。
「何で?」
「私はね、あなたのつけてくれた名前が気に入ってるのよ。」
「おいらも!」
「俺もいまさら昔の名前を名乗る気はしないな。」
「もうアリアハンへは帰れないもん。」
「ギアガの大穴が閉ざされてしまったからな。」
ユーロとゲンが口々に言う。
帰れない。俺も母を母だと分かった今もう会うことはできなくなった。
いや、俺は希望を捨てない。もう一度上の世界に行く方法を探すというのもいいかもしれない。

そういえば、元の世界でも名前を変わることがある。主に女の苗字が男のものに変わる現象だ。
「帰れないし仕事も捨てたし、これはもう一生面倒見てもらわないと割に合わないわね。」
「おいおい、一生俺から搾り続けようってのか?」
「何でそういう発想しかできないの?」
「だってそれくらいの覚悟が必要だろ。結婚するなら。」
「……ばか。」
ああ、泣かしてしまった。でも、こういう涙ならありかな。


最後に言っておかねばならないことがある。
それは、俺がどこにいてどんな立場なのかを考えれば分かることだ。
俺は「もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら」スレにいて実家で目覚めた。
だが、宿屋で目覚めたのはゲンだ。だからこの物語の主人公は奴だったのだ。
反論は認める。

―完―

645 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/08(月) 00:47:24 ID:9VyNVymT0
乙でした!
リアルタイム遭遇でドキドキしながら読ませていただきました。
最後の五行にはやられましたw

646 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/08(月) 02:41:41 ID:9UYElayPO
なんという展開www

647 :晴闘雨読【1】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/08(月) 03:09:02 ID:F1lHfvAb0
LOAD DATA 第三話>>583-601   

コバルトブルーの海を臨む小さな修道院の裏にひっそりと存在する小さな十字架。
朝焼けの中を吹きつける潮風に浸食され、墓碑銘すら読めない朽ち果てた墓。
「シスター・シエロ。ずっと気になっていたんだけど、あの墓は誰の墓なんだ?」

「あの十字架の下に眠るのは、一つの愛に殉じた修道女だと伝えられています。
 ずっと昔…記録には残っていませんが、この修道院ができた頃でしょうか…
 シスター・ビオレッタという修道女が行き倒れの異国の男と恋に落ちました。
 修道女と異国の男が密かに愛し合っているという噂はすぐに教会の耳に入り、
 ビオレッタと男は異端として捕えられ、二人は激しい拷問の末に処刑されました。
 二人は気が狂うような拷問の最中でも互いの不利になる事を口にせず、
 火刑台に上がった時でも最後の瞬間まで互いを愛し続けたと言われています。
 その姿が他の修道女の心を動かし、せめて神の下で二人一緒になれるように…と、
 一つの十字架の下に二人の灰を埋葬したそうです。」

「神の下で一緒に…か…二人で生きる方法はなかったのかな…」

「時代が違いますから…命と引き換えに愛を求めた事を誰も責められないでしょう。」

俺の手が自然と足元に咲く花を一輪摘み、朽ち果てた墓前にそれを供える。
そんな俺を見て、シスター・シエロ…この修道院の院長が微笑む。
「イサミ様はお優しいのですね。シスター・ビオレッタもきっと喜んでましょう。
 …さあ、そろそろ戻りましょうか。そろそろ朝食の準備を始めませんと…
 皆さんと頂く最後の朝食ですからね。」

海の向こうから昇る朝日が小さな墓をゆるやかに照らす。

自由の身になってから一日たりと欠かした事のない毎朝の散歩。
この光景とも今日でお別れか…

つい感傷的になる俺の足元を、さっき供えた花が潮風に吹かれて飛んでいった。

648 :晴闘雨読【2】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/08(月) 03:14:26 ID:F1lHfvAb0
二週間前…俺達を乗せた樽が流れ着いたのは、小さな岬の修道院。
嵐に巻き込まれ、樽の中で気を失っていた俺達はここのシスター達に救助された。

四人全員が無事なまま土を踏めた事を全員で泣いて喜び、
久しぶりに口にする温かい食事を全員で泣きながら食べた。

『行き先がないなら好きなだけ修道院にいても構わない。』
修道院長のシスター・シエロが微笑みながら言った。

サトチーは父親の遺志を継いで、旅を続けると言う…
ヘンリーはラインハットに帰ると言う…
マリアはこの修道院で兄の無事を祈り続けると言う…
「俺は…残してきた仲間達を助ける。何年かかっても絶対だ。」

昨夜、今後の予定を話し合った席で俺は迷わず皆に告げた。
少し前の俺なら、元の世界に帰る方法を探す事を最優先しただろう。
だが、今の俺にはこっちの世界での確固たる目的がある。
仲間達を助けて…その後の事はその時考える。

最初の目的地はこの修道院の北の町 商業都市オラクルベリー。


自由とは、夜明け前の闇を手探りで進むような恐ろしさを併せ持つ。
負けるものか…

…俺は絶対に強くなる。


朝焼けに染まる海を眺めて自分を鼓舞する。

…強くなって、必ずあの神殿に戻る。

649 :晴闘雨読【3】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/08(月) 03:16:08 ID:F1lHfvAb0
「イサミ様…」

シスター・シエロの呼びかけにハッとして振り向く。

「イサミ様はお強い方。ご自身のお悩みも必ず解決できましょう…
 ですが、イサミ様が道に迷った際はいつでもここを訪れてくださいませ。」


朝焼けに照らされたシスター・シエロの姿はいつもより優しそうで…
いつになく寂しそうに見えた。
「…突然申し訳ありません…では、修道院に戻りましょう。」

そう言って背を向け歩き出すシスター・シエロの背中は小さくて…
でも、とても広くて温かく見える。





…確か、母ちゃんの背中もあんなんだったけか…





「長い事お世話になりました。このご恩は忘れません。」
「皆様の旅の安全をお祈りしております。どうかお気をつけて。」
サトチーが代表してシスター達にお礼を述べる。

修道院を後にし、俺達はそれぞれの目的のために歩き出す。

650 :晴闘雨読【4】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/08(月) 03:16:42 ID:F1lHfvAb0
天気は快晴。広い草原の草花を揺らす風が気持ち良い。

へえー、地平線なんて実際に見るの初めてだよ。
あっちの世界じゃあ360°どこを向いても灰色の建物ばっかりだったよなあ。

生まれて初めて見る一面緑の景色に、俺は半ば感動しながら歩く。

「なあ、サトチー。イサミは何でさっきからキョロキョロして歩いてるんだ?」
「さあ?イサミの世界では建物の外に出ない生活が主流なんじゃないかな?」
「はぁ〜〜…それで、外の景色が珍しいって?どうにも退屈な世界だなあ。」
「まあ、僕も想像で言ってるだけだからわからないけど…確かに不健康だよね。」

列の一番後ろを歩く俺の前で、サトチーとヘンリーがヒソヒソと話し込んでいる。
うん、物凄くよく聞こえてるし、明らかに俺の世界が誤解されているな。
確かに『ここ数ヶ月、太陽を見ていませんが何か?』なヒトも一部存在するけど、
それが俺の世界の人間全てだと思われるのは心外d…… どむっ!!

「痛っ!何すんだよヘンリー……??」
背後に何かがぶつかるような衝撃を受け、前に突き飛ばされる。
どうせまたヘンリーの悪ふざけだろうと思った…けど、ヘンリーは俺の前を歩いている。


そぉーっと振り返った俺の目に入ってきたのはアレ。

あぁ、すっかり忘れてたよ。コッチでは出るんだったよね…

やあ、久しぶりだね。モンスター達…


「…って、落ち着いてる場合じゃねえ!モンスターだあ!!」
うん?デジャビュを感じるな…

651 :晴闘雨読【5】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/08(月) 03:17:33 ID:F1lHfvAb0
俺達をぐるりと取り囲むモンスター。

青いタマネギみたいなプルプル…あぁ〜コイツどっかで見たことあるなぁ…
でかいハンマーを担いだ小人みたいなヤツ…アレで殴られたのか…
そして、灰色のイタチみたいなヤツ…でも妙に首が長くてキモイ…


「二人とも落ち着いて。背後を取られないように円陣を組むんだ!
 ヘンリーは魔法で右のスライム達を頼む。数が多いから気を付けて!
 僕が前方のガスミンクを引き受ける。イサミは後方のブラウニーだ。」

サトチーが的確に指示を出し、ガスミンクにチェーンクロスを振るう。
ムチ男との戦闘のときにも思ったが、やはり場慣れしている。

「よぉし、かかって来やがれスライムども!」
ヘンリーがスライム達にメラを放つ。

よし!俺も……  ―!!―



ドゴッ!



不意打ち…いや、戦闘中によそ見をしていた俺が悪いか…
ブラウニーのハンマーは辛うじて俺の頭部を掠めるにとどまったが、
アレを頭に喰らったら大怪我じゃ済まないな。

サトチーから譲り受けた銅の剣を構え、一回深呼吸…

行くぞ!!

652 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/08(月) 03:22:03 ID:T+32Y4EE0
支援!

653 : ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/08(月) 03:23:36 ID:F1lHfvAb0
今日の投下はここまでです。

地平線…一度でいいから本物を見てみたいな。

654 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/08(月) 08:46:24 ID:FYvz4DZ8O
>>644
展開も面白かったし、オチも最高w やられたwww
だいぶシナリオはしょってるのにそんな気がしなかった。
これでロト編は完結か。天空シリーズも期待してます。

>>653
奴隷仲間のことはプレイ中に気になってたから、
これを目標にする主人公はいいなぁ。
これから長いけど頑張ってください。

655 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/08(月) 12:28:16 ID:E4A24FDB0
gO/7QA3i0さん、完結乙でございました。かっこよすぎる。
ゲンさんが、まさかそんな展開だったとは。
オルテガの死を本当のエンさんに伝えられないと悩む主人公(仮)さんもよかったです。

F1lHfvAb0さん、残してきた仲間を助けると決意した主人公、かっこいいです。
レベル5 異邦人、がんがれ。超がんがれ。


656 :晴闘雨読【6】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/09(火) 02:48:17 ID:31EFKMrf0
俺の脳天目掛けて振り下ろされるハンマーをサイドステップでかわす。
そんな大振り、不意打ちじゃなきゃ誰が喰らうかってんだ。

空振ったハンマーを足で押さえつけ、剣でブラウニーの胴体を薙ぎ払う。


―!?!?!?!!―

ブラウニーの小さな体は宙を舞い、草むらに頭から突っ込んで動かなくなった。
切れ味の悪い銅の剣だから殺しちゃいないと思うんだけど…後味悪いなあ…

「お疲れさま。二人とも怪我はないかい?」
「はん。俺様がスライム如きに遅れをとるかっての。」
ガスミンクとスライムの群れを撃退した二人の表情は余裕が感じ取れる。
…これがコッチの普通なんだよな…

「イサミは大丈夫かい?」
「…え?…うん、俺も平気。何とか一撃も喰らわないで勝てたよ。」
「そう…なら良いんだけど、難しい顔をしてたからさ。」
参ったな。俺が表情に出やすいのか、サトチーが鋭いのか…
「ああ…ホラ、俺の世界じゃあモンスターなんていなかったからさ、
 どうにも戦闘に慣れていないって言うかさ…」
「…他の生き物の命を奪う事に慣れていない…って?」
本当…鋭いな、サトチーは…


「……ていっ!」 びしっ!
「痛!」
久しぶりにヘンリーのチョップが俺の脳天に叩き込まれる。

…正直、今のは結構痛いツボだったんですけど…

657 :晴闘雨読【7】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/09(火) 02:50:35 ID:31EFKMrf0
「まぁたイサミはグジグジ言いやがって。お前の目的は何だ?言ってみろ!!
 お前がどんだけ甘い事言ってたって、モンスターにはそんな事お構いなしだ。
 むしろ、相手は無防備・無抵抗な人間を喜んで殺しに来るんだぞ?
 平和な世界を引き摺ったままの考えじゃあ、目的達成の前にモンスターの晩飯だ。
 それが嫌ならさっさと気持ちを切り替えろ!!」
いつも見せるおちゃらけた表情とは違う真面目な顔でヘンリーが俺に語りかける。

…そうだ、平和ボケした考えじゃあこの先を生き残れない。
負けない。強くなる。そう誓ったばかりじゃないか。

「イサミ。ヘンリーの言う通り、これがコッチの世界で生きるための最低条件なんだ。
 すぐには気持ちを切り替えられないかもしれないけど、でなければ生き残れない。
 それに、僕やヘンリーだって相手の命を奪う事に慣れてなんかいないよ。
 いや、人間なら誰だってそうじゃないのかい?」

俺は二人を見つめ、黙って頷いた。
…生き残る…そのためには、降りかかる火の粉は払わなければ…

「まあ…いきなりコッチの世界の常識に合わせるのはは難しいよなあ。
 もし俺がソッチに行って、『家の外に一歩も出ない生活がコッチの常識だ。』
 …なあんて言われたら退屈で退屈で死んじまうよ。」
「そうだよねえ。モンスターが出ない世界なんて羨ましいと思ったけど、
 そう考えるとイサミの世界で生きるのも大変なんだろうね。」

…やっぱり誤解されてるよ…

「だから、俺の世界ってのはそうじゃなくってさあ…」

―この二人に俺の世界の正しい姿を伝える―
…俺の旅にもう一つの目標が加わったが、自動車も電気もガスもコンクリートも…
そもそも科学の概念が通じない二人に説明するのは奴隷の救出よりも難しいのかも…

658 :晴闘雨読【8】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/09(火) 02:51:12 ID:31EFKMrf0
…ん?足元に何か…

ああ、ブラウニーの持ってたハンマーか。
どうしよう?


拾いますか?

ィァはい
  いいえ

イサミは おおきづち を手に入れた。





イサミ  LV 5
職業:異邦人
HP:35/41
MP:7/7
装備:E銅の剣 Eブルゾン

持ち物:カバン おおきづち

呪文・特技:岩石落とし(未完成)

659 :幕間の弁当時間 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/09(火) 02:54:14 ID:31EFKMrf0

今日の本編投下はここまでですが、ここまでの登場人物のまとめです。
名前の由来がメインです。幕間の幕の内弁当代わりにどうぞ。

主人公…村崎 勇 【ムラサキ イサミ】
(自分の中で)ドラクエ5のイメージカラーである紫→ムラサキ→村崎。
それにドラクエと言えば勇者→勇 …の流れで名前を決めました。
平和な現実世界から突然サバイバルなドラクエ5世界に飛ばされた大学生です。


サトチー 【本名?】
結構やった人いますよね?SFC版で主人公名を『トンヌラ』にした時のアレです。
パパスのセリフだけ見てリセットする人が大多数。
名前はアレだけど、優しい好青年です。
本来の主人公なのに書くことが少ないです。


ヘンリー 【ヘンリー=ブローマ=ベルデ=ド=ラインハット】
長いです。外人の名前はミドルネームとかあってただでさえ面倒なのに、
貴族・王族だとさらに大変な事になります。
ミドリ…じゃない、ミドルネームのブローマ(broma)はスペイン語で『いたずら』
同じくベルデ(verde)はスペイン語で『緑色の〜』が由来です。
また、〜=ド=ラインハットで『ラインハット王族・貴族の〜』という意味です。
"ド=〜"が、英語の"of〜"に近いニュアンスなようです。

専門知識がある訳ではないので間違ってるかもしれないのが怖いところです。

660 :幕間の弁当時間【2】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/09(火) 03:11:54 ID:31EFKMrf0
神殿に残った奴隷仲間や、修道院のシスター達。脇役達の名前の由来も…
主にスペイン語から拾ってます。

最初に、奴隷宿舎の室長。アルバニーのオヤっさん。
彼はスペイン語で『石工』(albanileria)から頭文字を抜きました。
屈強な石工職人をイメージです。

元踊り子のベイラルちゃんは、『ダンサー』(bailarin)から、
これは由来の言葉をチョットもじりました。

テルコ爺さんも同じく『頑固』(terco)からです。
照子だと婆さんっぽいんですけどね。

シスター・シエロのシエロは『空』(ciero)から。
空のように広い心をもった上品な大人の女性。

シスター・ビオレッタのビオレッタは『スミレ草』(Violeta)から。
道端に咲く小さくて可憐な花。

ほとんど全てスペイン語から取って、それらを名前っぽくいじってます。
キャラが増えたら、またその時に…


では、次回投下までしばしお待ちください。

661 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/09(火) 08:02:15 ID:khAhOaQd0
投下乙

いいもんだね、登場人物の名前にこだわるってのは。

662 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/09(火) 10:02:47 ID:d092SX8+0
乙!
面白かった〜!
名前の由来はサトチーしか解らんかったけど全員納得。
次回の投下期待してます

663 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/09(火) 12:06:48 ID:HtualGl3O
冒険の書、面白かったです。最後のダイドンデン返しにはビックリした。
イサミの冒険は名前が拘っているなぁ。次回もガンガレ!

664 :兎の耳にアイラビュー【1】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/11(木) 01:54:23 ID:rFp+6ggU0
LOAD DATA 第四話>>647-658

―商業都市オラクルベリー
北方大陸から隔てられた島の中央に位置するこの町は、交易の町として知られている。
東方と西方の大陸の中間に存在するこの島は、貿易船の物資補給の場として発生し、
西方大陸の玄関『港町ポートセルミ』〜東方大陸の大国『グランバニア王国』間の
海路の中継地点として繁栄した。―

ふーん…交易の町オラクルベリーかあ。道理で商人の姿が多いわけだ。


…さて、この活気溢れる都市で俺達はなぜ途方に暮れているのだろう?




…なぜ俺達は無一文なのだろう?




「………」 びしっ!
「痛!」
ヘンリーのチョップが俺の脳天に叩き込まれる。
はい、チョップの理由は俺自身よくわかっています…

「………」
わかっています。謝りますから何か喋ってください。
謝りますから…(#^ω^)←こんな顔で俺を見つめないで下さい。

「まあ…ね…過ぎた事を責めても仕方がない。問題はこの後どうするかだ。」
サトチーの気遣いの言葉の裏に感じる疲労感が重いです。

665 :兎の耳にアイラビュー【2】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/11(木) 01:56:50 ID:rFp+6ggU0
オラクルベリーに辿り着いた俺達は、武器の新調を考え、武器屋に足を運んだ。
攻撃魔法が使えるサトチーとヘンリーはともかく、近距離戦がメインの俺にとって、
武器の性能は死活問題。
(…岩を降らすヤツもマスターしてないし…てか、あれから一度も成功してねえ…)
また、サトチーのチェーンクロスも10年前に買ったという事でだいぶガタが来ており、
攻撃魔法が得意なヘンリーも、魔力が尽きた時を考えるとある程度の武器は必要。
てなわけで武器屋に訪れたわけだが…

「う〜ん…全然金が足りないなあ…」
「僕達は脱走した身だからね。何か売れる物あったっけ?」
「売れる物…さっき拾ったハンマーと…俺のブルゾン…結構気に入ってるんだけど…」

結局、ブラウニーが落としたおおきづちと、俺のお気に入りのブルゾンを売っても
145Gにしかならなかった。

内訳は汚いハンマーの売値が110G、俺のブルゾンが35G…

『はあ?下北沢で20000円もした俺のブルゾンが何で汚いハンマー以下なんだよ!
 旅人の服?何だよソレ?どこに目ぇ付けてるんだこの×××が!!』
…と、言いたかったけど武器屋の店主は筋肉隆々の覆面男。逆らったら多分死ぬ。
ガックリと三人で肩を落とす。俺チョット涙目。

コッチの世界ではファッション性よりも、武器防具としての性能が価値基準らしい。


「こうなったら勝負をかけるしかないな。」

最初に持っていた500G強と、今の145Gを合わせて700G弱。
この逆境から這い上がる方法は一つしかない。

「いざ行かん。俺達の未来を煌々と照らすあのネオン(カジノ)の下へ!!」

666 :兎の耳にアイラビュー【3】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/11(木) 01:58:09 ID:rFp+6ggU0
「ほら、止めなかった僕たちにも責任はあるからさ…」
むくれるヘンリーをサトチーが必死になだめる。

スロットには自信があったんですよ。
目押しには絶対の自信があるんでコッチでも何とかなると思ったんです。
世紀末の覇者だって何度も昇天させたしさ。
でも、コッチのスロットは目押しできねえの。自分でビックリです。

…ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…



全額カジノのスロットマシーンにつぎ込んで、あっという間にスカンピン。
今夜の宿代も失い、暮れ行く都会の道端で佇む三人。

奴隷労働から逃げ出したと思ったら路上生活者か…世は無常だなあ…



ずっとむくれてたヘンリーは、カバンに入ってたガムをあげたら機嫌が直ったようで、
壁に背をもたれてクチャクチャやってる。
緑髪の男が道端でガムをクチャクチャやってる姿はどう見てもDQNだがあえて触れない。

店の主がマッチョな覆面だったり、バニーガールが普通に町を歩いてるような世界だ、
町の人もDQNには免疫があるのだろう。


…バニー?


ウサ耳、バニースーツ、フサフサ尻尾、網タイツのバニーを雑踏の中に見つけ、
俺の両眼がスナイパースコープのようにその姿をサーチする。

667 :兎の耳にアイラビュー【4】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/11(木) 01:59:28 ID:rFp+6ggU0
スキャン開始

顔偏差値…70
スリーサイズ…B91 W58 H86
足ライン…規格クリア
衣装ポイント…+500ポイント
総合偏差値…測 定 不 能
戦況…相手は重そうな袋を両手に下げ、さらに大きな箱を抱えている。

結論…
我々は今、このト・キ・メ・キ☆を結集し、バニーちゃんに叩きつけて
初めて真の愛を得ることが出来る。あのウサ耳こそ、男達全てへの最大の魅力となる。
俺よ立て!思案を煩悩に変えて、立てよ俺!バニーちゃんは俺の力を欲しているのだ。
ジーク・バニー!!
アホか俺…って、なんかコッチ見てる…え?向こうから近付いてきた。

「ねえ。ちょっとだけ私の仕事場に来てもらえないかしら?」

疾風の如くYES。
もうお兄ちゃん君の荷物を持っちゃうよ。

「ありがとう。それじゃあ箱は私が持つから袋をお願いてもいいかしら?」

(心の中で)高く飛び上がり、(心の中で)回転しつつYES。
なにやら食材が大量に詰まった買い物袋の重さも感じないぜ!

「ねえ、あのターバンのお兄さんもお友達でしょ?一緒に来てもらえないかしら?」

あ…なんだか一気に袋が重くなってきたなあ…

仕事場まで一緒に来て欲しいと言うバニーちゃんの後を、俺たち三人がついて行く。
…俺だけが重い買い物袋を両手に下げて。

668 : ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/11(木) 02:04:29 ID:rFp+6ggU0
第四話の前半部分を投下しました。
戦闘時以外のイサミは色んな意味でオトコノコです。

ちなみに、イサミのブルゾン(旅人の服)は売ってしまいましたが、
中にTシャツを着てます。全裸ではありません。
旅人の服→布の服って感じですね。

669 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/11(木) 07:54:49 ID:5jEci5k20
乙です

イサミスカウター吹いたwww

670 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/11(木) 13:06:30 ID:eusw/VKNO

ガムで機嫌を直すヘンリーカワイス

671 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/11(木) 21:04:22 ID:DAkYNxYrO
乙。もしやイナッツちゃんか?
俺の嫁ktkr

672 :兎の耳にアイラビュー【5】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/12(金) 00:17:50 ID:5ytk/+MG0
「ただいま〜☆」
バニーちゃんの仕事場は町の一角の地下。

中にいたのは…爺さん一人?あれ?地下バーじゃなかったの?

「おかえり…おや?その人達はどなたかな?」
「町で見付けた旅の人なんだけど…どうかしら?」
「ふむ…」
爺さんが俺達の顔を交互に眺める。

「どうなの?おじいさん。」
「うむ、良くやったのイナッツや。合格じゃ。」
「きゃー☆ついに見付けたのネ☆」
「あの〜…さっぱり話が読めないんですけど…」

サトチーが不安そうに、キャーキャーはしゃぐ二人の間に割って入る。
ヘンリーは…話を聞いてない…てか、まだクチャクチャやってる。
ガムがよっぽど気に入ったんだな。

「おお、初対面の方に失礼じゃったな。スマンスマン自己紹介がまだじゃった。
 ワシの名はエントレ。『モンスター爺さん』と呼ばれておる。
 モンスターと人の共存をテーマに、ここで日々研究をしておる。」
「そして私はイナッツ。モンスター爺さんの助手よ。ヨロシクネ☆」
「はぁ、よろしく…」

モンスター爺さんがサトチーを見つめ、話を続ける。
「ワシ等は、研究の一環として『モンスター使い』の素質のある人間を探しておった。
 本来、人間にとって敵であるモンスターを手懐ける事のできる能力者じゃ。
 イナッツが町で素質のありそうな人をスカウトし、ワシが判定しておったんじゃが、
 やはりモンスターへの恐怖心や敵対心が強すぎる者ばかりでのう…
 どうしても、モンスターが味方になるとは信じられないと言う者ばかりじゃった。
 じゃが、お主の目は違う。お主はモンスターをただ敵としては見ておらん筈じゃ。」

673 :兎の耳にアイラビュー【6】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/12(金) 00:19:31 ID:5ytk/+MG0
何か思案に耽る顔を見せていたサトチーが口を開く。
「…仰る通りです。僕は子供の頃にベビーパンサーと旅をしていました。
 理由あって、そのモンスターの子とは離れ離れになってしまいましたが…
 モンスターと人とが通じ合う事は可能だと思っています。」

静かだが、力強い答えにモンスター爺さんがうんうんと頷き返す。
「うむ、お主ならば旅の中で多くのモンスターを手懐ける事が可能じゃろうて。
 モンスターへの愛を持って戦えば、モンスターはその心に応えてくれよう。
 どうじゃろう?ワシの研究の手助けをしてくれる気はないかの?
 心配せんでも、お主等の旅が終わった時に旅の話が聞きたいだけじゃ。
 その話だけで充分に研究の助けになる。」

そのくらいなら…と、承諾するサトチー。



モンスターへの愛を持って戦う…かあ。

難しそうだな。

情熱的に『アイラビュー!』とか、叫びながら剣を振る?
それとも、控えめにラブレターを剣でモンスターに突き刺す?
組み伏せた相手の耳元でロマンチックに愛のポエムを囁きつつ絞め落とす?
遠くから激しいラブビーム(メラ)でモンスターの心臓(ハート)を狙い撃ち?

もしくはこうか?

674 :兎の耳にアイラビュー【7】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/12(金) 00:21:07 ID:5ytk/+MG0

\愛のイオナズン! スライムさんに届け!!
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  ⊂二 ̄⌒\  ハァハァ          ノ)
     )\   ( ∧_∧         / \
   /__   )*´Д`)    _ / /^\)
  //// /       ⌒ ̄_/
 / / / // ̄\      | ̄ ̄
/ / / (/     \    \___
((/         (       _  )
            /  / ̄ ̄/ /
           /  /   / /
         / /   (  /
        / /     ) /
      / /      し′
    (  /
     ) /                          人
     し′                      Σ (∀・)<ビクッ!!



……違うよな。わかってる。

「ねえ…おじいさん…」
イナッツちゃんがモンスターじいさんにヒソヒソと耳打ちする。
何やら俺をチラチラ見てる。さては惚れられたか?

「うむ…その話は後でよい。…で、その箱は何じゃ?」
モンスター爺さんがイナッツちゃんの持っていた箱を指差す。

675 :兎の耳にアイラビュー【8】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/12(金) 00:22:14 ID:5ytk/+MG0
「そうそう、さっき町外れで泣いてるモンスターの子を見付けてね、
 可哀想でココに連れて来ちゃったの。何かワケありの子じゃないかしら?」
「ふむ、話を聞いてみようかの。どれどれ?」

爺さんが箱の中を覗き込み、なにやらブツブツと話し掛ける。
箱の中からはギュイギュイと意味不明な声が聞こえる。
あの箱の中身はモンスターだったのか…持たなくて良かった。

「ふむふむ…なるほどのう。この子が大事にしていた武器を人間に奪われたそうじゃ。
 可哀想に…酷い人間がいるもんじゃ。」
「はぁ〜…とんでもねえ人間がいるもんだ。同じ人間として恥ずかしいや。
 ホラ、チビスケ。ガムやるから泣きや…め…??」

箱の中のモンスターにガムを差し出した俺の手がピタリと止まる。

箱の中で泣いていたのは、さっき戦闘でぶっ飛ばしたブラウニー。
やあ、久しぶりだね。

ん〜?て事は、こいつの武器を奪った酷い人間って俺?
こいつの武器って確か…

「あぁ〜…ゴメン。あのハンマー売っちゃった。テヘッ☆」

―!!!?!?!!!!―

「だからゴメン…痛!!暴れるなって、な?もう泣くな。ホラ、ガムやるから。」
カバンからガムを取り出そうとした俺の目に、とある物が映る。

676 :兎の耳にアイラビュー【9】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/12(金) 00:22:51 ID:5ytk/+MG0
「…なあ、サトチー。魔法効果があるアイテムって、いくらくらい?」
「魔力がこもったアイテムは高いよ。消耗品の爆弾石で600Gくらいするし、
 破邪の剣とか炎の爪みたいな魔法武器になると5000G以上はするね。」
「小さな火が出せるアイテム…高く売れるかな?」

俺の手に握られていたのは『100円ライター』

コッチの世界ではさしずめ、
―メラの効果がある道具。何度か使うと壊れる。(コッチの世界では)非売品。―
…って所か。結構いい値段で売れるんじゃねえ?

「へえ〜、初めて見る物だけど、それなら相当高く買い取ってくれそうだ。
 …でも、売ってしまって良いのかい?珍しいアイテムじゃないの?」
「いや、俺の世界では安く買えるんだ。さあ、早く武器屋に行ってみようぜ。
 コイツのハンマーも買い戻さなきゃいけないしさ。」
大人しくガムを噛んでいるブラウニーを挟んで、顔に希望を浮かべるサトチーと俺。

「…なあ、その前に教会に行かないか?」
唐突に、さっきから黙っていたヘンリーが口を開く。
「え?どうしたヘンリー。毒でも喰らってた?だったら毒消し草が…」
「…いや…(クチャクチャ)このキャンディー呪われてるらしくてさ。
 いくら舐めても、いくら噛んでも全然なくならないんだ。(クチャクチャ)
 もうさ、顎が疲れて泣きそうだぜ…(クチャクチャ)」

いや、ソレはガm「呪いだって?大変だ。すぐに教会で解呪してもらわないと!」
説明する俺を無視して、血相を変えたサトチーが半泣きのヘンリーを教会へ引っ張る。

…コレが異文化交流の難しさってヤツかね?

677 :兎の耳にアイラビュー【10】 ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/12(金) 00:23:33 ID:5ytk/+MG0
三人(+ブラウニー)が出て行き、静まり返った地下室。
三人を見送ったイナッツが、モンスター爺さんと向かい合っている。

「ねえ、おじいさん。さっきの男の人…」
「彼は良いモンスター使いになろうて…心配することはない。」
「ううん…違う。」

チラチラ揺れるランプの炎と、その炎によって揺らされる二人の影以外、
この場所で動く物はない。

「…魔王の魔力によって歪められた存在。それがモンスターじゃ。
 そして、魔王の魔力は生きている人間の魂を歪める事はない。」
「……うん。でも、あの人の魂はモンスターより…」
「…モンスターを超える魂の歪み…魔王の魔力によらない歪んだ存在…
 どちらも存在するはずはない…のじゃがのう…」

爺さんの座る椅子が、キィ…と小さな音を立てて軋む。

そして、再び無言の時間が流れ出した。




イサミ  LV 5
職業:異邦人
HP:41/41
MP:7/7
装備:E銅の剣 E布の服
持ち物:カバン(ガム・ライター他)
呪文・特技:岩石落とし(未完成)

678 : ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/12(金) 00:29:14 ID:5ytk/+MG0
第四話投下終了です。
イサミの妄想癖が凄い事になってる…orz

※仲間モンスター一号としてブラウニーが加わりました。


679 : ◆Y0.K8lGEMA :2007/10/12(金) 00:37:50 ID:5ytk/+MG0
470KBを超えたので、新スレを立てました。

もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら11泊目
ttp://game13.2ch.net/test/read.cgi/ff/1192116918/

680 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/12(金) 03:05:22 ID:TzTj8vPI0
>>678
投下&スレ立て乙!
魔物のえさ代わりになったり、呪いアイテム扱いだったりガムすげえwww
大人しくガム噛んでるブラウニーカワイス。
さてさて100円ライターいくらになるかな

681 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/12(金) 22:20:24 ID:M7KxrfsgO
もう次スレがたったのか・・・
◆IFDQ/RcGKI氏のアリスちゃんとか
埋め用短編くるかなwktk

682 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/14(日) 23:17:39 ID:DTVvJAoB0
斬殺勇者マダー?

683 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/16(火) 08:39:19 ID:I0H0VcixO
保守

684 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/17(水) 19:04:42 ID:mU7lhTRe0
保守?
埋め?

685 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/17(水) 20:10:51 ID:wK/yMBxp0
新スレあるから埋めだろ

686 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2007/10/18(木) 00:50:02 ID:CvBUJuQE0
あともう少しでしなのさん編投下出来るので僕も埋めに協力しようと思いますw

687 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/18(木) 07:34:47 ID:6mImZhmvO


688 : ◆IFDQ/RcGKI :2007/10/18(木) 10:34:11 ID:iUhOjIkY0
現在アリスちゃん執筆中。
なるべく間に合わせたいとは思いますが、
埋まっちゃったら新スレに投下します。

689 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/19(金) 10:41:58 ID:dhZo5XLU0
うめうめ

690 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/10/19(金) 14:32:05 ID:ziCgFva70

    〜作り合わされし世界〜


     → 冒険をする
       → 1:しなの  Lv10
          2:ヨウイチ Lv7
          3:タロウ  Lv6

691 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/10/19(金) 14:35:44 ID:ziCgFva70
○第十一話
   『気持ち』

ひんやりとした空気が少しずつ私達の体を包んでいく。
吐く息が白いのだから洞窟の中には寒い空気が蔓延しているはず。
実際アレフ達は時折体を擦り、体温を保とうとしていた。

しかし私自身は洞窟が寒いと思わなかったし、自分の肌に触れても熱いとは思わなかった。
通常の体温としては熱を持ちすぎているとアレン達は言うのだが、
呪いのせいで感覚が狂っているのかもしれない。
まぁ感覚も何も既に私には痛み以外はよく分からなくなってるようだったが。
そのうち思考するだけで頭が悲鳴を上げだすかもしれない。

三日間も気を失った上に、ようやく辿り着いた教会でベッドを使わせてもらった私。
けど少しも体調が良くなるという事はなく、むしろ体の不調は増していくばかりだった。
動かせば動かす程にボロボロと崩れ落ちていく砂の体。
すっかり弱ってしまった私にはそんな表現がぴったりだと思う。

しかし聖水によってその身を固めて形を保つ事ももはや出来ない。
その程度の応急処置では返って私の中の呪いが過剰反応を起こし、
返って辛さが増すだけだからだ。

呪いを解く為にはこの洞窟にある勇者の泉で清めてもらわなくてはいけないらしい。
しかしこんなにも呪われたパーティーはきっとここだけだろうな。
そんな私達を快く受け入れてくれた神父には感謝してもしきれない。
喋る事の出来ない今の私にそれをきちんと伝える事は出来なかったが。

私が話せないのとは別に旅の疲れも溜まってか沈黙が多くなっていた私達だが、
いつしか四人の息遣いだけがお互いのコミュニケーションになっていた。

692 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/10/19(金) 14:38:13 ID:ziCgFva70
痛みはあるか?  何か見つけた。
水が飲みたい。   休憩しようか?

そんな風な会話を言葉を交わさずに成していく。
それが成り立つのは幾らかの時間を共にしてきたからだが、
そこにある種の安堵感を見出していたのは私だけではないと思う。
苦しい時に頼れるものがあるのは嬉しい事だ。

アレンとアレフとアレル。
私と同じように呪われた身でありながら魔を退け続ける強き者達。
私の心が砂漠のように枯れてしまわなかったのは彼らのおかげだと思う。
彼らと出会わなければこのような苦しい状況になる事はなかったのだろう。
でもその代わりに私はどこにも行けず、ただモンスターに食われていたに違いない。
そして何よりこの辛く楽しい旅を経験する事も出来なかったはずだ。
だから彼らには感謝している。

もしこの三人が兄弟なら、アレルが兄、アレンが次男、アレフが三男という感じだろうな。
問題は名前が似過ぎて覚えづらい事か。
あとはアレルもアレンやアレフと同じように勇者だったら完璧だったのになぁ。
呪いを解いた後に世界異変の原因を突き止めようとしている三人だ。
勇者だらけのパーティーなんて強そうだし、何でも解決できそうな気がする。
まぁアレルが勇者でなくても、それだけの力が彼にはあると思う。

世界異変の原因、それが分かれば私も元の世界に帰れるのだろうか。
けどそれを待つまでもなく、ある石版があれば元の世界に帰れるという噂もある。
正確には、石版を神殿に持っていく事で願いが叶うという事みたいだが。
もっとも石版や神殿がどんな物でどこにあるのか全く分からないし、
その噂自体が本当に信じていいものなのかも判断しかねる。
嘘を付く事を許されない教会で訪れる者皆がみんなその話をすると言うのが
噂の信憑性を高めているとアレンは言っていたような気がする。
そこに望みを託してみるかどうかは考慮しなくてはいけないな。

693 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/10/19(金) 14:41:27 ID:ziCgFva70
しかしそういった問題に平行して私を悩ますもう一つの問題があった。
今肩を貸してくれているアレンの事だ。
彼は出会った時から私を良く思ってくれていたようだが、
昨日初めてしっかりと好きだと聞かされた。
それを問題だと認識しているのは、
彼に対しての自分の気持ちがどういうものか分からないからだと思う。

決して嫌いな訳ではない。
だからアレンの告白は、嬉しかった。
好き、なんだろうな。
でもどのように好きなのかが分からなかった。
だからアレンの告白にどう答えればいいのか分からなかった。
アレン……私は君を利用しているだけなのかもしれないんだよ……


  「よくぞここまで辿り着きました」

水の上に立つという事が奇跡であるならば、
私は今それを目の当たりにしている事になる。
洞窟の一番奥までたどり着くとそこには泉があり、
人とは思えない程に端正な造形をした女性がその上に浮かんでいた。
水面は微かに揺れ、波紋が絶えず綺麗な円模様を描いている。
その紋様を崩さないように浮かぶ女性は目を閉じたまま無表情に佇んでいる。
何とも不思議な雰囲気を醸し出しているその姿を見るだけで、
彼女が精霊であると信じてしまえた。

  「アンタがここの主って訳か。
   んじゃあさっさと呪いを清めてくれや」

疲れているとはいえ、アレフが何とも失礼な言葉使いで頼む。
例え相手が神様であったとしてもこの態度は変わらないんだろうな。
しかしようやく呪いから開放されるという希望はすぐには叶わなかった。

694 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/10/19(金) 14:44:19 ID:ziCgFva70
  「あなた達が真に勇気ある者ならば、その証を今ここに示して下さい。
   さすればその呪いも解かしてみせましょう」

そう言うやいなや、精霊がその腕を横に軽く振る。
すると反論する暇も与えられない間にアレン達の前に靄のようなものが吹き出し、
そこからモンスターが出現して襲ってきた。

   「――!!」

さすがの反射神経で彼らはモンスターの攻撃を受け流し、三匹のモンスターと対峙した。

  「何なんだよっ!」
  「……ソードイド、サラマンダー、マントゴーアか」

骸骨に、龍に、ライオンの形をした怪物達。
六本の腕がある骸骨、ソードイドがかぶっている兜はアレルの不幸の兜と同じもので、
その中から骨むき出しの顔と不気味な目を輝かせている。
青いたてがみに緑の体をしたライオン、マントゴーアは羽を持っており、
振っている尻尾はアレンが装備している悪魔のしっぽと同じ形だった。
とすればアレフの呪いのベルトはあのサラマンダーに関係しているのだろうか。

  「呪いの具現化、か」
  「はっ、龍の皮で作ったベルトって訳だな」

アレルの言葉から推測した事実にアレフがニヤリと楽しそうに笑う。
つまり皆の呪いがモンスターの形をして襲って来たのだろう、という仮説。

  「倒して呪いに打ち勝てって言いてぇのかよ!」

怒りを込めて吠え、サラマンダーに向かって斬り付けるアレフ。
硬い印象の龍の鱗に見事傷をつける事に成功する。
同じようにしてアレンとアレルも電光石火の一撃をモンスター達に食らわせていた。

695 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/19(金) 14:46:35 ID:kHGSeP9/0
リアルタイム遭遇きたぁぁぁ。
支援でございます。


696 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/10/19(金) 14:47:15 ID:ziCgFva70
  「弱い弱い!」

得意気に、そして勝利を確信したかのように言い張るアレフ。
しかし彼らが傷つけた箇所は蜃気楼のように霞んだ後、
幻から覚めた時のように元通りになっていた。
見ている限り回復呪文は使っていないはずだった。

多少驚愕しつつ再度攻撃を試みるが、敵の傷がまた勝手に癒えてしまう。
三人の巧みな剣術は多大な結果を伴ってはいるのだが、
何故かその結果自体が消え去って最終的には振り出しに戻ってしまっている。
いや向こうの攻撃はこちらに通るし、攻撃するにしても疲れが発生するのだから、
振り出しに戻るのは常にモンスター側の方だけで、
こちらは後退しているような反則的な状況だ。

威厳を見せ付けるように唸り、火を吐くサラマンダー。
その激しい炎をかわしながら再び攻撃に転じようとするアレフ。
しかし急に彼の動きが鈍り、避けきれなかった炎に足を焼かれてしまう。
そしてベホイミを唱えようとする前にサラマンダーはその牙でアレンに噛み付いた。

  「チッ!」

アレンと対峙するマントゴーアは威嚇するようにして口を大きく開け、
そこから巨大な火の塊、メラゾーマを唱えた。
その威力がいくら大きくても真っ直ぐ飛んでくるものを避けない理由はない。
アレンはメラゾーマを飛び越してマントゴーアにカウンターを狙う。

だがマントゴーアの顔に斬りかかろうとした瞬間、
背後からメラゾーマがアレンの体を直撃した。
確かに避けたはず、という思考はマントゴーアの二撃目の中に消えた。

  「そんな……」

697 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/10/19(金) 14:49:58 ID:ziCgFva70
そしてアレルと対峙するのは六つの剣を怪しく動かしているソードイド。
六対一と数の上では負けているがアレルの方が逆に押している形だ。
しかし決め手の一発がどうやっても外れてしまい、
体勢を立て直そうとしたところを何度も斬りつけられてしまう。

不幸としか言いようがないアレルの運の無さ。
そう言えばアレルの呪いは不幸の兜によるものだった。
呪いの具現化と先ほどアレルが言っていたのが関係あるのだろうか。
考えようとしてもアレルの腕に剣が刺さるのを見れば頭が真っ白になる。

  「くっ……!」

血が流れ、傷跡を炎が焦がしていく。
衣服と人と土の焼ける臭いが鼻を突き刺した。
これでは勝てない……
そう思い始めた時、精霊は再び語りだした。

698 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/10/19(金) 14:52:50 ID:ziCgFva70
○第十二話
   『勇者ってなぁに?』

  「あなた達の勇気、こんなものですか」

さも残念そうにして言葉を紡ぐ精霊。
アレン達がモンスターを倒せない事を本気で嘆いているように思えた。

  「僕達の勇気が、足りないと言いたいんですか……」
  「いいえ、この戦いであなた達に勇気などない、と証明されたのです。
   勇気とは何ぞや? それは絶望への糧でしかない。
   少なくともそういう答えしか用意出来ないのであれば、
   いくらその問いに理性で反論しようとも無意味です」
  「なら用意して突きつけてやるよ!!」
  「ベホマズン!!」

アレフがいきり立ち、アレルが両手を天に掲げて呪文を唱える。
すると私達の体を光が包み込み、その傷を完全に癒していった。
メラゾーマの火傷を、魔の牙にえぐられた咬創を、六本の剣による切創を。
その全てを完璧に復元した勇者達は魔物に三度戦いを挑む。

まずアレフがマホトーンでマントゴーアの呪文を封じ、
ラリホーでソードイドを眠らせる。
次いでアレンが会心の一撃でサラマンダーの首をはね、
ソードイドの腕を切り落とし、マントゴーアの翼を引き千切る。
最後にアレルがありったけの魔法力を込めたギガデインを放った。

動きの鈍いアレフは後方支援、
敵の呪文の心配が無くなったアレンが直接攻撃、
そして攻撃の当たらないアレルは呪文による全体攻撃という
時間にして十秒にも満たない素晴らしいコンビネーション攻撃。
見ていただけの私にも感じ取れるくらいに三人には手ごたえがあった。

699 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/10/19(金) 14:57:07 ID:ziCgFva70
  「グググ……」

それなのに、モンスター達は無傷の姿で土煙の中から現れてきた。
あの凄まじい攻撃を受けてなお無傷。
心が折れる音が聞こえた気がした。

  「呪いのベルトは体を締め付ける鎖。
   悪魔のしっぽは無条件で呪文を受け入れる磔。
   不幸の兜は悪運を呼び込む器。
   それらを背負いし弱き勇者達よ、いや愚か者達よ。
   あなた達の心を私が食ろうてやろう」

発せられた言葉と共に精霊を包んでいた不思議な雰囲気の色が変わる。
彼女の雰囲気は神聖さを感じさせるものだと思っていたが、
今思えばそれは神聖さとは真逆な邪悪さだと気付いた。

彼女の顔が醜く崩れ、とうとう本性を現したというところだろうか。
女の本性は怖いというが、女の私でも怖く感じる程に精霊はおぞましかった。
いや、もう精霊と呼ぶより悪魔と呼ぶべきだろう。
ストレートだった髪が今や乱れに乱れ、眼つきは鋭く口からは牙が見え始めた。
水面が落ち着き無く波立っていた。

  「さてさて、ロトの血肉はどんな味がするのかのう」

舌なめずりをする悪魔の顔は紅潮し恍惚としていた。
このままではアレン達が……
しかし私は呪いで動く事も出来ない。
いや、それが出来たところで私に何が出来るというのか。
結局呪文も使えるようにはならなかったし、
勇者に勝てない怪物達に私が対抗出来るとは到底思えない。
呪いを解く希望の地であったこの場所で旅は終わりか。
そんな思いが私の頭をもたげた。

700 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/10/19(金) 14:59:31 ID:ziCgFva70
その時、微かな金属音を耳が捉えた。
アレンに貰ったスライムのアクセサリーだ。
そのピアスに意識が及ぶと、教会でアレン達が見舞いに来てくれた事が思い出された。

素直になれと言ってくれたアレフ。
君の真っ直ぐさを全部真似する事は出来ない。
けど私の持っている問題を解決するには素直になるのが一番なんだろう。
切羽詰った今なら出来そうな気がする。
いや、あの時のようにまた後悔するよりは素直になった方がいいと教えてくれたんだな。

髪を切って私の気持ちを後押ししようとしてくれたアレル。
アレルと同じように強い精神を持つ事は私には出来ない。
けどアレルの話してくれた女性のように私は変われるだろうか。
いや、変わってみせようか。
無口なあなたは私の心を軽くし、変われると教えてくれた。

そして好きだと言ってくれたアレン。
君の隣はとても居心地が良いと私は感じている。
この何も分からない世界で私の居場所を作ってくれた君の優しさに
思わず甘えてしまうくらいに私は君に心を許しているみたいだ。
だから君には一番死んでもらいたくない。
だから私は勇気を出すよ。

私に出来るのは、私の気持ちを伝える事。
私の気持ちをアレン達に伝える事――

  「アレン! アレフ! アレル! 頑張れ! 負けるな!!」

声が、出た。

701 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/10/19(金) 15:04:39 ID:ziCgFva70
そしてアレン達の体に小さな光が降り注ぐ。
私が唱えた回復呪文だ。
数字にすれば10も回復したかどうか分からない程の効果だろう。
アレルのベホマズンには到底及ばない。
だけど、しっかりと私の光は彼らに届いたんだ。

  「な、なにぃ?!」

うろたえる悪魔をよそにアレン達はしっかりと立ち上がる。
呪いが呪いを呼ぶなら、勇気は他人へと伝播する。
そして元々持ち合わせていた勇気と合わさりさらに大きな勇気を生む。
私の勇気と彼らの勇気が溢れ出す。

  「これは……」
  「よっしゃぁ! ナイスしなのっ!!」
  「行きますよっ!」

アレン達は剣を交差するように掲げ、同時に振り下ろす。
その切っ先から放たれた聖なる光がモンスター共々悪魔を飲み込んだ。
まばゆいけれど、暖かい光が呪いを打ち消していった。
悪魔の断末魔さえもその光が包み込んでしまった。
勇気ある者達の勝利だった。

  「勝った、のか……」
  「ざまーみろ! てめーら何かに負けるかっての!!」
  「やりましたね、しなのさん!」

あぁと言おうとした時、聖なる光が消えていきその中から何かが地面に落ちた。
拾い上げるとジグソーパズルのピースのようにいびつな形をした石の板。
これは……

702 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/19(金) 15:05:25 ID:kHGSeP9/0
再度支援ですぅ

703 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/10/19(金) 15:07:58 ID:ziCgFva70
それが何なのかを調べようとした時、澄んだ綺麗な声と共にまたもや女性が現れた。

  「ふぅ……ようやく出れました……
   ……あぁ、そう構えないで下さい。
   私は本物の精霊です。
   迂闊にもあのモンスターに閉じ込められてしまったのです」

彼女はあの悪魔と同じように泉に立っていたが、以前のように水面に波紋は現れず、
泉はまるで鏡になったかのようにぴたりと動きを止めていた。

  「信じられないのなら、呪いを解いてみせましょうか?」
  「チッ! もう遅ぇんだよ……」

精霊は私達が自分の力で呪いを解いた事を分かった上でそんな事を言ったのだ。
先ほどの悪魔よりは好感が持てた。

  「ありがとうございます。
   人間にお礼を言うのは久方振りで少し恥ずかしいですが……」

こんな風に顔を赤められてはこちらが困ってしまうな。
可愛い精霊だ。

  「礼なんかいいから何かくれよ」
  「そうですね……では何か希望はありますか?」
  「……しなの」

え? わ、私か?

  「そうだな、今日のMVPはお前だ!」
  「僕もそれに賛成です」

ありがとう。それじゃあ――

704 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/10/19(金) 15:11:06 ID:ziCgFva70
○第十三話
    『さよなら、ばいばい』

  「ではでは、乾杯!」
  「イエー!!」
  「乾杯」

乾杯!
その声をかき消すようにグラスを叩き合う。
晴れて呪いから開放された私達は、いの一番に飲み屋へと直行して祝杯を上げた。
アレフのテンションはいつもに増して高く、ビールを一気飲みしてしまった。
けれどアレンやアレフもまた嬉しそうにグビグビと酒を飲み干す。
久し振りの人間らしい食事と飲み物にありつけた事もそうだが、
やはり苦難を乗り越えた後というのは達成感でいっぱいになる。
それはグラス一杯では到底満たせるものではない。
だから今日はたくさんたくさん注いでやろう。
酒の席を共にしようという約束がようやく果たされた訳だしな。

  「いや〜それにしても楽勝だったな! 一発で消し飛んでやんの」

戦いに勝ったから言える台詞だとツッコミを入れる者はいない。
酒の力も手伝ってか、そんな冗談が心地良い程に私達の気分は高揚していた。

  「あそこで君が呪文を使うとは思わなかったよ」
  「そうそうそれそれ! よくやったぞしなの!
   やっぱ俺の指導が良かったんだな!」

まったくその通りだな、ありがとうアレフ。
と、おだてるように言うとアレフはうんうんと満足そうに頷いた。
ホントに面白いヤツだ。

705 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/10/19(金) 15:14:27 ID:ziCgFva70
いやしかしアレルの呪文には到底適わないよ。
あれは凄かった……

  「そりゃそうだろー、何たって伝説の勇者ロトの称号を持つお方だぜ?
   ベホマズンにギガデインの二連発だなんて俺でも適わねぇよ」

え?! アレルが勇者?!
アレルに目をやるが、黙って酒を飲むだけで否定しなかった。

  「そうですよ、しなのさん知らなかったんですか?」

……誰もそんな事言ってくれなかったじゃないか。
そうやって拗ねてみせると三人に笑われてしまった。
しかしその割にはタメ口で話すんだな。
とても敬ってるようには見えないが。

  「まぁ同じ勇者としてそういうのはあんまり好きじゃないって分かってるからなぁ」
  「血の繋がった親子関係にあるのに、どういう訳か歳も離れていないようですしね」
  「私としては孫の孫が目の前にいるというのはとても不思議に思うよ」

そんな風にして目を細めるアレル。
伝説の勇者か、どうりで強い訳だ。
しかし勇者だらけのパーティーに私が入っていたなんてな。
場違いにも程があると今更ながら思ってしまった。

  「しかしなぁ、もうしなのとはお別れか」

時が経ち、馬鹿騒ぎも落ち着いたところでそんな話になった。
あの悪魔が落としていった石版は、例の噂の石版のようだった。
この石版を神殿に持って行きさえすれば願いが叶うという。
その神殿がある場所は精霊さんに教えてもらった。
それはつまり私は私の世界に帰る事にした、という事だ。

706 :作り合わされし世界 ◆ODmtHj3GLQ :2007/10/19(金) 15:17:32 ID:ziCgFva70
  「けどその噂、本当なのか?」

ん……まぁその真偽を確かめる為にも神殿に行ってみたいと思う。
そう遠くはないしな。

  「そっかそっか、んじゃあ明日キメラの翼を山ほど買ってやるよ。
   それがあればまた会えるだろ」
  「キメラの翼で世界を行き来できる訳ないでしょう」
  「そうなのか? じゃあしなのがルーラを覚えてだな」

もう二度と訪れない四人の夜が更けていった。



宿屋への帰り道。
アレフとアレルは疲れたと言って先に帰ってしまった。
だから今はアレンと二人きりだ。
彼の手を取ってみる。

  「……しなのさん、酔ったんですか?」

うぅん、私はそうそう酔わないよ。

  「でも顔が赤いですよ」

そうか、それは誰かに見られたらマズいな。
隠さないと。
そんな事を言ってアレンに身を寄せた。

  「そうやって心の中も隠しちゃうんですか?」

それはきっと返事を聞きたいって事なんだろうな。

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